1,058 / 1,275
第四章 新たな使命は特にない
第1042話
しおりを挟む
幼児から元の姿に戻ったからだろうか、それとも女神様の妄想に巻き込まれているのだろうか。
夫婦からのご相談が増えました。
昨日は体の弱い奥さんが、命を懸けても子供を産みたいと願っていて、旦那さんは奥さんの願いを叶えてあげたい反面、出産に耐えられずに奥さんを亡くすことを恐れていた。
なのでヨムちゃんと、ヨムちゃんの加護を受けた巫女さんを紹介しておきました。
その前は不妊に悩む夫婦。
男性同士のラブラブカップルだったので、ヴィシュタル教の教会を紹介。
女神様にお祈りすればどうにでもなるよって答えて終わり。
……あの、すみませんが、神様に助けを求める前に、教会に相談に行ってもらっていいですか?
僕、おうちでゆっくりしたい。
「ママお疲れです?」
「うん」
「何で突然、相談案件増えたんだろうな?」
「本当にそうなの、家でゆっくりしたいのにね」
『……この子が犯人』
シャムスが小さなお手々で僕のお腹をポンポン。
なるほど、お腹の中にいる甘いもの大好きな末っ子が犯人かー。
『困っている人がいると、助けなきゃーって使命感に追われちゃうみたいね』
「末っ子ちゃんの正義感と、女神の妄想が絡まって、かあちゃ召喚なんだな」
「打つ手ないです!」
イネスが匙を投げた!
もうちょっと考えてほしかったなぁ。
そう言っている間にまた呼び出された。
正義感が強い子を持つと苦労するなぁ、でもこの子はこうやって人助けをしてなきゃ、自分に生きている価値を見出せないような人生だったのかな?
前世は浄化したと思ったけど、相談案件が多すぎて思い出しちゃったのかも。
呼び出された先は粗末なつくりの家の、風通しの悪い応接間だった。
昼間にもかかわらず薄暗いねー、掃除もされてないから埃っぽい、お腹の子に良くない環境である。
「夫がダンジョンから帰って来ないのです、離婚できますか?」
僕を呼び出すほどの深刻な案件ではないよね??
帰っていいですか?
「教会にご相談ください」
「この町、教会がないんです」
教会ないの?
じゃあ建てる?
そういう権限ならあると思うんだ。
「帰って来なくなってもう半年です……。生活費も滞ってますし、髪を整える余裕もなくて……」
「働きに出るとか、ギルドに相談に行くとか」
「私、危ない所には近付きたくありませんし、ギルドに依頼する費用も、あの人が仕送りしないからこちらには全然……!」
教会はない、ギルドはあるけど危ないから近付きたくない。
それにさっきから口から出るのは、旦那さんの心配ではなく、自分の生活費の心配。なんだろう、もやっとする。
少なくとも妊婦に相談する案件ではない。
えーアー君、アー君、助けてください。
「ちわー」
「ギルドから派遣された特別相談員でっす!」
「なっ、なんですの貴方たち!」
ノックもせずに家に上がり込んできたのは、どこからどう見ても市民には見えないいかつい顔のおっさん二人。
いやよく見ると顔に皺が少ない、青年よりちょっと上ぐらい?
「統括から行けって指令が飛んで、ちょうどいいからお前ら行って来いって言われました」
「相談女の相手はめんどっ……女性は繊細ですから、神子様のご負担になると」
いかつい人その2、本音がほぼ漏れてますよ?
「わ、私は貴方たちなんて呼んでいません!」
「そりゃそうだろ、アンタに呼ばれたんじゃないし」
「こちらのお方を助けに来ただけです」
本音がだだ洩れしている方がサッと僕を片腕に抱き上げる。
見た目が細い割に力持ち!!
「えーっと、旦那がダンジョンから半年以上帰って来ない件について統括から伝言がある『実家に帰れ』。ってことで、あとは知らん」
アー君、対応が雑すぎない?
後で問題にならないならいいけど……。
ぽっかーんとする女性を置いて、サッサと家を出るいかつい二人。
玄関の扉が閉められた瞬間、ヒステリックな叫び声が響いたけど、気にするそぶりもないです。
「あの女、押しかけ女房といえば聞こえはいいんですが、爵位が低い貴族の娘が顔のいい冒険者に一目惚れして、結婚もしていないのに留守の間に家に入り込んで、勝手に暮らし始めたやばいやつなんです」
それは日本ではストーカーと呼ばれるアレでは??
「彼女が夫と呼んでいる相手も、別に結婚していませんし、今回はダンジョンに行くと言って別の都市に逃げただけです」
「え、でも、離婚できるかって聞かれたよ?」
「自分に不自由な生活をさせた慰謝料でもふんだくろうとしたのでは? それか帰って来ない相手に恋が冷めたのかもしれません」
「女性怖い」
刀国民の女性はパワフルで怒らせるとおっかないけど、それとは別の怖さがあります。
お腹の子もブルブル震えている。トラウマにならないといいけど……。
夫婦からのご相談が増えました。
昨日は体の弱い奥さんが、命を懸けても子供を産みたいと願っていて、旦那さんは奥さんの願いを叶えてあげたい反面、出産に耐えられずに奥さんを亡くすことを恐れていた。
なのでヨムちゃんと、ヨムちゃんの加護を受けた巫女さんを紹介しておきました。
その前は不妊に悩む夫婦。
男性同士のラブラブカップルだったので、ヴィシュタル教の教会を紹介。
女神様にお祈りすればどうにでもなるよって答えて終わり。
……あの、すみませんが、神様に助けを求める前に、教会に相談に行ってもらっていいですか?
僕、おうちでゆっくりしたい。
「ママお疲れです?」
「うん」
「何で突然、相談案件増えたんだろうな?」
「本当にそうなの、家でゆっくりしたいのにね」
『……この子が犯人』
シャムスが小さなお手々で僕のお腹をポンポン。
なるほど、お腹の中にいる甘いもの大好きな末っ子が犯人かー。
『困っている人がいると、助けなきゃーって使命感に追われちゃうみたいね』
「末っ子ちゃんの正義感と、女神の妄想が絡まって、かあちゃ召喚なんだな」
「打つ手ないです!」
イネスが匙を投げた!
もうちょっと考えてほしかったなぁ。
そう言っている間にまた呼び出された。
正義感が強い子を持つと苦労するなぁ、でもこの子はこうやって人助けをしてなきゃ、自分に生きている価値を見出せないような人生だったのかな?
前世は浄化したと思ったけど、相談案件が多すぎて思い出しちゃったのかも。
呼び出された先は粗末なつくりの家の、風通しの悪い応接間だった。
昼間にもかかわらず薄暗いねー、掃除もされてないから埃っぽい、お腹の子に良くない環境である。
「夫がダンジョンから帰って来ないのです、離婚できますか?」
僕を呼び出すほどの深刻な案件ではないよね??
帰っていいですか?
「教会にご相談ください」
「この町、教会がないんです」
教会ないの?
じゃあ建てる?
そういう権限ならあると思うんだ。
「帰って来なくなってもう半年です……。生活費も滞ってますし、髪を整える余裕もなくて……」
「働きに出るとか、ギルドに相談に行くとか」
「私、危ない所には近付きたくありませんし、ギルドに依頼する費用も、あの人が仕送りしないからこちらには全然……!」
教会はない、ギルドはあるけど危ないから近付きたくない。
それにさっきから口から出るのは、旦那さんの心配ではなく、自分の生活費の心配。なんだろう、もやっとする。
少なくとも妊婦に相談する案件ではない。
えーアー君、アー君、助けてください。
「ちわー」
「ギルドから派遣された特別相談員でっす!」
「なっ、なんですの貴方たち!」
ノックもせずに家に上がり込んできたのは、どこからどう見ても市民には見えないいかつい顔のおっさん二人。
いやよく見ると顔に皺が少ない、青年よりちょっと上ぐらい?
「統括から行けって指令が飛んで、ちょうどいいからお前ら行って来いって言われました」
「相談女の相手はめんどっ……女性は繊細ですから、神子様のご負担になると」
いかつい人その2、本音がほぼ漏れてますよ?
「わ、私は貴方たちなんて呼んでいません!」
「そりゃそうだろ、アンタに呼ばれたんじゃないし」
「こちらのお方を助けに来ただけです」
本音がだだ洩れしている方がサッと僕を片腕に抱き上げる。
見た目が細い割に力持ち!!
「えーっと、旦那がダンジョンから半年以上帰って来ない件について統括から伝言がある『実家に帰れ』。ってことで、あとは知らん」
アー君、対応が雑すぎない?
後で問題にならないならいいけど……。
ぽっかーんとする女性を置いて、サッサと家を出るいかつい二人。
玄関の扉が閉められた瞬間、ヒステリックな叫び声が響いたけど、気にするそぶりもないです。
「あの女、押しかけ女房といえば聞こえはいいんですが、爵位が低い貴族の娘が顔のいい冒険者に一目惚れして、結婚もしていないのに留守の間に家に入り込んで、勝手に暮らし始めたやばいやつなんです」
それは日本ではストーカーと呼ばれるアレでは??
「彼女が夫と呼んでいる相手も、別に結婚していませんし、今回はダンジョンに行くと言って別の都市に逃げただけです」
「え、でも、離婚できるかって聞かれたよ?」
「自分に不自由な生活をさせた慰謝料でもふんだくろうとしたのでは? それか帰って来ない相手に恋が冷めたのかもしれません」
「女性怖い」
刀国民の女性はパワフルで怒らせるとおっかないけど、それとは別の怖さがあります。
お腹の子もブルブル震えている。トラウマにならないといいけど……。
10
あなたにおすすめの小説
優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)
皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
身代わりの出来損ない令息ですが冷酷無比な次期公爵閣下に「離さない」と極上の愛で溶かされています~今更戻ってこいと言われてももう遅いです〜
たら昆布
BL
冷酷無比な死神公爵 × 虐げられた身代わり令息
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる