男の性春

はりお

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最終章 性の行方(高校1年編)

5-9 秋のモヤモヤ

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中間テストが終わってすぐの塾の帰り、俺はまた美穂と一緒に帰っていた。その日はやたらとサッカーのことを聞いてくると思ったら、「試合観に行ってもいい?」と聞いてきた。この時期は全国高校サッカー選手権の予選が長期間にわたって行なわれており、もちろん俺も出場している。チームは順調に勝っていてベスト16になっており、2週間後にベスト8をかけた試合が行われる。
その試合結果はニュース記事にもなっているため美穂は見ており、もう次の日程と場所まで把握している。それなら断るのが難しい。恥ずかしいから来てほしくないというのもあるが、次の相手はかなり強いからおそらく負ける。そんなのは見られたくない。

その翌日に一輝と試合の話になったため相談した。
「次の試合小学校の同級生の女の子が来るって言ってるんだけど嫌なんだよね」
「あー、あの噂の子?嫌なの?」
「うん」
「壮太は本当に好きじゃないの?」
「まったく。どうしたらいいかな?」
「うーん、正直にみんなに冷やかされるのが嫌って言うのは?言いづらい?」
「ちょっとね」
「じゃあ試合の日は会えないって言うのは?壮太に会えないって言うと来ないかもだし、もし来るとしても事前に言っとけば当日壮太は挨拶に行かなくても大丈夫になるし」
一輝は真剣に考えてくれる。女絡みの話だと、他のやつだったら絶対ふざけた回答しかくれないだろうが、彼は本当に優しい。

彼は夏休み明けの実力テストでも1位だった。入学以降ずっと1位をキープしている。彼は塾に行ってないがその必要もないであろう。俺も6位と悪くはなかったが涼介が2位で惨敗したためちょっと悔しかった。涼介は塾に行き始めたことで苦手だった数学の成績が伸びているようだ。
彼の塾での環境は充実しているようだが、ある噂を耳にしてから俺は結構気になっている。その噂は涼介も女の子と一緒に帰っているというものである。同じ塾の奴がそんなこと言っていたということを、人づてに聞いただけだから真偽は不明だが、なぜか本人には直接聞けなかった。俺も美穂と帰ってるため人のことはいえないのではあるが。
結局美穂は試合には来なかった。最初一輝の助言の通り伝えた時は「それでも行きたい」といっていたが、本人の部活の練習と被ってしまったらしい。試合も大敗してしまったため、美穂には申し訳ないが本当に来れなくなって良かったと思った。

試合の翌週に部活のない日があり、その日俺は涼介に誘われて二人でダーツに行った。彼から遊びに誘われるとやっぱり嬉しいが、どうやら俺の心にはモヤモヤがあった。それは、間違いなく先日聞いた噂のせいである。このままではせっかくのデートを楽しめないと思い、俺は恐る恐る聞いた。
「あのさ、風の噂で聞いたんだけど、涼介も塾のあと女の子と一緒に帰ってんの?」
「あ?誰が言ってた」
「ソースが誰かはわかんない」
「1回だけな。小学校の塾の同級生がいて、ちょっと喋ったから一緒に帰っただけ」
「へー。お前もやってんな。可愛いのその子?」
「それが可愛いんだよね。でも、別に狙ったりしてないから。てか、お前にどうこう言われる筋合いはない」
その言葉を信じた。男子校だからみんな敏感になっているが、たとえ異性だとしても昔からの知り合いでしかも地元が同じ人がいれば何ら一緒に帰るのは変なことではない。
俺は大分安堵したため、その後のダーツは好調で涼介のことをボコボコにしてやった。
「お前って器用だよな。うざいわ」
彼は悔しそうにしていて、その後は同じ施設の卓球台に連れてかれた。自分の本職の卓球で勝負をするという何とも卑怯な考えだ。もちろん俺はボコされた。
「これでおあいこだな」
その後はサイゼリヤでちょっとお話をしながら食事をして楽しい時間は終わった。何のことないただの遊びであるが好きな人といるのは楽しい。世間の彼氏彼女がいる高校生はこんな気分を常に味わっているのかと思うと羨ましくなると同時にさみしくもあった。
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