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第四章 青い炎は恵みの雨を受ける
第7話
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「じゃあ、玲奈さん。行ってくるね」
月曜日の平日。大河はスーツに身を包むと仕事に行くために家を出た。
大河が行って、玲奈がホッとすると同時に昨日のことで頭がイライラしている。見た目はそういう雰囲気を出さなうようにしていたせいか、大河が気付いている様子ではない。そして、出掛ける準備をして玲奈も家を出た。
格好は気を抜かないようにロングスカートに薄手のニットで出掛ける。とりあえずカラオケにでも行こうと思い、その場所へ歩を進めた。
(少しでもカラオケで歌って発散しないとこのイライラが積もったまんまだわ!)
玲奈が心の中でそう呟きながら足早にカラオケ店に向かう。
(ムカつく……ムカつく……。あの堅物男、ほんっとにバカじゃん!)
大河の悪口を心で吐きながら人ごみをかき分けて、カラオケ店に急ぐ。玲奈は気付いていないが、周りの通行人たちは玲奈の強張っている顔を見て、下手に何かを言われないように離れていた。
カラオケ店に着き、玲奈は受付を済ませると、ドリンクバーでいつものコーラを注ぎ、部屋に入る。そして、入るなり、選曲をすぐに決めると大きな声でいつものロック系の曲を歌いだした。
「やっぱりここに来たな……」
玲奈がマンションを出てから、友成と彰人は気付かれないように後を付けていた。そして、カラオケ店に入っていったのが分かり、自分たちもカラオケ店に入る。
「すげぇ~歌声だな……」
玲奈が歌っている部屋の近くで友成たちは部屋から洩れている玲奈の歌声に半ば呆れた声を出した。
「まぁ、元々歌は昔から上手な方ではなかったからな。どちらかと言うと歌声はダミ声だったし……。この声で本人はうまいと思っているからどんだけ自信家なのか分かったもんじゃないよ」
「……で、出てきたときに声を掛ければいいんだな?」
「あぁ、よろしく頼むよ……」
「了解。携帯の番号を聞き出してやるよ」
玲奈が歌っている手前の部屋で、玲奈が出てくるのを待つ。出てくるまでの間、彰人が「歌わないか?」と言ったが、友成はそれを断った。
「はぁ~……、いいお天気ですね~」
お昼休み、みんなでいつもの場所に集まってお昼ご飯を食べていると、颯希がフォークで突き刺したタコさんウインナーを手にのほ~んという感じで言葉を発した。
「ふふっ、颯希ちゃん見てると、なんだか穏やかな気持ちになるね」
美優が颯希の様子に微笑みながら言葉を綴る。
「そぉか~?俺にはポケラッタ~にしかみえないぜ?」
来斗がボケーっとしているという言葉をちょっと言い変えて言う。
「まぁ、幸せならいいんじゃない?」
亜里沙が「いつものことでしょ」という感じで淡々と買ってきたおにぎりを食べながら言う。
「そういえば静也くん、今日の朝からなんか様子がおかしかったけど、昨日のパトロールで何かあったの?」
雄太が朝から静也の様子がいつもと違うことに気付いていたのか、声を掛ける。
「いや、別になんかあったわけじゃねぇよ……」
静也が心ここにあらずというような感じで言葉を綴る。
「おっ!もしかしてもしかしたらの展開になったりとかぁ~?」
来斗がニヤニヤしながら言う。
「そ……そんなんじゃねぇよ!」
静也が来斗の言葉で何を言おうとしていたのかを察したため、その事を言わせないために勢い良く否定する。
「……もしかして、玲奈さんのことが今も引っ掛かっているのですか?」
「「「「玲奈さん????」」」」
颯希の言葉に美優たちが声を同時に上げる。静也は、颯希の言葉に頷くと、話し出した。
「なんか、あの人、めっちゃ怖い感じがするんだよな……。なんていうか、うまく言えないけど、『悪』を抱えているって感じがして……。工藤さんと話すのは楽しいけど、あの人とは話したくないな……」
よっぽど玲奈に対して嫌な感じがあるのだろう。静也の顔がどことなく浮かなかったのはこれのせいなのだと分かり、雄太が声を掛ける。
「……確かに、静也くんは本能的にそういう人を見抜くところがあるよね。昔も、近所に優しいお兄さんがいたんだけど、静也くん、怖いって言って近づこうとしなかったし……。そしたら、そのお兄さんが万引きの常習犯だったことが分かって周りは驚いたけど、静也くんは『やっぱり、悪い人じゃん!』って言ってたんだよね」
「なんだか、静也くんは実はすごい人だったのですね……」
雄太の説明に颯希が感心したように言葉を綴る。そこへ、静也が颯希に声を掛けた。
「実はって何だよ」
「だって、どちらかと言えば静也くんはクルッポーな感じですから!」
「だれがクルッポーだよ!」
「クルッターの方が良かったですか?」
「俺は狂っとらんわ!」
「クルッポー!クルッポー!クルッポー!」
「遊ぶな!!」
颯希が静也をからかっている雰囲気を周りは楽しそうに見ている。
「いやぁ~。面白いコンビだな!」
来斗が笑いながら言葉を綴る。
「静也くん、いつもの調子に戻ったね」
雄太の言葉に静也が「え?」と声を出す。
「颯希さん、きっと静也くんを元気付けようとしたんだと思うよ?」
雄太の言葉に静也が颯希の方を振り返る。すると、颯希はニコッと優しく微笑んだ。
「あ……えーと……その……ありがとな……」
静也が照れながらお礼の言葉を言う。
そこへ、チャイムが鳴り、お昼休みが終わりを告げた。
友成と彰人は玲奈が出てくるのをじっと待っていた。そこへ、ドアが開いた音が聞こえる。平日の昼間という事もあり、客もほとんどいない。ドア越しにそっと廊下を覗くと、玲奈が出てきた。僅かに時間差を付けて、友成たちも部屋を出る。
そして、玲奈は会計を済ませると、カラオケ店を出ていった。友成たちは顔を合わせると頷き合い、計画を実行するために彰人が玲奈の後を追った。
「ちょっと、いいですか?」
彰人がその容姿に似合いそうな爽やかな笑顔で玲奈に声を掛ける。
「あの……」
突然声を掛けられて玲奈が戸惑いの言葉を発する。これで、声を掛けてきたのが不細工な男ならスルーしているだろう。彰人の雰囲気が自分の好きなタイプに似ていたので思わず立ち止まってしまう。
「さっき、そこのカラオケ店でロックの曲を歌っていた人じゃないですか?僕もロック系が好きでさっきまで歌ってたんですよ」
「あら!そうなんですか?偶然ですね!」
「歌っている曲でもしかして世代も似ているのかな~と思って気になって声を掛けてしまったんですよ。すみません、急に知らない人に声を掛けられたらびっくりしますよね」
「いえいえ!大丈夫ですよ。むしろ、話が合って嬉しいわ!」
爽やか笑顔で言う彰人の言葉に玲奈は少し頬を染めている。それを彰人が見て、更に言葉を綴った。
「立ち話も何なので、近くの喫茶店で話をしませんか?僕、お金出しますよ!あっ!でも、急には難しいですよね?」
彰人がそう言って、申し訳ないという顔をする。
「いえ!時間を持て余しているのでいいですよ!行きましょう!喫茶店!」
玲奈が慌てて言葉を綴る。せっかくタイプの男が声を掛けてきてフイにするのは勿体ないと感じたのだろう。
(ふふっ。今日は超ラッキーな日ね♪)
こうして、彰人と玲奈は近くの喫茶店に入っていった。
そして、その後姿を友成が気付かれないように後を付ける……。
月曜日の平日。大河はスーツに身を包むと仕事に行くために家を出た。
大河が行って、玲奈がホッとすると同時に昨日のことで頭がイライラしている。見た目はそういう雰囲気を出さなうようにしていたせいか、大河が気付いている様子ではない。そして、出掛ける準備をして玲奈も家を出た。
格好は気を抜かないようにロングスカートに薄手のニットで出掛ける。とりあえずカラオケにでも行こうと思い、その場所へ歩を進めた。
(少しでもカラオケで歌って発散しないとこのイライラが積もったまんまだわ!)
玲奈が心の中でそう呟きながら足早にカラオケ店に向かう。
(ムカつく……ムカつく……。あの堅物男、ほんっとにバカじゃん!)
大河の悪口を心で吐きながら人ごみをかき分けて、カラオケ店に急ぐ。玲奈は気付いていないが、周りの通行人たちは玲奈の強張っている顔を見て、下手に何かを言われないように離れていた。
カラオケ店に着き、玲奈は受付を済ませると、ドリンクバーでいつものコーラを注ぎ、部屋に入る。そして、入るなり、選曲をすぐに決めると大きな声でいつものロック系の曲を歌いだした。
「やっぱりここに来たな……」
玲奈がマンションを出てから、友成と彰人は気付かれないように後を付けていた。そして、カラオケ店に入っていったのが分かり、自分たちもカラオケ店に入る。
「すげぇ~歌声だな……」
玲奈が歌っている部屋の近くで友成たちは部屋から洩れている玲奈の歌声に半ば呆れた声を出した。
「まぁ、元々歌は昔から上手な方ではなかったからな。どちらかと言うと歌声はダミ声だったし……。この声で本人はうまいと思っているからどんだけ自信家なのか分かったもんじゃないよ」
「……で、出てきたときに声を掛ければいいんだな?」
「あぁ、よろしく頼むよ……」
「了解。携帯の番号を聞き出してやるよ」
玲奈が歌っている手前の部屋で、玲奈が出てくるのを待つ。出てくるまでの間、彰人が「歌わないか?」と言ったが、友成はそれを断った。
「はぁ~……、いいお天気ですね~」
お昼休み、みんなでいつもの場所に集まってお昼ご飯を食べていると、颯希がフォークで突き刺したタコさんウインナーを手にのほ~んという感じで言葉を発した。
「ふふっ、颯希ちゃん見てると、なんだか穏やかな気持ちになるね」
美優が颯希の様子に微笑みながら言葉を綴る。
「そぉか~?俺にはポケラッタ~にしかみえないぜ?」
来斗がボケーっとしているという言葉をちょっと言い変えて言う。
「まぁ、幸せならいいんじゃない?」
亜里沙が「いつものことでしょ」という感じで淡々と買ってきたおにぎりを食べながら言う。
「そういえば静也くん、今日の朝からなんか様子がおかしかったけど、昨日のパトロールで何かあったの?」
雄太が朝から静也の様子がいつもと違うことに気付いていたのか、声を掛ける。
「いや、別になんかあったわけじゃねぇよ……」
静也が心ここにあらずというような感じで言葉を綴る。
「おっ!もしかしてもしかしたらの展開になったりとかぁ~?」
来斗がニヤニヤしながら言う。
「そ……そんなんじゃねぇよ!」
静也が来斗の言葉で何を言おうとしていたのかを察したため、その事を言わせないために勢い良く否定する。
「……もしかして、玲奈さんのことが今も引っ掛かっているのですか?」
「「「「玲奈さん????」」」」
颯希の言葉に美優たちが声を同時に上げる。静也は、颯希の言葉に頷くと、話し出した。
「なんか、あの人、めっちゃ怖い感じがするんだよな……。なんていうか、うまく言えないけど、『悪』を抱えているって感じがして……。工藤さんと話すのは楽しいけど、あの人とは話したくないな……」
よっぽど玲奈に対して嫌な感じがあるのだろう。静也の顔がどことなく浮かなかったのはこれのせいなのだと分かり、雄太が声を掛ける。
「……確かに、静也くんは本能的にそういう人を見抜くところがあるよね。昔も、近所に優しいお兄さんがいたんだけど、静也くん、怖いって言って近づこうとしなかったし……。そしたら、そのお兄さんが万引きの常習犯だったことが分かって周りは驚いたけど、静也くんは『やっぱり、悪い人じゃん!』って言ってたんだよね」
「なんだか、静也くんは実はすごい人だったのですね……」
雄太の説明に颯希が感心したように言葉を綴る。そこへ、静也が颯希に声を掛けた。
「実はって何だよ」
「だって、どちらかと言えば静也くんはクルッポーな感じですから!」
「だれがクルッポーだよ!」
「クルッターの方が良かったですか?」
「俺は狂っとらんわ!」
「クルッポー!クルッポー!クルッポー!」
「遊ぶな!!」
颯希が静也をからかっている雰囲気を周りは楽しそうに見ている。
「いやぁ~。面白いコンビだな!」
来斗が笑いながら言葉を綴る。
「静也くん、いつもの調子に戻ったね」
雄太の言葉に静也が「え?」と声を出す。
「颯希さん、きっと静也くんを元気付けようとしたんだと思うよ?」
雄太の言葉に静也が颯希の方を振り返る。すると、颯希はニコッと優しく微笑んだ。
「あ……えーと……その……ありがとな……」
静也が照れながらお礼の言葉を言う。
そこへ、チャイムが鳴り、お昼休みが終わりを告げた。
友成と彰人は玲奈が出てくるのをじっと待っていた。そこへ、ドアが開いた音が聞こえる。平日の昼間という事もあり、客もほとんどいない。ドア越しにそっと廊下を覗くと、玲奈が出てきた。僅かに時間差を付けて、友成たちも部屋を出る。
そして、玲奈は会計を済ませると、カラオケ店を出ていった。友成たちは顔を合わせると頷き合い、計画を実行するために彰人が玲奈の後を追った。
「ちょっと、いいですか?」
彰人がその容姿に似合いそうな爽やかな笑顔で玲奈に声を掛ける。
「あの……」
突然声を掛けられて玲奈が戸惑いの言葉を発する。これで、声を掛けてきたのが不細工な男ならスルーしているだろう。彰人の雰囲気が自分の好きなタイプに似ていたので思わず立ち止まってしまう。
「さっき、そこのカラオケ店でロックの曲を歌っていた人じゃないですか?僕もロック系が好きでさっきまで歌ってたんですよ」
「あら!そうなんですか?偶然ですね!」
「歌っている曲でもしかして世代も似ているのかな~と思って気になって声を掛けてしまったんですよ。すみません、急に知らない人に声を掛けられたらびっくりしますよね」
「いえいえ!大丈夫ですよ。むしろ、話が合って嬉しいわ!」
爽やか笑顔で言う彰人の言葉に玲奈は少し頬を染めている。それを彰人が見て、更に言葉を綴った。
「立ち話も何なので、近くの喫茶店で話をしませんか?僕、お金出しますよ!あっ!でも、急には難しいですよね?」
彰人がそう言って、申し訳ないという顔をする。
「いえ!時間を持て余しているのでいいですよ!行きましょう!喫茶店!」
玲奈が慌てて言葉を綴る。せっかくタイプの男が声を掛けてきてフイにするのは勿体ないと感じたのだろう。
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