男の性春

はりお

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最終章 性の行方(高校1年編)

5-15 悲しみ

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新学期初日は勇気を持って俺は涼介のところに挨拶に行った。
「あけましておめでとう」
だが、やはり涼介は無視だ。相手をしてくれなかった。
そして、俺はその数日後にトドメを刺されてしまう。
昼休みに涼介と同じ塾に通ってる他のクラスの子がニヤニヤしながら俺のクラスにやってきた。
「涼介お前やりやがって!犬塚いぬづかさんと付き合ってるんだってな」
俺は耳を疑ったが、確かにその言葉が入ってきた。
「おい。お前大声で言うなよ」
「いや、だって進展早くないか?一緒に帰ってるのは知ってたけど」
「向こうから来たから拒む理由も無かったって感じ。可愛いし」
周りのやつらも興味深そうに涼介に注目してる。みんなが涼介のところに集まってガヤガヤしている。そんな反応に涼介も照れている。
俺は信じたくなかった。胸が締め付けられるという表現ではすまず、背後からナイフで突き刺されたというような気持ちだ。
きっと相手は前に一緒に帰ったといっていた小学校の塾が同じだった子だ。「狙ったりしていない」とはっきり言っていたのにという思いだ。だが、そんなことはどうでもいい。とにかく、彼に恋人ができたという事実を受け入れられない。
クラスメイトには、「お前ら最近一緒にいないと思ってたらお互い女作ったんか」と言われたが、今の俺には最悪な冗談である。俺は愛想笑いも浮かべることができなかった。

その日の部活では何も考えられなかった。パスが来ても反応できずスルーしてしまったり、ドリブルでは相変わらず翼に止められる。みんなからも、「どこか悪いの?」と心配されるが、どこも悪くない。
珍しく秀太が俺のことを心配して声をかけてきた。
「お前なんか元気ないな、大丈夫か?」
その秀太の様子を見てた蒼から、
「おい秀太、うちのエースを慰めてやれ」
と秀太は言われ、ちょっと秀太は困惑しながらも、俺含む周りを笑わそうとしてか、彼からハグをしてきてくれた。
秀太とのハグは悪くはない。だが、涼介としたときに感じたようなドキドキ感もない。
「もっと物理的に慰めろ」
と秀太はさらに煽られ、俺の股間を揉んだり、自分の股間を俺の股間に押しつけたりしてくる。
周りは笑っているが、俺はそれでもいつものような笑顔にはならない。そんな俺の様子に蒼も心配してきた。
「1人で抱え込むなよ。何で悩んでるかわかんないけど。サッカーのことなら今のみんなならお前に頼り過ぎることもないと思うし大丈夫だから」

家に帰っても明らかに俺の元気がないため親からも心配される。そして、夜中ベッドに入ると色々な感情がこみ上げてきて涙を流してしまった。
俺は本当に涼介のことが好きなんだ。彼とずっと話したいし、色んなところに一緒に行きたい。もちろんエッチもしたいし、俺のものになってほしい。彼の優しさに包みこまれたい。
初恋の達也に感じた恋愛感情とは比ではない。同性への恋愛なんて基本的には叶わないってことは、達也の時から気づいている。だからこそ中学入学当初は1人の男性に特別な恋愛感情は持たないように抑えていたつもりだった。だが、そんな抑えることも全くできないくらいに、俺は病的なまでに涼介を心の底から愛してしまったのだ。
いつかは俺が恋した人にも異性の恋人が出来るというのは理解していたつもりだ。だが、男子校にいる限りは大丈夫だと思っていた。こんなにも早く、大好きな涼介に彼女が出来るなんて思っていなかった。
今日かすかに聞こえてきた話だと、まだ付き合い始めたばかりで"手を繋いだ"だけのようだ。だが、これから"キス"もするだろうし、じきに"エッチ"もするであろう。そんなことを想像するだけで、涙の勢いが増してしまう。俺以外とそんなことをするなんて耐えられない。
絶対に今回できた彼女なんかよりも俺の方が涼介のことをよく知っているし、愛しているに決まっている。すごく悔しい。
そして、何より男が好きになってしまった自分を心の底から憎んだ。俺は、スポーツも、勉強も才能と努力で出来るようになった。見た目だってみんなから褒められる。女性に恋ができる"普通の男"だったら今頃、かわいい彼女を作ってなんら悲しみを感じなくて済んだかもしれない。そうでなくても、将来良い大学に行って良い会社で働いて、良いお嫁さんを見つけて、幸せな家庭を築けただろう。
だが、男を好きになるというたった1つの特性によって全てが台無しなのだ。俺は恋をする度に傷つかなくてはならない。俺はまともな恋をすることができないのだ。大人になったらゲイのコミュニティとかがあるのは知っている。だが、こんな俺は一見申し分ないと周りから思われるような人生を送っているからこそ、世間体を気にしないわけがない。そんなオープンなコミュニティなども使えるわけがない。それでは俺の恋が叶うことは実質ありえないのだ。
人生に絶望してしまう。大げさに思われるかもしれないが、涼介への失恋は俺にはそういう意味合いを持つくらい大きい出来事だった。
そんな悲痛な思いのままその晩は泣き続けた。
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