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#19 聖女ふたり・本物はどっち?
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ねえ、聞いてよ。
なんていうかねえ……みんな夢見ていたい、っていう話っていうかね……。
まあ、それはわたしも含めての話なんだけれど。
……とりあえず、今回はそんな感じの話よ。
ところであなたって聖女に対してどういうイメージを持ってる?
え? そんなの十人十色だから一概にタイプ化できないって?
まあそうだけれどね。
言っちゃあなんだけど、つまんない答えね。
あ、あーごめんってば!
ヘソまげないでよ!
質問してきたのはこっちだろうって?
そうだけど。
でも、そんな答え返されたらそういうこと言っちゃうわよ。
まあまあ、聖女のイメージって淑女とか、清らか~なイメージよね? 一般的には。
あとは心根が優しいとか、だれにでも分け隔てなく接するとか。
あるいは信念を持っていてそれを貫ける強さを持っているとか。
……改めて洗い出してみると、なかなかいないわよね、そんなヒト、って感じだわ……。
たいていのヒトは欲にまみれているし、それが普通で、悪いことではないんだもの。
あるいは、みんなそれを意識的にせよ無意識下でにせよ、理解しているからこそ、そういったイメージを聖女に対して抱くのかしらね?
あなたはどう思う?
……え? 早く本題に入れ?
もー、なんだかんだで話は聞いてくれるんじゃないのよ。
あ、あー、わかったわかった!
さっさと話すってば!
だからちゃんと、最後まで聞いてよね?
……ことの発端は「聖女召喚の儀」で、出てきた聖女がふたりだったってことね。
あ、これはさすがに初めて知ったでしょう?
聖女が召喚されたことは広くお触れが出されたけれど、ふたりだった、っていうのはトップシークレットだからね。
だからこのことは内密にお願いするわ。
……で、ふたり召喚されたらなにが困るかって言うとね……。
分割されちゃうのよ。
聖女の祈りの力が。
知っての通り聖女こと「聖なる乙女」には、ヒトから神への請願を届ける祈りの力があるわけだけれど、ふたり召喚されるとね、それが分割されちゃうのよ。
つまり、聖女ひとりにつき、本来の二分の一の力しか宿らないってわけ。
なにが困るって、それならふたり同時に同じ祈りを捧げれば、一の力を出せるかって言うと、そうはいかないっていう点なのよね。
結局のところ分割された力は分割されたまま。
祈りを捧げても二分の一の効果しか現れないってわけ。
じゃあどうすればいいか?
……この話のミソは、結局のところ聖女は一回の召喚でひとりしか呼べないってこと。
つまり、なんらかのトラブルが発生して、ふたり召喚されても、本来の聖女はひとりだけなの。
力が分割されるのも、聖女に祈りの力が付与されるシステムが混乱をきたした結果……ってわけよ。
だから時間が経てば聖女の力は再び一つになるのよね。
つまり最終的には祈りの力を持つ聖女と、なんの力も持たない巻き込まれたヒトとに落ち着くってこと。
そういうわけだから「聖女がふたり召喚された」っていうわけじゃないのよ。実際は。
そういうことは大体これまでの経験からわかっていたから、召喚陣からふたり出てきても対して騒ぎにはならなかったわ。
ただ、みんな「ちょっと面倒なことになったな」とは思っただろうけれどね。
ふたりに分割された力がひとりに戻るまでにかかる時間はそう多くはないけれど、時が経つまで待たないといけないのはたしかだし。
ふたりはごく普通の女の子、って感じだったわね。
ふたりともあんまり活発なタイプじゃなくって、大人しくって礼儀正しい感じの子たちだったわ。
最初は混乱していたけれど、友人がいるからかそれほどパニックにはならなかったみたい。
こちらの話も素直に聞いてくれたし。
え? 素直に聞くのは問題だって?
野暮な話ね。
「聖女召喚の儀」で若い子を呼ぶのは、世間知らずな子が素直にこっちの話を聞いてくれるうちに、巡礼の旅をしてもらうようにするからでしょうよ。
ゲスな話だけれど。
話が逸れたわ。
ふたりのうち片方はこちらの話を聞いて、元の世界に帰れるなら安心、って感じだったわね。
もう片方は好奇心が旺盛みたいで、この世界の魔法を自分も使えないかとか聞いてきたわ。
ほほえましいわよね。
たまにこういう子がいるけれど、泣き叫ばれるよりも、こういう対応をされるほうがこちらとしても気楽だわ。
でもまあ、ほほえましかったのは最初だけよ。
聖女はどちらか片方……って話も、もちろん最初にしたのよね。
そのときは両方ともフーンって感じだったわよ。
でも思い返せば、それは表向きの反応だったのかも。
あるいは、時間が経つにつれて心境の変化が起こったか。
聖女の祈りの力は分割されているとはいえ、使おうと思えば使えるのよね。
本来の二分の一の力しか出せないけれど。
けれども魔法なんて空想の産物でしかない異世界から来た子にとっては、それだけでもじゅうぶん心躍らせるものだったようね。
そのささやかな力を、だれかのちょっとした怪我を治すのに使ったりして。
別に減るものじゃあないから、巡礼の旅を前にしたそういう行いをだれかが注意するってことはなかったわ。
雲行きが怪しくなってきたのは、彼女たちが召喚されて半月ほど経ったころかしら。
突然、片方の子が「真の聖女は自分だ」って言い出したのね。
理由を聞いたら「近頃自分の祈りの力がちょっと増したから」って。
つまり、力が統合される先、イコール聖女なのは自分だって主張し始めたのね。
それだけだったらなにも問題はないわよ。
だって、はじめから聖女はひとりと決まっていたから。
問題なのはその主張をした子が、もう片方の子に意地悪をするようになったことね。
たとえばもう片方の子が怪我をした鳥の傷を治したら、「その力は元々は自分のものだから使うな」って言ったりね。
周囲の人間が減るものでもないのだから、って言っても聞く耳持たず。
そのうちに友人だったその子を軽んじるような言動が目立ち始めたらしいのよ。
伝聞調なのはそのころはわたしは他国にいたから、直接見たわけではないのよね。
でも、先に言ったような言い分をことあるごとに使っていたのは、目撃者が多くいてね。
戻ってきたときに散々聞かされたわ。
それでもまあ、それだけだったら個人間、友人間のあり方の問題であって、第三者が直接どうこうできるようなものでもないわよね。
言われた子には残酷かもしれないけれど。
それがまたややこしくなったのが、その真の聖女だって主張をした子の話がウソだっていうウワサが流れ出したのよ。
出所はどこかわからないのだけれど、女中や侍女を中心にあっという間に出回って。
それでついにまた片方の子に文句を言ったその子の言動が目に余ったのか、侍女がそのウワサについて口を滑らせたらしいわ。
もちろん、その真の聖女と主張している子は怒った。
それで侍女をちょっと小突いたらしいのよ。
その話ももちろん、あっという間に城の女衆に広がってね。
ほら、こういうコミュニティでウワサが広がるのって異常なほど早いから……。
それで城の女衆の中で「アンチ真の聖女――ただし自称」みたいな勢力が生まれちゃったみたいなのよ。
もちろん、その勢力が旗印に掲げるのはもう片方の子なんだけれど、その子は乗り気じゃなかったみたい。
まあ、普通はそうよね。
こんなよくわからない争いに巻き込まれたくないと思うのが普通よね。
でも「アンチ真の聖女(自称)」勢力には通じなくって、どうにもこうにも巻き込まれちゃって。
それで表向きには対立するような感じになっちゃったってわけ。
どっちが真の聖女なのか? それはもちろんこっち! っていう言い分で。
もちろん城の女衆全員が全員参加していたわけじゃないけれど、結構大部分が「アンチ真の聖女(自称)」に所属していたみたいよ。
真の聖女を自称する子のほうにも味方がいなかったわけじゃないんだけれど、まあ普段の言動が祟ってそんなにいなかったとかなんとか……。
そうするとどういう経過をたどるかは、火を見るよりも明らかよね。
真の聖女と主張する子の世話を放棄したりするのは可愛いもので、中傷を流したりとか、嫌がらせとか直接的な行動に出る子が出始めたのよ。
もちろん「真の聖女(自称)」をこらしめて、もう片方の子がいじめられた仕返し、っていう大義のもとね。
こういう理由づけができちゃうと厄介よねえ。
……あ、安心して。もうこれは全部終わったことだから。
そうよ。わたしが帰って来たときは全部終わっていたのよね……。
まるで嵐のようね。
え? わたし?
わたしの力を持ってしても、さすがにどちらが聖女かどうか見抜くのは無理よ。
出会ったときは完全に力がふたつに分かたれていたんだから。
まあそういう話はおいて置いて。
……で、結局どちらが本当の聖女だったのか気にならない?
え? 別にどっちでもいい?
一応、聖女の巡礼の旅の成功の可否に、あなたの生活も間接的に関わってくるんだから、もっと興味を持ってもいいと思うんだけれど。
え? 滅びるならそのときはそのとき?
ちょっとドライすぎない?
まあ、結論から言うと「真の聖女の主張」は真実だったわけよ。
そう。
「真の聖女」っていう自称は自称じゃなくて事実だったわけ。
そうしたら「アンチ真の聖女」勢力は急速にしぼんでいって、雲散霧消したらしいわ。
実際、わたしが城を訪れたときには影も形もなかったし。
みんな、さすがに「真の聖女」の報復が怖かったのかしら?
当の「真の聖女」は「わたしは心が広いから報復なんてしない」って言っていたけれど。
……でも、まあ、「なんだかなあ」……ってな結末よね。
そうそう。未だに「真の聖女は卑怯な方法で祈りの力を奪ったのでは?」なんてウワサが流れてたわよ。
言っておくけど、現状、聖女の祈りの力を奪う手段はないから、完全な言いがかりなんだけれどね。
……でもみんな、聖女には夢見ていたのね。
仮にも友人に対して意地悪をするような子が聖女なはずがない! って思いたかったんでしょうね。
でも、ま、結果は言った通りよ。
わたしもまあ……「なんだかなあ」って派なんだけれどね。秘密よ?
みんななんだかんだで夢見ていたいのね~……。
え? わたしはどうだって?
魔女のイメージ?
そりゃあ、いいイメージを抱いてもらいたいけれど……でも正直それはそれで怖いわね。
正直に言って、わたしに悪印象を抱いているヒトよりも、魔女という存在を買いかぶっているヒトのほうが怖いわね。
本当のわたしを知ったら幻滅するんじゃないかって、思ってしまうもの。
でも、全世界のヒトがわたしに幻滅しても、あなたはしなさそうよね。
いや、もう幻滅しきってる……?!
え?! それはさすがにウソでしょ?!
いや、逆に考えてわたしがすごい魔女だと幻想を抱いていた期間があったということ……?
え? さすがにそれは夢見すぎ?
悪かったわね! 夢見がちな魔女で!
っていうかその言い分だとさっきの言葉もウソなのね。
あー、びっくりした。
そういうこと言わないでよ~。
わたしが本当の姿を晒せるのは、あなたくらいしかいないんだから。
え? 友達が少なすぎるって?
ほっといてよ!
なんていうかねえ……みんな夢見ていたい、っていう話っていうかね……。
まあ、それはわたしも含めての話なんだけれど。
……とりあえず、今回はそんな感じの話よ。
ところであなたって聖女に対してどういうイメージを持ってる?
え? そんなの十人十色だから一概にタイプ化できないって?
まあそうだけれどね。
言っちゃあなんだけど、つまんない答えね。
あ、あーごめんってば!
ヘソまげないでよ!
質問してきたのはこっちだろうって?
そうだけど。
でも、そんな答え返されたらそういうこと言っちゃうわよ。
まあまあ、聖女のイメージって淑女とか、清らか~なイメージよね? 一般的には。
あとは心根が優しいとか、だれにでも分け隔てなく接するとか。
あるいは信念を持っていてそれを貫ける強さを持っているとか。
……改めて洗い出してみると、なかなかいないわよね、そんなヒト、って感じだわ……。
たいていのヒトは欲にまみれているし、それが普通で、悪いことではないんだもの。
あるいは、みんなそれを意識的にせよ無意識下でにせよ、理解しているからこそ、そういったイメージを聖女に対して抱くのかしらね?
あなたはどう思う?
……え? 早く本題に入れ?
もー、なんだかんだで話は聞いてくれるんじゃないのよ。
あ、あー、わかったわかった!
さっさと話すってば!
だからちゃんと、最後まで聞いてよね?
……ことの発端は「聖女召喚の儀」で、出てきた聖女がふたりだったってことね。
あ、これはさすがに初めて知ったでしょう?
聖女が召喚されたことは広くお触れが出されたけれど、ふたりだった、っていうのはトップシークレットだからね。
だからこのことは内密にお願いするわ。
……で、ふたり召喚されたらなにが困るかって言うとね……。
分割されちゃうのよ。
聖女の祈りの力が。
知っての通り聖女こと「聖なる乙女」には、ヒトから神への請願を届ける祈りの力があるわけだけれど、ふたり召喚されるとね、それが分割されちゃうのよ。
つまり、聖女ひとりにつき、本来の二分の一の力しか宿らないってわけ。
なにが困るって、それならふたり同時に同じ祈りを捧げれば、一の力を出せるかって言うと、そうはいかないっていう点なのよね。
結局のところ分割された力は分割されたまま。
祈りを捧げても二分の一の効果しか現れないってわけ。
じゃあどうすればいいか?
……この話のミソは、結局のところ聖女は一回の召喚でひとりしか呼べないってこと。
つまり、なんらかのトラブルが発生して、ふたり召喚されても、本来の聖女はひとりだけなの。
力が分割されるのも、聖女に祈りの力が付与されるシステムが混乱をきたした結果……ってわけよ。
だから時間が経てば聖女の力は再び一つになるのよね。
つまり最終的には祈りの力を持つ聖女と、なんの力も持たない巻き込まれたヒトとに落ち着くってこと。
そういうわけだから「聖女がふたり召喚された」っていうわけじゃないのよ。実際は。
そういうことは大体これまでの経験からわかっていたから、召喚陣からふたり出てきても対して騒ぎにはならなかったわ。
ただ、みんな「ちょっと面倒なことになったな」とは思っただろうけれどね。
ふたりに分割された力がひとりに戻るまでにかかる時間はそう多くはないけれど、時が経つまで待たないといけないのはたしかだし。
ふたりはごく普通の女の子、って感じだったわね。
ふたりともあんまり活発なタイプじゃなくって、大人しくって礼儀正しい感じの子たちだったわ。
最初は混乱していたけれど、友人がいるからかそれほどパニックにはならなかったみたい。
こちらの話も素直に聞いてくれたし。
え? 素直に聞くのは問題だって?
野暮な話ね。
「聖女召喚の儀」で若い子を呼ぶのは、世間知らずな子が素直にこっちの話を聞いてくれるうちに、巡礼の旅をしてもらうようにするからでしょうよ。
ゲスな話だけれど。
話が逸れたわ。
ふたりのうち片方はこちらの話を聞いて、元の世界に帰れるなら安心、って感じだったわね。
もう片方は好奇心が旺盛みたいで、この世界の魔法を自分も使えないかとか聞いてきたわ。
ほほえましいわよね。
たまにこういう子がいるけれど、泣き叫ばれるよりも、こういう対応をされるほうがこちらとしても気楽だわ。
でもまあ、ほほえましかったのは最初だけよ。
聖女はどちらか片方……って話も、もちろん最初にしたのよね。
そのときは両方ともフーンって感じだったわよ。
でも思い返せば、それは表向きの反応だったのかも。
あるいは、時間が経つにつれて心境の変化が起こったか。
聖女の祈りの力は分割されているとはいえ、使おうと思えば使えるのよね。
本来の二分の一の力しか出せないけれど。
けれども魔法なんて空想の産物でしかない異世界から来た子にとっては、それだけでもじゅうぶん心躍らせるものだったようね。
そのささやかな力を、だれかのちょっとした怪我を治すのに使ったりして。
別に減るものじゃあないから、巡礼の旅を前にしたそういう行いをだれかが注意するってことはなかったわ。
雲行きが怪しくなってきたのは、彼女たちが召喚されて半月ほど経ったころかしら。
突然、片方の子が「真の聖女は自分だ」って言い出したのね。
理由を聞いたら「近頃自分の祈りの力がちょっと増したから」って。
つまり、力が統合される先、イコール聖女なのは自分だって主張し始めたのね。
それだけだったらなにも問題はないわよ。
だって、はじめから聖女はひとりと決まっていたから。
問題なのはその主張をした子が、もう片方の子に意地悪をするようになったことね。
たとえばもう片方の子が怪我をした鳥の傷を治したら、「その力は元々は自分のものだから使うな」って言ったりね。
周囲の人間が減るものでもないのだから、って言っても聞く耳持たず。
そのうちに友人だったその子を軽んじるような言動が目立ち始めたらしいのよ。
伝聞調なのはそのころはわたしは他国にいたから、直接見たわけではないのよね。
でも、先に言ったような言い分をことあるごとに使っていたのは、目撃者が多くいてね。
戻ってきたときに散々聞かされたわ。
それでもまあ、それだけだったら個人間、友人間のあり方の問題であって、第三者が直接どうこうできるようなものでもないわよね。
言われた子には残酷かもしれないけれど。
それがまたややこしくなったのが、その真の聖女だって主張をした子の話がウソだっていうウワサが流れ出したのよ。
出所はどこかわからないのだけれど、女中や侍女を中心にあっという間に出回って。
それでついにまた片方の子に文句を言ったその子の言動が目に余ったのか、侍女がそのウワサについて口を滑らせたらしいわ。
もちろん、その真の聖女と主張している子は怒った。
それで侍女をちょっと小突いたらしいのよ。
その話ももちろん、あっという間に城の女衆に広がってね。
ほら、こういうコミュニティでウワサが広がるのって異常なほど早いから……。
それで城の女衆の中で「アンチ真の聖女――ただし自称」みたいな勢力が生まれちゃったみたいなのよ。
もちろん、その勢力が旗印に掲げるのはもう片方の子なんだけれど、その子は乗り気じゃなかったみたい。
まあ、普通はそうよね。
こんなよくわからない争いに巻き込まれたくないと思うのが普通よね。
でも「アンチ真の聖女(自称)」勢力には通じなくって、どうにもこうにも巻き込まれちゃって。
それで表向きには対立するような感じになっちゃったってわけ。
どっちが真の聖女なのか? それはもちろんこっち! っていう言い分で。
もちろん城の女衆全員が全員参加していたわけじゃないけれど、結構大部分が「アンチ真の聖女(自称)」に所属していたみたいよ。
真の聖女を自称する子のほうにも味方がいなかったわけじゃないんだけれど、まあ普段の言動が祟ってそんなにいなかったとかなんとか……。
そうするとどういう経過をたどるかは、火を見るよりも明らかよね。
真の聖女と主張する子の世話を放棄したりするのは可愛いもので、中傷を流したりとか、嫌がらせとか直接的な行動に出る子が出始めたのよ。
もちろん「真の聖女(自称)」をこらしめて、もう片方の子がいじめられた仕返し、っていう大義のもとね。
こういう理由づけができちゃうと厄介よねえ。
……あ、安心して。もうこれは全部終わったことだから。
そうよ。わたしが帰って来たときは全部終わっていたのよね……。
まるで嵐のようね。
え? わたし?
わたしの力を持ってしても、さすがにどちらが聖女かどうか見抜くのは無理よ。
出会ったときは完全に力がふたつに分かたれていたんだから。
まあそういう話はおいて置いて。
……で、結局どちらが本当の聖女だったのか気にならない?
え? 別にどっちでもいい?
一応、聖女の巡礼の旅の成功の可否に、あなたの生活も間接的に関わってくるんだから、もっと興味を持ってもいいと思うんだけれど。
え? 滅びるならそのときはそのとき?
ちょっとドライすぎない?
まあ、結論から言うと「真の聖女の主張」は真実だったわけよ。
そう。
「真の聖女」っていう自称は自称じゃなくて事実だったわけ。
そうしたら「アンチ真の聖女」勢力は急速にしぼんでいって、雲散霧消したらしいわ。
実際、わたしが城を訪れたときには影も形もなかったし。
みんな、さすがに「真の聖女」の報復が怖かったのかしら?
当の「真の聖女」は「わたしは心が広いから報復なんてしない」って言っていたけれど。
……でも、まあ、「なんだかなあ」……ってな結末よね。
そうそう。未だに「真の聖女は卑怯な方法で祈りの力を奪ったのでは?」なんてウワサが流れてたわよ。
言っておくけど、現状、聖女の祈りの力を奪う手段はないから、完全な言いがかりなんだけれどね。
……でもみんな、聖女には夢見ていたのね。
仮にも友人に対して意地悪をするような子が聖女なはずがない! って思いたかったんでしょうね。
でも、ま、結果は言った通りよ。
わたしもまあ……「なんだかなあ」って派なんだけれどね。秘密よ?
みんななんだかんだで夢見ていたいのね~……。
え? わたしはどうだって?
魔女のイメージ?
そりゃあ、いいイメージを抱いてもらいたいけれど……でも正直それはそれで怖いわね。
正直に言って、わたしに悪印象を抱いているヒトよりも、魔女という存在を買いかぶっているヒトのほうが怖いわね。
本当のわたしを知ったら幻滅するんじゃないかって、思ってしまうもの。
でも、全世界のヒトがわたしに幻滅しても、あなたはしなさそうよね。
いや、もう幻滅しきってる……?!
え?! それはさすがにウソでしょ?!
いや、逆に考えてわたしがすごい魔女だと幻想を抱いていた期間があったということ……?
え? さすがにそれは夢見すぎ?
悪かったわね! 夢見がちな魔女で!
っていうかその言い分だとさっきの言葉もウソなのね。
あー、びっくりした。
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