神様のポイント稼ぎに利用された3~過保護な神々と溺愛家族に囲われています~

ゆめ

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第三章 世界に降りかかる受難

第607話

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 目が覚めたら白い空間で、目の前に慈愛の表情でこちらを見ている女神様がいた。
 正直恐怖しかない。

 寝ぼけてスッキリしない頭でぼんやりとしていたら、僕の顔を温かいタオルで拭ってくれたり、今日も可愛いわねと優しい言葉をかけてきたり、朝食は僕の好きなものにしましょうねと笑顔を向けている。
 どうやっても偽物。天地がひっくり返ってもこれが本物なわけがない。
 でもちょっと面白いから付き合ってあげよう。

 多くの人が母親に抱く理想像を体現するかのように、歌を歌いながら朝食を作っている。
 白い空間で突然キッチン出して料理とか怪しすぎる。さてはこの偽物、世間知らずだな。
 ツッコミどころが多すぎて、これは夢なのかそれとも僕の腹筋を鍛えるための修行なのか不安になってきます。
 目的なんだろ。

 これがヘラ母さんだったら説得力あるんだけどなぁ。
 なんでよりによって女神様の姿取っちゃったんだろう、朝食にパンケーキ作ってくれたけど、これはアー君の好物であって僕の好物じゃない。
 僕の好物は和食です。白いご飯とお味噌汁、厚焼き玉子に焼きのりあると嬉しいな。

 しかもこのパンケーキ味付けなし、ジャムもマーガリンも蜂蜜もなし。
 何か添えてほしい。
 味見してみたいけれど、生焼けな可能性が高いし、この偽物が作ったものは食べたくない。
 茶番はここまでである。

「女神様、一升瓶は?」
「一升瓶?」

 偽物さんや、事前情報なしに動くからボロが出すぎよ。

「あのね、女神様はいつも一升瓶を抱きしめて離さないの」

 ワインを優雅に飲むのを好むけど、あれは現での人目を気にした姿。
 基本的に白い世界で会う時は一升瓶を抱えてます。

「世のお母さんみたいにエプロンも着ないよ、ジャージ」
「……」

 自分のプライベート空間なんだからいいんだよ!って開き直って、ジャージで胡坐かいて一升瓶抱えているのが通常スタイルです。
 騎士様の隣に立っても違和感のない外見なのに、中身が残念過ぎるのが僕らの女神様なのである。

 僕の記憶を盗み見てこれを演出しているなら、確実にヘラ母さんと混ざってます。
 ただヘラ母さんを演じている場合、甘やかしが足りない! 温かいタオルで拭ってくれるだろうけど、起きるまで待ったりせずに、寝ぼけている間に拭いてくれるの! 可愛いねという言葉もただ言うだけじゃなくて、ちゅっちゅしながら! あと朝食だろうと必ず野菜を入れてくる! やり直し!

「……どうして」
「さらに言うと僕の顔を見てBLトークしないなんてありえない」

 真顔になった偽物がぼそりと呟いたので真実を答えてあげた。
 ただこの人がBLの意味を知っているかは僕が知ったことではないのでござる。

「どうしたら、あなたをけすことが、できるのかしら」
「無理だと思います」

 僕を消そうとするのってほぼ不可能じゃない?
 女神様の執着というか妄想の塊だよ?
 あの人から煩悩を消すことが出来れば、まぁ消すことは出来るかもしれないけど……無理でしょ。

「こんな小さなにんげんひとり、けすことができないなんて」

 ほろほろと涙を流し、両手で顔を覆ってしまった。
 今がチャンス、両手で影を作って……えっちゃんいるー?

 おおさすが最強の護衛戦士えっちゃん、すぐ来てくれた。
 あのね、目の前に女神様の姿をした偽物がいるの。正体は大体見当ついたからもういいよ。

「キッ!」
「っひ、なぜ、なぜここに、やみがいる」
「先生、先生、お願いします!!」
「キーー!」

 ぶわーって広がってぐるぐるっと闇で縛り上げ、ぎゅーっと圧縮してごっくん、さすがえっちゃん、一瞬の早業である。頼もしい。

「起きたら目の前に慈愛の女神様とか普通に怖かったぁ」
「キッ」
「あの人たちの攻撃で過去一番恐怖だったなぁ。もう起きようか」
「キキ」

 なぜ女神様が料理上手だと思ったんだろう、あの人は騎士様ほど酷くはないけど料理壊滅的だよ?
 それでも帝国兄弟にねだられるからクッキーを焼くぐらいなら出来るようなったとか言ってたけど、火力調整は炎帝さんがやっていると僕は知っている。
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