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公爵家・茶会編
31.高潔な先代公爵夫人と貴婦人方と珍入者
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賑やかな茶会が一変。不穏な雰囲気に包まれる。
円を描くように、遠巻きに事態の成り行きを見つめる貴婦人方の視線の先には、お仕着せ姿の2人の侍女と、憤るヘイスティング侯爵令嬢バーバラの姿。
ヘイスティング侯爵令嬢バーバラの鮮やかな衣装には大きな染みがあることから、どちらに非があるかは一目瞭然。
貴族の御夫人方の見立てでは不注意な侍女が悪い。ただ、先代グラント公爵夫人ハリエッタは、「ノブレスオブリージュ」を大切にしている。
厳格な先代グラント公爵ダグラスが身罷ってからは、志しを新たにした先代グラント公爵夫人ハリエッタ。
屋敷に仕える者達にも分け隔てなく優しい。偏見の目も持たない。そのことを茶会に招く貴婦人方にも説いている。よって、意に賛同するものだけを当家の茶会へと招いている。
◇
少々、行き過ぎているヘイスティング侯爵令嬢バーバラには、眉根を寄せる貴婦人方。その我儘娘を主催夫人ハリエッタの許しもなく、参加させた母である侯爵夫人にも溜息を漏らす。
「ご令嬢をデビュー前にグラント公爵家の奥方様にお目通りをさせ、お墨付きでも頂こうとの心積もりなのでしょうが、我が子可愛さに愚かなことを……」
1人貴婦人がぼそりと零す。
「奥方様を貶めるような物言いはどうかと思いますわ。血迷いましたわね? ヘイスティング侯爵夫人も……あの高慢ちきなご令嬢も……」
「もはや、ご令嬢の社交界デビューどころではありませんわ。貴族社会のお立場も危ういのでは?」
「ええ、まさに……」
「僕もそう思いますよ。喧嘩を売った相手が悪い……なにしろ社会界の重鎮の奥方様ですよ。これは絶対にマズいですよ」
だけど、面白そう……とやや不謹慎。
「「「きゃあっーーー!!」」」
一斉に飛び退く貴婦人方。
見れば、家令服姿の美少年が一人佇む。言わずと知れた家令コリンだ。年齢不詳の彼は、稀に見る美少年。しかも、自分の武器をフル活用することを忘れない。
一層の微笑みを投げ掛ける。
「これはこれは申し訳ございません。お美しい御夫人方を驚かせてしまいました。どうかお赦し下さい。僕は当家の家令を務めさせて頂いている者です。どうか、お見知りおき下さい」
一級品の燕尾服に身を包む清廉な美少年が、集う貴婦人方を見回し、愛想と笑顔を振り撒き応戦する。
ウィンクまでしてみせる家令コリン。これは効いた。
「「「かっ……可愛っ~い♡」」」
貴婦人方が黄色い悲鳴を上げる。
「コリン……あまり愛想を振り撒くと御夫人方が卒倒してしまう。程々にな?」
「仕方がありません。実際に僕は可愛いので……」
しれっと言ってのける家令コリン。
「貴方様こそ、お忍びのはずでは? 煌々しさが全開ですよ。お忍びどころか王族感丸出しです。これでは目立って仕方がない。
揶揄する家令コリン。
「実際に私は煌々しくきらきらだ。しかも王族だ」
こちらもしれっと宣う。
2人共に自身の美貌を認めているのを承知しているだけに、その使い方を良く心得ている。
「はいはい、良い加減にして下さいね」
似た者同士だよ……と呆れる専属護衛エヴァン。
3人並べば壮観で圧巻。煌々しさフルパワー。これを目の保養と言わずして何と呼ぶ。
新たな高貴な御仁の登場に、驚嘆する貴婦人方は卒倒寸前。再び黄色い悲鳴が上がる。
まさかの王太子フェリクス。まさかのサプライズゲスト。一気に色めき立つ茶会場。
きらきらな王太子フェリクス、ここに参上。
貴婦人方の黄色い悲鳴をものともせず、愛しいアンジェラの側へと歩み寄る。
円を描くように、遠巻きに事態の成り行きを見つめる貴婦人方の視線の先には、お仕着せ姿の2人の侍女と、憤るヘイスティング侯爵令嬢バーバラの姿。
ヘイスティング侯爵令嬢バーバラの鮮やかな衣装には大きな染みがあることから、どちらに非があるかは一目瞭然。
貴族の御夫人方の見立てでは不注意な侍女が悪い。ただ、先代グラント公爵夫人ハリエッタは、「ノブレスオブリージュ」を大切にしている。
厳格な先代グラント公爵ダグラスが身罷ってからは、志しを新たにした先代グラント公爵夫人ハリエッタ。
屋敷に仕える者達にも分け隔てなく優しい。偏見の目も持たない。そのことを茶会に招く貴婦人方にも説いている。よって、意に賛同するものだけを当家の茶会へと招いている。
◇
少々、行き過ぎているヘイスティング侯爵令嬢バーバラには、眉根を寄せる貴婦人方。その我儘娘を主催夫人ハリエッタの許しもなく、参加させた母である侯爵夫人にも溜息を漏らす。
「ご令嬢をデビュー前にグラント公爵家の奥方様にお目通りをさせ、お墨付きでも頂こうとの心積もりなのでしょうが、我が子可愛さに愚かなことを……」
1人貴婦人がぼそりと零す。
「奥方様を貶めるような物言いはどうかと思いますわ。血迷いましたわね? ヘイスティング侯爵夫人も……あの高慢ちきなご令嬢も……」
「もはや、ご令嬢の社交界デビューどころではありませんわ。貴族社会のお立場も危ういのでは?」
「ええ、まさに……」
「僕もそう思いますよ。喧嘩を売った相手が悪い……なにしろ社会界の重鎮の奥方様ですよ。これは絶対にマズいですよ」
だけど、面白そう……とやや不謹慎。
「「「きゃあっーーー!!」」」
一斉に飛び退く貴婦人方。
見れば、家令服姿の美少年が一人佇む。言わずと知れた家令コリンだ。年齢不詳の彼は、稀に見る美少年。しかも、自分の武器をフル活用することを忘れない。
一層の微笑みを投げ掛ける。
「これはこれは申し訳ございません。お美しい御夫人方を驚かせてしまいました。どうかお赦し下さい。僕は当家の家令を務めさせて頂いている者です。どうか、お見知りおき下さい」
一級品の燕尾服に身を包む清廉な美少年が、集う貴婦人方を見回し、愛想と笑顔を振り撒き応戦する。
ウィンクまでしてみせる家令コリン。これは効いた。
「「「かっ……可愛っ~い♡」」」
貴婦人方が黄色い悲鳴を上げる。
「コリン……あまり愛想を振り撒くと御夫人方が卒倒してしまう。程々にな?」
「仕方がありません。実際に僕は可愛いので……」
しれっと言ってのける家令コリン。
「貴方様こそ、お忍びのはずでは? 煌々しさが全開ですよ。お忍びどころか王族感丸出しです。これでは目立って仕方がない。
揶揄する家令コリン。
「実際に私は煌々しくきらきらだ。しかも王族だ」
こちらもしれっと宣う。
2人共に自身の美貌を認めているのを承知しているだけに、その使い方を良く心得ている。
「はいはい、良い加減にして下さいね」
似た者同士だよ……と呆れる専属護衛エヴァン。
3人並べば壮観で圧巻。煌々しさフルパワー。これを目の保養と言わずして何と呼ぶ。
新たな高貴な御仁の登場に、驚嘆する貴婦人方は卒倒寸前。再び黄色い悲鳴が上がる。
まさかの王太子フェリクス。まさかのサプライズゲスト。一気に色めき立つ茶会場。
きらきらな王太子フェリクス、ここに参上。
貴婦人方の黄色い悲鳴をものともせず、愛しいアンジェラの側へと歩み寄る。
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