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第五章 花を愛でる小人たちは悲しみの雨を降らせる
第11話
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颯希からの電話を受けて、木津と呉野は海辺の近くの倉庫に車を走らせた。十分ほど走らせて、目的の場所に着く。
倉庫の前には静也と雄太に支えられている岡本の姿があった。木津と呉野が車から降り、颯希たちに近寄る。
「……とりあえず、病院に連れて行ってあげてください。ここに身を潜めてから何も口にしてないそうです」
「分かった……」
颯希の言葉に木津がそう言って、岡本を車に乗せる。そして、颯希に振り返り、言葉を発した。
「お手柄だったな、中学生パトロール隊」
木津はそう言うと、車に乗り込み去っていく。
颯希たちは車が去っていくのを見送った後、自分たちも帰路に着いた。
「……じゃあ、最後の一人は殺される前に逮捕出来たってわけなのね」
朝、学校に着き教室に入ると美優と亜里沙に会い、昨日のことを話す。そして、話を聞いた亜里沙がポツリと言う。
「でも、脅されて犯行をすることになったのは辛かっただろうね……」
美優も複雑な表情で言葉を綴る。
確かに、暴行罪の犯人が捕まりホッとする部分もあるが岡本はやりたくてやっていたわけじゃない。万引きを見られて口封じのために強制的に罪を更に重ねることになっただけだ。だからと言って許されるわけではないが、颯希の心中は複雑なものが渦巻いている。
「ただ、今回の犯人はまだ捕まっていないんでしょう?」
美優が不安そうに言う。
「……はい、どうやら容疑者になり得そうな人が多いみたいで捜査も難航しているみたいです。とりあえず、私たちも出来る範囲で捜査をしてみようと思っています」
颯希がそう言葉を綴る。
そこへ、始業を告げるチャイムが鳴り響いた。
「あれからはどうですか?眠れるようにはなりましたか?」
年配向けの施設である「憩いの場」で入間が八木にそう話しかける。
「あぁ。よく眠れるようになったよ。睡眠剤と言うのは本当に効くんだな!」
八木が「わはは!」と笑いながら答える。
「……ただ、ちょっと足りなくなりそうだから追加で貰うことはできないかな?」
「そうなると、診察を受けてもらわないといけませんね。薬は診察を受けないと処方できないので……」
「……そうか。じゃあ、近いうちに診察を受けるよ」
「じゃあ、また予約を入れておいてくださいね」
「分かった」
入間がそう言って、その場を離れる。
入間がいくと八木がため息をついた。確かに睡眠剤は日数分は処方されているがある理由で足りなくなってしまい、追加を頼むことにした。
「……診察でどう言うかだな」
小さく言葉を漏らす。
「八木さん!久しぶりだな!」
そこへ、一人の利用者が八木に声を掛ける。
「おう!斉木さんじゃないか!久しぶりだな!元気していたか?」
八木が久しぶりに会う斉木に笑顔で言葉を返す。
「なんとか元気にやっておるよ。八木さん、今日は仕事は休みかい?」
「あぁ。再雇用の非常勤だからな。稼ぎ過ぎて年金に響いたら溜まったもんじゃないし」
「元気だなぁ、八木さんは」
「おう!体が動く内は働き続けるぜ!」
そこへ、浅井と栗田もやって来てみんなで雑談を交わしながら楽しいひと時を過ごす。
「……よし!じゃあ今日も将棋するか!今日は誰から対戦を行うか決めようぜ!」
八木の掛け声で、いつものように将棋を行っていった。
「……大丈夫か?」
お昼休みにみんなでいつもの場所に集まりそれぞれお弁当を食べるが、颯希がどこかぼんやりしているので静也が声を掛ける。
「昨日のことを考えていたの?」
雄太がそう問いかける。
「その……、世の中には人を簡単に脅すようなことができる人が本当にいるんだなと思いまして……。きっと、岡本さんはずっと苦しかったのだろうと思うと、脅すようなことをした前田さんたちが許せなくなるのです……」
颯希が苦しそうな表情でそう言葉を綴る。
「まぁ、確かにな。本来なら警察に自首しろとか言うのが筋だけど、それを逆手に取ったんだもんな……」
来斗が神妙な顔つきで言う。そこへ、静也がため息を吐きながら颯希に問いかける。
「いつもの晴天花畑はどうした?」
「なっ……!!」
「颯希の頭の中はいつも蝶々が飛び交っているだろ?」
「そこまで単純じゃないですよ!」
「ポケラッター、ポケラッター、ポケラッター♪」
「そこまでポケポケしてないです!」
静也の言葉に颯希がポカポカと静也の肩を叩く。
「……少しは元気出たか?」
静也の言葉に颯希が虚を突かれて、叩くのをやめる。
「あ……ありがとうなのです……」
颯希がちょっと顔を赤らめてお礼の言葉を綴る。その顔を見て静也がグリンと顔を反対方向に向けた。
(……ち……ちくしょう~……。可愛すぎるぜ……)
颯希に顔が赤くなっていることがバレないように颯希に見えない形で静也が顔を真っ赤にする。
(((これって、もしかすると、もしかして……?)))
颯希と静也の様子に美優たちがくすくすと笑いながら同じことを心で考える。
(恋愛には全く興味のない颯希がねぇ~……)
亜里沙が更に心で呟きながらパックのカフェオーレを飲んでいる。
(どんな展開になるかが楽しみだわ……)
心の中で亜里沙が二人の行く末を楽しむ。
(頑張れよ!静也!)
来斗が静也に心の中でエールを送る。
そして、亜里沙と来斗が同じような事を考えているからか、以心伝心でそれが伝わり何故だかよく分からないが顔を見合わせると二人でグッジョブマークを出す。
「……お前らのそれは何だ?!」
静也が亜里沙と来斗が何を考えているのかが何となく分かったのか、顔を赤くしたまま声を上げる。美優と雄太はその様子を微笑みながら見ていた。
そんなこんなでにぎやかなお昼休みが終わるチャイムが鳴り響いた。
「……じゃあ、今日も何か事件の手掛かりを探しましょう!」
お昼休みのことで元気を取り戻したのか、颯希が声を張り上げて言う。
「とりあえず、聞き込みからだな」
静也がそう言うと、雄太も加えて三人で近所の聞き込みを始めた。
倉庫の前には静也と雄太に支えられている岡本の姿があった。木津と呉野が車から降り、颯希たちに近寄る。
「……とりあえず、病院に連れて行ってあげてください。ここに身を潜めてから何も口にしてないそうです」
「分かった……」
颯希の言葉に木津がそう言って、岡本を車に乗せる。そして、颯希に振り返り、言葉を発した。
「お手柄だったな、中学生パトロール隊」
木津はそう言うと、車に乗り込み去っていく。
颯希たちは車が去っていくのを見送った後、自分たちも帰路に着いた。
「……じゃあ、最後の一人は殺される前に逮捕出来たってわけなのね」
朝、学校に着き教室に入ると美優と亜里沙に会い、昨日のことを話す。そして、話を聞いた亜里沙がポツリと言う。
「でも、脅されて犯行をすることになったのは辛かっただろうね……」
美優も複雑な表情で言葉を綴る。
確かに、暴行罪の犯人が捕まりホッとする部分もあるが岡本はやりたくてやっていたわけじゃない。万引きを見られて口封じのために強制的に罪を更に重ねることになっただけだ。だからと言って許されるわけではないが、颯希の心中は複雑なものが渦巻いている。
「ただ、今回の犯人はまだ捕まっていないんでしょう?」
美優が不安そうに言う。
「……はい、どうやら容疑者になり得そうな人が多いみたいで捜査も難航しているみたいです。とりあえず、私たちも出来る範囲で捜査をしてみようと思っています」
颯希がそう言葉を綴る。
そこへ、始業を告げるチャイムが鳴り響いた。
「あれからはどうですか?眠れるようにはなりましたか?」
年配向けの施設である「憩いの場」で入間が八木にそう話しかける。
「あぁ。よく眠れるようになったよ。睡眠剤と言うのは本当に効くんだな!」
八木が「わはは!」と笑いながら答える。
「……ただ、ちょっと足りなくなりそうだから追加で貰うことはできないかな?」
「そうなると、診察を受けてもらわないといけませんね。薬は診察を受けないと処方できないので……」
「……そうか。じゃあ、近いうちに診察を受けるよ」
「じゃあ、また予約を入れておいてくださいね」
「分かった」
入間がそう言って、その場を離れる。
入間がいくと八木がため息をついた。確かに睡眠剤は日数分は処方されているがある理由で足りなくなってしまい、追加を頼むことにした。
「……診察でどう言うかだな」
小さく言葉を漏らす。
「八木さん!久しぶりだな!」
そこへ、一人の利用者が八木に声を掛ける。
「おう!斉木さんじゃないか!久しぶりだな!元気していたか?」
八木が久しぶりに会う斉木に笑顔で言葉を返す。
「なんとか元気にやっておるよ。八木さん、今日は仕事は休みかい?」
「あぁ。再雇用の非常勤だからな。稼ぎ過ぎて年金に響いたら溜まったもんじゃないし」
「元気だなぁ、八木さんは」
「おう!体が動く内は働き続けるぜ!」
そこへ、浅井と栗田もやって来てみんなで雑談を交わしながら楽しいひと時を過ごす。
「……よし!じゃあ今日も将棋するか!今日は誰から対戦を行うか決めようぜ!」
八木の掛け声で、いつものように将棋を行っていった。
「……大丈夫か?」
お昼休みにみんなでいつもの場所に集まりそれぞれお弁当を食べるが、颯希がどこかぼんやりしているので静也が声を掛ける。
「昨日のことを考えていたの?」
雄太がそう問いかける。
「その……、世の中には人を簡単に脅すようなことができる人が本当にいるんだなと思いまして……。きっと、岡本さんはずっと苦しかったのだろうと思うと、脅すようなことをした前田さんたちが許せなくなるのです……」
颯希が苦しそうな表情でそう言葉を綴る。
「まぁ、確かにな。本来なら警察に自首しろとか言うのが筋だけど、それを逆手に取ったんだもんな……」
来斗が神妙な顔つきで言う。そこへ、静也がため息を吐きながら颯希に問いかける。
「いつもの晴天花畑はどうした?」
「なっ……!!」
「颯希の頭の中はいつも蝶々が飛び交っているだろ?」
「そこまで単純じゃないですよ!」
「ポケラッター、ポケラッター、ポケラッター♪」
「そこまでポケポケしてないです!」
静也の言葉に颯希がポカポカと静也の肩を叩く。
「……少しは元気出たか?」
静也の言葉に颯希が虚を突かれて、叩くのをやめる。
「あ……ありがとうなのです……」
颯希がちょっと顔を赤らめてお礼の言葉を綴る。その顔を見て静也がグリンと顔を反対方向に向けた。
(……ち……ちくしょう~……。可愛すぎるぜ……)
颯希に顔が赤くなっていることがバレないように颯希に見えない形で静也が顔を真っ赤にする。
(((これって、もしかすると、もしかして……?)))
颯希と静也の様子に美優たちがくすくすと笑いながら同じことを心で考える。
(恋愛には全く興味のない颯希がねぇ~……)
亜里沙が更に心で呟きながらパックのカフェオーレを飲んでいる。
(どんな展開になるかが楽しみだわ……)
心の中で亜里沙が二人の行く末を楽しむ。
(頑張れよ!静也!)
来斗が静也に心の中でエールを送る。
そして、亜里沙と来斗が同じような事を考えているからか、以心伝心でそれが伝わり何故だかよく分からないが顔を見合わせると二人でグッジョブマークを出す。
「……お前らのそれは何だ?!」
静也が亜里沙と来斗が何を考えているのかが何となく分かったのか、顔を赤くしたまま声を上げる。美優と雄太はその様子を微笑みながら見ていた。
そんなこんなでにぎやかなお昼休みが終わるチャイムが鳴り響いた。
「……じゃあ、今日も何か事件の手掛かりを探しましょう!」
お昼休みのことで元気を取り戻したのか、颯希が声を張り上げて言う。
「とりあえず、聞き込みからだな」
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