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第四章 青い炎は恵みの雨を受ける
第15話
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「……日曜日にN海岸の埠頭近くにある倉庫に夜七時、俺の仲間があの女を連れてくる手筈になっている。その後のことはあなたに任せるよ……」
かかってきた電話に友成はそう告げると電話を切った。そのあと直ぐに別の相手に電話を掛ける。そして、二言三言話すと電話を切る。大きく息を吐き、小さく呟く。
「最後の仕上げだ……」
――――ピコン!
スマートフォンが鳴り、メッセージが来たことを告げる。玲奈がそのメッセージを開く。
『今週の日曜日、予定を空けておいてくれないかな?最高の場所に招待するよ!』
待ちに待った彰人からのメッセージに玲奈はすぐさまオッケーの返事をする。
『じゃあ、夕方の五時に〇〇駅で待ち合わせしよう。玲奈さんのために最高のプレゼントを用意したんだ。きっと、驚くよ!』
彰人からの『最高のプレゼント』と言う言葉に玲奈はますますプロポーズだと思い、嬉しさで飛び跳ねる。
(ふふっ♪ついにプロポーズよね♪もうこれであの真面目堅物男は用済みね♪)
ルンルン気分でクローゼットを開け、その日に着ていく服を選ぶ。
(最高に私の美しさを引き出す格好をしなきゃね!あっ!美容院の予約も入れておこうかしら♪)
そこで、玲奈がふとある事に気付く。
(大河さんに日曜日のことなんて言おうかな……?)
怪しまれないための言い訳を考えるが特にいい案が思いつかない。
(まぁ、何とでも理由は付けれるか……)
そう思い、言い訳を考えるのを止めて、服選びをしていった。
「お父さん、この前の飲み会はどうでしたか?」
夜、夕飯が終わり、リビングでくつろいでいる誠に颯希が声を掛けた。
「うーん……。なんというか、途中までは良かったんだけどね……」
誠がそう言いながら言葉を詰まらす。
颯希がその様子を見て、大河が何かしらを話したのだと察する。そして、父が腰かけているソファーの前に颯希も座ると、口を開いた。
「工藤さん、玲奈さんのこと言っていましたか?」
颯希が真剣な表情で言葉を綴る。颯希の様子で誠が一息つくと、口を開いた。
「……颯希も玲奈さんが何をしたのか知っているんだね」
誠の言葉に颯希が強く頷く。
「私、玲奈さんがしたことが許せないのです。苦しんでいる人のためにも、なんとかなりませんか?」
颯希の真剣な表情に誠がある事を伝えた……。
「静也、最近表情が浮かないけど、颯希ちゃんと何かあったのかい?」
拓哉が心配して声を掛ける。
夕飯を二人で囲みながら食事をしているが、静也が最近元気のないことに気付いていた拓哉は思い切って聞いてみた。思春期だからいろいろあるのだろうと思い、そっとしておいたのだが、父親代わりとしては心配になってしまう。いつもならパトロールから帰ってくると、楽しそうにそのことを話すのだが、ここの所、パトロールから帰ってきても、どこか上の空で拓哉どうだったか話しかけても、「あー」とか「んー」と言った返事しか返ってこない。
「……なぁ、父さん。結婚って何のためにするんだ?」
静也の質問に拓哉が驚く。そして、「うーん……」と考えると、優しく言葉を綴る。
「まぁ、結婚の価値観はいろいろだよね。好きだから結婚する人もいれば、家柄の関係で結婚する人もいる。その他にも、理由はいろいろあるんじゃないかな?安泰を求めて結婚する人とかね」
拓哉の言葉に静也は「ふーん……」と、呟く。
「まぁ、父さんは好き同士が結婚して家庭を築くのが一番いいんじゃないかなって思っているよ」
拓哉が優しく言葉を綴る。
「まぁ、静也には将来を決めている人がいるから父さんも安心だよ!」
「……は?」
「楽しみだね~。颯希ちゃんとの結婚式!」
「だから気が早いって言ってるだろ!」
「出来れば代表スピーチは父さんがしたいなぁ~♪」
「なんでそうなるんだよ!」
「二人の出会いをドラマティックに語らないとね!なんて語ろうかなぁ~♪」
「まだ先の話を今から考えるんじゃねぇよ!」
「いやいや、準備は大切だよ!今から練習しておかないと!」
拓哉がそう言ってスピーチの言葉をこんなんはどうかな?あんなんはどうかな?と言う感じでいろいろ独り言のようにしゃべっている。その喋りに静也がどんどんと顔を赤くして、犬の遠吠えのように叫んだ。
「や……やめんかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
金曜日、大河が仕事を終えて帰宅し、玲奈と共に夕飯を囲む。大河の表情はいつもより和やかにも見える。玲奈がその表情で「勘づいたわけじゃなかった」と安心し、いつものように振舞いながら、食事をしていく。
「……あっ、そうだ。玲奈さん、今度の日曜日に颯希ちゃんと静也くんを呼んで勉強会の第二弾を開こうと思うんだ。夕飯も一緒に食べようと思っているんだけど、玲奈さんはどうする?何なら出掛けてもいいよ?」
大河の言葉に玲奈が心の中でガッツポーズをする。
「そうですね。なら、出掛けてきますね。夕飯は自分で何とかします。勉強会、楽しんでください」
微笑みながら玲奈が言う。
(日曜日の言い訳を考える必要がなくなったわ♪)
「うん。颯希ちゃんたちは熱心な子だから、きっと楽しい勉強会になると思うよ」
大河が嬉しそうに話す。
「そうなんですね。いい子たちですから、きっと大河さんのお話を楽しみにしているかもしれないです。今回はどんな内容のことを勉強するのですか?」
「そうだね、『悪戯では済まされない犯罪の裁き方』ってところかな?」
大河の言葉に玲奈が一瞬固まる。しかし、気のせいだと思い、すぐにいつもの表情に戻し、言葉を綴る。
「素晴らしい内容ですね。頑張ってくださいね」
「うん、ありがとう。きっといい勉強会になるよ」
そう話しながら和やかな夕飯が続く。
玲奈は何も気づいてない……。
刻々と時が迫ってくる……。
玲奈を地獄に落とす「裁き」の時が……。
かかってきた電話に友成はそう告げると電話を切った。そのあと直ぐに別の相手に電話を掛ける。そして、二言三言話すと電話を切る。大きく息を吐き、小さく呟く。
「最後の仕上げだ……」
――――ピコン!
スマートフォンが鳴り、メッセージが来たことを告げる。玲奈がそのメッセージを開く。
『今週の日曜日、予定を空けておいてくれないかな?最高の場所に招待するよ!』
待ちに待った彰人からのメッセージに玲奈はすぐさまオッケーの返事をする。
『じゃあ、夕方の五時に〇〇駅で待ち合わせしよう。玲奈さんのために最高のプレゼントを用意したんだ。きっと、驚くよ!』
彰人からの『最高のプレゼント』と言う言葉に玲奈はますますプロポーズだと思い、嬉しさで飛び跳ねる。
(ふふっ♪ついにプロポーズよね♪もうこれであの真面目堅物男は用済みね♪)
ルンルン気分でクローゼットを開け、その日に着ていく服を選ぶ。
(最高に私の美しさを引き出す格好をしなきゃね!あっ!美容院の予約も入れておこうかしら♪)
そこで、玲奈がふとある事に気付く。
(大河さんに日曜日のことなんて言おうかな……?)
怪しまれないための言い訳を考えるが特にいい案が思いつかない。
(まぁ、何とでも理由は付けれるか……)
そう思い、言い訳を考えるのを止めて、服選びをしていった。
「お父さん、この前の飲み会はどうでしたか?」
夜、夕飯が終わり、リビングでくつろいでいる誠に颯希が声を掛けた。
「うーん……。なんというか、途中までは良かったんだけどね……」
誠がそう言いながら言葉を詰まらす。
颯希がその様子を見て、大河が何かしらを話したのだと察する。そして、父が腰かけているソファーの前に颯希も座ると、口を開いた。
「工藤さん、玲奈さんのこと言っていましたか?」
颯希が真剣な表情で言葉を綴る。颯希の様子で誠が一息つくと、口を開いた。
「……颯希も玲奈さんが何をしたのか知っているんだね」
誠の言葉に颯希が強く頷く。
「私、玲奈さんがしたことが許せないのです。苦しんでいる人のためにも、なんとかなりませんか?」
颯希の真剣な表情に誠がある事を伝えた……。
「静也、最近表情が浮かないけど、颯希ちゃんと何かあったのかい?」
拓哉が心配して声を掛ける。
夕飯を二人で囲みながら食事をしているが、静也が最近元気のないことに気付いていた拓哉は思い切って聞いてみた。思春期だからいろいろあるのだろうと思い、そっとしておいたのだが、父親代わりとしては心配になってしまう。いつもならパトロールから帰ってくると、楽しそうにそのことを話すのだが、ここの所、パトロールから帰ってきても、どこか上の空で拓哉どうだったか話しかけても、「あー」とか「んー」と言った返事しか返ってこない。
「……なぁ、父さん。結婚って何のためにするんだ?」
静也の質問に拓哉が驚く。そして、「うーん……」と考えると、優しく言葉を綴る。
「まぁ、結婚の価値観はいろいろだよね。好きだから結婚する人もいれば、家柄の関係で結婚する人もいる。その他にも、理由はいろいろあるんじゃないかな?安泰を求めて結婚する人とかね」
拓哉の言葉に静也は「ふーん……」と、呟く。
「まぁ、父さんは好き同士が結婚して家庭を築くのが一番いいんじゃないかなって思っているよ」
拓哉が優しく言葉を綴る。
「まぁ、静也には将来を決めている人がいるから父さんも安心だよ!」
「……は?」
「楽しみだね~。颯希ちゃんとの結婚式!」
「だから気が早いって言ってるだろ!」
「出来れば代表スピーチは父さんがしたいなぁ~♪」
「なんでそうなるんだよ!」
「二人の出会いをドラマティックに語らないとね!なんて語ろうかなぁ~♪」
「まだ先の話を今から考えるんじゃねぇよ!」
「いやいや、準備は大切だよ!今から練習しておかないと!」
拓哉がそう言ってスピーチの言葉をこんなんはどうかな?あんなんはどうかな?と言う感じでいろいろ独り言のようにしゃべっている。その喋りに静也がどんどんと顔を赤くして、犬の遠吠えのように叫んだ。
「や……やめんかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
金曜日、大河が仕事を終えて帰宅し、玲奈と共に夕飯を囲む。大河の表情はいつもより和やかにも見える。玲奈がその表情で「勘づいたわけじゃなかった」と安心し、いつものように振舞いながら、食事をしていく。
「……あっ、そうだ。玲奈さん、今度の日曜日に颯希ちゃんと静也くんを呼んで勉強会の第二弾を開こうと思うんだ。夕飯も一緒に食べようと思っているんだけど、玲奈さんはどうする?何なら出掛けてもいいよ?」
大河の言葉に玲奈が心の中でガッツポーズをする。
「そうですね。なら、出掛けてきますね。夕飯は自分で何とかします。勉強会、楽しんでください」
微笑みながら玲奈が言う。
(日曜日の言い訳を考える必要がなくなったわ♪)
「うん。颯希ちゃんたちは熱心な子だから、きっと楽しい勉強会になると思うよ」
大河が嬉しそうに話す。
「そうなんですね。いい子たちですから、きっと大河さんのお話を楽しみにしているかもしれないです。今回はどんな内容のことを勉強するのですか?」
「そうだね、『悪戯では済まされない犯罪の裁き方』ってところかな?」
大河の言葉に玲奈が一瞬固まる。しかし、気のせいだと思い、すぐにいつもの表情に戻し、言葉を綴る。
「素晴らしい内容ですね。頑張ってくださいね」
「うん、ありがとう。きっといい勉強会になるよ」
そう話しながら和やかな夕飯が続く。
玲奈は何も気づいてない……。
刻々と時が迫ってくる……。
玲奈を地獄に落とす「裁き」の時が……。
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