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閑話6
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「祥子先生、おはようございます」
「おはようございます、絵美里先生」
「おはようございます金森先生、井川先生。お二人はいつも仲が良いですね」
「相原先生、おはようございます」
「相原先生ったら、本当にタイミング悪いですねー……。祥子先生とわたしの邪魔しないでください」
「え、俺邪魔だった?」
「お邪魔虫ですー。ちょっとあっち行っててください。しっしっ」
「流石に酷くないですか?」
「絵美里先生、適当な事言わないでくださいっ」
「酷いのは祥子先生ですよー。色々相談に乗ってあげたのに、報告が遅すぎると思うんですけど……」
「え……報告?…………あ、あっ!ああっ!そうですねっ!そうでした!」
「なんですか二人とも、何の話なんですか?」
「ふっふー、実は祥子先生、」
「いやだわ、どうしよう……っ!わたし、ちょっと行ってきますね!」
「えっ、あれ!?祥子先生!?待ってくださいよー!なんで行っちゃうんですかー!?」
「……で、なんの話だったんですか井川先生?」
「……ほら、祥子先生ここ暫くずっと悩んでたじゃないですか」
「え?ええ、上の空なことが多かったですね」
「でも、4月に入ってからなんか変わったと思いません?」
「確かに……気落ちしてるというより、浮ついてるように見えなくも無い……ですけど、新学期ってそんなもんじゃないですか?三年生担当してたし」
「原因、男みたいなんです」
「オトっ!?」
「この間なんか、指輪してて」
「指輪!?」
「指摘したら慌てて外して、顔真っ赤にして忘れてたとか言い訳してて」
「男……指輪……そ、それって……!」
「確実に、婚約。しましたよね。たぶん」
「こっ、婚……約!?」
「相原先生残念でしたねー。それとも奪っちゃいます?わたし応援しますよ?面白そうだし」
「なっ、なにを言ってるんですか井川先生!」
「どうせ入籍するのは来年でしょうから、その間に頑張ってもいいんじゃないですか?」
「だ、だから誤解ですって!」
「意気地なしですね、つまらーん」
「はあ……そんなんじゃないんですって……」
「絵美里先生!」
「朝ぶりですね、祥子先生。酷いですよー、話の途中だったじゃないですか」
「ご、ごめんなさい……急いでたものですから……まぁもう遅すぎて急いだところでどうしようもないんですけど……」
「それで、祥子先生。わたしに言う事あるんじゃないですかー?」
「えっと……その、実は……」
「うんうん」
「結婚しました」
「おめでとう!う?……ん?……結婚?婚約、じゃなくて?」
「はい。でももう今期も始まってしまいましたし、事務処理だけ直して、来期までは旧姓のまま仕事することになったのでよろしくお願いします。近いうちに教頭先生から改めてお話していただけるみたいですけど……」
「え、マジで言ってます?え、なんで?ちょっと、おかしくないですか?急展開過ぎるっていうか、なんでそんなことに?」
「いえ、その……わたしにとっても急な話で説明しがたく……」
「婚約すっ飛ばしたんですよね?のほほん校長先生はいいとしてあの教頭めちゃくちゃ怒ったんじゃないですか?田中主任だって困ったんじゃ……大丈夫でした?」
「それが……」
「それが?」
「なんだか、よくわからないんですけど……教頭先生にもすんなり受け入れてもらった上、なぜか心配されてしまいました」
「うっそぉ!」
「わたしも絶対怒られるだろうなと思ってたのに小言で済んでしまって……」
「どういうことですかそれ。逆に怖い」
「そうなんです、そうなんですよ。絵美里先生なにかご存知ないですか?」
「わたしが知るわけないじゃないですかー。あの教頭のことなんて……んー、前に奥さんとついに仲直りしたとかいう噂があったくらい?特に慣例が変わったなんて聞いてませんよー?」
「ああ……ありましたね、そんな噂。でもそれは流石に関係ないでしょう。わたしも慶事は一年前、遅くとも半年前には報告の慣例が変わったことは噂でも聞いたことないですし、それは教頭先生にも言われましたよ、報告が遅いって……でも本当にそれだけで許していただいて……」
「ちょっと前の教頭じゃ信じられないですねー。いやでも、あの教頭じゃなくても常識が無いのかっ!て、言われてもおかしくない案件ですよこれ。電撃結婚にも程がありますって」
「ですよね……うぅ……」
「でも、もう結婚……入籍しちゃったんですよね。しちゃったものは取り消せないし、まぁ、それで済んだなら良かったじゃないですか?時代は変わったなー程度に思っておきましょうよ」
「時代のおかげなんですかね……?」
「それより特別休暇はどうするんですか?」
「……よくご存知ですね、絵美里先生。わたし、恥ずかしながら教頭先生に言われるまで知りませんでした」
「ええっ!?だって結婚ですよ!?一大イベント!福利厚生チェックはしとかないと!」
「え、絵美里先生もう5年も前に結婚してるじゃないですか、しかもこっちの県に来る前。それでもチェックしてるんですか?」
「ふっふー。先人としての義務と責任と思ってますからね」
「素晴らしい心掛けですね、尊敬します……」
「それで、どうするんですか?」
「今年の4月末、健康診断に体力テスト、オリエンテーリングとか色々立て込んでるじゃないですか、あそこでお休みをいただく予定です」
「あー、そう言えばありましたね。あの狂気の予定……割振りは大丈夫なんですか?」
「ええ、幸いなことに……」
「運がいいですねー……相原先生かわいそー」
「え?相原先生?」
「それにしても……今度ちゃんと詳しい話聞かせてくださいね、祥子先生!」
「えっ、あ、お、お手柔らかに……」
「おはようございます、絵美里先生」
「おはようございます金森先生、井川先生。お二人はいつも仲が良いですね」
「相原先生、おはようございます」
「相原先生ったら、本当にタイミング悪いですねー……。祥子先生とわたしの邪魔しないでください」
「え、俺邪魔だった?」
「お邪魔虫ですー。ちょっとあっち行っててください。しっしっ」
「流石に酷くないですか?」
「絵美里先生、適当な事言わないでくださいっ」
「酷いのは祥子先生ですよー。色々相談に乗ってあげたのに、報告が遅すぎると思うんですけど……」
「え……報告?…………あ、あっ!ああっ!そうですねっ!そうでした!」
「なんですか二人とも、何の話なんですか?」
「ふっふー、実は祥子先生、」
「いやだわ、どうしよう……っ!わたし、ちょっと行ってきますね!」
「えっ、あれ!?祥子先生!?待ってくださいよー!なんで行っちゃうんですかー!?」
「……で、なんの話だったんですか井川先生?」
「……ほら、祥子先生ここ暫くずっと悩んでたじゃないですか」
「え?ええ、上の空なことが多かったですね」
「でも、4月に入ってからなんか変わったと思いません?」
「確かに……気落ちしてるというより、浮ついてるように見えなくも無い……ですけど、新学期ってそんなもんじゃないですか?三年生担当してたし」
「原因、男みたいなんです」
「オトっ!?」
「この間なんか、指輪してて」
「指輪!?」
「指摘したら慌てて外して、顔真っ赤にして忘れてたとか言い訳してて」
「男……指輪……そ、それって……!」
「確実に、婚約。しましたよね。たぶん」
「こっ、婚……約!?」
「相原先生残念でしたねー。それとも奪っちゃいます?わたし応援しますよ?面白そうだし」
「なっ、なにを言ってるんですか井川先生!」
「どうせ入籍するのは来年でしょうから、その間に頑張ってもいいんじゃないですか?」
「だ、だから誤解ですって!」
「意気地なしですね、つまらーん」
「はあ……そんなんじゃないんですって……」
「絵美里先生!」
「朝ぶりですね、祥子先生。酷いですよー、話の途中だったじゃないですか」
「ご、ごめんなさい……急いでたものですから……まぁもう遅すぎて急いだところでどうしようもないんですけど……」
「それで、祥子先生。わたしに言う事あるんじゃないですかー?」
「えっと……その、実は……」
「うんうん」
「結婚しました」
「おめでとう!う?……ん?……結婚?婚約、じゃなくて?」
「はい。でももう今期も始まってしまいましたし、事務処理だけ直して、来期までは旧姓のまま仕事することになったのでよろしくお願いします。近いうちに教頭先生から改めてお話していただけるみたいですけど……」
「え、マジで言ってます?え、なんで?ちょっと、おかしくないですか?急展開過ぎるっていうか、なんでそんなことに?」
「いえ、その……わたしにとっても急な話で説明しがたく……」
「婚約すっ飛ばしたんですよね?のほほん校長先生はいいとしてあの教頭めちゃくちゃ怒ったんじゃないですか?田中主任だって困ったんじゃ……大丈夫でした?」
「それが……」
「それが?」
「なんだか、よくわからないんですけど……教頭先生にもすんなり受け入れてもらった上、なぜか心配されてしまいました」
「うっそぉ!」
「わたしも絶対怒られるだろうなと思ってたのに小言で済んでしまって……」
「どういうことですかそれ。逆に怖い」
「そうなんです、そうなんですよ。絵美里先生なにかご存知ないですか?」
「わたしが知るわけないじゃないですかー。あの教頭のことなんて……んー、前に奥さんとついに仲直りしたとかいう噂があったくらい?特に慣例が変わったなんて聞いてませんよー?」
「ああ……ありましたね、そんな噂。でもそれは流石に関係ないでしょう。わたしも慶事は一年前、遅くとも半年前には報告の慣例が変わったことは噂でも聞いたことないですし、それは教頭先生にも言われましたよ、報告が遅いって……でも本当にそれだけで許していただいて……」
「ちょっと前の教頭じゃ信じられないですねー。いやでも、あの教頭じゃなくても常識が無いのかっ!て、言われてもおかしくない案件ですよこれ。電撃結婚にも程がありますって」
「ですよね……うぅ……」
「でも、もう結婚……入籍しちゃったんですよね。しちゃったものは取り消せないし、まぁ、それで済んだなら良かったじゃないですか?時代は変わったなー程度に思っておきましょうよ」
「時代のおかげなんですかね……?」
「それより特別休暇はどうするんですか?」
「……よくご存知ですね、絵美里先生。わたし、恥ずかしながら教頭先生に言われるまで知りませんでした」
「ええっ!?だって結婚ですよ!?一大イベント!福利厚生チェックはしとかないと!」
「え、絵美里先生もう5年も前に結婚してるじゃないですか、しかもこっちの県に来る前。それでもチェックしてるんですか?」
「ふっふー。先人としての義務と責任と思ってますからね」
「素晴らしい心掛けですね、尊敬します……」
「それで、どうするんですか?」
「今年の4月末、健康診断に体力テスト、オリエンテーリングとか色々立て込んでるじゃないですか、あそこでお休みをいただく予定です」
「あー、そう言えばありましたね。あの狂気の予定……割振りは大丈夫なんですか?」
「ええ、幸いなことに……」
「運がいいですねー……相原先生かわいそー」
「え?相原先生?」
「それにしても……今度ちゃんと詳しい話聞かせてくださいね、祥子先生!」
「えっ、あ、お、お手柔らかに……」
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