英雄様は愛されたい

結人

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朝、いつもの様に準備をし、執務室に向かう。

「おはようございます」

「あぁ」

先に執務室で仕事を始めていた陛下は俺を見ると立ち上がり、机に置かれていた指輪を手渡してくる。


「ジークに渡しておく」
「これは?」
「伴侶の証しだ」
「は…伴侶?!本気ですか?!」

また伴侶~!!??
この間からなんなんだ?!
ヴィーザル殿下が言っていたことは本当だった。陛下は本当に俺のことを伴侶にしようと思っていたのか??

「こ…こんなのもらえませんよ!!っていうか、伴侶って何ですか?!俺たちそんな関係じゃないですよね??上司と部下…ですよね??」

「ずっと一緒に…私の側にいると約束したではないか?」
「確かに約束しましたけどそういう意味だったんですか?!」

「それ以外になかったが?それとも伴侶になれない理由でもあるのか?」

少し怒った様子の陛下を前に、過去の陛下の様子を振り返る。2人で遠乗りに出かけた後から、様子がおかしかった。遠乗りに出かけたあの時、確かに俺も臣下としてだが…ずっと一緒にいると約束をしたような気がする。

でも、まさか伴侶としての話だとは思わないだろう?
そんな言葉はあの時出てなかったし、それまでにも俺たちの間にそんな雰囲気も関係もただ一つとしてなかった。

どう返事すれば陛下の逆鱗に触れないのか…と思案する。

「…お…俺は…ほ…他に約束した相手がいます!!彼と伴侶になる約束をしたので陛下の伴侶には…なれません!!」

そう言った途端。
陛下の顔が般若に変わった。

あ…返答を間違えた…

「ほう?!そんな相手がいたとは知らなかった。相手を教えてもらってもいいか?」

「…り…りゅう…です。この城に住んでるドラゴンと伴侶になる約束を交わしました!!!」

「……。」

恐る恐るそう答えた瞬間、空気が変わった。
陛下は腕を組み執務机に軽く腰をかけると俺の方をジッと見つめてくる。

「その竜の事が好きなのか?」

「え?…そっ…そうですね。好きです。いてくれたら安心するし安らげます。彼がいない夜は…もう考えられません」

「ずっと一緒に…伴侶になりたいと思うほどなのだな?」

「…はい」

「そうか、わかった。ではこの指輪は私が預かっておく」

思いのほか、簡単に引き下がった陛下は椅子に座り直すとまた仕事の書類に目を通していく。

「もう…いい…のですか??」
「あぁ。構わない」

先ほどとは打って変わって珍しく頬を緩ませ、だらしない顔をした陛下は俺を見てニコリと笑う。
そしてそれ以上何も言ってこなかった。

なぜ機嫌が良くなったのかわからない陛下の様子に俺の頭は疑問でいっぱいだったが、溜まりに溜まった仕事を片付けていたらそんなことが朝にあったことも俺は忘れてしまっていた。






夜、アレクのもとに向かうとそこには陛下が立っていた。

「陛下?!どうされたのですか?」

「いや。まさか、ジークに話してなかったとはな。うっかりしていたんだ。城にいる者は殆どの人間が知っていることだからジークももちろん知っていると思っていた」

「陛下?何の話をされているんですか?」

俺の近くまで来た陛下は朝に持っていた指輪を俺に渡してくる。

「いや!陛下!!私は竜の伴侶になるので陛下の伴侶になれないとお話しましたよね?」

「あぁ、その話は聞いた。だから指輪をこの場所でもう一度ジークに渡すんだ」

目の前で陛下の姿が竜に変わる。

「お前が伴侶として約束を交わした竜は私だ。だからその指輪はジークが持っているのが正しい」

頭に響く声に、目の前で起こっていることに…理解が追いつかない。いつの間にか元の姿に戻っていた陛下が俺の手のひらにある指輪を取るとそのまま左手薬指に通す。

「ジーク。私の伴侶になりなさい」

俺の指につけられた赤い光を放つ指輪。
呆然と立ちつくす俺の前に、イタズラが成功した子供のように嬉しそうな顔をした陛下が立っている。

「私がいない夜は考えられないのだろう?」

顎を掴まれそのまま唇にキスをされた。
月明かりしかない竜の巣で、キスしてきた陛下は、俺の大好きなドラゴンと同じ真っ赤な瞳で…俺をじっと見つめていた。


※※※※※※※※※
やっとBがLしだしたよ~!
ここまで長かった…。
このまま一気にいきたい気持ちはいっぱいありますが…いけるかな…💦

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