31 / 86
29_曖昧な言葉は避けましょう
しおりを挟む
数分後、私は、佳景様の女中達に引き摺られ、神社の隅にある、絵馬殿の裏側に連れて行かれていた。
「あなた、勝手なことをしないでよ」
絵馬殿の壁際に追い詰められ、私は取り囲まれる。
私の前に並んだ女中達の顔は、怒りで人相が変わっていた。
「神聖な儀式の最中だったのよ? なのに、勝手な判断で、凛帆様に近づくなんて・・・・。下女ふぜいが、出過ぎた真似をするんじゃないわよ!」
「・・・・申し訳ありませんでした」
「謝ってすむ問題!?」
女中の一人が、壁を叩く。
「・・・・本当に、すみません」
今は何を言っても、火に油を注ぐことになってしまうと、張りつめた空気から、なんとなくわかった。
だからひたすら、謝り続けるしかない。私は奥歯を噛みしめ、頭を下げ続ける。
「あっ・・・・!」
すると髪をつかまれて、引っ張られた。
「謝ってすむ問題じゃないと、何度言えば・・・・!」
唐突に、声が途切れる。
ハッとして耳を澄ますと、こちらに近づいてくる足音に気づいた。女中達はその足音の主を警戒して、肩を強ばらせている。
――――現れたのは、鬼久頭代だった。
「鬼久頭代・・・・」
どうして鬼久頭代がここに、と混乱していると、私を隠すように、女中の一人が前に出る。
「鬼久頭代、私達になにかご用でしょうか?」
「道具の片付けに、人手がいるそうだ。女中取締が、女中達を呼んでいる」
「そ、そうですか! すぐに行きます!」
引き攣った笑顔を浮かべて、女中達はそそくさと去っていく。
そしてその場には、私と鬼久頭代だけが残された。
「・・・・・・・・」
気まずい。鬼久頭代とこうして向かい合うのは、夜に御政堂を抜けだした凛帆様を追いかけて、その後送ってもらった時以来だ。
「大丈夫か?」
「え? あ・・・・」
髪が乱れていることに気づいて、私は慌てて髪の乱れを直す。
「災難だったな」
「・・・・気づいてたんですね」
私がどうしてここにいるのか、鬼久頭代はもう知っているらしい。
「あの流れを見れば、ある程度のことはわかる」
「・・・・もしかして、助けてくれたんですか?」
「女中達はどんなに怒っていても、部外者が入っていけば、不思議と大人しくなる」
御政堂の女中は、二つの顔を使い分けることを教育されているから、部下を折檻している最中でも、部外者が現れれば、仮面を付け替える。
鬼久頭代はそれをわかっていて、素知らぬ顔で間に入ってくれたようだ。
「ありがとうございます」
「礼を言われることじゃない。俺にできるのはここまでだ。大奥のことに口を出す権利は、俺にはない」
「はい、わかってます。・・・・私の落ち度ですから」
すると鬼久頭代が、眉根を寄せる。
「間違ったことをしたと思ってるのか?」
「え・・・・」
「お前は、間違ったことはしていない。ここは、正しいことをしても、評価してもらえるとは限らない世界だ。そういった意味では、賢い選択ではなかったのかもしれないが」
「・・・・・・・・」
そう言ってもらえて、少し気持ちが楽になった。
「・・・・私は、賢くないみたいです。あの時は、あれが正しい行動だと思ったんですが」
「お前は賢いが、不器用だな。うまく立ち回れない」
「はは・・・・」
「だが、個人的な意見を言わせてもらえば、不器用ながら自分が正しいと思ったことをする人間のほうが、好感が持てるし、信頼もできる」
虚を突かれて、私は何も言葉が出てこなくなった。
鬼久頭代は、時々、思いがけないことを言う。私はずっと、木蔦の宮に閉じ籠っていたから、こんな時、どんな反応をして、どんな言葉を返せばいいのか、正解がわからない。
それに今、私はよくわからない感情に胸を支配されていた。
だから鬼久頭代のこういったところが、少し苦手だと感じてしまう。
「それで御嶌、報酬の件だが・・・・」
「報酬!?」
「遠くの地で働くことを、希望していたな」
「はい!」
「坂山の旅館の女将が、仲居を捜しているらしい」
「坂山・・・・」
坂山は京月の南のほうにある、大きな町だ。商業の町として、栄えていると聞いている。
――――せっかく鬼久頭代が働き口を見つけてくれたのに、私は素直に喜べなかった。
坂山は品物の交易所でもあり、そのため交通機関が発達している。
もし、私が御政堂から逃げ出して、御主が捜索を命じた場合、当然、役人は坂山も捜索するはずだった。坂山はきっと、探しやすい場所のはずだ。
「・・・・どうやら、お前の条件に見合わなかったようだな」
鬼久頭代は私の表情から答えを読み取って、封筒をポケットに戻してしまった。
「申し訳ありません・・・・」
「なぜ謝る?」
「・・・・仕事を捜してもらうのなら、きちんと希望を伝えておくべきでした。せっかく、捜してもらったのに・・・・本当に、すみません」
できるだけ遠くに、なんていう曖昧な言葉を、使うべきじゃなかった。きちんと、どれぐらい京月から離れた場所なのかを、伝えなければならなかったのだ。
「いや、詳しく聞かなかった俺も悪い」
鬼久頭代は、許してくれた。
経歴から、自分にも他人にも厳しい人だと、勝手に決めつけていたけれど、本当は寛容なところもある人だ。
「具体的に、どんな場所がいいんだ?」
「え?」
「坂山では駄目だったんだろう? どの地域であれば、お前の希望に見合う?」
「・・・・まだ、捜してくれるんですか?」
「報酬は支払うのが当然だ」
「あ、ありがとうございます!」
勢いよく、頭を下げた。
きちんと希望を伝えなかったのは、私の落ち度だ。それでもまだ捜してくれる鬼久頭代に、深く感謝した。
「礼を言われることじゃない。それで、どんな場所を希望してるんだ?」
「えっと・・・・」
私は、北鬼の地理を頭の中に思い浮かべる。
「北鬼の最南端にあるという、福千に行きたいと思います。あの場所は人が少なくて、静かだと聞きましたから」
そして北鬼の中で、もっとも南鬼に近い場所にある。あの場所なら役人達も迂闊に動けないし、万が一見つかって追いかけられても、南鬼のほうに逃げることができると思った。
逃走先に南の地域を選んだのは、久芽里の一族に迷惑をかけないためだ。久芽里の鬼の一部は今、東北地方で暮らしているらしい。私が北に逃げてしまったら、久芽里の一族を巻き込んでしまう恐れがあった。
「わかった、捜しておこう」
鬼久頭代は、そう約束してくれた。
鬼久頭代が持ち場に戻ったので、私は一人で、国柱神宮の本殿に向かって歩いていた。
女中達の輪の中に戻らなければならないと思うと、気が重い。
俯きがちに、鈍くなった足の動きを見つめながら歩いていると、ふと、誰かの影が私の影に被さった。
顔を上げる。
神社の外廊下の高欄に、誰かが腰かけていた。
「凛帆様・・・・」
両足を廊下の外に投げ出すような格好で、高欄に腰かけていたのは、凛帆様だった。
凛帆様の後ろには、結衣花さんと、明美弥様の姿もある。
「大丈夫だった?」
凛帆様は高欄から飛び下りて、私に近づいてきた。何を聞かれたのかわからなくて、私は首を傾げる。
「あなたが佳景様の女中に連れて行かれたって、結衣花から聞いたわ。・・・・私達の問題に巻き込んで、ごめんなさい」
「・・・・・・・・」
凛帆様も明美弥様も、琴に細工したのが誰なのか、とっくに気づいていたのだろう。
「まったく、あんなわかりやすい嫌がらせをしてくるなんてね」
明美弥様は憤懣やるかたないといった様子だ。一方凛帆様は、怒りよりも罪悪感のほうが強いらしく、申し訳なさそうに俯いている。
「本当に、ごめんなさい。・・・・どうにかしたいけど、北鬼では、私達ができることは少ないの。きっと、女中達の動きを止められない」
「凛帆様のせいじゃありません。・・・・私は大丈夫ですよ」
凛帆様のせいじゃない。私が勝手にしたことだ。
凛帆様の顔の曇りが、少しだけ晴れた。
「あなたの名前、聞いていい?」
不意にそう言われて、虚を突かれる。
「え?」
「何度も顔を合わせてるのに、お互い、自己紹介をしてないわよね。もっと前にするべきだったのに、なんだか忘れちゃってて。名前、教えてくれる?」
「わ、私の名前は、御嶌逸禾です」
「逸禾ね。私は、一条凛帆よ。こっちは、結衣花と、二条明美弥」
「よろしくね」
「よよ、よろしくお願いします」
「そんなに緊張しなくていいのに」
三人は気さくに笑いかけてくれた。
「・・・・桜の廓では、私達は自由に動けない。だからあなたを守ることができないけど・・・・私達にできることがあったら、何でも言ってね」
「・・・・大丈夫です。自分でなんとかできますから」
私がそう答えると、二人は安心したのか、頬が緩む。
参拝客だろうか、大勢の人達が近づいてくる気配があった。
「・・・・凛帆様。そろそろ行ったほうがいいと思います。私達と一緒にいるところを見られたら、御嶌さんの立場が、もっと悪くなると思いますから」
「・・・・そうね」
結衣花さんの言葉で、凛帆様は重たい息を吐きだす。
「私達は、先に行くわ。・・・・一緒にいるところを見られないほうがいいと思うから」
今回の件で、表面的とはいえ、取り繕えていた北鬼と南鬼の花嫁という関係が、崩れてしまった。琴を持っていっただけで、あれだけ怒られたのに、北鬼の花嫁と仲良くしたら、さらに何をされるか、予測できない。
「それじゃあね、逸禾。また時間があるときに、話をしましょう」
「ええ」
手を振ってくれる凛帆様に、私も手を振り返す。
凛帆様達は角を曲がり、見えなくなった。
「あなた、勝手なことをしないでよ」
絵馬殿の壁際に追い詰められ、私は取り囲まれる。
私の前に並んだ女中達の顔は、怒りで人相が変わっていた。
「神聖な儀式の最中だったのよ? なのに、勝手な判断で、凛帆様に近づくなんて・・・・。下女ふぜいが、出過ぎた真似をするんじゃないわよ!」
「・・・・申し訳ありませんでした」
「謝ってすむ問題!?」
女中の一人が、壁を叩く。
「・・・・本当に、すみません」
今は何を言っても、火に油を注ぐことになってしまうと、張りつめた空気から、なんとなくわかった。
だからひたすら、謝り続けるしかない。私は奥歯を噛みしめ、頭を下げ続ける。
「あっ・・・・!」
すると髪をつかまれて、引っ張られた。
「謝ってすむ問題じゃないと、何度言えば・・・・!」
唐突に、声が途切れる。
ハッとして耳を澄ますと、こちらに近づいてくる足音に気づいた。女中達はその足音の主を警戒して、肩を強ばらせている。
――――現れたのは、鬼久頭代だった。
「鬼久頭代・・・・」
どうして鬼久頭代がここに、と混乱していると、私を隠すように、女中の一人が前に出る。
「鬼久頭代、私達になにかご用でしょうか?」
「道具の片付けに、人手がいるそうだ。女中取締が、女中達を呼んでいる」
「そ、そうですか! すぐに行きます!」
引き攣った笑顔を浮かべて、女中達はそそくさと去っていく。
そしてその場には、私と鬼久頭代だけが残された。
「・・・・・・・・」
気まずい。鬼久頭代とこうして向かい合うのは、夜に御政堂を抜けだした凛帆様を追いかけて、その後送ってもらった時以来だ。
「大丈夫か?」
「え? あ・・・・」
髪が乱れていることに気づいて、私は慌てて髪の乱れを直す。
「災難だったな」
「・・・・気づいてたんですね」
私がどうしてここにいるのか、鬼久頭代はもう知っているらしい。
「あの流れを見れば、ある程度のことはわかる」
「・・・・もしかして、助けてくれたんですか?」
「女中達はどんなに怒っていても、部外者が入っていけば、不思議と大人しくなる」
御政堂の女中は、二つの顔を使い分けることを教育されているから、部下を折檻している最中でも、部外者が現れれば、仮面を付け替える。
鬼久頭代はそれをわかっていて、素知らぬ顔で間に入ってくれたようだ。
「ありがとうございます」
「礼を言われることじゃない。俺にできるのはここまでだ。大奥のことに口を出す権利は、俺にはない」
「はい、わかってます。・・・・私の落ち度ですから」
すると鬼久頭代が、眉根を寄せる。
「間違ったことをしたと思ってるのか?」
「え・・・・」
「お前は、間違ったことはしていない。ここは、正しいことをしても、評価してもらえるとは限らない世界だ。そういった意味では、賢い選択ではなかったのかもしれないが」
「・・・・・・・・」
そう言ってもらえて、少し気持ちが楽になった。
「・・・・私は、賢くないみたいです。あの時は、あれが正しい行動だと思ったんですが」
「お前は賢いが、不器用だな。うまく立ち回れない」
「はは・・・・」
「だが、個人的な意見を言わせてもらえば、不器用ながら自分が正しいと思ったことをする人間のほうが、好感が持てるし、信頼もできる」
虚を突かれて、私は何も言葉が出てこなくなった。
鬼久頭代は、時々、思いがけないことを言う。私はずっと、木蔦の宮に閉じ籠っていたから、こんな時、どんな反応をして、どんな言葉を返せばいいのか、正解がわからない。
それに今、私はよくわからない感情に胸を支配されていた。
だから鬼久頭代のこういったところが、少し苦手だと感じてしまう。
「それで御嶌、報酬の件だが・・・・」
「報酬!?」
「遠くの地で働くことを、希望していたな」
「はい!」
「坂山の旅館の女将が、仲居を捜しているらしい」
「坂山・・・・」
坂山は京月の南のほうにある、大きな町だ。商業の町として、栄えていると聞いている。
――――せっかく鬼久頭代が働き口を見つけてくれたのに、私は素直に喜べなかった。
坂山は品物の交易所でもあり、そのため交通機関が発達している。
もし、私が御政堂から逃げ出して、御主が捜索を命じた場合、当然、役人は坂山も捜索するはずだった。坂山はきっと、探しやすい場所のはずだ。
「・・・・どうやら、お前の条件に見合わなかったようだな」
鬼久頭代は私の表情から答えを読み取って、封筒をポケットに戻してしまった。
「申し訳ありません・・・・」
「なぜ謝る?」
「・・・・仕事を捜してもらうのなら、きちんと希望を伝えておくべきでした。せっかく、捜してもらったのに・・・・本当に、すみません」
できるだけ遠くに、なんていう曖昧な言葉を、使うべきじゃなかった。きちんと、どれぐらい京月から離れた場所なのかを、伝えなければならなかったのだ。
「いや、詳しく聞かなかった俺も悪い」
鬼久頭代は、許してくれた。
経歴から、自分にも他人にも厳しい人だと、勝手に決めつけていたけれど、本当は寛容なところもある人だ。
「具体的に、どんな場所がいいんだ?」
「え?」
「坂山では駄目だったんだろう? どの地域であれば、お前の希望に見合う?」
「・・・・まだ、捜してくれるんですか?」
「報酬は支払うのが当然だ」
「あ、ありがとうございます!」
勢いよく、頭を下げた。
きちんと希望を伝えなかったのは、私の落ち度だ。それでもまだ捜してくれる鬼久頭代に、深く感謝した。
「礼を言われることじゃない。それで、どんな場所を希望してるんだ?」
「えっと・・・・」
私は、北鬼の地理を頭の中に思い浮かべる。
「北鬼の最南端にあるという、福千に行きたいと思います。あの場所は人が少なくて、静かだと聞きましたから」
そして北鬼の中で、もっとも南鬼に近い場所にある。あの場所なら役人達も迂闊に動けないし、万が一見つかって追いかけられても、南鬼のほうに逃げることができると思った。
逃走先に南の地域を選んだのは、久芽里の一族に迷惑をかけないためだ。久芽里の鬼の一部は今、東北地方で暮らしているらしい。私が北に逃げてしまったら、久芽里の一族を巻き込んでしまう恐れがあった。
「わかった、捜しておこう」
鬼久頭代は、そう約束してくれた。
鬼久頭代が持ち場に戻ったので、私は一人で、国柱神宮の本殿に向かって歩いていた。
女中達の輪の中に戻らなければならないと思うと、気が重い。
俯きがちに、鈍くなった足の動きを見つめながら歩いていると、ふと、誰かの影が私の影に被さった。
顔を上げる。
神社の外廊下の高欄に、誰かが腰かけていた。
「凛帆様・・・・」
両足を廊下の外に投げ出すような格好で、高欄に腰かけていたのは、凛帆様だった。
凛帆様の後ろには、結衣花さんと、明美弥様の姿もある。
「大丈夫だった?」
凛帆様は高欄から飛び下りて、私に近づいてきた。何を聞かれたのかわからなくて、私は首を傾げる。
「あなたが佳景様の女中に連れて行かれたって、結衣花から聞いたわ。・・・・私達の問題に巻き込んで、ごめんなさい」
「・・・・・・・・」
凛帆様も明美弥様も、琴に細工したのが誰なのか、とっくに気づいていたのだろう。
「まったく、あんなわかりやすい嫌がらせをしてくるなんてね」
明美弥様は憤懣やるかたないといった様子だ。一方凛帆様は、怒りよりも罪悪感のほうが強いらしく、申し訳なさそうに俯いている。
「本当に、ごめんなさい。・・・・どうにかしたいけど、北鬼では、私達ができることは少ないの。きっと、女中達の動きを止められない」
「凛帆様のせいじゃありません。・・・・私は大丈夫ですよ」
凛帆様のせいじゃない。私が勝手にしたことだ。
凛帆様の顔の曇りが、少しだけ晴れた。
「あなたの名前、聞いていい?」
不意にそう言われて、虚を突かれる。
「え?」
「何度も顔を合わせてるのに、お互い、自己紹介をしてないわよね。もっと前にするべきだったのに、なんだか忘れちゃってて。名前、教えてくれる?」
「わ、私の名前は、御嶌逸禾です」
「逸禾ね。私は、一条凛帆よ。こっちは、結衣花と、二条明美弥」
「よろしくね」
「よよ、よろしくお願いします」
「そんなに緊張しなくていいのに」
三人は気さくに笑いかけてくれた。
「・・・・桜の廓では、私達は自由に動けない。だからあなたを守ることができないけど・・・・私達にできることがあったら、何でも言ってね」
「・・・・大丈夫です。自分でなんとかできますから」
私がそう答えると、二人は安心したのか、頬が緩む。
参拝客だろうか、大勢の人達が近づいてくる気配があった。
「・・・・凛帆様。そろそろ行ったほうがいいと思います。私達と一緒にいるところを見られたら、御嶌さんの立場が、もっと悪くなると思いますから」
「・・・・そうね」
結衣花さんの言葉で、凛帆様は重たい息を吐きだす。
「私達は、先に行くわ。・・・・一緒にいるところを見られないほうがいいと思うから」
今回の件で、表面的とはいえ、取り繕えていた北鬼と南鬼の花嫁という関係が、崩れてしまった。琴を持っていっただけで、あれだけ怒られたのに、北鬼の花嫁と仲良くしたら、さらに何をされるか、予測できない。
「それじゃあね、逸禾。また時間があるときに、話をしましょう」
「ええ」
手を振ってくれる凛帆様に、私も手を振り返す。
凛帆様達は角を曲がり、見えなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる