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王家の舞踏会・披露目編
59.天使に芽生えた感情と舞踏会の終幕
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栄えあるファーストダンスを誉高き王太子フェリクスと踊る快挙を成し遂げ、次の円舞曲は専属護衛エヴァン。
どちらも社交界を二分する寵児。その貴公子2人との円舞曲を披露したグラント公爵令嬢アンジェラは、今や時の人。
鮮烈のデビューを飾る。
大注目の的であるアンジェラは、無事に披露目の舞踏を終えたことに安堵。そうかと思えば、仄かに芽生え始めた感情にはやや困惑。
新たな感情の芽生えに胸が痛いアンジェラ。
(何だろう? 胸の奥がチリっと……)
王太子フェリクスと侯爵令嬢バーバラの楽しげな舞踏を見てからは、胸の奥がチクリと痛む。鳴り止まない胸の鼓動も気になるところ。
実際、王太子フェリクスと侯爵令嬢バーバラとの舞踏を気にしていたアンジェラは、専属護衛エヴァンと円舞曲を舞いながらも気はそぞろ。
(王太子殿下はバーバラちゃんが好きなのかなぁ。バーバラちゃんは可愛いし……)
アンジェラの余計な杞憂はおそらく「嫉妬」という感情。
胸の中に芽生え出した仄かな想いに気付かさるアンジェラ。
高鳴る胸の鼓動に速まる動悸。それがこそ恋心の芽生え。
◇
さておき。
専属護衛エヴァンとの円舞曲を終えれば、ようやく密接する互いの身体が離れ、最後の一礼にて終い。
ホッと胸を撫で下ろすアンジェラ。だが、次の瞬間には、アンジェラの左手を掴む王太子フェリクスと右手を掴む専属護衛エヴァン。
「エヴァン……2曲目の円舞曲は千歩譲って花を持たせてやったが、3曲目までも出しゃばるとは良い度胸ではないか?」
「何を仰いますか、殿下。天使様とのファーストダンスのお相手をした貴方様です。これで3曲目までも天使様のお相手をしたとなれば……あらぬ憶測を呼びましょう」
「無論、私は構わない。むしろ、望むところだ」
「殿下……そうは言われますが、天使様は今のところ殿下の婚約者ではありません。誰のものでもないということです」
「フッ、笑止。元より私の相手はアンジェラと決まっている。何よりも私とアンジェラは、幼い頃に運命的な出逢いを果たしている」
「それはそれ……過去よりは今です」
「……はっ! 何を言うか?」
不毛な争いを続ける2人。
そこへと割って入るのが侯爵令嬢バーバラ。アンジェラの両手を掴む王太子フェリクスと専属護衛エヴァンの手を叩き落とす。
「アンジェラお姉様! 私と踊りましょう!」
爛々と瞳を輝かせては告げる侯爵令嬢バーバラ。
「そうね、そうよね。私もバーバラちゃんとも踊りたいわ」
「「……何っ?!」」
声を揃えて驚く2人の貴公子にもアンジェラは提案してみせる。淑女らしく淑やかに。
「実は良いことを思いついたのです。折角の華やかな舞踏会です。より華を添える意味でも皆様で群舞を舞うのはいかがでしょう? 私が育った辺境の地では、皆んなで楽しく一斉に踊ることが多いのです」
これにはイーデン王妃フレイヤが高らかに笑う。
「それは確かに名案だ。アンジェラ……!」
元は辺境伯の嫡女であるイーデン王妃フレイヤ。彼女も楽しいことが大好き。これにはイーデン国王フレデリックも賛同する。
愛娘アンジェラの提案に嬉しそうなグラント公爵夫人キャロラインがいる。釣られて苦笑するのは夫君ダリウス。
◇
そしてどうなったか?
3曲目の円舞曲は予想外の大勢で舞う舞踏へと発展。イーデン国王夫妻までもが群舞に混じり、これ以上ない程の華やかさと煌々しさ。
初々しい花達と貴公子達の舞踏で埋め尽くされた壮麗な〈黄金の大広間〉は、いつにもなく華やかな舞踏会場と化す。
おまけにグラント公爵夫人キャロラインまでもが美声で後押し。優美な曲を奏でる楽団に合わせて、実に見事な歌声を披露してみせた歌姫キャロラインに、誰もが感無量で涙ぐむ。
アンジェラの〈披露目の舞踏会〉は稀に見る素晴らしい舞踏会となり、熱気冷めやらぬ中、無事に終幕を迎える。
後世に語られる程に、誰にとっても想い出深い舞踏会となった。
どちらも社交界を二分する寵児。その貴公子2人との円舞曲を披露したグラント公爵令嬢アンジェラは、今や時の人。
鮮烈のデビューを飾る。
大注目の的であるアンジェラは、無事に披露目の舞踏を終えたことに安堵。そうかと思えば、仄かに芽生え始めた感情にはやや困惑。
新たな感情の芽生えに胸が痛いアンジェラ。
(何だろう? 胸の奥がチリっと……)
王太子フェリクスと侯爵令嬢バーバラの楽しげな舞踏を見てからは、胸の奥がチクリと痛む。鳴り止まない胸の鼓動も気になるところ。
実際、王太子フェリクスと侯爵令嬢バーバラとの舞踏を気にしていたアンジェラは、専属護衛エヴァンと円舞曲を舞いながらも気はそぞろ。
(王太子殿下はバーバラちゃんが好きなのかなぁ。バーバラちゃんは可愛いし……)
アンジェラの余計な杞憂はおそらく「嫉妬」という感情。
胸の中に芽生え出した仄かな想いに気付かさるアンジェラ。
高鳴る胸の鼓動に速まる動悸。それがこそ恋心の芽生え。
◇
さておき。
専属護衛エヴァンとの円舞曲を終えれば、ようやく密接する互いの身体が離れ、最後の一礼にて終い。
ホッと胸を撫で下ろすアンジェラ。だが、次の瞬間には、アンジェラの左手を掴む王太子フェリクスと右手を掴む専属護衛エヴァン。
「エヴァン……2曲目の円舞曲は千歩譲って花を持たせてやったが、3曲目までも出しゃばるとは良い度胸ではないか?」
「何を仰いますか、殿下。天使様とのファーストダンスのお相手をした貴方様です。これで3曲目までも天使様のお相手をしたとなれば……あらぬ憶測を呼びましょう」
「無論、私は構わない。むしろ、望むところだ」
「殿下……そうは言われますが、天使様は今のところ殿下の婚約者ではありません。誰のものでもないということです」
「フッ、笑止。元より私の相手はアンジェラと決まっている。何よりも私とアンジェラは、幼い頃に運命的な出逢いを果たしている」
「それはそれ……過去よりは今です」
「……はっ! 何を言うか?」
不毛な争いを続ける2人。
そこへと割って入るのが侯爵令嬢バーバラ。アンジェラの両手を掴む王太子フェリクスと専属護衛エヴァンの手を叩き落とす。
「アンジェラお姉様! 私と踊りましょう!」
爛々と瞳を輝かせては告げる侯爵令嬢バーバラ。
「そうね、そうよね。私もバーバラちゃんとも踊りたいわ」
「「……何っ?!」」
声を揃えて驚く2人の貴公子にもアンジェラは提案してみせる。淑女らしく淑やかに。
「実は良いことを思いついたのです。折角の華やかな舞踏会です。より華を添える意味でも皆様で群舞を舞うのはいかがでしょう? 私が育った辺境の地では、皆んなで楽しく一斉に踊ることが多いのです」
これにはイーデン王妃フレイヤが高らかに笑う。
「それは確かに名案だ。アンジェラ……!」
元は辺境伯の嫡女であるイーデン王妃フレイヤ。彼女も楽しいことが大好き。これにはイーデン国王フレデリックも賛同する。
愛娘アンジェラの提案に嬉しそうなグラント公爵夫人キャロラインがいる。釣られて苦笑するのは夫君ダリウス。
◇
そしてどうなったか?
3曲目の円舞曲は予想外の大勢で舞う舞踏へと発展。イーデン国王夫妻までもが群舞に混じり、これ以上ない程の華やかさと煌々しさ。
初々しい花達と貴公子達の舞踏で埋め尽くされた壮麗な〈黄金の大広間〉は、いつにもなく華やかな舞踏会場と化す。
おまけにグラント公爵夫人キャロラインまでもが美声で後押し。優美な曲を奏でる楽団に合わせて、実に見事な歌声を披露してみせた歌姫キャロラインに、誰もが感無量で涙ぐむ。
アンジェラの〈披露目の舞踏会〉は稀に見る素晴らしい舞踏会となり、熱気冷めやらぬ中、無事に終幕を迎える。
後世に語られる程に、誰にとっても想い出深い舞踏会となった。
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