読切怪奇談話集(仮)

やなぎ怜

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覗き魔

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 昔からなにかの拍子に集中が切れて顔を上げたり視線を動かしたりすると、私のことを覗いているやつがいる。性別は不明。顔は青白いというか、薄い灰色っぽい感じで、どんよりと暗い目をしている。頭髪はない。私は勝手に頭の中で「覗き魔」と呼んでいる。

 曲がり角とかちょっと開いたドアの隙間とかから、顔を左半分(向かって右側)だけ覗かせて、たぶん私のことを見ている。観察しているのか、監視しているのかとかはよくわからない。ただ私が顔を上げたり、目を動かしたりすると視線がバチッと合うので恐らく私のことを見ている。

 「覗き魔」が出現する法則性は、上にも書いたけどなにかに集中していて、その集中が切れて顔を上げたり目を動かしたりしたとき。

 たとえば食器洗いをしていて、それが一段落してシンクから顔を上げると、台所から見えるリビングのちょっと開いた扉から「覗き魔」の顔が半分見えてる。

 私の背よりも高い位置からいつも顔を出しているから、「覗き魔」に体があるとすれば160cmより上なんだと思う。ただ、私がいつも見るのは顔半分だけで、体は見たことないんだけど。

 一番よくあるのは本を読んでいるときに顔を上げたらカーテンで顔半分を隠した状態でこっちを見ているパターン。

 でもドキッとかびっくりはしないんだよね。「ああいるなあ」という認識はできるんだけど、「覗き魔」が異常な存在であるという認識はできない、みたいな。

 あとから思い出すと不気味だし、その状況を怖いと思うんだよね。でも肝心の「覗き魔」に覗かれているあいだはそういう恐怖心みたいなものは一切抱かなくて、それも不気味で怖い。

 あとこれ現在進行形の話で、今年から色々あって一人暮らしすることになった(これまでは家族と暮らしてた)んだけど、新居にも「覗き魔」が出た。

 でもこれまで左半分しか顔を出していなかったのに、この前見たのは顔全部が見えてた。ぐっと前に身を乗り出すみたいにして、一生懸命首を伸ばしてこっちを凝視している感じというか。

 でもそういう風に見られているあいだは、やっぱり「ああいるなあ」としか思わないんだよね。

 「覗き魔」に覗かれている状況って、記憶している限り幼稚園に通っていたころから始まってるんだけど、顔全部が見えたのはこれが初めてで。

 この変化になにか意味があるのかとかはわかんないけど、今めちゃくちゃ怖い。お祓いとか一度行ったほうがいいのかな?
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