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2 エリム村の暮らし
2-1 宿屋の末娘
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宿屋の朝は早い。
まだ夜の名残を惜しむ空色が揺れ、朝を歓迎する草花が目を覚ますころ、マイ・ブラウンは朝の支度を始める。
マイが手伝う宿屋は、代々ブラウン家が継いでいる長年続く宿屋である。このエリム村は四方を山に囲まれており、山越えのための街道の拠点となっている。
そのため、宿屋は大きな宿屋ではないものの、なくてはならない宿屋として、国を行き交う役人や商人、山々の魔物退治に赴く騎士達が宿屋に重宝されている。
そんな宿屋の末娘が、マイだ。
まだ眠っていたい気持ちを奮い立たせ、のそのそと動き出す。布団の甘い誘惑に負けるわけにはいかない。
今日は帝国からのお客様がくるのだ。
帝国からのお客様は頻繁に来るわけではない。ましてや、こんな小さな村になんて何十年ぶりだろうか、と母は呟いていた。
マイは畑用のエプロンを素早く身につけると、普段寝泊まりしている宿屋の隣の小屋から外へ出た。
もうすぐ冬が来ようとしている。
朝の空気がマイの白い肌を刺すようだった。
そんな日だった、彼に出会ったのは。
まだ夜の名残を惜しむ空色が揺れ、朝を歓迎する草花が目を覚ますころ、マイ・ブラウンは朝の支度を始める。
マイが手伝う宿屋は、代々ブラウン家が継いでいる長年続く宿屋である。このエリム村は四方を山に囲まれており、山越えのための街道の拠点となっている。
そのため、宿屋は大きな宿屋ではないものの、なくてはならない宿屋として、国を行き交う役人や商人、山々の魔物退治に赴く騎士達が宿屋に重宝されている。
そんな宿屋の末娘が、マイだ。
まだ眠っていたい気持ちを奮い立たせ、のそのそと動き出す。布団の甘い誘惑に負けるわけにはいかない。
今日は帝国からのお客様がくるのだ。
帝国からのお客様は頻繁に来るわけではない。ましてや、こんな小さな村になんて何十年ぶりだろうか、と母は呟いていた。
マイは畑用のエプロンを素早く身につけると、普段寝泊まりしている宿屋の隣の小屋から外へ出た。
もうすぐ冬が来ようとしている。
朝の空気がマイの白い肌を刺すようだった。
そんな日だった、彼に出会ったのは。
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