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9. 花咲かカガチ
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こつを掴んでからのカガチは早かった。数日としないうちに身体中の大抵のところから蔦を出せるようになった。背中や膝の裏、お尻、足首、手足の指の股なんかからも出せるようになった。ただし、背中側の狙ったところだけから出すのは難しくて、それが目下の課題である。
この課題を乗り越えるためにクダンが採った訓練方法の第一段階は、背中を剣で刺す、だった。刺すといっても、普通の剣で刺すのではない。用いるのはスースが出した聖剣【治癒の剣】だ。この剣の切っ先でちょんと突くだけなら、痛みはあっても怪我はしない。緊張感を出しつつ安全に訓練できるというわけだ。
「これはそのような使い方をする剣ではない!」
スースは最初、そのように吠えて、クダンにこの剣を貸し出すことを拒否した。しかし、カガチのためだと言われて説得されると渋々ながら貸し出したのだった。
そうしたわけで借り受けた聖剣を手にしたクダンは、上半身裸で座禅しているカガチの背後に立つと、カガチの背中を聖剣の切っ先でおもむろに、ちょんと突っつく。
「――ひゅ!?」
カガチは、びくっと跳ねるように背筋を逸らす。でもすぐに訓練の手順を思い出して、いま突っつかれたと思う箇所から蔓を飛び出させた。
「違う。右にずれすぎだ。俺が刺したのは、もっと左だぞ」
「ひっ……ひ、ひだり……うぅ……わっ、分かんなっ、っ……!」
「……こりゃ思ったより苦戦するかね」
背中越しで見えなくてもカガチが涙目になっているのが分かって、クダンは苦笑混じりに独りごちた。
「おい、クダンよ。この訓練はそこまで意味のあることなのか?」
傍で見ていたスースが、胡乱げな眼差しをクダンに投げた。
今日の訓練も日差しが気持ちいいので庭先でやっていたのだけど、スースも「剣を貸している以上、我輩には監督責任がある」と言って、散歩に行かずにクダンたちの傍らで日向ぼっこしていたのだった。
「意味か? 勿論あるぞ」
「ほう、どんな?」
「出来ないより出来るほうがいいだろ」
「……つまり、大した意味はない、と」
「だな。意味の有無を問われたら有ると答えるが、大した意味があるのかと問われたら、あんまねぇ、と答えるかもな」
クダンは悪びれもせずに言う。こいつに言っても無駄だと感じたのか、スースは会話の相手をカガチに替えた。
「……カガチよ、おまえはそれでいいのか?」
「おっ、お師様が、い、言うならっ……がっ、頑張るっ……!」
「大した信頼だな――おい、クダン。弟子の信頼を裏切ることはするなよ」
「言われるまでもねぇよ」
クダンは会話を切り上げ、カガチの訓練を再開させた。
「あうっ!」
背中へのちくりとした痛みに、カガチは悲鳴を上げる。
「いちいち叫ぶな。そんな暇があったら蔓を伸ばせ。反撃してみろ。痛がるのはその後だ!」
「はっ……い……!」
クダンはその後も、不規則な間隔を空けて同じことを繰り返した。カガチはその度に、びくっと震えて身悶える。でも、必死に歯を食いしばって、悲鳴を上げるのだけは我慢し続けた。
スースは気が気ではないという様子で尻尾をピリピリ震わせていたけれど、その尻尾からは次第に震えが抜けていった。
「ほう……確かに、意味がなくもなかったな」
目も口もきつく閉じて必死の表情になっているところから察するに、カガチは無意識にやっていることなのだろう――カガチの背中からは数本の蔓が出っぱなしになっていた。その蔓の数本が、クダンが剣を突く動きに反応して渦を巻くように伸びていき、剣の切っ先が刺さるはずのところに網の目を作る。まるでその部分だけが蔓で出来た鎖帷子を着ているかのようになり、剣の切っ先を受け止めるようになっていた。
網の目構造である以上、刺すという攻撃を完全に防ぐのは難しく、剣の切っ先は背中の皮膚を軽く傷つけてしまう。そうしてできた刺し傷の深さは爪で突っつかれた程度でしかなかったけれど、緊張と集中の綯い交ぜになった精神状態にあるカガチには、痛みの比較をしている余裕がないようだ。自分がかなりの精度で防御できていることに気づきもしないで、次の突っつきがいつ来るのかと、うなじや首筋に脂汗を浮かべて息を詰めている。
「……」
少し考えるような間を取ったクダンは、聖剣の柄を両手で握り直して、切っ先を真上に持ち上げる。八相の構えだ。
スースが耳を立てて腰を浮かす。いつでもクダンに飛びかかれる姿勢を取ったのだ。しかし、クダンに一瞥されると、その視線からクダンの意図を感じ取ったのか、スースは不服そうに尻尾を震わせながら腰を落としていった。
カガチは何も気づいていない。じっと目を閉じ、背中に来るだろう刺激に集中している。
カガチは背中を突かれるとしか思っていない。クダンが首を斬るつもりでいるとは、夢にも思っていない。だから、クダンが無言で聖剣を振り下ろしても、カガチは何の反応もしなかった。
反応したのは、斬られるはずの頸部や肩口から溢れ出でた蔓だった。無数の蔓は肩口よりも僅かに高いところで素早く網を作る。魔力漲る蔓で編まれた帷子は、ぐんっと撓みつつも聖剣の刃を受け止めた。
「ぴひっ!?」
一拍遅れて、カガチが半濁音の悲鳴を上げる。クダンが背後から首に斬りつけてきたことに、この瞬間まで気づいていなかったからだ。
「不測の一撃も無意識で防ぐか……いや、無意識だからこそ、か?」
クダンは感心しながら剣を引いた。
「ふぇ、え、え……? お、お師、さまっ……つっ、突くって……せ、背中って……え? えっ?」
カガチは潤んだ瞳でクダンを振り仰ぐ。戸惑いと批難と不安と悲しみと――その辺りが綯い交ぜになった涙目に、クダンはさすがにばつの悪そうな顔をした。が、すぐに咳払いして表情を取り繕う。
「んっ……この訓練の趣旨は、死角からの攻撃に対する対処だから、背中にいくぞと言ったからって、素直に背中だけを攻撃するわけがねぇだろってこった」
「……」
何か言いたげなカガチの瞳。それを代弁するようにスースが問いかける。
「クダンよ、この訓練の趣旨は、見えない背中側でも狙ったところから蔓を生やせるようにする――ではなかったか?」
「え……、……あっ」
クダンは本気で忘れていたようだ。
「弟子の素首を背後から狙った理由がそれとは……カガチ、こんな適当男を師匠などと呼ばなくていいぞ」
「ん……」
カガチは頷かなかったけれど、頭を振りもしなかった。微妙な角度で首を捻っている。
「いや、待て。二人とも! 言っておくが本気で斬ろうとしたわけじゃねぇから。寸止めするつもりだったから! っつか、この剣じゃなかったら、やろうとも思わなかったし!」
【治癒の剣】は斬った者を癒す剣だが……
「いくら【治癒の剣】でも、首を落とせば殺せるぞ」
「えっ、本気で?」
「そんなことも知らずに、大丈夫だと思い込んでいたとは……というか、寸止めするつもりではなかったのか?」
「するつもりだったって! ただ、薄皮一枚くらいはいっちゃうかもしれねぇと思ってだな――」
「――いっ、いいの!」
クダンの釈明と、スースの批難。そこに割って入ったのは、落ち着きを取り戻したカガチの一言だった。
「お、お師っ、様はっ……でっ、できない、ことっ……い、言わないっ……!」
カガチはつっかえながらも明言した。スースを見つめる黒い瞳に、まやかしの色は一切見えなかった。
「……クダン、裏切ってやるなよ」
「だから、言われるまでもねぇっての」
恫喝するように低く唸るスースに、クダンは仏頂面で言い返す。でも、その口元には薄らと笑窪が浮いていて、その目元にはほんのりと赤味が差していた。
この課題を乗り越えるためにクダンが採った訓練方法の第一段階は、背中を剣で刺す、だった。刺すといっても、普通の剣で刺すのではない。用いるのはスースが出した聖剣【治癒の剣】だ。この剣の切っ先でちょんと突くだけなら、痛みはあっても怪我はしない。緊張感を出しつつ安全に訓練できるというわけだ。
「これはそのような使い方をする剣ではない!」
スースは最初、そのように吠えて、クダンにこの剣を貸し出すことを拒否した。しかし、カガチのためだと言われて説得されると渋々ながら貸し出したのだった。
そうしたわけで借り受けた聖剣を手にしたクダンは、上半身裸で座禅しているカガチの背後に立つと、カガチの背中を聖剣の切っ先でおもむろに、ちょんと突っつく。
「――ひゅ!?」
カガチは、びくっと跳ねるように背筋を逸らす。でもすぐに訓練の手順を思い出して、いま突っつかれたと思う箇所から蔓を飛び出させた。
「違う。右にずれすぎだ。俺が刺したのは、もっと左だぞ」
「ひっ……ひ、ひだり……うぅ……わっ、分かんなっ、っ……!」
「……こりゃ思ったより苦戦するかね」
背中越しで見えなくてもカガチが涙目になっているのが分かって、クダンは苦笑混じりに独りごちた。
「おい、クダンよ。この訓練はそこまで意味のあることなのか?」
傍で見ていたスースが、胡乱げな眼差しをクダンに投げた。
今日の訓練も日差しが気持ちいいので庭先でやっていたのだけど、スースも「剣を貸している以上、我輩には監督責任がある」と言って、散歩に行かずにクダンたちの傍らで日向ぼっこしていたのだった。
「意味か? 勿論あるぞ」
「ほう、どんな?」
「出来ないより出来るほうがいいだろ」
「……つまり、大した意味はない、と」
「だな。意味の有無を問われたら有ると答えるが、大した意味があるのかと問われたら、あんまねぇ、と答えるかもな」
クダンは悪びれもせずに言う。こいつに言っても無駄だと感じたのか、スースは会話の相手をカガチに替えた。
「……カガチよ、おまえはそれでいいのか?」
「おっ、お師様が、い、言うならっ……がっ、頑張るっ……!」
「大した信頼だな――おい、クダン。弟子の信頼を裏切ることはするなよ」
「言われるまでもねぇよ」
クダンは会話を切り上げ、カガチの訓練を再開させた。
「あうっ!」
背中へのちくりとした痛みに、カガチは悲鳴を上げる。
「いちいち叫ぶな。そんな暇があったら蔓を伸ばせ。反撃してみろ。痛がるのはその後だ!」
「はっ……い……!」
クダンはその後も、不規則な間隔を空けて同じことを繰り返した。カガチはその度に、びくっと震えて身悶える。でも、必死に歯を食いしばって、悲鳴を上げるのだけは我慢し続けた。
スースは気が気ではないという様子で尻尾をピリピリ震わせていたけれど、その尻尾からは次第に震えが抜けていった。
「ほう……確かに、意味がなくもなかったな」
目も口もきつく閉じて必死の表情になっているところから察するに、カガチは無意識にやっていることなのだろう――カガチの背中からは数本の蔓が出っぱなしになっていた。その蔓の数本が、クダンが剣を突く動きに反応して渦を巻くように伸びていき、剣の切っ先が刺さるはずのところに網の目を作る。まるでその部分だけが蔓で出来た鎖帷子を着ているかのようになり、剣の切っ先を受け止めるようになっていた。
網の目構造である以上、刺すという攻撃を完全に防ぐのは難しく、剣の切っ先は背中の皮膚を軽く傷つけてしまう。そうしてできた刺し傷の深さは爪で突っつかれた程度でしかなかったけれど、緊張と集中の綯い交ぜになった精神状態にあるカガチには、痛みの比較をしている余裕がないようだ。自分がかなりの精度で防御できていることに気づきもしないで、次の突っつきがいつ来るのかと、うなじや首筋に脂汗を浮かべて息を詰めている。
「……」
少し考えるような間を取ったクダンは、聖剣の柄を両手で握り直して、切っ先を真上に持ち上げる。八相の構えだ。
スースが耳を立てて腰を浮かす。いつでもクダンに飛びかかれる姿勢を取ったのだ。しかし、クダンに一瞥されると、その視線からクダンの意図を感じ取ったのか、スースは不服そうに尻尾を震わせながら腰を落としていった。
カガチは何も気づいていない。じっと目を閉じ、背中に来るだろう刺激に集中している。
カガチは背中を突かれるとしか思っていない。クダンが首を斬るつもりでいるとは、夢にも思っていない。だから、クダンが無言で聖剣を振り下ろしても、カガチは何の反応もしなかった。
反応したのは、斬られるはずの頸部や肩口から溢れ出でた蔓だった。無数の蔓は肩口よりも僅かに高いところで素早く網を作る。魔力漲る蔓で編まれた帷子は、ぐんっと撓みつつも聖剣の刃を受け止めた。
「ぴひっ!?」
一拍遅れて、カガチが半濁音の悲鳴を上げる。クダンが背後から首に斬りつけてきたことに、この瞬間まで気づいていなかったからだ。
「不測の一撃も無意識で防ぐか……いや、無意識だからこそ、か?」
クダンは感心しながら剣を引いた。
「ふぇ、え、え……? お、お師、さまっ……つっ、突くって……せ、背中って……え? えっ?」
カガチは潤んだ瞳でクダンを振り仰ぐ。戸惑いと批難と不安と悲しみと――その辺りが綯い交ぜになった涙目に、クダンはさすがにばつの悪そうな顔をした。が、すぐに咳払いして表情を取り繕う。
「んっ……この訓練の趣旨は、死角からの攻撃に対する対処だから、背中にいくぞと言ったからって、素直に背中だけを攻撃するわけがねぇだろってこった」
「……」
何か言いたげなカガチの瞳。それを代弁するようにスースが問いかける。
「クダンよ、この訓練の趣旨は、見えない背中側でも狙ったところから蔓を生やせるようにする――ではなかったか?」
「え……、……あっ」
クダンは本気で忘れていたようだ。
「弟子の素首を背後から狙った理由がそれとは……カガチ、こんな適当男を師匠などと呼ばなくていいぞ」
「ん……」
カガチは頷かなかったけれど、頭を振りもしなかった。微妙な角度で首を捻っている。
「いや、待て。二人とも! 言っておくが本気で斬ろうとしたわけじゃねぇから。寸止めするつもりだったから! っつか、この剣じゃなかったら、やろうとも思わなかったし!」
【治癒の剣】は斬った者を癒す剣だが……
「いくら【治癒の剣】でも、首を落とせば殺せるぞ」
「えっ、本気で?」
「そんなことも知らずに、大丈夫だと思い込んでいたとは……というか、寸止めするつもりではなかったのか?」
「するつもりだったって! ただ、薄皮一枚くらいはいっちゃうかもしれねぇと思ってだな――」
「――いっ、いいの!」
クダンの釈明と、スースの批難。そこに割って入ったのは、落ち着きを取り戻したカガチの一言だった。
「お、お師っ、様はっ……でっ、できない、ことっ……い、言わないっ……!」
カガチはつっかえながらも明言した。スースを見つめる黒い瞳に、まやかしの色は一切見えなかった。
「……クダン、裏切ってやるなよ」
「だから、言われるまでもねぇっての」
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