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権力とは使う為にある
第241話
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その日、珍しくアカーシャが満面の笑みで帰宅した。
何があったんだろう。
「ふふ、ラブレター貰っちゃった」
頬をほんのり染めながら見せてくれたのは一通の封筒――ではなく、山のような封筒だった。
モテモテ!
「これで焼き芋出来ないかなぁ」
「焼くの!? 火だねなくてもアー君が張り切って焼いてくれるよ」
ドリちゃんなら3秒で出来るよ?
アー君、背後でこっそり火力調整しなくていいから!
「全部目は通したけど権力目当てがほとんどだから、そっちは捨てていいかなぁって」
「弟が王太子だもんね」
権力あるあるってやつだね。
ん? ほとんど?
「一部本気のお手紙も混ざっているってこと?」
「うん、そっちはキチンとお返事するつもり」
もしかしてその中に本命がいるのかな、ギレンが血涙流しそうだね。
「らぶれちゃー」
「愛を告げる手紙か、どれどれ」
「僕も読むー」
「我も」
どこからかイネスとタイガも姿を現し、机の上に置かれたラブレターを手に取ってそれぞれ読み始めた。
いいのだろうか。
『アー君読んで』
『うむ、どれどれ――』
アー君が音読を始めた。共通語じゃないから内容が分からないよ。
「僕もラーシャにラブレター書こうかな、ええと『ラーシャいつも爪のお手入れありがとう』んー、文字を書いたはずなのに全部肉球スタンプになるです」
イネスの肉球がびっしりなお手紙なら僕が欲しい、あとイネスちゃん、それはラブレターと言うより感謝状だと思うよ。
「……」
黙々と手紙を書き始めたタイガの手元を見てみたら、武将のような角ばった字で文字がつづられていた。
「ラセン先日はすまなかった。お前が子を欲しいと言うからつい張り切ってしまった。次こそは孕ませるからどうか許してくれないか……違うな、そろそろ周防に弟を……うーむ」
顔を真っ赤にするラセンが見えた。
なんだかんだと良い夫婦とは思うけど、ラセンは子供産めないよ。
「アカーシャ、どの子が本命なの?」
「えっとねこの子」
―――!!!
手紙が差し出された瞬間、脳内に女神様の悲鳴が聞こえて来た。
しかもすっごい早口で本命の子のプロフィールから妄想まで大音量で叫ぶものだから、情報過多も相まって脳がキーンってなってる、痛い痛い、頭痛い。
「ヴィシュタル」
唸り声と共に女神様の名を呼んだのは、牙を剥いて怒りの表情を浮かべるアー君だった。
(申し訳、ございませんでした)
アー君ありがとう、女神様はちょっとは反省してください。
そう思いながらパタリと意識を手放した。
何があったんだろう。
「ふふ、ラブレター貰っちゃった」
頬をほんのり染めながら見せてくれたのは一通の封筒――ではなく、山のような封筒だった。
モテモテ!
「これで焼き芋出来ないかなぁ」
「焼くの!? 火だねなくてもアー君が張り切って焼いてくれるよ」
ドリちゃんなら3秒で出来るよ?
アー君、背後でこっそり火力調整しなくていいから!
「全部目は通したけど権力目当てがほとんどだから、そっちは捨てていいかなぁって」
「弟が王太子だもんね」
権力あるあるってやつだね。
ん? ほとんど?
「一部本気のお手紙も混ざっているってこと?」
「うん、そっちはキチンとお返事するつもり」
もしかしてその中に本命がいるのかな、ギレンが血涙流しそうだね。
「らぶれちゃー」
「愛を告げる手紙か、どれどれ」
「僕も読むー」
「我も」
どこからかイネスとタイガも姿を現し、机の上に置かれたラブレターを手に取ってそれぞれ読み始めた。
いいのだろうか。
『アー君読んで』
『うむ、どれどれ――』
アー君が音読を始めた。共通語じゃないから内容が分からないよ。
「僕もラーシャにラブレター書こうかな、ええと『ラーシャいつも爪のお手入れありがとう』んー、文字を書いたはずなのに全部肉球スタンプになるです」
イネスの肉球がびっしりなお手紙なら僕が欲しい、あとイネスちゃん、それはラブレターと言うより感謝状だと思うよ。
「……」
黙々と手紙を書き始めたタイガの手元を見てみたら、武将のような角ばった字で文字がつづられていた。
「ラセン先日はすまなかった。お前が子を欲しいと言うからつい張り切ってしまった。次こそは孕ませるからどうか許してくれないか……違うな、そろそろ周防に弟を……うーむ」
顔を真っ赤にするラセンが見えた。
なんだかんだと良い夫婦とは思うけど、ラセンは子供産めないよ。
「アカーシャ、どの子が本命なの?」
「えっとねこの子」
―――!!!
手紙が差し出された瞬間、脳内に女神様の悲鳴が聞こえて来た。
しかもすっごい早口で本命の子のプロフィールから妄想まで大音量で叫ぶものだから、情報過多も相まって脳がキーンってなってる、痛い痛い、頭痛い。
「ヴィシュタル」
唸り声と共に女神様の名を呼んだのは、牙を剥いて怒りの表情を浮かべるアー君だった。
(申し訳、ございませんでした)
アー君ありがとう、女神様はちょっとは反省してください。
そう思いながらパタリと意識を手放した。
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