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後宮編①
14.控えの間と皇帝の隠された本意
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優雅に歩み寄る後宮妃・麗香は、これまた優美に拝礼をしてみせる。そして自分が皇帝王炫の実の姉であることも告げる。
「初めまして、私は王麗香よ。ようこそ、後宮へ。あなたを心から歓迎するわ。ふふっ、本当に愛らしい娘ね」
すると、宝玉が言葉を返すよりも早く女官長が宝玉を紹介する。
貴人のしきたりでは、「暗黙の了解」」として、身分が下の者から高貴な者へと言葉をかけてはならない。
「この者は……今日より公主様の身の回りの世話を介助することになりました「宝玉」という者です。聡い娘ではありますが、これまで貴人の暮らしには縁もゆかりもなく不慣れでございます。後宮妃としても未熟者同然。さすれば……」
つらつらと述べる女官長は、後宮妃・麗香へと深々と首を垂れたまま先を続けようとする。
「女官長……あなたの言いたいことはわかっております。ご安心なさい。皇帝陛下からの大切な預かりものであるこの娘には、私自らが手本となり教示いたしましょう」
後宮妃・麗香は迷いなく言い切る。
◇
実は、皇帝・王炫からは事前に頼まれていたのだ。
「姉上のお力をお借りしたい……」と。
愛する実の弟である炫の願いなら叶えるのは当然。
姉として頼られることも嬉しい。
「姉上……宝玉は田舎育ちで貴人の暮らしがどのようなものかも知りません。反対に、何も知らないからこそ伸び代があります。過去に授けた教本からも独学で知識を身に付けたほどです。賢明な娘であることは確かです。それに大輪の花となる美しさも秘めている」
それを嬉しそうに話す弟の炫。まさに特別な宝物を見つけたかのよう。弾む声音からもわかる。
ーー素晴らしい宝物を見つけたのね?
姉としてはこの上ない喜び。
強欲な叔父の王昭耀の王位簒奪により、命すらも危う状況でありながらも無事に生き抜いた世継ぎの皇子炫。
本来なら平坦な道を生きるはずが、過酷な状況に追い込まれ、表には出さないが心休まる時はなかったはず。
「炫……大事な私の弟皇子。あなたは見つけたのね? 自分だけの珠玉を宝石を……」
「はい……姉上。だからこそ守りたいのです。その為には貴人の所作を学ぶ必要があります。後宮においては姉上が最高位の後宮妃であり、帝家の公主です。だから、余の宝をお任せしたい」
「もちろん、喜んで引き受けるわ。あなたの宝は私の宝でもある。炫……あなたの幸せが私の願いなのよ。その為ならなんだってお手伝いさせていただくわ」
「ありがとうございます、姉上」
共に生き抜いた二人きりの姉弟。その絆は血よりもさらに濃い。
◇
こうして、皇帝・王炫は宝玉の為にあらゆる手を打つ。
最初は後宮妃付きの侍女をさせ、間近で貴人の暮らしぶりや所作や教示を目で見て学ばせる。
それが皇帝・王炫の狙いであり本意。
全ては、宝玉が他の後宮妃に見下されないようにする為。
「おそらく、宝玉は気にしないだろうが……」
それもわかっている皇帝・王炫。
ただ、皇帝・王炫が嫌なのだ。己の宝を侮辱されるのが……。
「初めまして、私は王麗香よ。ようこそ、後宮へ。あなたを心から歓迎するわ。ふふっ、本当に愛らしい娘ね」
すると、宝玉が言葉を返すよりも早く女官長が宝玉を紹介する。
貴人のしきたりでは、「暗黙の了解」」として、身分が下の者から高貴な者へと言葉をかけてはならない。
「この者は……今日より公主様の身の回りの世話を介助することになりました「宝玉」という者です。聡い娘ではありますが、これまで貴人の暮らしには縁もゆかりもなく不慣れでございます。後宮妃としても未熟者同然。さすれば……」
つらつらと述べる女官長は、後宮妃・麗香へと深々と首を垂れたまま先を続けようとする。
「女官長……あなたの言いたいことはわかっております。ご安心なさい。皇帝陛下からの大切な預かりものであるこの娘には、私自らが手本となり教示いたしましょう」
後宮妃・麗香は迷いなく言い切る。
◇
実は、皇帝・王炫からは事前に頼まれていたのだ。
「姉上のお力をお借りしたい……」と。
愛する実の弟である炫の願いなら叶えるのは当然。
姉として頼られることも嬉しい。
「姉上……宝玉は田舎育ちで貴人の暮らしがどのようなものかも知りません。反対に、何も知らないからこそ伸び代があります。過去に授けた教本からも独学で知識を身に付けたほどです。賢明な娘であることは確かです。それに大輪の花となる美しさも秘めている」
それを嬉しそうに話す弟の炫。まさに特別な宝物を見つけたかのよう。弾む声音からもわかる。
ーー素晴らしい宝物を見つけたのね?
姉としてはこの上ない喜び。
強欲な叔父の王昭耀の王位簒奪により、命すらも危う状況でありながらも無事に生き抜いた世継ぎの皇子炫。
本来なら平坦な道を生きるはずが、過酷な状況に追い込まれ、表には出さないが心休まる時はなかったはず。
「炫……大事な私の弟皇子。あなたは見つけたのね? 自分だけの珠玉を宝石を……」
「はい……姉上。だからこそ守りたいのです。その為には貴人の所作を学ぶ必要があります。後宮においては姉上が最高位の後宮妃であり、帝家の公主です。だから、余の宝をお任せしたい」
「もちろん、喜んで引き受けるわ。あなたの宝は私の宝でもある。炫……あなたの幸せが私の願いなのよ。その為ならなんだってお手伝いさせていただくわ」
「ありがとうございます、姉上」
共に生き抜いた二人きりの姉弟。その絆は血よりもさらに濃い。
◇
こうして、皇帝・王炫は宝玉の為にあらゆる手を打つ。
最初は後宮妃付きの侍女をさせ、間近で貴人の暮らしぶりや所作や教示を目で見て学ばせる。
それが皇帝・王炫の狙いであり本意。
全ては、宝玉が他の後宮妃に見下されないようにする為。
「おそらく、宝玉は気にしないだろうが……」
それもわかっている皇帝・王炫。
ただ、皇帝・王炫が嫌なのだ。己の宝を侮辱されるのが……。
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