公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり

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最終章・それぞれの至福編

71.華やぐ王族の婚儀と蜜月

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 前日までの雨模様が嘘のような蒼天。

 街中には祝いの為の色とりどりの花びらが降り注ぎ、人々が今日の祝祭を祝う。

 イーデン王家の鐘楼塔からは祝いの鐘の音が鳴り響き、王太子フェリクスとグラント公爵令嬢アンジェラの〈婚儀〉が無事に執り行われたことを告げる。

 祝いの鐘の音が鳴り響く中、〈王宮〉のバルコニーに現れたのは、大聖堂での婚儀を終えたばかりの初々しい王太子夫妻。フェリクスとアンジェラ。

 絹の白地の衣装には黄金の装飾が施され、装飾品も全て黄金と蒼玉からなり、王族だけが許される『王色』を纏う王太子夫妻。

 王太子妃となったアンジェラ妃の頭位には、小さな宝冠がキラリと光る。愛らしい王太子妃の誕生には、あちらこちらから歓喜と賛辞が飛び交う。

 美しい花笑みを浮かべ、民衆へと手を振り続けるアンジェラ妃。王太子フェリクスはいつも通りのアルカイックスマイル。

 晴れて夫婦となった王太子フェリクスとアンジェラ妃の間には、幸せのオーラが溢れっぱなし。おまけに片方の手はずっと繋いだまま。もちろん恋人繋ぎ。


 ◇


 さりげなく新妻となったアンジェラ妃へと囁く王太子フェリクス。アルカイックスマイルはそのままでも声音は甘く優しい。

「今日のアンジェラは特に美しい……」

「フェリクス様こそ凄く素敵です」

「今宵こそ私のものに美しいアンジェラ……」

「……恥ずかしいです、フェリクス様……」

「そうやって恥じらう姿も私を煽る。我が妃アンジェラ……君が欲しくてたまらない」

 王太子フェリクスの蒼い瞳に灯るのは欲情の熱。色香ムンムンの王太子フェリクス。ただ、今この場では節操がない。

「フェリクス様……そのような眼差しで見つめられると恥ずかしいです」

 真っ昼間から濃密で甘々な雰囲気の2人。嬉しくて仕方がないのだ。惚気る熱々の2人に当てられっぱなしの周囲。

 そこへ。遂には見るに見兼ねた代表格が物言う。

 オッホンっ! もっともらしく咳払いをするイーデン国王フレデリック。

「……嬉しいのはわかる。わかるのだが、もう少し我慢しようね。気持ちはわかる。わかるんだよ」

 お門違いなお小言で済ますあたり、さすがは王太子フェリクスの父だけある。

「御二方とも仲睦まじいのは良いのですが、今は民達への披露目の場です。どうか敬意を払ってください、王太子殿下に妃殿下」

 グラント公爵ダリウスが諌める。

 愛娘アンジェラへも敬意を払うグラント公爵ダリウス。娘とはいえ次代の王妃にもなる身。忠臣の心意気を忘れない彼はさすがとしか言いようがない。

 対し、ご夫人方はどうかといえば、我が子達の仲睦まじい姿には感極まって涙さえ滲ませている。

 昔から仲の良いイーデン王妃フレイヤとグラント公爵夫人キャロラインは、「これで本当の家族で姉妹ね」と実に嬉しそう。


 華やぐ〈王宮〉のバルコニー前には、大勢の民衆が祝いに駆け付けるおかげで、かなりの大歓声が響く。まるで初々しい王太子夫妻の輝かしい未来さえも祝福しているよう。

 煌々しい王太子夫妻の両側を占めるのは、イーデン国王夫妻とグラント公爵夫妻。さらにはシエンナ王国王女セレニアと婚約者エヴァンが控え、少し後方には王太子妃アンジェラに仕える侍女ヘイスティング侯爵令嬢バーバラも控える。

 錚々そうそうたる面々。


 見るも華やかなイーデン王家。

 いっそうの栄華を誇ること間違いなし。


 ◇


 〈黄金の大広間〉では、婚儀の祝宴が夜通し行われる。市井でもお祭り騒ぎが連日連夜続く。

 祝いの宴の最中、早々に中座するのは初々しい王太子夫妻。皆からの賛辞が飛ぶ中、王太子フェリクスに手を引かれるアンジェラ妃がいる。柔らかな花笑みを浮かべながらも恥ずかしそうに頬を赤らめている。

 初々しい王太子妃アンジェラ。無垢な花の恥じらうさまは微笑ましい。集う人々の笑みさえ誘う。

 美しい妻アンジェラへの愛情と欲情の熱に浮かされる王太子フェリクスは颯爽と〈王太子宮〉へ。

 色とりどりの祝いの花びらが巻かれた2人の寝所には、お姫様抱っこをされるアンジェラ妃の姿。そのまま寝台へと横たえられれば、控える侍女により天蓋が降ろされる。

 今からは2人の〈初夜の儀〉と濃密な蜜月がスタート。


 ◇


 美しい月夜。

 夜の帳が下りる中、軋む寝台からは尽きない艶声と甘美な香りが漂い、蜜夜に溺れる王太子フェリクスとアンジェラ妃がいる。

 その後は、どうなったかなど想像通り。

 王太子フェリクスの愛情をいっぱい注がれるアンジェラ妃は、すぐに懐妊。

 のちに第1子の王子に続き、双子の王子と王女を授かることになり、至福に泣くアンジェラ妃がいる。


「フェリクス様……貴方様に出逢えてアンジェラは幸せです。愛しています、フェリクス様」

「私こそ愛している。アンジェラだけが私を魅了する。君は私のものだよ、アンジェラ。だから、私に囚われておいで……」


 こうして蜜月はいつまで経っても終わらない王太子夫妻は、今宵も甘々な雰囲気に包まれて今日を終える。

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