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侯爵家母娘・結末編
36.侯爵家母娘の結末・後
先の茶会から暫くした後。
先代公爵夫人ハリエッタの元へともたらされたのは、急を要する1通の先触れ。訪問の許しを乞う封書。
一堂に介したグラント公爵家の面々。
議題はヘイスティング侯爵家当主の訪問を許すかどうか。
「ヘイスティング侯爵家の御当主直々に、先の茶会の非礼を詫びたいそうよ、ダリウス」
「今更ですか?」
「彼は商いを得意としているわ。遠方への商用でしばらく屋敷を空けていたそうよ。事の次第も知ったばかりなら仕方がないわ。それでも行動は早い方よ」
「それはそうですが……」
「御当主は傲慢な侯爵夫人とは違い真っ当な紳士よ。彼の不運は妻があの御夫人だったことね。利害関係から成る政略結婚においては相手の気質までは求められない。相手を選べないというのは……時には困りものね」
溜息混じりに吐露する先代公爵夫人ハリエッタ。
一方、2人の会話にじっと耳を傾けていたアンジェラが遂には口を挟む。
「パパ、相手が赦しを求めているのなら会ってあげたら? お祖母様も悪い人ではないと仰っているし、一度くらいは謝る機会があっても良いと思うの」
上目遣いで父ダリウスを見つめるアンジェラ。益々母キャロラインに生写しの美貌と天使のように愛らしいアンジェラ。
(今日もアンジェラが可愛い過ぎる。私の娘の愛らしさは、やはり破格だ!)
悶えるグラント公爵ダリウス。日を追うごとに娘アンジェラへと傾倒しているのがわかる。
◇
件の茶会の席。
実は先にぶつかったのがヘイスティング侯爵令嬢バーバラ。当事者のアンジェラもその事には気付いている。しかもアンジェラのせいにまでした彼女。
傲慢な物言いであったにもかかわらず、ヘイスティング侯爵令嬢バーバラの方が、僅かに傷付いたような複雑な表情をして見せた。
一瞬のことで誰も気付かない。
だが、聡いアンジェラは見逃さない。
◇
後日。
ヘイスティング侯爵家当主と娘バーバラが、グラント公爵家を訪れる。
丁重に茶会時の非礼を詫びるヘイスティング侯爵。驚くべき事実さえ告げる。
「本来なら当事者である妻こそが、貴家へと非礼を詫びる為に訪問するのが筋ではありますが……」
そう切り出したヘイスティング侯爵は、妻である侯爵夫人とは離縁し、彼女を生家へと送り返したという。
今頃、肩身の狭い思いをしているでしょう……淡々と告げる。
「離縁ですか? それは思い切ったことをなさったのね」
先代公爵夫人ハリエッタが静かに告げる。
ヘイスティング侯爵が告げる。
「実は日増しにヒステリックに陥る妻は、1人娘の娘バーバラを顧みるどころか遂には手を上げたのです」
結局のところ、我が子よりも自分の身が1番可愛い侯爵夫人だったのだ。
「これ以上は娘の情操教育にも悪影響を与えかねません。娘のバーバラの傲慢さは妻に依るところが大きいのです。元は家庭を顧みなかった私にも非があるのも重々承知致しております」
再度、深く頭を垂れるヘイスティング侯爵
「だからこそ、今からは娘に寄り添うつもりでおります。そこで浅ましいお願だとは充分に理解はしておりますが……」
最初こそつらつらと述べていたヘイスティング侯爵だが、最終的には何事かを言い出しずらいのか……言葉を途切れさせる。
しどろもどろな様子。
これには、すぐに察するアンジェラ。
「侯爵様……ご安心しなさって下さい。お嬢様の社交界デビューならご心配はいりません」
「……っ?!」
まさに、その事を案じていたヘイスティング侯爵は、アンジェラの察しの良さに素直に驚嘆。
花笑みを浮かべるアンジェラ。
侯爵令嬢バーバラへと歩み寄り、彼女の手をそっと握り締め、優しい眼差しさえ向ける。
「バーバラお嬢様……私には貴女が悪いとはどうしても思えないの。実はずっと気になっていたことがあるの。あの時……とても傷付いた顔をしていたのは、私のせいにしたからなのでしょう? きっと申し訳ないと思いながらも、そう出来ない自分に悔しかったのでは? 私はそう思っているの」
「……ど、どうして……それを……」
驚愕するヘイスティング侯爵令嬢バーバラ。
「バーバラお嬢様……貴女にだけは打ち明けるね。実は私ね……辺境の田舎育ちなの。まだ貴族社交にも慣れていないし、お友達の一人さえいないの。それはとても淋しいことだよね」
アンジェラは先を続ける。
「もし良かったら……お友達のいない私と仲良くしてくれたら嬉しいの。バーバラお嬢様に王都での初めてのお友達になって欲しいなぁ。図々しいお願いでごめんね……」
あくまでも下手に出て相手を慮るアンジェラ。
「貴女のせいにした私を怒ってはいないの?」
「うーん? どうしてだろう……私、不思議と貴女のことを嫌いになれないんだよね。きっと根は良い子だとわかるから……これでも人を見る目はあるんだよ。ただね、本音を言うと侯爵夫人は怖かったかな……」
「あっ、私も……実はお母様が怖かったの……」
自然と本音を零す侯爵令嬢バーバラがいる。人の良いアンジェラが、そうさせるのかもしれない。
「私のアンジェラが……良い子だ……」
(愛するキャロライン……私達の娘を素晴らしい子に育ててくれてありがとう……)
グラント公爵ダリウスは、愛する元妻キャロラインへと想いを焦がす。
◇
さて、もうお分かりの通り。
アンジェラとヘイスティング侯爵令嬢バーバラは誰もが想像しなかった絆を結ぶ。
この先、互いに友情を深める2人は大の仲良し子よし。
人の縁とは不思議なもので、何処でどう繋がるかはわからない。
ヘイスティング侯爵令嬢バーバラもグラント公爵家という強い味方を得た今、誰も彼女の過去を問わない。受け入れる。
なにせグラント公爵家の後ろには、イーデン王家さえ控えているのである。よって、グラント公爵令嬢アンジェラとヘイスティング侯爵令嬢バーバラは、供に社交界デビューすることが決まる。
先代公爵夫人ハリエッタの元へともたらされたのは、急を要する1通の先触れ。訪問の許しを乞う封書。
一堂に介したグラント公爵家の面々。
議題はヘイスティング侯爵家当主の訪問を許すかどうか。
「ヘイスティング侯爵家の御当主直々に、先の茶会の非礼を詫びたいそうよ、ダリウス」
「今更ですか?」
「彼は商いを得意としているわ。遠方への商用でしばらく屋敷を空けていたそうよ。事の次第も知ったばかりなら仕方がないわ。それでも行動は早い方よ」
「それはそうですが……」
「御当主は傲慢な侯爵夫人とは違い真っ当な紳士よ。彼の不運は妻があの御夫人だったことね。利害関係から成る政略結婚においては相手の気質までは求められない。相手を選べないというのは……時には困りものね」
溜息混じりに吐露する先代公爵夫人ハリエッタ。
一方、2人の会話にじっと耳を傾けていたアンジェラが遂には口を挟む。
「パパ、相手が赦しを求めているのなら会ってあげたら? お祖母様も悪い人ではないと仰っているし、一度くらいは謝る機会があっても良いと思うの」
上目遣いで父ダリウスを見つめるアンジェラ。益々母キャロラインに生写しの美貌と天使のように愛らしいアンジェラ。
(今日もアンジェラが可愛い過ぎる。私の娘の愛らしさは、やはり破格だ!)
悶えるグラント公爵ダリウス。日を追うごとに娘アンジェラへと傾倒しているのがわかる。
◇
件の茶会の席。
実は先にぶつかったのがヘイスティング侯爵令嬢バーバラ。当事者のアンジェラもその事には気付いている。しかもアンジェラのせいにまでした彼女。
傲慢な物言いであったにもかかわらず、ヘイスティング侯爵令嬢バーバラの方が、僅かに傷付いたような複雑な表情をして見せた。
一瞬のことで誰も気付かない。
だが、聡いアンジェラは見逃さない。
◇
後日。
ヘイスティング侯爵家当主と娘バーバラが、グラント公爵家を訪れる。
丁重に茶会時の非礼を詫びるヘイスティング侯爵。驚くべき事実さえ告げる。
「本来なら当事者である妻こそが、貴家へと非礼を詫びる為に訪問するのが筋ではありますが……」
そう切り出したヘイスティング侯爵は、妻である侯爵夫人とは離縁し、彼女を生家へと送り返したという。
今頃、肩身の狭い思いをしているでしょう……淡々と告げる。
「離縁ですか? それは思い切ったことをなさったのね」
先代公爵夫人ハリエッタが静かに告げる。
ヘイスティング侯爵が告げる。
「実は日増しにヒステリックに陥る妻は、1人娘の娘バーバラを顧みるどころか遂には手を上げたのです」
結局のところ、我が子よりも自分の身が1番可愛い侯爵夫人だったのだ。
「これ以上は娘の情操教育にも悪影響を与えかねません。娘のバーバラの傲慢さは妻に依るところが大きいのです。元は家庭を顧みなかった私にも非があるのも重々承知致しております」
再度、深く頭を垂れるヘイスティング侯爵
「だからこそ、今からは娘に寄り添うつもりでおります。そこで浅ましいお願だとは充分に理解はしておりますが……」
最初こそつらつらと述べていたヘイスティング侯爵だが、最終的には何事かを言い出しずらいのか……言葉を途切れさせる。
しどろもどろな様子。
これには、すぐに察するアンジェラ。
「侯爵様……ご安心しなさって下さい。お嬢様の社交界デビューならご心配はいりません」
「……っ?!」
まさに、その事を案じていたヘイスティング侯爵は、アンジェラの察しの良さに素直に驚嘆。
花笑みを浮かべるアンジェラ。
侯爵令嬢バーバラへと歩み寄り、彼女の手をそっと握り締め、優しい眼差しさえ向ける。
「バーバラお嬢様……私には貴女が悪いとはどうしても思えないの。実はずっと気になっていたことがあるの。あの時……とても傷付いた顔をしていたのは、私のせいにしたからなのでしょう? きっと申し訳ないと思いながらも、そう出来ない自分に悔しかったのでは? 私はそう思っているの」
「……ど、どうして……それを……」
驚愕するヘイスティング侯爵令嬢バーバラ。
「バーバラお嬢様……貴女にだけは打ち明けるね。実は私ね……辺境の田舎育ちなの。まだ貴族社交にも慣れていないし、お友達の一人さえいないの。それはとても淋しいことだよね」
アンジェラは先を続ける。
「もし良かったら……お友達のいない私と仲良くしてくれたら嬉しいの。バーバラお嬢様に王都での初めてのお友達になって欲しいなぁ。図々しいお願いでごめんね……」
あくまでも下手に出て相手を慮るアンジェラ。
「貴女のせいにした私を怒ってはいないの?」
「うーん? どうしてだろう……私、不思議と貴女のことを嫌いになれないんだよね。きっと根は良い子だとわかるから……これでも人を見る目はあるんだよ。ただね、本音を言うと侯爵夫人は怖かったかな……」
「あっ、私も……実はお母様が怖かったの……」
自然と本音を零す侯爵令嬢バーバラがいる。人の良いアンジェラが、そうさせるのかもしれない。
「私のアンジェラが……良い子だ……」
(愛するキャロライン……私達の娘を素晴らしい子に育ててくれてありがとう……)
グラント公爵ダリウスは、愛する元妻キャロラインへと想いを焦がす。
◇
さて、もうお分かりの通り。
アンジェラとヘイスティング侯爵令嬢バーバラは誰もが想像しなかった絆を結ぶ。
この先、互いに友情を深める2人は大の仲良し子よし。
人の縁とは不思議なもので、何処でどう繋がるかはわからない。
ヘイスティング侯爵令嬢バーバラもグラント公爵家という強い味方を得た今、誰も彼女の過去を問わない。受け入れる。
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