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第一章 紡がれる日常
第6話
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紹介しようか迷っていた事案が一個ありまして。
それは……
「おお神子様!! どうぞ我が国をお救いください!」
「救いませんし、王子と結婚もしなければ相手もいらないので、さっさと元の場所に返してください。あと本気で国が困ってるならまずそこの肥え太った国王ダイエットさせなさい!!」
そう、強制召喚。
おまけの場合やおまけと思ったら本物だったパターンとか、毎回多少違いはするけどブームが去らないらしく年に数回巻き込まれる。
ここは謁見の間かな、偉そうな王様の横にはインテリ眼鏡、鎧を着ているのは将軍かな剣持ってるし、王様から少し離れた所に立っているのは王子とかその辺りだろう。
何度も召喚されたので何となく分かるようになりました!
えっちゃんも面白がってすぐには帰宅させてくれないのである程度付き合わなきゃならないのがなぁ、異世界から来たというのにえっちゃんもだいぶこの世界に染まっているよね。
たまにラスボス戦で切り札として召喚され、魔物側に保護してもらうこともある。その時、僕を召喚した人間サイドはもちろん全滅ですよ。
戦闘力ないのになぜ僕が召喚されちゃうのか、本当に不思議で仕方がない。
BLと同じく、強制召喚も地球からラノベというジャンルが無くならない限り対処しようがないんだって。
でもアー君が言ってた「もし地球を消失させることができても、女神がこの世界で広めちゃってるし、どっちにしろジャンル消失は無理だな」って。夢も希望もないですね。
「明後日は家族でキノコ狩りの予定があるんです、そこの王子も『っふ、面白れぇ奴』とかキザっぽいセリフ吐いてないで自分の国の危機は自分達で何とかしてください」
人数分のお昼作るの本当に大変なんですからね!
デザートや飲み物も用意しなきゃだし、行った先で調理もするだろうからそっちの準備もあるんです!
もしこの召喚のせいで予定が崩れたら……シャムスが泣いてアー君が乗り込んでくるまでがお約束かな。
「し、しかしこの国は今、魔王が率いる魔族に襲撃を受けていて、民が犠牲に……」
それ、どっちも僕の身内なんですけど。
あと僕を召喚しちゃったことで火に油を注ぐどころか、ダイナマイトに火をつけたようなものです。
「分かりました。魔族との戦争を回避すればいいんですね、それなら何とかなります、ただし用意するものがありますけど」
「な、なんでも用意します、国を守るためなら!」
王様の隣で必死に懇願するこの人は宰相さんかな、って王様は偉そうにふんぞり返っているだけか、アー君が一番嫌いなタイプだなぁ。
「王様の首、です」
「え?」
「いやもう本当にそれが一番早いですよ、スパーンと切り落として魔族に土下座すればギリギリかなぁ」
いやに静かだなと思いながら王様を見たら、顔面だけでなく体中を黒いもやに拘束され、瀕死になっていました。
ギリギリと締め上げているのはシャムス命の俺様邪神、迎えが速いなシャムスにお願いされたのかな。
「あ、ホラホラ早くしないと邪神の手柄になっちゃいますよ、自分達の国は自分達で守らないと!」
「――っ将軍!」
「っは!」
土気色になったっぽい王様の首が一閃された。
太ったおっさんの苦しむ顔はモザイク案件だったようで、途中から何も見えていません。
「俺の料理から椎茸は抜け!」
助けに来たというより、恩を売りに来たのかこの俺様邪神は。
まぁ椎茸ぐらいなら抜いてあげてもいいかな、出汁に使っても抜けばいいよね?
「あと鶏肉のおにぎりも食べたい」
「はいはい」
隣に来て僕の手を取ると、あれが食べたい、これが食べたいと要望をあげている。
シャムスのいるところでは格好つけて我儘言わないからねぇ、基本的にこの子って実は甘えん坊さんです。あー可愛い。
「にゃごむな! おれしゃまがちっさくなっちまぅだりょ!」
「死ぬほど可愛い」
「むきぃ!」
いつでも偉そうなこの俺様邪神の秘密、それは――僕が和むとちびっ子になっちゃうんです。
大体一歳とかそのぐらいかなぁ、オムツ姿が本当に可愛い、ぷりぷりしてる姿がもうたまらん。
「国王はどこだ」
和んでいたら地の底から這うようなおどろおどろしい声がその場に響いた。
「禁忌に手を触れたあの男を出せ」
「っ!!」
恐怖にその場にいた人達が一斉に腰を抜かしてしまった。
「ちびった」
「はいはい」
自己申告した俺様邪神にクリーンをかけ、抱っこしたら謁見の間が闇に包まれてカイちゃんが登場。
「……かあさま?」
「カイちゃん久しぶりー」
手を振った次の瞬間、謁見の間の天井が消失した。
「貴様ら人間に来世は無いと思え!!」
「ひょぇ」
ブチ切れたカイちゃんに俺様邪神がぎゅっとしがみついてきた、はぁー可愛い、いつもこんなだったら良いのになぁ。
ここから先は見学禁止らしく、えっちゃんによって転移、帰宅しましたー。
「ねぇえっちゃん、僕がいたことで被害拡大してない?」
「……」
どうやら黙秘権を使うようだ。
うーん、まぁ今更かぁ。
キノコ狩りはカイちゃんも来る予定だし、そんなに長くはかからないだろう。
「ままぁ」
「シャムスただいまー」
「いちゅきを迎えにいってきちゃぞ!」
「あい!」
シャムスの前なのに降りようとしないあたり、もしかしたらこの子……腰を抜かしているかもしれない。
それは……
「おお神子様!! どうぞ我が国をお救いください!」
「救いませんし、王子と結婚もしなければ相手もいらないので、さっさと元の場所に返してください。あと本気で国が困ってるならまずそこの肥え太った国王ダイエットさせなさい!!」
そう、強制召喚。
おまけの場合やおまけと思ったら本物だったパターンとか、毎回多少違いはするけどブームが去らないらしく年に数回巻き込まれる。
ここは謁見の間かな、偉そうな王様の横にはインテリ眼鏡、鎧を着ているのは将軍かな剣持ってるし、王様から少し離れた所に立っているのは王子とかその辺りだろう。
何度も召喚されたので何となく分かるようになりました!
えっちゃんも面白がってすぐには帰宅させてくれないのである程度付き合わなきゃならないのがなぁ、異世界から来たというのにえっちゃんもだいぶこの世界に染まっているよね。
たまにラスボス戦で切り札として召喚され、魔物側に保護してもらうこともある。その時、僕を召喚した人間サイドはもちろん全滅ですよ。
戦闘力ないのになぜ僕が召喚されちゃうのか、本当に不思議で仕方がない。
BLと同じく、強制召喚も地球からラノベというジャンルが無くならない限り対処しようがないんだって。
でもアー君が言ってた「もし地球を消失させることができても、女神がこの世界で広めちゃってるし、どっちにしろジャンル消失は無理だな」って。夢も希望もないですね。
「明後日は家族でキノコ狩りの予定があるんです、そこの王子も『っふ、面白れぇ奴』とかキザっぽいセリフ吐いてないで自分の国の危機は自分達で何とかしてください」
人数分のお昼作るの本当に大変なんですからね!
デザートや飲み物も用意しなきゃだし、行った先で調理もするだろうからそっちの準備もあるんです!
もしこの召喚のせいで予定が崩れたら……シャムスが泣いてアー君が乗り込んでくるまでがお約束かな。
「し、しかしこの国は今、魔王が率いる魔族に襲撃を受けていて、民が犠牲に……」
それ、どっちも僕の身内なんですけど。
あと僕を召喚しちゃったことで火に油を注ぐどころか、ダイナマイトに火をつけたようなものです。
「分かりました。魔族との戦争を回避すればいいんですね、それなら何とかなります、ただし用意するものがありますけど」
「な、なんでも用意します、国を守るためなら!」
王様の隣で必死に懇願するこの人は宰相さんかな、って王様は偉そうにふんぞり返っているだけか、アー君が一番嫌いなタイプだなぁ。
「王様の首、です」
「え?」
「いやもう本当にそれが一番早いですよ、スパーンと切り落として魔族に土下座すればギリギリかなぁ」
いやに静かだなと思いながら王様を見たら、顔面だけでなく体中を黒いもやに拘束され、瀕死になっていました。
ギリギリと締め上げているのはシャムス命の俺様邪神、迎えが速いなシャムスにお願いされたのかな。
「あ、ホラホラ早くしないと邪神の手柄になっちゃいますよ、自分達の国は自分達で守らないと!」
「――っ将軍!」
「っは!」
土気色になったっぽい王様の首が一閃された。
太ったおっさんの苦しむ顔はモザイク案件だったようで、途中から何も見えていません。
「俺の料理から椎茸は抜け!」
助けに来たというより、恩を売りに来たのかこの俺様邪神は。
まぁ椎茸ぐらいなら抜いてあげてもいいかな、出汁に使っても抜けばいいよね?
「あと鶏肉のおにぎりも食べたい」
「はいはい」
隣に来て僕の手を取ると、あれが食べたい、これが食べたいと要望をあげている。
シャムスのいるところでは格好つけて我儘言わないからねぇ、基本的にこの子って実は甘えん坊さんです。あー可愛い。
「にゃごむな! おれしゃまがちっさくなっちまぅだりょ!」
「死ぬほど可愛い」
「むきぃ!」
いつでも偉そうなこの俺様邪神の秘密、それは――僕が和むとちびっ子になっちゃうんです。
大体一歳とかそのぐらいかなぁ、オムツ姿が本当に可愛い、ぷりぷりしてる姿がもうたまらん。
「国王はどこだ」
和んでいたら地の底から這うようなおどろおどろしい声がその場に響いた。
「禁忌に手を触れたあの男を出せ」
「っ!!」
恐怖にその場にいた人達が一斉に腰を抜かしてしまった。
「ちびった」
「はいはい」
自己申告した俺様邪神にクリーンをかけ、抱っこしたら謁見の間が闇に包まれてカイちゃんが登場。
「……かあさま?」
「カイちゃん久しぶりー」
手を振った次の瞬間、謁見の間の天井が消失した。
「貴様ら人間に来世は無いと思え!!」
「ひょぇ」
ブチ切れたカイちゃんに俺様邪神がぎゅっとしがみついてきた、はぁー可愛い、いつもこんなだったら良いのになぁ。
ここから先は見学禁止らしく、えっちゃんによって転移、帰宅しましたー。
「ねぇえっちゃん、僕がいたことで被害拡大してない?」
「……」
どうやら黙秘権を使うようだ。
うーん、まぁ今更かぁ。
キノコ狩りはカイちゃんも来る予定だし、そんなに長くはかからないだろう。
「ままぁ」
「シャムスただいまー」
「いちゅきを迎えにいってきちゃぞ!」
「あい!」
シャムスの前なのに降りようとしないあたり、もしかしたらこの子……腰を抜かしているかもしれない。
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