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今回攻め入ってきた二国との戦争は停戦という形で幕を閉じた。
元々貿易で交流のあった国なので関税などで再調整していくとのこと。交渉を宰相ミネルヴァが主体で進めていく。
「前線の私たちもやっと帰ることができますね」
「大きな被害が出なくて本当に良かった」
ヴィーザル殿下の初陣として華々しいものではなかったが、彼がこれから成長できるものになったのではと思える。
「あ!ジークは陛下といつ一緒になるのですか?」
ヴィーザル殿下と片付けられていく野営地を見ていると、思い出したように聞かれた。
「…一緒に?…ですか?護衛はこのあとすぐに復帰して同行しようと思ってます。あ!ヴィーザル殿下の護衛は他の者に伝えてありますのでご心配には及びません」
「いや…違うよ!そんな話じゃなくて!いつ城に入るのかなって思って。母はいつでも構わないと話してますし。あとはジーク次第なんでしょう?」
「…城に入る…ですか?帰還はここからですと2日ほどかかるかと…陛下の安全を確保しながらですので余裕を持った行程で行く予定です」
目の前の殿下が渋い顔をしている。
何か…殿下との会話が噛み合ってない気がする。
「ジーク?…ワザとはぐらかしてる?」
「すみません。ヴィーザル殿下が話されている意味がよく分かっていないようです。何の話をされているのですか?」
「何って…ジークは父上の伴侶になるんだろ?」
「…は?…ハンリョって?…っ…伴侶?!何のことですか?!」
なぜそんな話になっているのだ?
護衛騎士として陛下のもとに戻るって話ではなく??
「あれ?まだその話はジークに伝わってないのか?」
「いや、話も何も陛下と俺はそんな関係ではありませんよ!!なぜそんな話になっているんですか?!」
伴侶とは恋人や婚約者がなるものだろ??
陛下は若い頃に皇后陛下と結婚されているしヴィーザル殿下という後継者もおられる。
「いや…父上はこれからもずっと一緒にいると言っていたと話していましたよ?」
「ん??…護衛騎士としてですよね?確かにそんな話はありました。側にいると言った気がします」
「え?!いや!そうだ!…夜…夜も一緒に過ごしてるんですよね?」
「よる!?夜は陛下の護衛はしてませんよ?!退勤後ヴィーザル殿下の授業もしてるじゃないですか!?」
夜はいつもアレクの巣に行っている俺が陛下と一緒に過ごせるわけがない。なぜ、そんな話が出てくるのか不思議で仕方がない。
怪訝そうな顔をこちらに向けてくるヴィーザル殿下。納得はしていない様子だったがこれ以上この件について話してこなかった。
「…何か…お二人がすれ違っている気がしますね。とにかくまだまだのようだと母に報告しておきます」
よくわからないが話が終わったようなのでずっと気になっていたことを聞いてみる。
「そういえば、アレクはまだここに残っているのですか? 私を助けてくれた後は見かけていないので巣に戻ったのかと思っていたのですが?」
「僕がジークの所に来る前に陛下の天幕の方でミネルヴァ宰相と話しているのを見かけましたけど?」
「やっぱり陛下も宰相もアレクの事をご存知なのですね。まぁ、あんな大きな竜をこの国の陛下や宰相が知らないはずないか。忙しいならまた城に戻った後にお礼するとするよ」
やっと平和な日常が戻りそうだ。
城に戻り事後処理が終わるとすぐに俺はアレクの巣に向かった。
「アレク!!」
巣についてすぐ声をかけたがその場所はまだ誰も居なかった。
「まだ、アレク戻ってきてないのか…アイツも忙しいんだな…」
アレクがいつも座っている場所に寝転がり空を眺めていると月にかかる影が近づいてくる。何か?なんて悩むことはない。空から降りてきた彼の首に俺は飛びつく。
「もう来てたのか?」
「あぁ!アレクにお礼が言いたかったんだ!あの時、俺を助けてくれてありがとう!!」
俺の頬に鼻先を擦り付けてくるアレクの顔を抱きしめて俺からも鼻にキスをする。
「目の前で崖から飛び降りるお前を見て助けないわけないだろう?」
「そうだ!対岸にアレクもいたんだな?逃げるのに必死だったからかな?この大きな体を見つけられてなかったんだよ」
「もう、二度とあんなことはしないでくれ。私の心臓がいくつあっても足りない」
「いや、下に川があるのも確認してたし、風魔法で落ちるスピードも調整してたから大丈夫だと判断して飛び降りたんだよ?」
尾が立ったままの俺の身体に巻き付き、優しく抱きしめる。いつもアレクに触れているだけで幸せな気分で満たされる。…いや、アレクがいるだけで本当に幸せだ。
「お前は俺の伴侶だ。勝手に死ぬのは許さん。危険なことはするな」
そう言うとアレクはオレの体を尾で巻き付け持ち上げる。大きな赤い瞳が目の前でギラリと光りオレの姿を映した。
「え?…俺ってアレクの伴侶なの??」
「ずっと一緒にいると約束したではないか?」
「そう…だったかな?」
最近、伴侶という言葉をよく聞くな…
共に連れ立つ者…か。
「そうだな…アレクとならずっと一緒にいたいな。アレクの体温を感じながら寝ないと俺はもう熟睡できないんだよ」
アレクに抱きつき体に耳を当てるとゆっくり響く心臓の音が聞こえた。
「竜の心臓の音ってゆっくりなんだな」
「竜は長生きだからな。大きな生き物ほど心拍はゆっくりで長生きだと言われている。そしてその竜の伴侶はその心臓が分け与えられる」
「心臓を分けるの?!」
凄くグロテスクな映像が頭の中で流れてくる。
俺がものすごく嫌な顔をしていたのだろう。アレクが面白そうに笑う。
「いや、本当に切り分けるわけではない。契約をするんだ。ただ1人、一度だけ出来る契約だ」
「それは今ここでも出来るのか?」
「…出来るが。ここでは私がしたくないな」
「なんだよそれ!!気になるなぁ」
何か特別な事をするんだろうな。
外…では出来ない事とか??
「じゃあ、いつかアレクが契約したいって時には俺に声をかけてくれよ。俺もアレクとずっと一緒にいたいって気持ちに嘘はないからさ!!」
温かいアレクの体温に包まれ、ゆっくり刻むアレクの心臓の音を聞きながら俺はいつもの様にアレクの横で眠る。
※※※※※※※※
やっとBLの気配がきた…?
元々貿易で交流のあった国なので関税などで再調整していくとのこと。交渉を宰相ミネルヴァが主体で進めていく。
「前線の私たちもやっと帰ることができますね」
「大きな被害が出なくて本当に良かった」
ヴィーザル殿下の初陣として華々しいものではなかったが、彼がこれから成長できるものになったのではと思える。
「あ!ジークは陛下といつ一緒になるのですか?」
ヴィーザル殿下と片付けられていく野営地を見ていると、思い出したように聞かれた。
「…一緒に?…ですか?護衛はこのあとすぐに復帰して同行しようと思ってます。あ!ヴィーザル殿下の護衛は他の者に伝えてありますのでご心配には及びません」
「いや…違うよ!そんな話じゃなくて!いつ城に入るのかなって思って。母はいつでも構わないと話してますし。あとはジーク次第なんでしょう?」
「…城に入る…ですか?帰還はここからですと2日ほどかかるかと…陛下の安全を確保しながらですので余裕を持った行程で行く予定です」
目の前の殿下が渋い顔をしている。
何か…殿下との会話が噛み合ってない気がする。
「ジーク?…ワザとはぐらかしてる?」
「すみません。ヴィーザル殿下が話されている意味がよく分かっていないようです。何の話をされているのですか?」
「何って…ジークは父上の伴侶になるんだろ?」
「…は?…ハンリョって?…っ…伴侶?!何のことですか?!」
なぜそんな話になっているのだ?
護衛騎士として陛下のもとに戻るって話ではなく??
「あれ?まだその話はジークに伝わってないのか?」
「いや、話も何も陛下と俺はそんな関係ではありませんよ!!なぜそんな話になっているんですか?!」
伴侶とは恋人や婚約者がなるものだろ??
陛下は若い頃に皇后陛下と結婚されているしヴィーザル殿下という後継者もおられる。
「いや…父上はこれからもずっと一緒にいると言っていたと話していましたよ?」
「ん??…護衛騎士としてですよね?確かにそんな話はありました。側にいると言った気がします」
「え?!いや!そうだ!…夜…夜も一緒に過ごしてるんですよね?」
「よる!?夜は陛下の護衛はしてませんよ?!退勤後ヴィーザル殿下の授業もしてるじゃないですか!?」
夜はいつもアレクの巣に行っている俺が陛下と一緒に過ごせるわけがない。なぜ、そんな話が出てくるのか不思議で仕方がない。
怪訝そうな顔をこちらに向けてくるヴィーザル殿下。納得はしていない様子だったがこれ以上この件について話してこなかった。
「…何か…お二人がすれ違っている気がしますね。とにかくまだまだのようだと母に報告しておきます」
よくわからないが話が終わったようなのでずっと気になっていたことを聞いてみる。
「そういえば、アレクはまだここに残っているのですか? 私を助けてくれた後は見かけていないので巣に戻ったのかと思っていたのですが?」
「僕がジークの所に来る前に陛下の天幕の方でミネルヴァ宰相と話しているのを見かけましたけど?」
「やっぱり陛下も宰相もアレクの事をご存知なのですね。まぁ、あんな大きな竜をこの国の陛下や宰相が知らないはずないか。忙しいならまた城に戻った後にお礼するとするよ」
やっと平和な日常が戻りそうだ。
城に戻り事後処理が終わるとすぐに俺はアレクの巣に向かった。
「アレク!!」
巣についてすぐ声をかけたがその場所はまだ誰も居なかった。
「まだ、アレク戻ってきてないのか…アイツも忙しいんだな…」
アレクがいつも座っている場所に寝転がり空を眺めていると月にかかる影が近づいてくる。何か?なんて悩むことはない。空から降りてきた彼の首に俺は飛びつく。
「もう来てたのか?」
「あぁ!アレクにお礼が言いたかったんだ!あの時、俺を助けてくれてありがとう!!」
俺の頬に鼻先を擦り付けてくるアレクの顔を抱きしめて俺からも鼻にキスをする。
「目の前で崖から飛び降りるお前を見て助けないわけないだろう?」
「そうだ!対岸にアレクもいたんだな?逃げるのに必死だったからかな?この大きな体を見つけられてなかったんだよ」
「もう、二度とあんなことはしないでくれ。私の心臓がいくつあっても足りない」
「いや、下に川があるのも確認してたし、風魔法で落ちるスピードも調整してたから大丈夫だと判断して飛び降りたんだよ?」
尾が立ったままの俺の身体に巻き付き、優しく抱きしめる。いつもアレクに触れているだけで幸せな気分で満たされる。…いや、アレクがいるだけで本当に幸せだ。
「お前は俺の伴侶だ。勝手に死ぬのは許さん。危険なことはするな」
そう言うとアレクはオレの体を尾で巻き付け持ち上げる。大きな赤い瞳が目の前でギラリと光りオレの姿を映した。
「え?…俺ってアレクの伴侶なの??」
「ずっと一緒にいると約束したではないか?」
「そう…だったかな?」
最近、伴侶という言葉をよく聞くな…
共に連れ立つ者…か。
「そうだな…アレクとならずっと一緒にいたいな。アレクの体温を感じながら寝ないと俺はもう熟睡できないんだよ」
アレクに抱きつき体に耳を当てるとゆっくり響く心臓の音が聞こえた。
「竜の心臓の音ってゆっくりなんだな」
「竜は長生きだからな。大きな生き物ほど心拍はゆっくりで長生きだと言われている。そしてその竜の伴侶はその心臓が分け与えられる」
「心臓を分けるの?!」
凄くグロテスクな映像が頭の中で流れてくる。
俺がものすごく嫌な顔をしていたのだろう。アレクが面白そうに笑う。
「いや、本当に切り分けるわけではない。契約をするんだ。ただ1人、一度だけ出来る契約だ」
「それは今ここでも出来るのか?」
「…出来るが。ここでは私がしたくないな」
「なんだよそれ!!気になるなぁ」
何か特別な事をするんだろうな。
外…では出来ない事とか??
「じゃあ、いつかアレクが契約したいって時には俺に声をかけてくれよ。俺もアレクとずっと一緒にいたいって気持ちに嘘はないからさ!!」
温かいアレクの体温に包まれ、ゆっくり刻むアレクの心臓の音を聞きながら俺はいつもの様にアレクの横で眠る。
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やっとBLの気配がきた…?
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