男の性春

はりお

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最終章 性の行方(高校1年編)

5-14 冬のモヤモヤ

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涼介の無視はその日以降も続いた。どうせすぐにまた話しかけてくれるだろうと俺は高をくくっていたが、彼の意志は固いようだ。あれだけ"ベタベタ"としていた俺と涼介が12月になって一切会話をしなくなった様子に周りも驚いている。
「お前彼女作ったから涼介のことは切ったのか。ひどいやつだな」
なんて周りにからかわれたが、俺は本気で怒りそうになった。とはいえ、俺に彼女ができたという話は落ち着いた。おそらく塾で俺と美穂のピリついた様子を見た人らは察しているのであろう。
中1の時から続いてきた試験期間に一緒に勉強する会も、この学期末には当然開催されなかった。俺は勉強で困ったことがあると一輝に相談した。
「何か急に俺に勉強の内容聞いてくるようになったね。さっきは涼介も俺に聞いてきたわ。全然いいんだけどさ」
一輝は不思議そうに言っていた。
結局冬休みに入るまでの期間一度も涼介は口を聞いてくれなかった。何度か俺は話しかけにいったが、近づくと逃げてしまった。真司が間をとりつくろうと、何度か涼介に話してくれたみたいだが、"あいつ鬱陶しい"とひたすら言っているらしい。

冬休みはみんなの目標となる新人戦にむけた最終調整となっている。新人戦は地区予選がなく、1月後半から3月頭にかけて長々と大会が続く。途中で実力テストがあるが、今回は悪くても仕方がない。だが、俺は練習にもなかなか身が入らなかった。美穂にあんなことをされたことに付随する動揺や葛藤もあるが、主たる要因は涼介に無視されていることであろう。大好きな人と話ができないのがとても辛い。周りのみんなのやる気に満ち溢れた表情とは反対に俺はずっと浮かない顔をしていた。俺の新人戦の一番のモチベはこの仲の良いメンバーの力で上に勝ち上がりたいという思いだったが、それと同じくらい涼介に良いところを見せたいという思いも不純にもあった。このままでは後者はなくなってしまうだろう。
それをいち早く察知したのは翼だった。最近はゲーム形式の練習で、1個下のレギュラー陣中心に相手をしてくれている。その日は翼が左サイドバックを務め、俺と対峙したが、ほぼほぼ一対一で負けた。練習後一緒に帰っていたとき、
「壮太くんなんかちょっと前から元気なくないですか?」
「そうかな?気のせいじゃない」
俺は小声で答えた。
「絶対気のせいじゃないなこれ。聞いていいかわかんないすけど、ちょっと噂で聞いた話関係してますか?」
「噂って?」
「話自体は一個上の先輩達から聞いてるんで、隠さなくても大丈夫です。美穂ちゃんとなんかあったんですよね。でも、壮太くんにとっては嫌なことだったんですよね。僕は壮太くんの気持ち知ってるんで」
翼は本気で心配してくれている。だが、俺が落ち込んでるのはそのことではない。なんて返答したらいいのか分からなかった。
「あんまそれは関係ないかな。もう縁もきったしね。別件で色々あってね」
「縁切っちゃったんですか。まあしょうがないですね。僕壮太くんのためなら何でもしますよ。悩みあったら言ってください」
気持ちはありがたいが、「好きな男の子に無視されていてそれでショックを受けている」なんて口が裂けても後輩の前では言えない。俺は感謝の気持ちだけ伝えた。
年が明けても気持ちは晴れなかった。初詣の時も真っ先に"涼介がまた話してくれますように"と祈ってしまった。"新人戦ベスト4"よりも先にそっちがでてくることに自分でも呆れる。
そのくらい俺の中で涼介の存在は大きかった。もちろん叶う可能性がきわめて低い願いをするなら、涼介と付き合いたい。だが、そうでないとしても、また大好きな彼と普通に楽しく会話をしたいなと切に願った。
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