英雄様は愛されたい

結人

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今日の陛下の執務室は朝から満員御礼だ。

「ジーク!プロポーズを受けたと聞きました!おめでとうございます!」

「陛下がやっと番を見つけてくれたので私の肩の荷もおりましたわ」

「これからの手続きの関係もあるので式や入宮の予定を組んでいきましょう」


ヴィーザル皇太子殿下、アフロディーテ皇后陛下、宰相ミネルヴァが決定事項のように話を進めていく。
なぜ、昨日の今日でここまで話が広がっている?

「プロポーズっていうか…拒否という選択肢がありませんでした」

昨日のあれをプロポーズと言っていいのか?
なりなさいと命令口調だったし…元々アレクに対しては伴侶になると返事をしていたからプロポーズならあの時の方がプロポーズっぽかった気がする。

「あら?陛下?指輪はまだ渡してないのですか?」

部屋の隅に立っていた俺の左手を見た皇后陛下が言うと俺は居たたまれない気持ちになる。左手をぎゅっと握り後ろに隠した。

「指輪を付けていては剣が握れませんので…外してます」
「…なるほど!では陛下の指輪は受け取ったのですね!」

普段の作られた笑顔とは違う本当に嬉しそうな様子の華やかな笑顔を見せる皇后陛下は侍女を呼ぶと宝石箱を持ってこさせた。

「陛下はこういうことに頭が回らない残念なタイプなのです。言葉も足りないし、思い込みも激しいでしょう?人間の心の機微が全くわからないのですわ。あなたもこれから苦労するでしょうが呆れず彼のそばにいてあげてください」

俺の首にチェーンのみのネックレスをかけると、皇后陛下は耳元で囁いた。

「あの指輪は必ず肌身離さず持っていてください」

そう言って俺の首にかけたチェーンを指差す皇后陛下から引き離すように俺の腕を引くと、陛下は俺を後ろから抱きしめた。

「ディーテ!ジークに近すぎるぞ!!」
「別にとって食べたりしませんわ。そんなことしたら私だってミネルヴァに怒られてしまいます」

「ミネルヴァ様に…ですか?」

陛下に抱きしめられたまま気になったことを口に出してしまった俺の疑問に答えるように皇后陛下は歩き出すと宰相の膝に座り、首に腕を絡ませ、見せつけるように頬にキスをする。

「さっきも言ったでしょう?肩の荷が下りたって。やっと陛下の隣の席をお譲りできますからこれからは私自身の幸せを求めていきます」

「あ、実は…宰相と母は昔からの恋仲なのです。僕も15の時に告白されて自分の存在意義に悩んだりしましたよ。前に言ったでしょう?父と母は同志な関係なんですって」

ゆっくり紅茶を飲んでいたヴィーザル殿下が俺に説明してくれた。

「とにかく!早く式をあげてくださいね。もうすぐ40になる私がミネルヴァの子を産むにはタイムリミットがあるのです!」

「えっ?!待ってください!!皇后陛下はミネルヴァ様と再婚されるのですか?!」
「もちろんです。この国は一夫一妻制。あなたが陛下の妻になるなら私は必要ないでしょう?」
「そんな!皇后陛下がいなくなったら大変じゃないですか!!」

皇后陛下はキョトンとした顔で俺を見る。
執務室がシーンと静まりかえった。




「…何を言ってるの?あなたがいるじゃない?」







「嫌です!絶対になりません!!」
「そんなこと言わないで!貴方はアレクを愛しているのでしょう?一緒にいると誓ったのではなくて?」
「確かに一緒にいると言いましたが皇后になるとは誓ってません!」

そんな大事な話をすっぽかしてプロポーズをしてくるなんて…皇后にならないといけないってわかっていたら一緒になるなんて言ってない。
それに俺が一緒になるって言ったのはドラゴンのアレクであって皇帝陛下ではない!!

「ジークは私の幸せを喜んでくれないのかしら?」
「皇后陛下の幸せですか?」

部屋の隅で膝を抱え座り込んだ俺の前にしゃがむと、皇后陛下は俺の頭を撫でながら話す。

「アレクとは若い頃から目的を持って一緒に歩んできたけれど、それは愛ではなく友情なの。もちろんアレクとの子であるヴィーザルの事は愛しているわ。あの子が成長していく姿を見るのはとても幸せよ。でも私は愛する人と夫婦になりたいの。皇后ではなくアフロディーテとしてミネルヴァを愛し、あの人の子を産んであげたいわ」

顔を上げ皇后陛下を見ると、優しい顔で微笑んでいる。

「ジークが陛下を愛してないのなら強制はしません。でも彼を愛しているなら彼の隣に立ってあげてほしいわ」



※※※※※※※※

ストック切れました。
また亀スピードで更新になるかと…
前よりは早い更新できると思うのですがどうなるやら私自身わかりません💦

気長にお付き合いよろしくお願いします🙏


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