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可愛い子には旅をさせよ

第322話

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 騎士様に雷ちゃんの事をちょっと聞いた。

 多大なエネルギー持つ雷ちゃんだけど、基本的に食べ物は必要としない。
 大地の気が命の源、溢れる生命力は大地に返還され、自然を育み雷ちゃんを楽しませ、生かす。

 マンゴーは唯一と言ってもいい嗜好品。

 だからまぁ

「甘いもの食べたらドはまりするよね」
「大体アー君と同じと考えていいですね」

 アー君は嗜好品を楽しむ余裕なんてない人生だったみたいで、与えられる美味しいものはなんでも食べる。
 好き嫌いするけどあれは甘えのうち、食べさせるけどね。

 そんな雷ちゃんの一番のお気に入りはプリン。
 毎日食べたいと要求されるほどお気に召したらしい。

「雷ちゃんがごめんね」
「メニュー画面で出したものでも美味しく食べてくれるので特に問題はないんですけどね」

 刀雲がね~
 手作りを与えたがるの。
 休日は自ら作る熱の入りようで、本日はタイガと調理場にこもっています。

 僕も手伝いたい所だけど膝に雷ちゃんが陣取って動けない。
 一度メニュー画面を操作して色々出しているの見られて以来、隙あらば膝に乗ってくるんだ。

 今は検索をプリンに絞って閲覧中、涎が大変な事になっているのでこっそりよだれかけを装着したけど気付いてないなぁこれは。
 大きく「プリン」の文字が書いてあるこれは騎士様のお父さんである珱さんの手作り、他にもプリンクッションなどをもらいました。

「とろとろの壺プリン……ふぉぉ」

 大手有名サイトのプリンだね、広告で見た事はあるけど食べた事ないや。
 もしここにコンビニスイーツが加わったらどうなるんだろう、雷ちゃんもうメニュー画面を離さなくなるんじゃなかろうか。
 なくて良かった。

「雷ちゃんいいのあった?」
「主はしっし」
「ひどっ」
「雷ちゃん、騎士様は取らないから大丈夫だよ」
「そっか」

 目線は画面から決して離れない。

『タイガー、採ってきたのよー』
「厳選した!」

 もふもふズの背に乗って庭から入ってきたのはシャムスとアー君、いないと思ったら隠れ家の裏手に果実を取りに行っていたようです。
 調理場から出てきたタイガが二人から果実を受け取った。

「助かる、これを飾り付ければ完成だ。待っていよ」
『うふふ~』
「ママ、おてて」
「はいクリーン」

 何とか堪えたけど騎士様はふるふると震えている。
 今の可愛かったですよね!
 僕も心臓止まるかと思いました!
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