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「『呪い』だなんて馬鹿馬鹿しい」……そう言ってしまうのは簡単だった。
けれども今のアイカがあまりにも弱っていたので、わたしは自分の中の冷たい部分を出すのをためらった。
死んでるわけじゃないけれど、今のアイカを責め立てるのは「死体蹴り」に近いような感じもしたからだ。
アイカの言ったことが現実であれば、占い師やら「呪い」やらに理由を求め、すがりたくなってしまうんだろう。
アイカと同じ立場に置かれたとしたら、そうしないとは言い切れるほど、わたしは強い人間じゃない。だからどうも彼女には同情しないにしても追い打ちをかける気にはなれなかった。
けれども、何度もアイカに謝罪されても許す気にもなれなかった。
そもそも、許す、許さない以前にわたしはアイカのことを忘れ去っていたのだ。
こうしてアイカが接触してこなければ、いつか思い出しても「ああヒドイひとがいたもんだなあ」と客観的に過去の出来事を俯瞰できたと思う。
それよりも「呪い」だ。「『わたし』が『呪っている』」ってなんなんだ。
それに呪われたから謝りに来る、というのもなんだかモヤっとしてしまう。
そういうわけで、素直にアイカの謝罪を受け入れられない。それが今のわたしの、素直な心情だった。
「お願い、許してジュン。もうわたしたちのこと呪わないで」
どこまでいっても、アイカは自分のことしか考えられないんだな。わたしは心の中の冷たい部分でそう吐き捨てる。
自分のことしか考えられないから、目の前の快楽だけを追求して、わたしをないがしろにして、裏切って……そういうことができた。
そして今、自分のその行動に今さら「罪の意識」みたいなものを感じて、首を絞められて苦しんでいる。
自縄自縛、自業自得。そんな言葉が浮かんだ。
ここでアイカを思う存分責め立てることもできたし、逆に呪いなんてないんだよと言ってやることもできる。
でも、わたしはそのどちらもできなかった。
アイカのことは恨んでいないと言えばウソになるし、けれども呪うほど今は憎んでいないのも事実。
しかし過去の裏切りを水に流せるほど、わたしは出来た人間ではない。
アイカの言う「呪い」は、アイカが自分で掛けてしまったものなんだろう。
そしてそれを解いてやれるのはわたししかいないんだろう。
しかし骨を折ってそうしてやるほどの義理は、残念ながらわたしにはない。
だがヘタレなわたしはどちらも選べなかった。どっちも選ばなくていいと、心の中の悪魔もささやく。
このまま苦しんで苦しんで苦しみ抜けばいい。わたしは別に呪っていないし、関係のないことじゃないか。
しかしこんなわたしの姿を見たら、キリヤさんは幻滅するかもしれない。責め立てるかもしれない。
一瞬だけ、わたしはそんなことを考える。
キリヤさんがそんなことをするはずないと、わかっているのに……。
そんな風に体面を考えてしまうわたしには、アイカを糾弾する資格はないのかもしれない。
そうして言葉に悩むわたしを見かねたのか、キリヤさんが内ポケットからなにかを取り出して、アイカの前に置いた。
「あの、これは……?」
ハンカチで涙をぬぐいながら問いかけるアイカに、キリヤさんはとてもいい笑顔で言う。
「私の知り合いの名刺です。彼はいわゆる霊能力がありましてね……。私は貴女が呪われているなどとは思いませんが、もし万が一にも呪われていたのだとすれば、きっと彼がなんとかしてくれるでしょう」
アイカの涙が止まり、その顔が一瞬だけ晴れた。
わたしはと言えば「知り合いの霊能力者ってなんだ?! なんでそんなもの持ってるの?!」と驚くことしきりである。
だがキリヤさんはアイカに釘を刺すように言葉を続ける。
「呪いが事実であっても、ジュンにはきっとどうすることもできないことでしょう。きっと、無意識下での行いでしょうから。貴女たちはつまり、たとえ無意識下であったとしても、それだけ恨まれるようなことをしたんです。それだけは、きちんと頭に置いておいてください」
アイカの顔はみるみるうちにしょぼくれた。そして涙を流しながらゆっくりとわたしに頭を下げる。
「本当にごめんなさい。……もう二度とジュンの前には現れないから。……本当にごめん」
それはアイカの、心からの言葉なんだろう。
なぜか、その言葉だけはすとんと受け入れられた。
同時に、なぜこんなことになってしまったんだろうかとも思った。
中学時代に知り合って、わたしたちはうまくやってきていた……ハズだった。
けれどもそれはわたしから見た幻想に過ぎなかったんだろう。アイカにとってわたしは、裏切ろうがひどい仕打ちをしようが、どういう扱いをしてもいい人間だった。
しかししょぼくれたアイカを見ていると、責め立てる気持ちも起きなかった。
病気になって呪いだと言われて、わたしと会うあいだに自分自身をじゅうぶん責め立てたんだと、せめてそう思いたかった。
「……『呪い』とか言うひとたちとは縁を切った方がいいよ」
「……うん」
わたしたちが最後に交わした言葉が、それだった。
アイカがとぼとぼとした足取りで店を出たあと、その背中が雑踏に消えるのを見届けて、わたしは深いため息をついた。
そして深く息を吐き出したところで、気づいた。
「あっ。結局わたしが呪ってるってことになってない?!」
「まあそう思わせておいた方が、ヘタに手出ししてこないでしょ。相手もまた呪われたらと思うと怖いだろうし」
「えーっ? 死なばもろともにならないかなあ……?」
「意外と物騒な思考をするねえ」
「いやいや、普通はそう考えるでしょ?」
注文したブラックコーヒーはすっかり冷めてしまっている。しかし置いておくのももったいなくて、わたしはぬるくなったコーヒーを胃に流し込んだ。
「でも結局ゆるしたんだね、あのひとのこと」
「いや、別に許してないよ……。ただ、なんか責め立てる気が起きなかっただけ」
「それだけでもだいぶ出来た人間だと思うよ」
「いやいやいや……」
わたしは出来た人間なんかじゃない。むしろ、人間ができているのはキリヤさんの方だろう。自分本位なアイカの、助けになればと知り合いを紹介するんだから。
わたしだったら仮にそんな知り合いがいたとしても、アイカには紹介せずに見送ったに違いなかった。
「でもさ、ジュンは『地獄の果てまで追い詰めて、死ぬまで後悔させてやる』って思ってたんでしょ?」
「……え?」
「でも結局そうはしなかった。そういうの、ジュンの心の中にある優しさ、みたいなものなんだと思うよ」
キリヤさんはそう言って微笑んだ。
あれ? たしかにわたしはそんなことを考えたけれども……キリヤさんには言っていない。
わたしは年上で人間が出来てるキリヤさんの前ではちょっと猫をかぶっているからだ。
だからそんな、口の悪いことは言っていない……ハズ。
そんな風に頭を猛烈に回転させるわたしを見ながら、キリヤさんはにこにこと微笑んでいる。
「ジュンは今、しあわせ?」
「……うん。キリヤさんもいるし、普通に働けてるし、お金にも困ってないし、病気じゃないし……しあわせだよ」
「そっか。それはジュンが努力したからだよ。ジュンが真面目に頑張ってるところを、お天道様はちゃーんと見てるからね。だから、巡り巡って今しあわせだと感じられるようになったんだよ」
「……急にどうしたの?」
「うーん……。なんとなく、言っておこうと思って。……まあとにかく変なひとと縁が切れてよかったね」
「うん。キリヤさんと付き合ってから人間関係に困ったことないんだよね。オカルト的に言うと、キリヤさんはそういうのを『持ってる』ひとなのかも……?」
「うん。そう」
「あはは……。……え?」
冗談を言った流れでなんとなく笑ったわたしだったが、キリヤさんを見てちょっと怖くなった。
なんとなく、彼の目が笑っていないように見えたからだ。
その瞬間、走馬灯のように今までの出来事がバーッとわたしの脳裏を駆けめぐった。
そういえば、キリヤさんと付き合い始めてからセクハラ部長が病気で退職した。チクチクいじめてきたパワハラお局社員も轢き逃げにあって退職せざるを得なくなった。夜でもうるさい迷惑な隣人が急に引っ越した……。
偶然知り合ったキリヤさんと付き合い始めてから、人間関係が急によくなって悩むことがなくなった。
……偶然?
そう、偶然知り合って……。
あれ? どこで知り合ったんだっけ?
「あはは、ちょっと、怖いこと言わないでよ」
「怖い?」
「だって……そういうのを『持ってる』って……」
他人を呪えるみたいじゃない?
「ふふふ」
キリヤさんは立てた人差し指を唇の前に持ってきて微笑んだ。
わたしは引きつった笑みを浮かべたまま、なにも言えなかった。
「そういえばこの前言った結婚、考えてくれた? ――大丈夫。私もいるし、普通に働けるし、お金にも困らないし、病気にもならないから……しあわせになれるよ」
キリヤさんはもう一度、「ふふふ」と笑った。
けれども今のアイカがあまりにも弱っていたので、わたしは自分の中の冷たい部分を出すのをためらった。
死んでるわけじゃないけれど、今のアイカを責め立てるのは「死体蹴り」に近いような感じもしたからだ。
アイカの言ったことが現実であれば、占い師やら「呪い」やらに理由を求め、すがりたくなってしまうんだろう。
アイカと同じ立場に置かれたとしたら、そうしないとは言い切れるほど、わたしは強い人間じゃない。だからどうも彼女には同情しないにしても追い打ちをかける気にはなれなかった。
けれども、何度もアイカに謝罪されても許す気にもなれなかった。
そもそも、許す、許さない以前にわたしはアイカのことを忘れ去っていたのだ。
こうしてアイカが接触してこなければ、いつか思い出しても「ああヒドイひとがいたもんだなあ」と客観的に過去の出来事を俯瞰できたと思う。
それよりも「呪い」だ。「『わたし』が『呪っている』」ってなんなんだ。
それに呪われたから謝りに来る、というのもなんだかモヤっとしてしまう。
そういうわけで、素直にアイカの謝罪を受け入れられない。それが今のわたしの、素直な心情だった。
「お願い、許してジュン。もうわたしたちのこと呪わないで」
どこまでいっても、アイカは自分のことしか考えられないんだな。わたしは心の中の冷たい部分でそう吐き捨てる。
自分のことしか考えられないから、目の前の快楽だけを追求して、わたしをないがしろにして、裏切って……そういうことができた。
そして今、自分のその行動に今さら「罪の意識」みたいなものを感じて、首を絞められて苦しんでいる。
自縄自縛、自業自得。そんな言葉が浮かんだ。
ここでアイカを思う存分責め立てることもできたし、逆に呪いなんてないんだよと言ってやることもできる。
でも、わたしはそのどちらもできなかった。
アイカのことは恨んでいないと言えばウソになるし、けれども呪うほど今は憎んでいないのも事実。
しかし過去の裏切りを水に流せるほど、わたしは出来た人間ではない。
アイカの言う「呪い」は、アイカが自分で掛けてしまったものなんだろう。
そしてそれを解いてやれるのはわたししかいないんだろう。
しかし骨を折ってそうしてやるほどの義理は、残念ながらわたしにはない。
だがヘタレなわたしはどちらも選べなかった。どっちも選ばなくていいと、心の中の悪魔もささやく。
このまま苦しんで苦しんで苦しみ抜けばいい。わたしは別に呪っていないし、関係のないことじゃないか。
しかしこんなわたしの姿を見たら、キリヤさんは幻滅するかもしれない。責め立てるかもしれない。
一瞬だけ、わたしはそんなことを考える。
キリヤさんがそんなことをするはずないと、わかっているのに……。
そんな風に体面を考えてしまうわたしには、アイカを糾弾する資格はないのかもしれない。
そうして言葉に悩むわたしを見かねたのか、キリヤさんが内ポケットからなにかを取り出して、アイカの前に置いた。
「あの、これは……?」
ハンカチで涙をぬぐいながら問いかけるアイカに、キリヤさんはとてもいい笑顔で言う。
「私の知り合いの名刺です。彼はいわゆる霊能力がありましてね……。私は貴女が呪われているなどとは思いませんが、もし万が一にも呪われていたのだとすれば、きっと彼がなんとかしてくれるでしょう」
アイカの涙が止まり、その顔が一瞬だけ晴れた。
わたしはと言えば「知り合いの霊能力者ってなんだ?! なんでそんなもの持ってるの?!」と驚くことしきりである。
だがキリヤさんはアイカに釘を刺すように言葉を続ける。
「呪いが事実であっても、ジュンにはきっとどうすることもできないことでしょう。きっと、無意識下での行いでしょうから。貴女たちはつまり、たとえ無意識下であったとしても、それだけ恨まれるようなことをしたんです。それだけは、きちんと頭に置いておいてください」
アイカの顔はみるみるうちにしょぼくれた。そして涙を流しながらゆっくりとわたしに頭を下げる。
「本当にごめんなさい。……もう二度とジュンの前には現れないから。……本当にごめん」
それはアイカの、心からの言葉なんだろう。
なぜか、その言葉だけはすとんと受け入れられた。
同時に、なぜこんなことになってしまったんだろうかとも思った。
中学時代に知り合って、わたしたちはうまくやってきていた……ハズだった。
けれどもそれはわたしから見た幻想に過ぎなかったんだろう。アイカにとってわたしは、裏切ろうがひどい仕打ちをしようが、どういう扱いをしてもいい人間だった。
しかししょぼくれたアイカを見ていると、責め立てる気持ちも起きなかった。
病気になって呪いだと言われて、わたしと会うあいだに自分自身をじゅうぶん責め立てたんだと、せめてそう思いたかった。
「……『呪い』とか言うひとたちとは縁を切った方がいいよ」
「……うん」
わたしたちが最後に交わした言葉が、それだった。
アイカがとぼとぼとした足取りで店を出たあと、その背中が雑踏に消えるのを見届けて、わたしは深いため息をついた。
そして深く息を吐き出したところで、気づいた。
「あっ。結局わたしが呪ってるってことになってない?!」
「まあそう思わせておいた方が、ヘタに手出ししてこないでしょ。相手もまた呪われたらと思うと怖いだろうし」
「えーっ? 死なばもろともにならないかなあ……?」
「意外と物騒な思考をするねえ」
「いやいや、普通はそう考えるでしょ?」
注文したブラックコーヒーはすっかり冷めてしまっている。しかし置いておくのももったいなくて、わたしはぬるくなったコーヒーを胃に流し込んだ。
「でも結局ゆるしたんだね、あのひとのこと」
「いや、別に許してないよ……。ただ、なんか責め立てる気が起きなかっただけ」
「それだけでもだいぶ出来た人間だと思うよ」
「いやいやいや……」
わたしは出来た人間なんかじゃない。むしろ、人間ができているのはキリヤさんの方だろう。自分本位なアイカの、助けになればと知り合いを紹介するんだから。
わたしだったら仮にそんな知り合いがいたとしても、アイカには紹介せずに見送ったに違いなかった。
「でもさ、ジュンは『地獄の果てまで追い詰めて、死ぬまで後悔させてやる』って思ってたんでしょ?」
「……え?」
「でも結局そうはしなかった。そういうの、ジュンの心の中にある優しさ、みたいなものなんだと思うよ」
キリヤさんはそう言って微笑んだ。
あれ? たしかにわたしはそんなことを考えたけれども……キリヤさんには言っていない。
わたしは年上で人間が出来てるキリヤさんの前ではちょっと猫をかぶっているからだ。
だからそんな、口の悪いことは言っていない……ハズ。
そんな風に頭を猛烈に回転させるわたしを見ながら、キリヤさんはにこにこと微笑んでいる。
「ジュンは今、しあわせ?」
「……うん。キリヤさんもいるし、普通に働けてるし、お金にも困ってないし、病気じゃないし……しあわせだよ」
「そっか。それはジュンが努力したからだよ。ジュンが真面目に頑張ってるところを、お天道様はちゃーんと見てるからね。だから、巡り巡って今しあわせだと感じられるようになったんだよ」
「……急にどうしたの?」
「うーん……。なんとなく、言っておこうと思って。……まあとにかく変なひとと縁が切れてよかったね」
「うん。キリヤさんと付き合ってから人間関係に困ったことないんだよね。オカルト的に言うと、キリヤさんはそういうのを『持ってる』ひとなのかも……?」
「うん。そう」
「あはは……。……え?」
冗談を言った流れでなんとなく笑ったわたしだったが、キリヤさんを見てちょっと怖くなった。
なんとなく、彼の目が笑っていないように見えたからだ。
その瞬間、走馬灯のように今までの出来事がバーッとわたしの脳裏を駆けめぐった。
そういえば、キリヤさんと付き合い始めてからセクハラ部長が病気で退職した。チクチクいじめてきたパワハラお局社員も轢き逃げにあって退職せざるを得なくなった。夜でもうるさい迷惑な隣人が急に引っ越した……。
偶然知り合ったキリヤさんと付き合い始めてから、人間関係が急によくなって悩むことがなくなった。
……偶然?
そう、偶然知り合って……。
あれ? どこで知り合ったんだっけ?
「あはは、ちょっと、怖いこと言わないでよ」
「怖い?」
「だって……そういうのを『持ってる』って……」
他人を呪えるみたいじゃない?
「ふふふ」
キリヤさんは立てた人差し指を唇の前に持ってきて微笑んだ。
わたしは引きつった笑みを浮かべたまま、なにも言えなかった。
「そういえばこの前言った結婚、考えてくれた? ――大丈夫。私もいるし、普通に働けるし、お金にも困らないし、病気にもならないから……しあわせになれるよ」
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