19 / 88
公爵家・対面と思惑編
17.天使と相対するド派手な母娘
しおりを挟む
客間の長椅子へと腰を下ろすアンジェラ。目の前では、どうやら新たな問題が勃発している様子。
ドウェイン伯爵未亡人ブルーナが、グラント公爵ダリウスへと詰め寄っている。
「公爵様っ! これは一体どういうことなのでしょう? ご説明をお願い致しますわ!」
声高に息巻く拍手未亡人ブルーナ。
静かに傍観するアンジェラ。
(この人達は誰だろう? パパの知り合い? それにしても無駄に派手な人達……)
先程までは涙を流していたアンジェラも、今では落ち着きを取り戻している。客間への道すがらアンジェラを気遣い、手巾で涙さえも拭ってくれた先代公爵夫人ハリエッタのおかげかもしれない。
(お優しい先代公爵夫人。パパもそうなってくれたら嬉しいのに……)
さておき。
アンジェラが見つめる視線の先には、険しい顔のド派手な母娘の姿。どう見ても品の良さは感じられない。
特に母親らしき人物の頭位で、これ見よがしに揺れている大きな孔雀の羽飾りに眉を顰めるアンジェラ。失礼ながらもドン引き。
先代グラント公爵夫人ハリエッタの洗練された立ち居振る舞いとは違い、目の前の母娘はあまりにも品がない。仕草も装いも両者の間には隔たりがあり過ぎる。
(もしパパの知り合いだとしたら嫌だなぁ。豪華な衣装や高価な装飾品で着飾らなくてもママのほうが綺麗……)
アンジェラには自慢のママ。
だからこそ、今でもパパを想うママへと「パパ」をプレゼントしたいアンジェラ。それに心から願うのはいつも同じ。
「大好きなママとパパと一緒に暮らしたい」
それがアンジェラの心から願い。
◇
パパとの再会を楽しみにしていたアンジェラは、ド派手なドウェイン伯爵未亡人ブルーナが、パパの再婚相手だとは夢にも思わない。
ただ、事の成り行きを静観するだけ。
一方。
「公爵様……聞いておりませんわ!」
今だに揉めている伯爵未亡人ブルーナ。
次第にアンジェラは此の状況を持て余し、小さく吐息をつく。これが、めざとい伯爵未亡人ブルーナの気に障ったようだ。
突如、伯爵未亡人ブルーナの苛立ちの矛先はアンジェラへと向かう。嫌悪感を滲ませながら睨み付ける。
「だいたいあなたは誰なのよ! ご結婚もされていない公爵様に娘がいるはずがないでしょう? どうせ公爵家の財産が目当てなのでしょう? そうに決まっているわ!」
むしろ財産狙いなのは伯爵未亡人ブルーナ。自分のことは棚に上げ、激しく息巻く。
「えっ、財産狙い? 私が……まさかっ!」
思いもよらない言葉に唖然とするアンジェラ。
(……なんて失礼な人達なの。言っていいことと悪いことの区別すらも付かないの?)
アンジェラは憤る。そのアンジェラをさらに責める者が。
「そうよ! あなたは誰なのよ! 此の屋敷に一体何の用なの? 田舎娘が場違いよ!」
遠慮のない視線でアンジェラを上から下まで品定めをする娘ブルネッタ。激しく息巻く。
「貴女方こそ初対面の相手に失礼過ぎるわ」
逆に言葉を返すアンジェラ。
グラント公爵ダリウスには今だに「娘」とは認められていなくても、アンジェラ自身は「パパの娘」だと信じて疑わない。相手側の方こそ場違いだと思える。
「貴女方こそ公爵家に何の御用でしょう?」
「まぁ! 何の御用ですって?! それこそ愚問だわ!」
勝ち誇った表情を浮かべる娘ブルネッタは言い放つ。
「私はもうすぐ公爵様の義娘になるのよ! お母様と公爵様が再婚するの。公爵様は私のお父様になるのよ! 嘘つきな田舎娘のあなたこそ場違いよ。サッサとここから出て行きなさい! 公爵様の義娘は私1人で充分だわ!」
嘲りの笑みさえ浮かべる。
「……えっ?!」
一瞬、聞き間違いかと思うアンジェラ。ただ、聞き捨てならない言葉に思わず反論。
「私は……私こそパパの娘よ!!」
ここで引くわけにはいかない。
自分でも驚くほどの大声で叫ぶアンジェラ。
帰りを待つママへ為にも「パパの娘」としての立場は、絶対に譲るわけにはいかない。
ドウェイン伯爵未亡人ブルーナが、グラント公爵ダリウスへと詰め寄っている。
「公爵様っ! これは一体どういうことなのでしょう? ご説明をお願い致しますわ!」
声高に息巻く拍手未亡人ブルーナ。
静かに傍観するアンジェラ。
(この人達は誰だろう? パパの知り合い? それにしても無駄に派手な人達……)
先程までは涙を流していたアンジェラも、今では落ち着きを取り戻している。客間への道すがらアンジェラを気遣い、手巾で涙さえも拭ってくれた先代公爵夫人ハリエッタのおかげかもしれない。
(お優しい先代公爵夫人。パパもそうなってくれたら嬉しいのに……)
さておき。
アンジェラが見つめる視線の先には、険しい顔のド派手な母娘の姿。どう見ても品の良さは感じられない。
特に母親らしき人物の頭位で、これ見よがしに揺れている大きな孔雀の羽飾りに眉を顰めるアンジェラ。失礼ながらもドン引き。
先代グラント公爵夫人ハリエッタの洗練された立ち居振る舞いとは違い、目の前の母娘はあまりにも品がない。仕草も装いも両者の間には隔たりがあり過ぎる。
(もしパパの知り合いだとしたら嫌だなぁ。豪華な衣装や高価な装飾品で着飾らなくてもママのほうが綺麗……)
アンジェラには自慢のママ。
だからこそ、今でもパパを想うママへと「パパ」をプレゼントしたいアンジェラ。それに心から願うのはいつも同じ。
「大好きなママとパパと一緒に暮らしたい」
それがアンジェラの心から願い。
◇
パパとの再会を楽しみにしていたアンジェラは、ド派手なドウェイン伯爵未亡人ブルーナが、パパの再婚相手だとは夢にも思わない。
ただ、事の成り行きを静観するだけ。
一方。
「公爵様……聞いておりませんわ!」
今だに揉めている伯爵未亡人ブルーナ。
次第にアンジェラは此の状況を持て余し、小さく吐息をつく。これが、めざとい伯爵未亡人ブルーナの気に障ったようだ。
突如、伯爵未亡人ブルーナの苛立ちの矛先はアンジェラへと向かう。嫌悪感を滲ませながら睨み付ける。
「だいたいあなたは誰なのよ! ご結婚もされていない公爵様に娘がいるはずがないでしょう? どうせ公爵家の財産が目当てなのでしょう? そうに決まっているわ!」
むしろ財産狙いなのは伯爵未亡人ブルーナ。自分のことは棚に上げ、激しく息巻く。
「えっ、財産狙い? 私が……まさかっ!」
思いもよらない言葉に唖然とするアンジェラ。
(……なんて失礼な人達なの。言っていいことと悪いことの区別すらも付かないの?)
アンジェラは憤る。そのアンジェラをさらに責める者が。
「そうよ! あなたは誰なのよ! 此の屋敷に一体何の用なの? 田舎娘が場違いよ!」
遠慮のない視線でアンジェラを上から下まで品定めをする娘ブルネッタ。激しく息巻く。
「貴女方こそ初対面の相手に失礼過ぎるわ」
逆に言葉を返すアンジェラ。
グラント公爵ダリウスには今だに「娘」とは認められていなくても、アンジェラ自身は「パパの娘」だと信じて疑わない。相手側の方こそ場違いだと思える。
「貴女方こそ公爵家に何の御用でしょう?」
「まぁ! 何の御用ですって?! それこそ愚問だわ!」
勝ち誇った表情を浮かべる娘ブルネッタは言い放つ。
「私はもうすぐ公爵様の義娘になるのよ! お母様と公爵様が再婚するの。公爵様は私のお父様になるのよ! 嘘つきな田舎娘のあなたこそ場違いよ。サッサとここから出て行きなさい! 公爵様の義娘は私1人で充分だわ!」
嘲りの笑みさえ浮かべる。
「……えっ?!」
一瞬、聞き間違いかと思うアンジェラ。ただ、聞き捨てならない言葉に思わず反論。
「私は……私こそパパの娘よ!!」
ここで引くわけにはいかない。
自分でも驚くほどの大声で叫ぶアンジェラ。
帰りを待つママへ為にも「パパの娘」としての立場は、絶対に譲るわけにはいかない。
382
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
【書籍化決定】愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる