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第五章 花を愛でる小人たちは悲しみの雨を降らせる
第9話
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「……どうぞ、粗茶ですが……」
岡本の母親が颯希たちを家に上げると、リビングに通した。最初は刑事が来たと同時に颯希たちまでいたので何が起こっているのか分からない様子だったが、そこは木津がうまく誤魔化した。そして、呉野が口を開く。
「突然、申し訳ありません。息子さんは御在宅でしょうか?」
呉野の言葉に母親が首を項垂れて横に振る。
「……実は数日前に家から姿をくらましたんです。事件が起きてから何かには怯えている様子でしたが、あの子はいたって普通の子なのでなんで怯えているのかが分からなかったのですよ……。そしたら、ある日、私が家に帰ってきたらいなくなっていて、心当たりを探してみたのですが、見つからないんです……。そしたら、あの子から私のスマホにメッセージが送られてきて『探さないで欲しい。警察にも届けないで欲しい』と書かれていたんですよ……」
母親が悲痛な表情で語る。確かに木津と呉野が聞き込みをしたときでも、岡本に関しては特に悪い話は聞かなかった。ただ、最近、殺された上田たちと一緒にいる所を見かけることがあったというくらいだ。
「……実はお宅の息子さん、竜司さんはグループで女性に暴行を行っていました」
「まさか……そんなこと……」
呉野の言葉に母親が驚きを隠せない。ヤンキーでもない至ってごく普通の息子がそんなことをするはずがないと言うが、呉野が事実だという事を伝えると、母親は真っ青になって震えだす。そこへ、颯希が言葉を発する。
「その……、私たちがこちらへ来たのは前田さんのお母さんから一緒にいるのを見たというのを聞いたからなのですよ……。前田さんのお母さんも、息子さんが普通の感じの子と一緒にいたのが不思議だったから記憶に残っていたそうです……」
颯希の言葉に母親が憎しみを孕んだ声で言葉を発した。
「竜司は大人しい子です……。そんなことをするような子じゃありません……。きっと、脅されていたに違いないわ……。あの子が進んでそんなことに手を染めるはずがない……。絶対にそうよ……」
震えながら絞り出すように声を出す。
「もし、息子さんから連絡がありましたらすぐこちらの番号にご連絡ください。とりあえず、安全を確保する面で、我々も捜索致します」
木津が番号を書いた紙を渡し、岡本家を出る。
「……とりあえず、岡本を探しましょう」
呉野が木津にそう言う。
「私たちも探します!」
颯希が強い口調で言葉を発する。静也と雄太も頷いている。
「私たちは私たちで探します!もし、見つけましたらすぐにご連絡いたします!」
颯希の言葉に木津がため息を吐く。
「じゃあ、もし見つけたらここに連絡をくれ……」
そう言って木津が番号の書いたメモを渡す。そして、二人の刑事は車に乗り込むと去っていった。
「……じゃあ、私たちも岡本さんを探しましょう!」
「あぁ!」
「うん!」
颯希の言葉に静也と雄太がそれぞれ返事をする。そして、岡本が居そうな場所を絞り、捜索を開始した。
ある場所で岡本が毛布をかぶりながら震えていた。
「うぅ……、うぅ……、なんでこんな目に……」
小声で泣きながら蹲る。
「ごめんね……、小岩井さん……、ごめんなさい……」
泣きながらある人物に謝り続ける言葉を綴る。
涙で視界がにじむ。
あんなことをしなければこんな思いをすることはなかったのに、やってしまったこと、起こってしまったことは取り返しがつかない……。
ぐるぐるといろんな考えが頭の中を駆け巡る。
(なんで……こんなことになっちゃったんだろう……)
今さら後悔しても遅いことは分かっているものの、警察に自首しに行く勇気も出ない。このままここで死んだほうが楽なんじゃないかとも考えてしまう……。
(なんだかクラクラする……。もうどれくらい食べ物を口にしていないっけ……?)
岡本が家を飛び出してここに身を潜めてから何も口にしていなかった。
(なんだろう……。無性に水が飲みたい……)
その頃、颯希たちはコンビニや公園など、思い当たる場所を探していた。
「見つかりませんね……」
颯希が落胆の声を出す。
「まぁ、こんな人目に付くところには居ないかもしれないな……。もしいるとしたら、誰かの家で匿って貰ってるか、それか、人目につかないところだろうな……」
静也の言葉に、颯希がどこか隠れることができる場所を頭の中で考える。
「もし、人目につかない場所だとすれば空き家とかでしょうか…?」
「その可能性は低いと思うよ。空き家は基本役所が管理していて鍵も役所が持っているはずだ。侵入は難しいと思うし、もし、空き家に隠れていたら音とかで誰かが気付くんじゃないかな?」
颯希の言葉に雄太がそう言葉を綴る。
「……じゃあ、他に隠れられるとすれば……あっ!」
颯希がある場所を思い出し、声を上げる。
「あそこはどうでしょう?!」
呉野と木津は岡本の友人を訪ねていた。
「……そうですか、ありがとうございます」
呉野がそう言って友人の家を出る。そして、車に戻り木津に話す。
「これで岡本の友人は全て当たりましたが、誰も何処にいるか知りませんでした。様子からしても、匿っている雰囲気でもありませんでしたしね……」
「全く……、何処に隠れやがった……」
「とりあえず、隠れられそうな場所を探してみましょう……」
そう言って、呉野が車のエンジンをかける。
「岡本が見つかって事件が進展すればいいのですが……」
「そうだな……」
そう話しながら車が動きだす。
岡本が見つかれば何かしら事件解明の糸口になるかもしれないと期待をしながら、木津と呉野は岡本の捜索に乗り出した……。
「確かに、ここなら可能性があるな……」
颯希たちがある場所に足を運び、それを見上げる。
「入ってみましょう……」
そして、重い扉を開けて中に足を踏み入れた……。
岡本の母親が颯希たちを家に上げると、リビングに通した。最初は刑事が来たと同時に颯希たちまでいたので何が起こっているのか分からない様子だったが、そこは木津がうまく誤魔化した。そして、呉野が口を開く。
「突然、申し訳ありません。息子さんは御在宅でしょうか?」
呉野の言葉に母親が首を項垂れて横に振る。
「……実は数日前に家から姿をくらましたんです。事件が起きてから何かには怯えている様子でしたが、あの子はいたって普通の子なのでなんで怯えているのかが分からなかったのですよ……。そしたら、ある日、私が家に帰ってきたらいなくなっていて、心当たりを探してみたのですが、見つからないんです……。そしたら、あの子から私のスマホにメッセージが送られてきて『探さないで欲しい。警察にも届けないで欲しい』と書かれていたんですよ……」
母親が悲痛な表情で語る。確かに木津と呉野が聞き込みをしたときでも、岡本に関しては特に悪い話は聞かなかった。ただ、最近、殺された上田たちと一緒にいる所を見かけることがあったというくらいだ。
「……実はお宅の息子さん、竜司さんはグループで女性に暴行を行っていました」
「まさか……そんなこと……」
呉野の言葉に母親が驚きを隠せない。ヤンキーでもない至ってごく普通の息子がそんなことをするはずがないと言うが、呉野が事実だという事を伝えると、母親は真っ青になって震えだす。そこへ、颯希が言葉を発する。
「その……、私たちがこちらへ来たのは前田さんのお母さんから一緒にいるのを見たというのを聞いたからなのですよ……。前田さんのお母さんも、息子さんが普通の感じの子と一緒にいたのが不思議だったから記憶に残っていたそうです……」
颯希の言葉に母親が憎しみを孕んだ声で言葉を発した。
「竜司は大人しい子です……。そんなことをするような子じゃありません……。きっと、脅されていたに違いないわ……。あの子が進んでそんなことに手を染めるはずがない……。絶対にそうよ……」
震えながら絞り出すように声を出す。
「もし、息子さんから連絡がありましたらすぐこちらの番号にご連絡ください。とりあえず、安全を確保する面で、我々も捜索致します」
木津が番号を書いた紙を渡し、岡本家を出る。
「……とりあえず、岡本を探しましょう」
呉野が木津にそう言う。
「私たちも探します!」
颯希が強い口調で言葉を発する。静也と雄太も頷いている。
「私たちは私たちで探します!もし、見つけましたらすぐにご連絡いたします!」
颯希の言葉に木津がため息を吐く。
「じゃあ、もし見つけたらここに連絡をくれ……」
そう言って木津が番号の書いたメモを渡す。そして、二人の刑事は車に乗り込むと去っていった。
「……じゃあ、私たちも岡本さんを探しましょう!」
「あぁ!」
「うん!」
颯希の言葉に静也と雄太がそれぞれ返事をする。そして、岡本が居そうな場所を絞り、捜索を開始した。
ある場所で岡本が毛布をかぶりながら震えていた。
「うぅ……、うぅ……、なんでこんな目に……」
小声で泣きながら蹲る。
「ごめんね……、小岩井さん……、ごめんなさい……」
泣きながらある人物に謝り続ける言葉を綴る。
涙で視界がにじむ。
あんなことをしなければこんな思いをすることはなかったのに、やってしまったこと、起こってしまったことは取り返しがつかない……。
ぐるぐるといろんな考えが頭の中を駆け巡る。
(なんで……こんなことになっちゃったんだろう……)
今さら後悔しても遅いことは分かっているものの、警察に自首しに行く勇気も出ない。このままここで死んだほうが楽なんじゃないかとも考えてしまう……。
(なんだかクラクラする……。もうどれくらい食べ物を口にしていないっけ……?)
岡本が家を飛び出してここに身を潜めてから何も口にしていなかった。
(なんだろう……。無性に水が飲みたい……)
その頃、颯希たちはコンビニや公園など、思い当たる場所を探していた。
「見つかりませんね……」
颯希が落胆の声を出す。
「まぁ、こんな人目に付くところには居ないかもしれないな……。もしいるとしたら、誰かの家で匿って貰ってるか、それか、人目につかないところだろうな……」
静也の言葉に、颯希がどこか隠れることができる場所を頭の中で考える。
「もし、人目につかない場所だとすれば空き家とかでしょうか…?」
「その可能性は低いと思うよ。空き家は基本役所が管理していて鍵も役所が持っているはずだ。侵入は難しいと思うし、もし、空き家に隠れていたら音とかで誰かが気付くんじゃないかな?」
颯希の言葉に雄太がそう言葉を綴る。
「……じゃあ、他に隠れられるとすれば……あっ!」
颯希がある場所を思い出し、声を上げる。
「あそこはどうでしょう?!」
呉野と木津は岡本の友人を訪ねていた。
「……そうですか、ありがとうございます」
呉野がそう言って友人の家を出る。そして、車に戻り木津に話す。
「これで岡本の友人は全て当たりましたが、誰も何処にいるか知りませんでした。様子からしても、匿っている雰囲気でもありませんでしたしね……」
「全く……、何処に隠れやがった……」
「とりあえず、隠れられそうな場所を探してみましょう……」
そう言って、呉野が車のエンジンをかける。
「岡本が見つかって事件が進展すればいいのですが……」
「そうだな……」
そう話しながら車が動きだす。
岡本が見つかれば何かしら事件解明の糸口になるかもしれないと期待をしながら、木津と呉野は岡本の捜索に乗り出した……。
「確かに、ここなら可能性があるな……」
颯希たちがある場所に足を運び、それを見上げる。
「入ってみましょう……」
そして、重い扉を開けて中に足を踏み入れた……。
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