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第一章 紡がれる日常

第75話

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 炎帝さんが妊娠、出産した。
 本日は出産祝いに黄金パフェを持ってきたのだけど、ちょっと前に呼び出しをスルーしたので皇帝に会う前に帰宅したい所存。

 それにしても僕並みに妊娠期間短くない?

 女神様の離宮内にある炎帝さんの部屋に通され、炎帝さんが横になるベッドの横に設置された椅子に座る。
 部屋の家具がどこか可愛らしく、そして全体的にふわふわしたイメージなのは趣味なのかな。

「お相手は?」
「私の旦那」

 一応聞いたら女神様がパフェを食べながら答えてくれた。

 結界巡りをした時にはしゃいでいたけど、あれ決行したのか……。
 皇帝、いらんところで苦労してるなぁ。

「まさか一度で妊娠しただけではなく、私の魔力ガンガン使って成長するとは思わなかったわ。陣痛が痛くてせっかく転生したのに死ぬかと思ったんだから」
「私までパニック起こしてたら息子たちがヨム様呼んでくれて助かった」

 その小さな勇者様たちは僕からクッキーやら煎餅やらおやつをカツアゲしていきましたけどね。

「それでさぁ問題があるんだわ」
「大問題、ママンの意見が聞きたいの」
「ふはははは!! 我が祖母よ来たかぁぁ!!」
「ふはははーー!」
「おやつ食べ終わった、ママ追加ちょーだーいーー!」

 扉をぶち破る勢いで子供たちが乱入してきた。
 強盗ですね、おやつ強盗が出ました。

 あと知らないでっかいのが混ざっているのだけど、たぶんこの子が炎帝さんが産んだ子なんだろうな。
 だって炎の腰蓑しか身に着けてないんだもの。

「はい、炎属性でも美味しい食べれるアイスキャンディー」
「「うおおおおお!!」」

 えっちゃんにお願いして樽ごと渡したら雄たけび挙げながら部屋から出て行った。
 ふぅいい仕事した。

「つまりあの炎をまとった露出魔に関する相談ですね」
「さすがイツキちゃん分かってるぅ!」
「服を着せても燃えてしまうの! あと生まれて数分で成人とか意味が分からないわ!」
「急な成長は我が家あるあるです。服に関しては諦めて、もうあれで良くないですか?」
「目のやり場に困るだろ?」
「散々人間の営みを覗きまくってる女神が何を言っているんですか?」

 最近なんて他人に僕や恋人さん、炎帝さんにまで憑依して自分でも体験していますよね?

「それがさぁ、火属性が強過ぎてトレントが弱って来てるんだよ。生まれた瞬間からあのテンションだから火力も強くて……」
「ママン助けて!」

 僕の子供だったら強過ぎる炎を夢の世界にぺってして終わりなんだけど、孫だからなぁ。

「あ、そうだ。鍋ダンジョンの領地に行ってもらうのはどうですか? これから火力たくさん必要になるから大活躍できますよ」
「なぁその名称どうにかできねぇの?」
「アー君たちが付けた仮称がそのまま浸透しちゃって、僕にはどうにもできません」

 このままだと元々の名前が上書きされて鍋の地とか呼ばれそうだし、確かに止めた方がいいかもしれない。
 …………そもそも正しい領地名知らないや。
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