1,234 / 1,275
第四章 新たな使命は特にない
第1215話
しおりを挟む
ワームに乗って移動したら、別のオアシスに辿り着いた。
水がキラキラしていて、なんだか気持ちよさそう。
あれです、涼玉が踊ってジャングルにしたあのオアシスに似ている。
それか小動物の憩いの場から、森になった僕の領地。
「風が涼しくて、砂漠の熱を忘れさせてくれますねー」
「移動楽しかった! にいちゃに相談して、ワームを強化してもらおうかな」
『砂漠が熱帯林になっちゃう』
ワームから降りると、小さな後ろ姿がオアシスに向かう。
シャムスは子犬姿でイネスと一緒に駆けていき、涼玉は卵状態になってゴロゴロゴロと転がっていった。
あれ、酔わないのかな。
オアシスの周りには砂漠の生き物が集い、争うことなく水を飲んでいる。
これはあれです、涼玉たちがカイちゃんの結婚祝いに作ったオアシスだ。
人間は近寄らない場所。
きっと最初から、そう定めてあるんだろう。
ただ僕の領地みたいに「絶対に人間は入れない」ほど強力な拒絶ではないから、その分、ワームの群れがここを守っているんだろう。
さすがシャムスに主として指名されただけのことはある。
野生動物と魔物が入り混じって休むオアシスの縁に、僕もお邪魔します。
グリフォンがどっかりと座り、その影で休む子たちもいる。
その中に年老いた砂漠ゴブリンがいた。
珍しいなぁ、と思って視線をそらした――その瞬間。
おもむろに座っていた石を持ち上げ、僕の横まで運んできて、普通に座った。
……距離、近くない?
座った場所が真横。
布をローブのように羽織っているせいか、占い師めいた雰囲気があって、余計に圧が強い。
凄いこっち見てる気がする。横を向けない。
視線が合わない僕に焦れたのか、おばばが一方的にぽつりぽつりと語り出す。
「大地がまだ名を持たぬ頃、空が色を選ぶ前から、わしは知っていた」
人の言葉、上手ですね。
……って、そうじゃない。
「シャムス、イベントが追いかけて来た!」
『追っかけ』
「ストーカーです」
「こえぇぇ」
撒いたと思ったのに!
イベントだけ付いてくるとかあり??
おばばの声は子守歌みたいに抑揚がなくて、内容もふわふわしている。
光の道だとか、名も知らぬ何かだとか。
「ああでも、前にイベントが追っかけてきたことがあるなぁ」
夢の中で語りかけてきて、スルーしても追いすがってきて。
遊びに行った先でとうとう姿を現して……イエティカップルにフルボッコにされて消滅したね。
「ところで……かあちゃ」
「改まって呼ばれると嫌な予感しかしない」
「俺、過去の世界で砂漠を森に変えただろ」
「うん、あれは凄かったね」
トレントやらひよこ豆も巻き込んでのお祭り騒ぎ。
魔力が渦を巻き、次元が歪むレベルの大騒動だった。
「あれが忘れられなくてな、もう一回やりたい。兄弟で集まってやれば、もっと面白いことになると思うんだ!」
「力を全解放するのは夢の中でやろうね」
砂漠という環境をなくしていいかは、一応、カイちゃんとセティに聞いてからにしてほしい。
ほらあの二人、気軽に砂漠に人間を追放するから。
「祈らずとも感じるだろう」
……おばば、まだ語ってた!
水がキラキラしていて、なんだか気持ちよさそう。
あれです、涼玉が踊ってジャングルにしたあのオアシスに似ている。
それか小動物の憩いの場から、森になった僕の領地。
「風が涼しくて、砂漠の熱を忘れさせてくれますねー」
「移動楽しかった! にいちゃに相談して、ワームを強化してもらおうかな」
『砂漠が熱帯林になっちゃう』
ワームから降りると、小さな後ろ姿がオアシスに向かう。
シャムスは子犬姿でイネスと一緒に駆けていき、涼玉は卵状態になってゴロゴロゴロと転がっていった。
あれ、酔わないのかな。
オアシスの周りには砂漠の生き物が集い、争うことなく水を飲んでいる。
これはあれです、涼玉たちがカイちゃんの結婚祝いに作ったオアシスだ。
人間は近寄らない場所。
きっと最初から、そう定めてあるんだろう。
ただ僕の領地みたいに「絶対に人間は入れない」ほど強力な拒絶ではないから、その分、ワームの群れがここを守っているんだろう。
さすがシャムスに主として指名されただけのことはある。
野生動物と魔物が入り混じって休むオアシスの縁に、僕もお邪魔します。
グリフォンがどっかりと座り、その影で休む子たちもいる。
その中に年老いた砂漠ゴブリンがいた。
珍しいなぁ、と思って視線をそらした――その瞬間。
おもむろに座っていた石を持ち上げ、僕の横まで運んできて、普通に座った。
……距離、近くない?
座った場所が真横。
布をローブのように羽織っているせいか、占い師めいた雰囲気があって、余計に圧が強い。
凄いこっち見てる気がする。横を向けない。
視線が合わない僕に焦れたのか、おばばが一方的にぽつりぽつりと語り出す。
「大地がまだ名を持たぬ頃、空が色を選ぶ前から、わしは知っていた」
人の言葉、上手ですね。
……って、そうじゃない。
「シャムス、イベントが追いかけて来た!」
『追っかけ』
「ストーカーです」
「こえぇぇ」
撒いたと思ったのに!
イベントだけ付いてくるとかあり??
おばばの声は子守歌みたいに抑揚がなくて、内容もふわふわしている。
光の道だとか、名も知らぬ何かだとか。
「ああでも、前にイベントが追っかけてきたことがあるなぁ」
夢の中で語りかけてきて、スルーしても追いすがってきて。
遊びに行った先でとうとう姿を現して……イエティカップルにフルボッコにされて消滅したね。
「ところで……かあちゃ」
「改まって呼ばれると嫌な予感しかしない」
「俺、過去の世界で砂漠を森に変えただろ」
「うん、あれは凄かったね」
トレントやらひよこ豆も巻き込んでのお祭り騒ぎ。
魔力が渦を巻き、次元が歪むレベルの大騒動だった。
「あれが忘れられなくてな、もう一回やりたい。兄弟で集まってやれば、もっと面白いことになると思うんだ!」
「力を全解放するのは夢の中でやろうね」
砂漠という環境をなくしていいかは、一応、カイちゃんとセティに聞いてからにしてほしい。
ほらあの二人、気軽に砂漠に人間を追放するから。
「祈らずとも感じるだろう」
……おばば、まだ語ってた!
13
あなたにおすすめの小説
優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)
皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?
身代わりの出来損ない令息ですが冷酷無比な次期公爵閣下に「離さない」と極上の愛で溶かされています~今更戻ってこいと言われてももう遅いです〜
たら昆布
BL
冷酷無比な死神公爵 × 虐げられた身代わり令息
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる