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公爵家・現在編
63.乙女な天使と悶絶の侍女と母の後押し
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「これはこれは……床が凄い事に! アンジェラお嬢様の周囲が花びらだらけだわ! ひゃー!」
侍女マイリーは驚嘆しながらも、乙女心全開なアンジェラのいつもと違う様子には悶絶寸前。彼女の「いかにも!」な稀な様子に萌え萌え。
王太子フェリクスが来ないことに溜息をつくアンジェラ。私室の花瓶に生けてある見事な薔薇の花びらを1枚1枚むしり取っている。
アンジェラは綺麗に棘が処置されている薔薇の花びらを取りながら小さく何事かを呟いてさえいる。
「今日こそは来る……来ない……来る、来ない……来る?」
気が付けば、花瓶に生けられた薔薇の花びら全てが見事な坊主姿に。おかげで床に散らばる見事な……もとい、無残な薔薇の花弁達。
遂には最後の1本。
「王太子殿下は……来る、来ない……来る、来ない……来る……」
不意にアンジェラの手が止まる。よく見れば、むしり取られて行く花びらが遂には最後の1枚になってしまっている。
(これはマズいのではー……?!)
侍女マイリーは焦って何処へと駆けて行き、また全速力で戻って来る。その腕には当家の廊下へと飾られていた美しい花々が生けられている花瓶を持っている。
アンジェラが最後の1枚をむしり取る。
「……来、ない……?!」
その刹那、落胆するアンジェラへと差し出される花瓶。
「アンジェラお嬢様……大丈夫ではございます。まだまだお屋敷中には花の生けてある花瓶が山程あります。王太子殿下が来るとなるまで……アンジェラお嬢様、思う存分にやりましょうー!」
◇
その後はどうなったか?
最後はやはり頼りになる母キャロライン。気落ちする愛娘アンジェラを心配し、様子を見に訪れた公爵夫人キャロライン。
アンジェラを労わりながら、優しい声音で話を持ち掛ける。
「アンジェラ……綺麗なお花さん達が泣いているわよ。王太子殿下のことが気になるのなら逢いに行けば良いと思うの。ご本人に直接逢って確かめることが一番良い解決策よ」
母キャロラインからしてみれば、アンジェラに芽生えた恋心を完全に自覚させる意味での提案。
(……せっかくだもの。純朴なアンジェラに育ち始めた恋心は芽吹かせてあげないとね?)
母キャロラインとしては、綺麗に咲いて欲しい愛娘の恋心。後押しする意味でも更に提案。
「あらっ……ちょうど此処に王妃フレイヤ様からのお茶会の招待状が?! ママは体調が芳しくないから……アンジェラ、ママの代わりにフレイヤ様のお相手をお願いできるかしら?」
(わざとらしいですよ? キャロライン奥様……)
そうは思いつつも決して口には出さない侍女マイリー。
「アンジェラお嬢様は、余程に王太子殿下のことが気になってらしたのね?」
アンジェラをそっと抱き締める侍女マイリー。
(これ程までに気落ちなさるなんて……アンジェラお嬢様に淋しい想いをさせる王太子殿下は罪な御方だわ)
とは、間違っても思わない侍女マイリー。
「……一度しばくか?」
ぼそりと零す。
◇
早速身支度を整えたアンジェラは、グラント公爵家の馬車へと乗り込み、王太子フェリクスに逢いに行く。
名目は「イーデン王妃フレイヤとの茶会」だが、〈王宮〉へと訪れたアンジェラは、「まさかの光景」を目にして意気消沈。美しい翡翠の瞳には薄っすらと涙を滲ませる。
アンジェラは泣き濡れての早々のご帰還。
さて、アンジェラはいったい何を目撃したのか? ただ、それが勘違いだったと気付くのも意外とすぐだったりする。
アンジェラに続くようにして、王太子フェリクスは彼女を追いかけてグラント公爵家へと参上。
アンジェラが嫉妬してくれたのだと思えば、どうしたって心は弾む。沈むアンジェラとは対照的に、いつも以上にキラキラな王太子フェリクスが声高に愛を叫ぶ。
「私の愛しいアンジェラ……愛しているのは君だけだ!!」
ってね。臭いセリフもなんのその。
堂々の王太子フェリクス、ここに参上。
やっぱり来たね……と乾いた拍手をするグラント公爵家に仕える面々。
侍女マイリーは驚嘆しながらも、乙女心全開なアンジェラのいつもと違う様子には悶絶寸前。彼女の「いかにも!」な稀な様子に萌え萌え。
王太子フェリクスが来ないことに溜息をつくアンジェラ。私室の花瓶に生けてある見事な薔薇の花びらを1枚1枚むしり取っている。
アンジェラは綺麗に棘が処置されている薔薇の花びらを取りながら小さく何事かを呟いてさえいる。
「今日こそは来る……来ない……来る、来ない……来る?」
気が付けば、花瓶に生けられた薔薇の花びら全てが見事な坊主姿に。おかげで床に散らばる見事な……もとい、無残な薔薇の花弁達。
遂には最後の1本。
「王太子殿下は……来る、来ない……来る、来ない……来る……」
不意にアンジェラの手が止まる。よく見れば、むしり取られて行く花びらが遂には最後の1枚になってしまっている。
(これはマズいのではー……?!)
侍女マイリーは焦って何処へと駆けて行き、また全速力で戻って来る。その腕には当家の廊下へと飾られていた美しい花々が生けられている花瓶を持っている。
アンジェラが最後の1枚をむしり取る。
「……来、ない……?!」
その刹那、落胆するアンジェラへと差し出される花瓶。
「アンジェラお嬢様……大丈夫ではございます。まだまだお屋敷中には花の生けてある花瓶が山程あります。王太子殿下が来るとなるまで……アンジェラお嬢様、思う存分にやりましょうー!」
◇
その後はどうなったか?
最後はやはり頼りになる母キャロライン。気落ちする愛娘アンジェラを心配し、様子を見に訪れた公爵夫人キャロライン。
アンジェラを労わりながら、優しい声音で話を持ち掛ける。
「アンジェラ……綺麗なお花さん達が泣いているわよ。王太子殿下のことが気になるのなら逢いに行けば良いと思うの。ご本人に直接逢って確かめることが一番良い解決策よ」
母キャロラインからしてみれば、アンジェラに芽生えた恋心を完全に自覚させる意味での提案。
(……せっかくだもの。純朴なアンジェラに育ち始めた恋心は芽吹かせてあげないとね?)
母キャロラインとしては、綺麗に咲いて欲しい愛娘の恋心。後押しする意味でも更に提案。
「あらっ……ちょうど此処に王妃フレイヤ様からのお茶会の招待状が?! ママは体調が芳しくないから……アンジェラ、ママの代わりにフレイヤ様のお相手をお願いできるかしら?」
(わざとらしいですよ? キャロライン奥様……)
そうは思いつつも決して口には出さない侍女マイリー。
「アンジェラお嬢様は、余程に王太子殿下のことが気になってらしたのね?」
アンジェラをそっと抱き締める侍女マイリー。
(これ程までに気落ちなさるなんて……アンジェラお嬢様に淋しい想いをさせる王太子殿下は罪な御方だわ)
とは、間違っても思わない侍女マイリー。
「……一度しばくか?」
ぼそりと零す。
◇
早速身支度を整えたアンジェラは、グラント公爵家の馬車へと乗り込み、王太子フェリクスに逢いに行く。
名目は「イーデン王妃フレイヤとの茶会」だが、〈王宮〉へと訪れたアンジェラは、「まさかの光景」を目にして意気消沈。美しい翡翠の瞳には薄っすらと涙を滲ませる。
アンジェラは泣き濡れての早々のご帰還。
さて、アンジェラはいったい何を目撃したのか? ただ、それが勘違いだったと気付くのも意外とすぐだったりする。
アンジェラに続くようにして、王太子フェリクスは彼女を追いかけてグラント公爵家へと参上。
アンジェラが嫉妬してくれたのだと思えば、どうしたって心は弾む。沈むアンジェラとは対照的に、いつも以上にキラキラな王太子フェリクスが声高に愛を叫ぶ。
「私の愛しいアンジェラ……愛しているのは君だけだ!!」
ってね。臭いセリフもなんのその。
堂々の王太子フェリクス、ここに参上。
やっぱり来たね……と乾いた拍手をするグラント公爵家に仕える面々。
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