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◇◇◇
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「あ――」
オレはベッドでぐったりと横になっていた。
太郎くんは顔面で精液を受け止めたのでシャワーを浴びに行っている。
「もう最低。ちんちん痛い…いまはおしっこするのも怖い…」
「本当だ、オレのかわいいちんこが赤くなってら」
「ちょっと!ちがうし、オレのだし!」
戻ってきた太郎くんが勝手にオレのパンツの中を覗いておかしなことを言う。しまった。いじけて丸まってたから部屋に入ってきたことに気付かなかった。
「太郎くん、オレは怒ってるんだぞ!」
「ごめんな。尚人がかわいくて」
さっきからいろいろ謝ってはくれるけど心がこもってないのは丸わかりだ。まったく。
バスローブ姿の太郎くんはオレのパンツのゴムを引っ張ると、紙のようなものを挟んでぱちんと指を離した。
「いたっ!…何?」
「約束しただろ」
「おお!?」
オレの黒いボクサーパンツの尻側には一万円札が二枚挟まっていた。
「にまんえん!」
縦半分に折られた万札ってなんかエロい!
「泣かせちまったからなあ、色付けといた」
隣に腰を下ろした太郎くんにわしわしと頭を撫でられて、オレは途端に上機嫌になってその固い太腿に顎を乗せた。
「着替えて何か食いにいくか」
「うん、行く!!」
いそいそとベッドを降りて、それから二人で高級中華を食べに出掛けた。
太郎くんはオレが痛がっているのを気にして「酒はやめとけ」と茶をすすめてくれる。まあ結局、利尿作用の強い中国茶を飲まされて、めそめそ何度もトイレに立つオレをにやにや見てたんだけど。
「くっそー、太郎くんめ…」
「んー?なんだって?またしたい?」
「ちがっ、ごめんなさい太郎くんんん!!」
***
しばらくはトイレに行く度びくびくしてたのに、いつの間にかすっかり頭から抜けてしまった頃。いつものように背中を丸めて煙草屋に出勤する途中、オレはぐいっと後ろから肘を掴まれた。
「先輩……っ!」
「あ」
振り返った先にいたのは高校のときの懐かしい後輩で。遠目には見ていたけどすっかり大人っぽくなって、ていうか前より背が伸びてないか。生意気。
一歩近づいた後輩は正面からオレの両肩を掴んだ。
すっぽり肩を覆ってしまう大きな手だ。この手が器用に動いてオレのちんこ気持ちよくしてくれたよな、とか考えて下半身がずくっと疼いた。
いてて。
太郎くんのあれはちょっとしたトラウマで、いまはちんこ扱くのはやめてもらってる。
その代わり、後ろをとろっとろにしてから太郎くんの大きいのを嵌めてもらうのだ。めっちゃくちゃ気持ちよくて最高。
「久しぶりですね、先輩。変わってなくて安心しました」
「そ、そうかな?」
オレもいろいろ変わったと思うけど。
「はい。相変わらずかわいらしいです。オレ、あれからずっと先輩のことが忘れられなくて…」
道の真ん中で声をかけられたはずが、いつの間にやら端っこまで追いやられていた。建物の塀にどんと背中が当たり、眼前には背の高い後輩の姿。
あれあれあれ?なんか近くない?
顔に影が落ちたと思ったら、後輩が「うわっ!?」と後ろに仰け反った。
「悪いな。尚人はオレのなんだよ」
太郎くんが後輩の襟首を掴んでいる。
「太郎くん、どうしてここに…」
なんて神出鬼没。
おっと、なるほどそういうことか。
オレはすすすと太郎くんの傍に寄ると、ぺたぺたと逞しい身体を触って確かめた。
「なに、どうした?」
「どこにカメラ隠してるのかな?って」
太郎くんは「そんなのあるかよ」と大きくため息をつくと、オレの後ろ頭に手を回してどすっと胸に抱き寄せる。
「わぶっ!?」
鼻が!オレの鼻が潰れるっ!!
筋肉だるまの自覚がない太郎くんは、暴れるオレを締め上げたまま相手に向き直った。
「尚人は相変わらずなんだと思うが、こいつをひんひん言わせるのはもうオレの役目なんだよ」
「……っ!!」
太郎くんを不審そうに見上げていた後輩だが、オレが拘束から解放されたときにはすでに立ち去った後だった。
「嘘だろ、まさか片恋拗らせてたのか?あんなイケメンが、このおバカなちんちくりん相手に…?」
煙草屋から出てきた店長が呆然と呟いている。
「おい尚人、お前、次からいくら積まれても変な誘いに乗るのはやめろ。わかったか?」
赤くなった鼻を擦るオレのほっぺたをむにむに引っ張って太郎くんが言う。うう、痛い。暴力反対。
「わかったよお。太郎くん痛いのやめて、やだ」
太郎くんは「ごめんな」と言って大きな手で頭を撫でてくれる。これは好き。今度の謝罪には気持ちがこもってたから許してあげよう、よしよし。
「ところでさっきのカメラってなんだ?」
横から店長に訊かれて、オレはきょとんとした。
「え?だって、あんまりにもタイミングがいいからドッキリか強請り用のネタ撮ってるかなって」
「「…………」」
「え、偶然だった?あー残念。あいつ金持ちだし、結構抜けてるから言い値払ったと思うよ」
「「…………」」
「え、なに?どうした?どんな顔それ」
すん、と似たような表情で見下ろされ戸惑う。
「…こいつ、クズすぎる」
「言い値でいいように遊ばれる結果しか見えない」
「え?ちょっと、はああ!?」
店長と太郎くんの言葉に憤慨するが、オレの話なんて聞かずに「今日は帰らせる」「わかりました」と二人だけで話が通っている。
そして、ぱん!と太郎くんに尻を打たれた。
「ひん!」
ああやめて。
すごく絶妙なところを叩くから、太郎くんに慣らされきったオレはちょっと気持ちよくなってしまう。
「戻るぞ、尚人」
腰を抱かれて連れて行かれる。うっとりと男にしなだれかかってメス犬のようだった、とは店長からの後日談。そんなまさか。
「なあ尚人、またあれやってよ」
少し前に出たばかりの家に戻ると甘えた声でねだられた。どうやら味をしめてしまったようだ。
ちょっとだけ太郎くんの瞳孔が開いてる。
「あれって口で?いいけど、痛いのやだよ?」
「今度は逆でやろうぜ。3万でどう?」
「さんまんえん!」
―――それで意気揚々と太郎くんの大きいのを口で咥えることにしたけれど、これがとんでもない拷問だった。
首の後ろをがしりと掴んで頭骨を前後に揺すぶられ、フェラっていうか、イラマっていうか、喉奥深くまで性器に変えるような本気のオーラルセックス。オレは鼻から精液を逆流させながらギャン泣きした。
「いいですか尚人くん。お金につられて悪いことばっかり考えてると、こんな風に騙されますよお」
良心の呵責は微塵もない楽しそうな太郎くんが怖すぎる。
「うっ、うえっ、もう絶対しないよおおお!!」
ふええええん。
おかげでオレはお口がすっかりトラウマになった。もう二度とやらない!
「ごめんなさい、太郎くんんん!!」
オレはベッドでぐったりと横になっていた。
太郎くんは顔面で精液を受け止めたのでシャワーを浴びに行っている。
「もう最低。ちんちん痛い…いまはおしっこするのも怖い…」
「本当だ、オレのかわいいちんこが赤くなってら」
「ちょっと!ちがうし、オレのだし!」
戻ってきた太郎くんが勝手にオレのパンツの中を覗いておかしなことを言う。しまった。いじけて丸まってたから部屋に入ってきたことに気付かなかった。
「太郎くん、オレは怒ってるんだぞ!」
「ごめんな。尚人がかわいくて」
さっきからいろいろ謝ってはくれるけど心がこもってないのは丸わかりだ。まったく。
バスローブ姿の太郎くんはオレのパンツのゴムを引っ張ると、紙のようなものを挟んでぱちんと指を離した。
「いたっ!…何?」
「約束しただろ」
「おお!?」
オレの黒いボクサーパンツの尻側には一万円札が二枚挟まっていた。
「にまんえん!」
縦半分に折られた万札ってなんかエロい!
「泣かせちまったからなあ、色付けといた」
隣に腰を下ろした太郎くんにわしわしと頭を撫でられて、オレは途端に上機嫌になってその固い太腿に顎を乗せた。
「着替えて何か食いにいくか」
「うん、行く!!」
いそいそとベッドを降りて、それから二人で高級中華を食べに出掛けた。
太郎くんはオレが痛がっているのを気にして「酒はやめとけ」と茶をすすめてくれる。まあ結局、利尿作用の強い中国茶を飲まされて、めそめそ何度もトイレに立つオレをにやにや見てたんだけど。
「くっそー、太郎くんめ…」
「んー?なんだって?またしたい?」
「ちがっ、ごめんなさい太郎くんんん!!」
***
しばらくはトイレに行く度びくびくしてたのに、いつの間にかすっかり頭から抜けてしまった頃。いつものように背中を丸めて煙草屋に出勤する途中、オレはぐいっと後ろから肘を掴まれた。
「先輩……っ!」
「あ」
振り返った先にいたのは高校のときの懐かしい後輩で。遠目には見ていたけどすっかり大人っぽくなって、ていうか前より背が伸びてないか。生意気。
一歩近づいた後輩は正面からオレの両肩を掴んだ。
すっぽり肩を覆ってしまう大きな手だ。この手が器用に動いてオレのちんこ気持ちよくしてくれたよな、とか考えて下半身がずくっと疼いた。
いてて。
太郎くんのあれはちょっとしたトラウマで、いまはちんこ扱くのはやめてもらってる。
その代わり、後ろをとろっとろにしてから太郎くんの大きいのを嵌めてもらうのだ。めっちゃくちゃ気持ちよくて最高。
「久しぶりですね、先輩。変わってなくて安心しました」
「そ、そうかな?」
オレもいろいろ変わったと思うけど。
「はい。相変わらずかわいらしいです。オレ、あれからずっと先輩のことが忘れられなくて…」
道の真ん中で声をかけられたはずが、いつの間にやら端っこまで追いやられていた。建物の塀にどんと背中が当たり、眼前には背の高い後輩の姿。
あれあれあれ?なんか近くない?
顔に影が落ちたと思ったら、後輩が「うわっ!?」と後ろに仰け反った。
「悪いな。尚人はオレのなんだよ」
太郎くんが後輩の襟首を掴んでいる。
「太郎くん、どうしてここに…」
なんて神出鬼没。
おっと、なるほどそういうことか。
オレはすすすと太郎くんの傍に寄ると、ぺたぺたと逞しい身体を触って確かめた。
「なに、どうした?」
「どこにカメラ隠してるのかな?って」
太郎くんは「そんなのあるかよ」と大きくため息をつくと、オレの後ろ頭に手を回してどすっと胸に抱き寄せる。
「わぶっ!?」
鼻が!オレの鼻が潰れるっ!!
筋肉だるまの自覚がない太郎くんは、暴れるオレを締め上げたまま相手に向き直った。
「尚人は相変わらずなんだと思うが、こいつをひんひん言わせるのはもうオレの役目なんだよ」
「……っ!!」
太郎くんを不審そうに見上げていた後輩だが、オレが拘束から解放されたときにはすでに立ち去った後だった。
「嘘だろ、まさか片恋拗らせてたのか?あんなイケメンが、このおバカなちんちくりん相手に…?」
煙草屋から出てきた店長が呆然と呟いている。
「おい尚人、お前、次からいくら積まれても変な誘いに乗るのはやめろ。わかったか?」
赤くなった鼻を擦るオレのほっぺたをむにむに引っ張って太郎くんが言う。うう、痛い。暴力反対。
「わかったよお。太郎くん痛いのやめて、やだ」
太郎くんは「ごめんな」と言って大きな手で頭を撫でてくれる。これは好き。今度の謝罪には気持ちがこもってたから許してあげよう、よしよし。
「ところでさっきのカメラってなんだ?」
横から店長に訊かれて、オレはきょとんとした。
「え?だって、あんまりにもタイミングがいいからドッキリか強請り用のネタ撮ってるかなって」
「「…………」」
「え、偶然だった?あー残念。あいつ金持ちだし、結構抜けてるから言い値払ったと思うよ」
「「…………」」
「え、なに?どうした?どんな顔それ」
すん、と似たような表情で見下ろされ戸惑う。
「…こいつ、クズすぎる」
「言い値でいいように遊ばれる結果しか見えない」
「え?ちょっと、はああ!?」
店長と太郎くんの言葉に憤慨するが、オレの話なんて聞かずに「今日は帰らせる」「わかりました」と二人だけで話が通っている。
そして、ぱん!と太郎くんに尻を打たれた。
「ひん!」
ああやめて。
すごく絶妙なところを叩くから、太郎くんに慣らされきったオレはちょっと気持ちよくなってしまう。
「戻るぞ、尚人」
腰を抱かれて連れて行かれる。うっとりと男にしなだれかかってメス犬のようだった、とは店長からの後日談。そんなまさか。
「なあ尚人、またあれやってよ」
少し前に出たばかりの家に戻ると甘えた声でねだられた。どうやら味をしめてしまったようだ。
ちょっとだけ太郎くんの瞳孔が開いてる。
「あれって口で?いいけど、痛いのやだよ?」
「今度は逆でやろうぜ。3万でどう?」
「さんまんえん!」
―――それで意気揚々と太郎くんの大きいのを口で咥えることにしたけれど、これがとんでもない拷問だった。
首の後ろをがしりと掴んで頭骨を前後に揺すぶられ、フェラっていうか、イラマっていうか、喉奥深くまで性器に変えるような本気のオーラルセックス。オレは鼻から精液を逆流させながらギャン泣きした。
「いいですか尚人くん。お金につられて悪いことばっかり考えてると、こんな風に騙されますよお」
良心の呵責は微塵もない楽しそうな太郎くんが怖すぎる。
「うっ、うえっ、もう絶対しないよおおお!!」
ふええええん。
おかげでオレはお口がすっかりトラウマになった。もう二度とやらない!
「ごめんなさい、太郎くんんん!!」
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