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湯水のごとくお金を使おう

第770話

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 巨大魚はブツ切りにして、野菜は在庫になっていた箱ごとドリアンに渡すでしょ、料理上手のスライムも準備済み、あと足りないのは……ああそうだ料理を始めるその前に。

「セティー、セティいるー?」
「なんだ母上」

 呼んだらサッと現れてくれたけど、髪をかき上げながら無駄に色気をふりまかれた。
 そのうち目線だけで孕む人間出そうだね。

「色気はいらないから、それよりこのドリアンに個人名付けて、これからセティや金ちゃん、銀ちゃんがお世話になる子だからいい名前お願い」
「スラちゃん、この魚の骨だけ抜いてくれ」
『内臓もいらないの』
「小骨刺さると痛い」
「兄らよ骨は揚げれば美味いし栄養もあるぞ」

 セティの一言に幼児達が凄い嫌そうな顔をした。

「本体からの指令――邪神だろうが野菜は食べさせよ――受諾しました」
「ははは、頑張れよ金!」
『ドリちゃん容赦ないの』
「俺、野菜平気」
「私モ」

 銀ちゃんは調理したものを好むけど、金ちゃんは生でも野菜食べるんだよね。

「な、なんだって」
『金ちゃん、野菜嫌い違うの?』
「自分を騙すのは良くないぞ!」
「俺は将来、父上のように何でも食べれる邪神になるのっ! 野菜ごときに負けない!」
「ステキ」

 エッヘンと胸を張る金ちゃんにうっとりとした銀ちゃんがすり寄った。
 仲いいなぁこのカップル。

 ドリアンが管理を任されている食材を見せてもらったら、貝やら魚やら海鮮類がたっぷりあった。
 地元の子供達が浅瀬で採れるものを持ってきてくれたらしい、もちろんお小遣い目当てではあるけど、子供が逞しいのは良いことだよね。

「この貝大きいねぇ、僕の両手合わせてもはみ出るよ」
「ホタテかな、殻付きのまま焼いて食べようぜー」
「それもいいけどホワイトソースとチーズをこうしてのせて、グラタン風はどう?」
「美味そう、ママ、早く焼いて!」
「アー君は食いしん坊だね、まだ作るものを考えている段階だよ」
「豪快に作って手間を省こう! 調味料上手く使えば多少手抜きでも美味しい!」
「アー君よ、それよりあの貧困を嘆いているだけの人間を使おう、切った素材に塩を振りかけたり、焼くぐらいは出来るだろう」
「ナイスアイデア!」

 早くつまみ食いしたいアー君が橋渡し役の人の元に走って行ったのを確認し、セティがグラタン風ホタテ料理をサッと焼いて盗み食いした。

「まさか、アー君にアドバイスしたのって……お兄ちゃんの分を盗むため!?」
「美味い」

 否定しないってことは、えっ、本当にその為だけにアー君動かしたの?
 セティって食べ物に関しても油断ならない子だったのね。

「セティ、ドリアンの個体名決めた?」
「女将というのは?」
「涼玉から余計な知識吹き込まれた?」
「冤罪だー」
『漫画のお話しただけよね』
「……『ナジャー』、安全、救済などの意味を持つ」
「ラジャ!」
『おっけぇ』

 なんか今、涼玉がダジャレ言わなかった?
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