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第一章 紡がれる日常

第35話

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 熊さん一家の接待をシャムスとともに受け、心身ともにリフレッシュし、熊さん一家とトランプをしていた所にアー君が迎えに来た。

『もーちょっと』
「シャムス、そこを何とか」
『やぁん』

 一緒にお風呂に入って、ご飯をあーんしてあげたのでシャムスはご満悦。
 お気に召しすぎて僕を独り占めする時間の延長をご希望です、幾らでも!!

「ママも当初の目的思い出してぇ!」
「アー君が困ってるよシャムス、お手伝いしないとね」
「ぷー」

 頬を膨らますシャムスも可愛い。
 尊い。

「っく、最終奥義」

 この方法は使いたくなかったと言いながら、アー君がぽひょんと幼児の姿になった。

「ママ、シャムス、お手伝いして欲しいな」

 幼児でおねだりとはやるなアー君。
 僕もシャムスもめろめろですよ。

「しかたないなぁ」
「良かったねぇアー君、手伝うって」
「ふぅ」

 息を吐きだしたアー君が胃を押さえている。
 うんうん、騎士様の苦労を体験している感じだね、頑張って。

 そんな感じでシャムスを説得できたので、空にぽっかりと開いた穴が見える場所に移動することになりました。
 どこからでも見えるんだけどね、ああいうのは高い場所から眺めるものらしい。

「キキ」
「えっちゃん?」
「は?」

 アー君が反応するより先にえっちゃんによって転移しました。
 ここはどこだろう、見渡す限り空が広がっているうえ、アー君置いてきちゃった。

「水玉のうえ!」
「しゃ!」

 どうやら帝国王子のお気に入りである水龍の背中の上らしいです。
 地面が遥か遠くにある空の上なはずのなのに、風の抵抗が無く、普通に立っていられる不思議。
 謎能力、えっちゃん、ポンチョ、どのおかげだろうか。

「えっちゃん凄いね、どこにでも転移出来るんだ」
「あなちかいね」

 ぐんぐん穴を目指して飛ぶ水玉、かなり近付いてきたようで穴の中がもうじき見えそう。

「じゅうたいしてるよ」
「うーん、僕にはちょっと見えないなぁ」

 目を凝らしても真っ黒な穴にしか見えない。

「みんななみだめ」

 こちらが近づいて行くとさらにパニックを起こしているそうです。
 あの女性たちが仕掛けていった罠の中身がポンコツなのは仕様なんだろうか。

『このままゴー!』
『え、マジで!? 俺死んじゃわない?』
『へーき、えっちゃんとママがいるから』
『本当? 信じてますからね!』

 ぐんと水玉がスピードを上げて穴に突っ込んだ。

「わぁ、魔物というか悪魔っぽい子がたくさんいるね!」

 クトゥルフ神話から出てきたような異形の姿から、セバスチャンのような見た目だけは一級品までたくさんの生き物がいたんだけど……シャムスが言った通り、全員涙目です。
 中には逃げようとしたけど腰抜かして動けない子もいました。
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