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三食昼寝、家族付き
第976話
しおりを挟む皆さんはアースィムを覚えているだろうか。
愛称ムーくん、防御特化でタイガの双子の弟かと疑うぐらいそっくりな僕の息子です。
普段はセティの専属護衛として砂漠の国で働いているけど、今日は邪神一家と合同宴会という事でセティが連れて来てくれた。
いつも自分だけ来てたのは、セティが不在の間ムーくんが神殿を守っていたから。
悪魔や魔人の従者もいるけど、狡猾な種族だからイマイチ信用していなかったみたい。
けどセバツーの情けない現状を見て、僕に関わった者なら相手が悪魔でも信用しても大丈夫だろうと考えを変えたみたい。
僕への信頼というより謎能力への信頼?
「まぁよく考えたら、裏切られたら躾け直せばいいだけだしな」
セティが真っ黒な笑顔で笑っている。
誰に似たんだろう、騎士様かな?
セバスチャン達がお留守番を任されたことにより、久しぶりにムーくんが我が家に訪れた。
大楯はアイテムボックスに入れてあるのか装備してないけど、白銀の全身鎧が今日も眩しい!
「ムーくん!」
「っははうえ!」
庭に現れたムーくんに飛びついたら鎧がちょっと痛かった。
僕の真似をして三匹や涼玉がビタンビタンとムーくんの鎧に飛びついて遊んでいる。ごめん再会の喜びを全身で表しただけなんだ、遊んだわけじゃないんだよ。ムーくんが楽しそうだからいいけどね。
「母上、私は?」
「セティはいつも会ってる。でもお帰り、今日はお酒だけじゃなくご飯も食べていってね」
「前回は不可抗力だ」
むすっとしながらセティが座敷に上がっていった。
「ムーくん、鎧脱がないの?」
「脱ぐと落ち着かないのです」
「せめて兜は脱ごうよ、ご飯食べれないよ」
「本人より年上の息子ってどうなんだ?」
庭でお喋りしていたら、才女さんのお兄さんが縁側に姿を現した。
ピシリとしたかっこうだったけど、もっと楽にしろとアー君に言われて甚平に着替えたんだけど、騎士様に劣るとはいえ色気が凄いですね!
ずっきゅーーーーーーーーーーーーーん
そしてお兄さんが姿を見せると同時に古典的な音が響いた。
「ムーくん?」
僕を片腕で抱いているムーくんを見たら、白銀の鎧が淡く綺麗なピンク色に染まっていた。
なんなら背後にピンクの薔薇やハートが舞っている。
ワンコ三兄弟と顎が外れそうな涼玉、ムーくんに抱っこされていた僕をえっちゃんがそっと回収、代わりにムーくんの腕に大輪の薔薇の花束を渡して背中を押した。
えっちゃんが、えっちゃんがこの世界に適応している!!
「け、けけけけけ、結婚してください!!」
花束を差し出されたお兄さんが固まっている。
ムーくん頑張った!
後は良いお返事をもらうだけだね!
アー君、お兄さんからいい返事引き出して!!
目で懇願したらアー君が力強く頷いてくれた。
(兄さん、兄さん)
(っは! 気が遠くなっていた)
(商業ギルドに参入したいんだろ、ムーの求婚受け入れてくれたら許可もらってやる)
(なんだって!?)
(統括、俺の兄弟)
「いいだろう、その求婚受けた!!」
「おおおお!!」
お兄さんが男らしく受け入れた瞬間、ムーくんが後ろに倒れてしまった。
「ムー? ムーーーーー!!」
「ムーくーーーん!!」
鎧がピンクから真紅に変化してるよ!
茹蛸みたいだから起きていつもの色に戻そう!
『次はエンラよ』
「え、アイツ引きこもってるぞ?」
「セティ!」
「ヨム!」
「子作りする?」
「しよう!」
セティとヨムちゃんが再会した瞬間、手を取り合って部屋から出ていこうとしたので止めました。
ああでもこの後、雷ちゃんやタイガも来るんだよなぁ……また孫が増えそうな予感。
刀雲、騎士様早く帰ってきて!!
と思ったけど、エロに関しては参加する側だわあの二人!
残業でいいよ、夜勤でも可!
「ただいまー」
ダメだったーー!
応援ありがとうございます!
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