3 / 3
一章
二話『クラス』
しおりを挟む
入学式も程ほどに、僕たち新一年生はぞろぞろと体育館から出始めていた。まだ春先といえど熱気が籠った体育館はそれなりに暑く、退屈な入学式も相まって、みんな早く出たがっているようだった。
僕も人の流れに乗って外に出る。外へ出て周りを見渡すと、なにやら校舎の奥に人が集まっているようだった。正直、自分も式の後半の話は良く聞いておらず、次の指示を聞き逃してしまっていたので、何故そこに人が集まっているのかなど見当もつかなかった。
「同じクラスになれるといーね。」
「ねー」
隣を通り過ぎた女子二人から、そんな会話が聞こえてきた。なるほど。おそらく、クラス発表の掲示板などに人が群がっているのだろう。謎が解けたことに一人満足して僕も掲示板に向かうことにした。
掲示板にはA~Qのクラスが掲示されていた。指で数えながらABCの歌を歌ってみる。
「ABCDEFGHIJKLMNOPQ。17クラスか。」
やはりマンモス校なだけあってクラス数も異次元だ。中学校ではクラス数どころか1クラスしかなかったのだ。それも10人程度。もともと人数が多いことは知っていたが、クラス数という馴染みのある感覚で実感したことで、あらためて僕は都会の凄さに驚いていた。
自分の苗字を名簿から探してみる。クラスが多いのでほーうページでも自分のクラスが確認できるようだったが、僕は掲示板から探すことにした。その方が風情があるというものだ。見つけるのに時間がかかるかと思ったが意外と僕の苗字は早く見つかってしまった。
「A組の17番か。」
クラスが分かったら、教室に集合するようだ。僕は教室の場所を掲示板から確認し、そそくさと移動した。校舎の三階の一番奥。下駄箱から一番遠い位置にある教室だ。道中、沢山の生徒を通り過ぎていき楽しみながら移動できたが、実際毎朝この距離を歩くのかと思うと少し憂鬱に思えた。
やっと教室前に着くと、既にドアは開けられていた。個人的には初めて教室に入るとは、ガラガラとドアを開けてこれから待つ未来に期待を抱き歩き出して行きたかったのだが、流石にわざわざ閉めて入りなおす訳にもいかないし、それはそれでなんだか良くない。
若干楽落胆しながら、そんなことを考えていると、僕の右足は既に教室の中に踏み込んでしまっていた。
「はあ。」
軽くため息をついた。
教室の中には様々な人がいた。近くの席と話す人から、一人で読書をしている人など。この中の人たちが未来の友達になるのかと思うと少し落ち込んでいた心が報われた。黒板に書かれた座席表を見て、自分の席に座る。単純な出席番号順のようだ。
まだ自分の席周辺の人は来ておらず、特にすることもないので、僕は机に突っ伏した。中学の頃の木目が入った木の机とは違い、金属質の白い机の質感を頬から感じ少しホームシックになったが、しばらくするとその冷たさも心地よく感じ、僕は知らず知らずの内に眠りについていた。
僕も人の流れに乗って外に出る。外へ出て周りを見渡すと、なにやら校舎の奥に人が集まっているようだった。正直、自分も式の後半の話は良く聞いておらず、次の指示を聞き逃してしまっていたので、何故そこに人が集まっているのかなど見当もつかなかった。
「同じクラスになれるといーね。」
「ねー」
隣を通り過ぎた女子二人から、そんな会話が聞こえてきた。なるほど。おそらく、クラス発表の掲示板などに人が群がっているのだろう。謎が解けたことに一人満足して僕も掲示板に向かうことにした。
掲示板にはA~Qのクラスが掲示されていた。指で数えながらABCの歌を歌ってみる。
「ABCDEFGHIJKLMNOPQ。17クラスか。」
やはりマンモス校なだけあってクラス数も異次元だ。中学校ではクラス数どころか1クラスしかなかったのだ。それも10人程度。もともと人数が多いことは知っていたが、クラス数という馴染みのある感覚で実感したことで、あらためて僕は都会の凄さに驚いていた。
自分の苗字を名簿から探してみる。クラスが多いのでほーうページでも自分のクラスが確認できるようだったが、僕は掲示板から探すことにした。その方が風情があるというものだ。見つけるのに時間がかかるかと思ったが意外と僕の苗字は早く見つかってしまった。
「A組の17番か。」
クラスが分かったら、教室に集合するようだ。僕は教室の場所を掲示板から確認し、そそくさと移動した。校舎の三階の一番奥。下駄箱から一番遠い位置にある教室だ。道中、沢山の生徒を通り過ぎていき楽しみながら移動できたが、実際毎朝この距離を歩くのかと思うと少し憂鬱に思えた。
やっと教室前に着くと、既にドアは開けられていた。個人的には初めて教室に入るとは、ガラガラとドアを開けてこれから待つ未来に期待を抱き歩き出して行きたかったのだが、流石にわざわざ閉めて入りなおす訳にもいかないし、それはそれでなんだか良くない。
若干楽落胆しながら、そんなことを考えていると、僕の右足は既に教室の中に踏み込んでしまっていた。
「はあ。」
軽くため息をついた。
教室の中には様々な人がいた。近くの席と話す人から、一人で読書をしている人など。この中の人たちが未来の友達になるのかと思うと少し落ち込んでいた心が報われた。黒板に書かれた座席表を見て、自分の席に座る。単純な出席番号順のようだ。
まだ自分の席周辺の人は来ておらず、特にすることもないので、僕は机に突っ伏した。中学の頃の木目が入った木の机とは違い、金属質の白い机の質感を頬から感じ少しホームシックになったが、しばらくするとその冷たさも心地よく感じ、僕は知らず知らずの内に眠りについていた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる