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君を愛することはない系 1-7

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―――放課後。

「それでは皆さん、さようなら」
「さようなら~」

 担任の挨拶で今日の授業が終わった。
 よし、さっさと帰ろう。

 「……ねぇ」

 俺の目の前には桃色の髪をした美少女が立っていた。
 もはやジャンルがホラーです。どうもありがとうございました。

「なんだよ?」
「今日は一緒に帰りましょう」
「断る!!」

 即答と同時に教室の窓から飛び降り華麗に着地。
 魔法のある世界だからできることです、よい子は真似しちゃいけません。

「どうして?」
「なんで?」
「マリアのこと好きなのに」
「なんでなんでなんでなんでなんでなんで」

 教室から誰もいなくなってもなお、虚ろな目で呟き続けたのを誰も知らない。わかる。知りたくないよな。



 翌日、教室に入り昨日と同じ席に向かうと机の上に手紙が置かれていた。

『昼休み、体育館裏まで来い』
「……誰だよ」

 差出人は書いていない。
 俺は首を傾げた。だってこの学園、体育館の裏は教職員住宅なんだ。
 ツンデレ婚約者と防犯の確認のために見に行った事があるけど、体育館の裏に回ると緩やかな丘が広がっていて、その先に住宅街がある。
 丘には遊ぶ子供たちがいたり、散歩の人がのんびり歩いていたりと、常に人がいる状態。
 裏に呼び出された日にはすんごい見られます。あと自宅に帰るために教員も普通にそこを通る。
 よくある「人目が届かない所」を徹底的に潰した結果、そういう作りになったらしい、設計者は裏庭呼び出しにトラウマでもあるのかな。

 とにかく、俺は昼休みにそこに行かなかった。
 いやだって普通に行くわけがない、昼休みだぞ昼休み、婚約者との貴重なイチャイチャタイム!!

 そして迎えた午後の授業中―――。

「きゃあぁぁっ!?」
「なんだ!?」
「先生が確認してくるので、自習をしていなさい」

 悲鳴を聞いて教室を出て行った教師の後を追おうとしたけどやめました。
 だって一緒に追いかけるってどう考えてもトラブルのフラグだよね。やだやだ。いやですわぁ。

 俺は他の生徒同様、真面目に自習をすることにした。
 入学当初、飛び級して婚約者と同じクラスになるんだ!とか意気込んでたけど、ここまでレベル高いとは思わなかった。飛び級無理じゃない?できたら天才レベルだよこれ。

「誰か!誰か来てちょうだい!」

 しばらくして聞こえてきた声に、教室内は騒然となった。
 え、マジ?まさかの展開?うそやん。
 でも先生戻ってこないんだよね。
 ……無視するしかない。
 だってどう考えても罠。行く意味ないじゃん。

「お願い!早く!」
「…………」

 俺は無言で立ち上がった。
 クラスメイトの視線が集まる。
 ポチッとな。
 壁際にある不思議な模様に触れるとあら不思議、外の音が聞こえなくなりました。
 これ防音と不審者侵入を防ぐための特殊結界、授業中のトラブルを極力無くすために設置されているもの。
 解除は簡単、先生が扉に触れるだけ。ただし登録してある先生以外が触れてもびくともしません、強行突破しようとすると電流が走って侵入者を攻撃します。心臓が悪い人は結界に触れたら昇天する可能性があるね。

 さて、これで準備万端、自習を進めようか!
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