神様のポイント稼ぎに利用された3~過保護な神々と溺愛家族に囲われています~

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第154話

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 相変わらず続いている牛と岩の狼の戦い。
 暴れれば暴れるほど野菜が降ってくるけれど、冒険者の身を心配するより先に彼らは現状に適応し始めた。

「おーい、体の上でアイテムボックス開けてそこで野菜受け止めると被害減るぞー」
「マジかよ天才だな」
「あー野菜に埋もれて死ぬかと思った」
「将軍閣下! これらの野菜には微力ながら回復機能があります!」
「よし全員野菜を食え!」
「せめて調理してほしいです!」
「俺は忙しい!」

 容赦なく命令を飛ばす刀雲はと言うと、地面に座ってイグちゃんと野菜を一口サイズに切っていた。
 ……いつからいたんだろうか、びっくりして心臓止まりかけた。

「漬物野菜と生野菜の違いが判らない」
「色がちょぴっとだけ鮮やかになってるのが漬物だと思うぞ、表面がなんとなく瑞々しくなってる」
「ジャガイモあった」
「タマネギ」
「大根が地面に突き刺さってた」

 わらわらと刀雲の周りに野菜を持った邪神兄弟が駆け寄っていく、突然料理を始めた理由は邪神兄弟におねだりされたのかな?

「ニンニクもあった」
「この生姜、効能が魅力的」
「うぅ涼玉様が戻ってこない」

 七体のマールスがめそめそしながら両腕に野菜を持ってきた。
 世話をすべき涼玉がロデオではしゃいでいて暇なんだろうなぁ。

「涼玉は絶賛バトル中だな、シャムス寂しくないか!」
『僕もロデオしたい』

 俺様邪神の言葉にシャムスがとんでもない返しをした。
 駄目だよシャムス、君は涼玉とは違って握力普通だからロデオなんてしたら振り落とされる!

「あの狼にマールスが乗れればいいのにね、そしたら涼玉と一緒にロデオ出来るよ」
「それは魅力的なお話で」
「ママ……」
「ん?」

 いまだ騎士様に肩車されているアー君が呆然としながらこちらを見ている。
 騎士様の頭にはお皿がのせられ、テーブル代わりに使われているようだ。息子の特権、かな。

 ついでに言うとアー君の食事を邪魔しないよう、動かなかった騎士様も一緒にこちらを見ていた。
 美形も目を丸くすると可愛いですね。

 いやそうじゃなく。

「どうかした?」
「世の中の理不尽さを噛みしめている」
「神の奇跡すら凌駕する現実に顎が外れそう」

 親子揃って現実逃避しかけていませんか?

「ママ、あれ」
「?」

 あれを見ろと示された先、ロデオと名付けた牛の上で涼玉が勝利のポーズを決めていた。

「涼玉が可愛いね」
「違う、そうじゃない、牛の足元見て」

 言われてもう一度視線を向ける。
 敵の目の前で岩の狼がへそ天になり、服従のポーズをしていますね。

「シャムス、狼さんが仲間になったよ! これでロデオ出来るんじゃない!?」

 こちらの意思が通じるなら手加減もしてくれるだろうし、刀雲と乗れば確実に守ってくれる!
 問題はあの狼がロデオ出来るかだけど、きっとまぁ多分大丈夫だろう。

「うれちい!」

 ほらシャムスが喜んでいるし、世はすべて事もなしっていうことで!
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