97 / 128
最終章 そして、白い鳥たちは大空へ向かう
第11話
しおりを挟む
――――ドカッ!!
颯希と月子を助けようと近付いてきた静也と月弥に別の男が二人のお腹を思いっきり蹴る。その衝撃で静也と月弥も意識を失う。
男たちは颯希たちを車に乗せるとその場を去っていった。
ゴォォン……ゴォォン……。
何かの機械の音が響く。
「……うぅ……」
颯希がその音で目を覚ます。
どうやらどこかの倉庫らしく、天井には豆電球のようなものが仄かに周りを照らしている。
――――ガチャンっ!!
颯希が体を動かそうとして手と足が拘束されていることに気付く。周りを見ると、静也たちも同じように拘束されている。静也たちはまだ意識が戻っていない。
「みんな!しっかりしてください!!」
颯希が大きな声で叫ぶ。
「んん……」
颯希の声で静也たちが目を覚ます。
「みんな!大丈夫ですか?!」
「俺……?……そうだ!」
静也がそこまで言って何が起こったかを思い出す。月子と月弥も状況を思い出す。
「ちょっと、何なのよこれ?!」
「誘拐……?」
拘束されていることに月子が叫び声をあげる。月弥も状況を見て誘拐されたのかと感じる。
『……目が覚めたようだね』
何処からか声が聞こえる。颯希たちが辺りを見回すも、人影はない。声の感じでスピーカーから音声を操作していることが分かる。
「……あれじゃない?」
月弥がポツンの置かれている机の上のスピーカーに拘束された状態で指を差す。
「……なにが目的ですか?」
スピーカーに向って颯希が強気の声で言う。
『今回は忠告だ。十二年前の放火事件を捜査するのはやめてもらおう。これ以上この件を調べるなら、命は無い』
スピーカーからそう声が響く。
「……分かりました。これ以上調べるのはやめます。なので、私たちを解放して頂けませんか?」
颯希がその声の言葉に素直に応じる。
『素直でよろしい……。よし、君たちを解放しよう……』
――――バチンっ!!
声がそう言い終わると同時に部屋を仄かに照らしていた電球が切れる。
視界が暗闇に包まれる。
「……ぐっ!!」
「……んっ!!」
颯希たちは口に何かを当てられて、再度気を失った。
「……ん……」
あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか?颯希たちが目を覚ますと、そこは海辺の近くに設置されているベンチだという事に気付く。颯希たちを動けなくしていた拘束は外されている。
「んん……」
「ここ……は……?」
静也たちも目を覚まし、全員が無事だという事に颯希が安堵する。
「……この件を調べるのはやめましょう……」
颯希が静かにそう言葉を綴る。
「そう……ね……。もう、こんな目に遭いたくないし……」
月子が声を震わせながらそう言葉を綴る。
「……とりあえず、帰ろうぜ」
静也の言葉でそれぞれ帰路に着くことになる。月子が恐怖からか真っ青だったので月弥が迎えの車を用意することになり、その車が来るまで颯希たちも待っていることにした。
しばらくして、車が到着してその車に月弥が月子を支えるように乗り込む。颯希と静也は歩いて帰ると言い、月子たちとはそこでさよならした。
颯希と静也が帰り道を無言で歩く。
「……颯希。お前、自分だけでこの事件を調べる気だろ?」
颯希の横を歩いている静也が颯希の表情を見て静かに言葉を綴る。
「……この事件、何か裏がありそうなのです……」
颯希が真剣な表情でそう言葉を綴る。
「颯希の事だから、やめろって言っても聞かないだろうな……」
「静也くん……」
静也の言葉に颯希が苦しそうな表情をする。
「……俺も協力してやるよ」
「……え?」
「このまんまじゃ夢見悪そうだしな」
静也が颯希の頭をポンポンと軽く叩きながら優しい声で言う。
「静也くん……。ありがとうございます!」
颯希が申し訳なさと嬉しさの両方が入り混じった顔で返事をする。
「ただ、この件をまだ調べるのはあいつらには言わないでおこう。雄太たちにも言わない方がいいだろうな……。巻き込む可能性があるし……」
「……そうですね」
静也の言葉に颯希が同意する。
こうして、十二年前の放火事件に関しては颯希と静也の二人でこっそりと捜査することになった。
「……木津さん、この件ですがさらに黒幕がいる可能性がありそうですよ?」
不審火のことを調べていたらそれに関連していろいろなことが分かり、呉野がそう言って、ある一つの資料を見せる。
「……これが事実だとしたら、とんでもないことになりそうだな」
「どうしますか?結城署長に伝えますか?」
「いや……、まだ確証を掴めていない。話すのは確証を得てからにしよう……」
「はい……」
木津の言葉に呉野が返事をする。
そして、確証を掴むために更に捜査を続行していった。
「大丈夫だよ……。落ち着くまで傍にいるから……」
月子の部屋でベッドの上で震えている月子を月弥が包み込むように抱き締める。
拉致されて解放されてから月子はずっと震えていた。よっぽど怖かったのだろう。顔は真っ青で呼吸も少し乱れている。
「大丈夫……大丈夫だよ……。俺が守るからね……」
月弥が優しく頭を撫でながら言葉を綴る。
(……ずっと守るから……)
月弥は心の中でそう呟いた。
「お昼休みですね~」
次の日、いつものメンバーで中庭に集まりお弁当を広げる。そして、みんなでワイワイとお喋りしながら穏やかなひと時を過ごす。
「……そういや例の捜査の方はどうなんだ?」
来斗がお弁当のおかずをかき込みながら聞く。
「特に進展はないよ」
来斗の言葉に静也が淡々と答える。
「……そういえば、今日はあの双子はお休みしているみたいだけど、どうしたのかしらね?」
亜里沙が月子と月弥が同時にお休みな事を不思議そうに言う。
「きっと、昨日歩き回って疲れたのでしょう。昨日はかなり歩きましたからね」
颯希が悟られないようになるべくいつもの調子で答える。美優たちに拉致されたことを知られたら巻き込む可能性があるので、その事を勘づかれないように注意しながら言葉を選ぶ。
「そういえば、この前図書館に行ってきたんだよね?放火事件の記事はあったの?」
「八月十一日って言うことは分かったよ。後はその日に強い風が吹いていたっていうくらいかな?」
雄太の質問に静也が答える。
「……だとすると、もしかしたら火の粉か何かが風に乗ってちょっとと遠くまで飛ばされていった可能性はあるね」
「……え?」
雄太の言葉に颯希が疑問の声を上げる。
「何かのニュースで見たことあるんだけど、火災が起きて強い風が吹くと稀に火の付いたままの破片が遠くに飛ばされることがあるみたいだよ?それで離れた場所で二次被害が出たって言うニュースを見たことあるんだ」
雄太がそう説明する。
その説明に颯希と静也が顔を合わせる。
「……そうだとすれば、もしかしたら被害者がいるかもしれないという事ですよね?」
颯希の頭の中でその火災事件の後で留学したという楓のクラスメートとバーベキューをしていて火傷を負った友理奈のことが頭をよぎる。もし、火の付いた破片が飛ばされたのだとしたら、それは一つだけとは限らない。
「……まぁ、あくまで可能性の話だけどね」
雄太がそう締め括る。
そんな話をしていると、午後の授業を知らせるチャイムが鳴り響いた。
「まず、楓さんにそのクラスメートの家を教えてもらいましょう……」
放課後になり、颯希は静也と合流すると静也にそう話す。そのクラスメートはもしかしたらその放火で大やけどを負い、学校に行けなくなった可能性がある。最悪の場合、その二次被害で死亡した可能性も考えられる。
――――トゥルルル……トゥルルル……。
颯希が楓に電話を掛ける。コール音がしばらく鳴り響き、楓が電話に出た。颯希が放火事件でそのクラスメートが二次被害に遭っているかもしれないと話し、家の場所を尋ねる。すると、楓は家に帰ってアルバムを見ないと分からないと言い、帰ったらその住所を伝えると言った。そして……、
『……私も一緒に行くよ』
そう言って今度の土曜日なら仕事が休みだからその日まで待ってくれないかという事だったので颯希は了承する。
颯希と静也は拉致されたばかりという事で土曜日までは大人しくしていようという事を話し合い、その日は一緒に帰路に着いた。
数日は穏やかな日が続く。
休んだ次の日からは月子と月弥も登校してくるようになった。しかし、昼休みに颯希たちがいる中庭には顔を出していない。三組の子の話では月子がまだ少し不安定らしく、月弥が心配して傍を離れないという事だった。
ある夜。
友理奈が窓越しに空を眺めている。次の日の天気が良いのか、空は雲一つない綺麗な空で星が瞬いている。友理奈はその星空をじっと眺めていた。
「あっ……!」
友理奈が小さく声を上げる。
一つの星が空から流れる。すると、それに合わせたようにいくつもの流れ星が夜空を掛ける。
その時、ひときわ大きい星が夜空を流れた。
「……あっ……あっ……」
友理奈の頭にある映像が流れ込む。
「そうだ……あの日……!!」
颯希と月子を助けようと近付いてきた静也と月弥に別の男が二人のお腹を思いっきり蹴る。その衝撃で静也と月弥も意識を失う。
男たちは颯希たちを車に乗せるとその場を去っていった。
ゴォォン……ゴォォン……。
何かの機械の音が響く。
「……うぅ……」
颯希がその音で目を覚ます。
どうやらどこかの倉庫らしく、天井には豆電球のようなものが仄かに周りを照らしている。
――――ガチャンっ!!
颯希が体を動かそうとして手と足が拘束されていることに気付く。周りを見ると、静也たちも同じように拘束されている。静也たちはまだ意識が戻っていない。
「みんな!しっかりしてください!!」
颯希が大きな声で叫ぶ。
「んん……」
颯希の声で静也たちが目を覚ます。
「みんな!大丈夫ですか?!」
「俺……?……そうだ!」
静也がそこまで言って何が起こったかを思い出す。月子と月弥も状況を思い出す。
「ちょっと、何なのよこれ?!」
「誘拐……?」
拘束されていることに月子が叫び声をあげる。月弥も状況を見て誘拐されたのかと感じる。
『……目が覚めたようだね』
何処からか声が聞こえる。颯希たちが辺りを見回すも、人影はない。声の感じでスピーカーから音声を操作していることが分かる。
「……あれじゃない?」
月弥がポツンの置かれている机の上のスピーカーに拘束された状態で指を差す。
「……なにが目的ですか?」
スピーカーに向って颯希が強気の声で言う。
『今回は忠告だ。十二年前の放火事件を捜査するのはやめてもらおう。これ以上この件を調べるなら、命は無い』
スピーカーからそう声が響く。
「……分かりました。これ以上調べるのはやめます。なので、私たちを解放して頂けませんか?」
颯希がその声の言葉に素直に応じる。
『素直でよろしい……。よし、君たちを解放しよう……』
――――バチンっ!!
声がそう言い終わると同時に部屋を仄かに照らしていた電球が切れる。
視界が暗闇に包まれる。
「……ぐっ!!」
「……んっ!!」
颯希たちは口に何かを当てられて、再度気を失った。
「……ん……」
あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか?颯希たちが目を覚ますと、そこは海辺の近くに設置されているベンチだという事に気付く。颯希たちを動けなくしていた拘束は外されている。
「んん……」
「ここ……は……?」
静也たちも目を覚まし、全員が無事だという事に颯希が安堵する。
「……この件を調べるのはやめましょう……」
颯希が静かにそう言葉を綴る。
「そう……ね……。もう、こんな目に遭いたくないし……」
月子が声を震わせながらそう言葉を綴る。
「……とりあえず、帰ろうぜ」
静也の言葉でそれぞれ帰路に着くことになる。月子が恐怖からか真っ青だったので月弥が迎えの車を用意することになり、その車が来るまで颯希たちも待っていることにした。
しばらくして、車が到着してその車に月弥が月子を支えるように乗り込む。颯希と静也は歩いて帰ると言い、月子たちとはそこでさよならした。
颯希と静也が帰り道を無言で歩く。
「……颯希。お前、自分だけでこの事件を調べる気だろ?」
颯希の横を歩いている静也が颯希の表情を見て静かに言葉を綴る。
「……この事件、何か裏がありそうなのです……」
颯希が真剣な表情でそう言葉を綴る。
「颯希の事だから、やめろって言っても聞かないだろうな……」
「静也くん……」
静也の言葉に颯希が苦しそうな表情をする。
「……俺も協力してやるよ」
「……え?」
「このまんまじゃ夢見悪そうだしな」
静也が颯希の頭をポンポンと軽く叩きながら優しい声で言う。
「静也くん……。ありがとうございます!」
颯希が申し訳なさと嬉しさの両方が入り混じった顔で返事をする。
「ただ、この件をまだ調べるのはあいつらには言わないでおこう。雄太たちにも言わない方がいいだろうな……。巻き込む可能性があるし……」
「……そうですね」
静也の言葉に颯希が同意する。
こうして、十二年前の放火事件に関しては颯希と静也の二人でこっそりと捜査することになった。
「……木津さん、この件ですがさらに黒幕がいる可能性がありそうですよ?」
不審火のことを調べていたらそれに関連していろいろなことが分かり、呉野がそう言って、ある一つの資料を見せる。
「……これが事実だとしたら、とんでもないことになりそうだな」
「どうしますか?結城署長に伝えますか?」
「いや……、まだ確証を掴めていない。話すのは確証を得てからにしよう……」
「はい……」
木津の言葉に呉野が返事をする。
そして、確証を掴むために更に捜査を続行していった。
「大丈夫だよ……。落ち着くまで傍にいるから……」
月子の部屋でベッドの上で震えている月子を月弥が包み込むように抱き締める。
拉致されて解放されてから月子はずっと震えていた。よっぽど怖かったのだろう。顔は真っ青で呼吸も少し乱れている。
「大丈夫……大丈夫だよ……。俺が守るからね……」
月弥が優しく頭を撫でながら言葉を綴る。
(……ずっと守るから……)
月弥は心の中でそう呟いた。
「お昼休みですね~」
次の日、いつものメンバーで中庭に集まりお弁当を広げる。そして、みんなでワイワイとお喋りしながら穏やかなひと時を過ごす。
「……そういや例の捜査の方はどうなんだ?」
来斗がお弁当のおかずをかき込みながら聞く。
「特に進展はないよ」
来斗の言葉に静也が淡々と答える。
「……そういえば、今日はあの双子はお休みしているみたいだけど、どうしたのかしらね?」
亜里沙が月子と月弥が同時にお休みな事を不思議そうに言う。
「きっと、昨日歩き回って疲れたのでしょう。昨日はかなり歩きましたからね」
颯希が悟られないようになるべくいつもの調子で答える。美優たちに拉致されたことを知られたら巻き込む可能性があるので、その事を勘づかれないように注意しながら言葉を選ぶ。
「そういえば、この前図書館に行ってきたんだよね?放火事件の記事はあったの?」
「八月十一日って言うことは分かったよ。後はその日に強い風が吹いていたっていうくらいかな?」
雄太の質問に静也が答える。
「……だとすると、もしかしたら火の粉か何かが風に乗ってちょっとと遠くまで飛ばされていった可能性はあるね」
「……え?」
雄太の言葉に颯希が疑問の声を上げる。
「何かのニュースで見たことあるんだけど、火災が起きて強い風が吹くと稀に火の付いたままの破片が遠くに飛ばされることがあるみたいだよ?それで離れた場所で二次被害が出たって言うニュースを見たことあるんだ」
雄太がそう説明する。
その説明に颯希と静也が顔を合わせる。
「……そうだとすれば、もしかしたら被害者がいるかもしれないという事ですよね?」
颯希の頭の中でその火災事件の後で留学したという楓のクラスメートとバーベキューをしていて火傷を負った友理奈のことが頭をよぎる。もし、火の付いた破片が飛ばされたのだとしたら、それは一つだけとは限らない。
「……まぁ、あくまで可能性の話だけどね」
雄太がそう締め括る。
そんな話をしていると、午後の授業を知らせるチャイムが鳴り響いた。
「まず、楓さんにそのクラスメートの家を教えてもらいましょう……」
放課後になり、颯希は静也と合流すると静也にそう話す。そのクラスメートはもしかしたらその放火で大やけどを負い、学校に行けなくなった可能性がある。最悪の場合、その二次被害で死亡した可能性も考えられる。
――――トゥルルル……トゥルルル……。
颯希が楓に電話を掛ける。コール音がしばらく鳴り響き、楓が電話に出た。颯希が放火事件でそのクラスメートが二次被害に遭っているかもしれないと話し、家の場所を尋ねる。すると、楓は家に帰ってアルバムを見ないと分からないと言い、帰ったらその住所を伝えると言った。そして……、
『……私も一緒に行くよ』
そう言って今度の土曜日なら仕事が休みだからその日まで待ってくれないかという事だったので颯希は了承する。
颯希と静也は拉致されたばかりという事で土曜日までは大人しくしていようという事を話し合い、その日は一緒に帰路に着いた。
数日は穏やかな日が続く。
休んだ次の日からは月子と月弥も登校してくるようになった。しかし、昼休みに颯希たちがいる中庭には顔を出していない。三組の子の話では月子がまだ少し不安定らしく、月弥が心配して傍を離れないという事だった。
ある夜。
友理奈が窓越しに空を眺めている。次の日の天気が良いのか、空は雲一つない綺麗な空で星が瞬いている。友理奈はその星空をじっと眺めていた。
「あっ……!」
友理奈が小さく声を上げる。
一つの星が空から流れる。すると、それに合わせたようにいくつもの流れ星が夜空を掛ける。
その時、ひときわ大きい星が夜空を流れた。
「……あっ……あっ……」
友理奈の頭にある映像が流れ込む。
「そうだ……あの日……!!」
0
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!
小林汐希
ライト文芸
2年5組の生徒:松本花菜(17歳 高校2年生)
2年5組の担任:長谷川啓太(23歳 教師歴1年目)
幼い頃から、様々な悩みを抱えながら過ごしてきた花菜。
それは幼い頃に父との離別を経験した家庭環境だったり、小学校の最後に作ってしまった体の古傷であったり。
学校外の時間を一人で過ごすことになった彼女の唯一、かつ絶対的な味方でいてくれたのが、近所に住む啓太お兄ちゃんだった。
しかし年の離れた二人の関係では仕方ないとはいえ、啓太の大学進学や環境変化とともに、その時間は終わりを迎えてしまう。
ふさぎ込む花菜を前に、啓太は最後に「必ず迎えに来る」という言葉を残して街を離れた。
言葉を受け取った花菜は、自分を泣かせないための慰めだったという諦めも入りつつ、一方で微かな希望として心の中で温め続けていた。
数年の時を経て二人が再び顔を合わせたものの、もはや運命の意地悪とでもいうべき「担任教師と生徒」という関係。
最初は様子伺いだったけれど、往時の気持ちが変わっていないことを再確認してからは、「一人じゃない」と嬉しいこと・辛いことも乗り越えていく二人には少しずつ背中を押してくれる味方も増えていく。
再会した当初は「おとなしい終末的運命キャラ」になっていた花菜も次第に自信を取り戻し、新米教師の啓太も花菜のサポートを裏で受けつつ堂々と教壇に立ち続けた。
そんな互いを支えあった二人の前に開けた世界は……。
たった一つだけの約束を胸に、嬉しいときは一緒に喜び、悲しいときは支えあって走り抜けた二人の物語です。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
後宮の寵愛ランキング最下位ですが、何か問題でも?
希羽
キャラ文芸
数合わせで皇帝の後宮に送り込まれた田舎貴族の娘である主人公。そこでは妃たちが皇帝の「寵愛ランク」で格付けされ、生活の全てが決められる超格差社会だった。しかし、皇帝に全く興味がない主人公の目的は、後宮の隅にある大図書館で知識を得ることだけ。当然、彼女のランクは常に最下位。
他の妃たちが寵愛を競い合う中、主人公は実家で培った農業や醸造、経理の知識を活かし、同じく不遇な下級妃や女官たちと協力して、後宮内で「家庭菜園」「石鹸工房」「簿記教室」などを次々と立ち上げる。それはやがて後宮内の経済を潤し、女官たちの労働環境まで改善する一大ビジネスに発展。
ある日、皇帝は自分の知らないうちに後宮内に巨大な経済圏と女性コミュニティを作り上げ、誰よりも生き生きと暮らす「ランク最下位」の妃の存在に気づく。「一体何者なんだ、君は…?」と皇帝が興味本位で近づいてきても、主人公にとっては「仕事の邪魔」でしかなく…。
※本作は小説投稿サイト「小説家になろう」でも投稿しています。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる