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君を愛することはない系 1-8
しおりを挟む「……あの、先生が帰って来ないけど大丈夫でしょうか」
「心配なら連絡用の鳥を飛ばそう」
恐る恐る話しかけてきた委員長に、なるべく穏やかに答えを返す。
頭脳が高くても皆まだまだ子供だからね、大人がいない状況でのトラブル発生はやっぱり怖かったみたいだ。
「誰か!助けてください!」
「「「……」」」
「誰か!誰でもいいから!」
「え、嘘だろ、怖い」
防音結界を殴りながら叫んでるの?もしかして?ジャパニーズホラーも真っ青な展開!!
「助けてって言っているでしょう!ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ!!」
「アリスを無視するな!」
「公爵家唯一の姫を無視するつもりか!!」
「防音が機能していない?」
「もしかしてあのピンク、特殊能力持ちかもしれない。先生を待つより警備を呼ぼう、誰か鳥を飛ばしてくれ。それと危険だから廊下側から離れるように」
「はい!」
その間にも廊下側の窓や壁、扉が叩かれ続ける。
おい結界、仕事しろよ仕事!!
結界に苦情を入れていたら窓ガラスが割れた。
廊下からと思わせて外からこんにちはですか、もう嫌だ、帰りたい。俺にはツンデレ婚約者がいるんだ。
「ねぇなんで私を無視し続けるの?」
声は穏やかなのに恐怖しか感じません。
ホラーってすごいね!
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
「先生助けてぇぇぇ!!」
「警備は何をしている!!」
「どうして誰も来ないの?」
「俺帰る」
「「おかあちゃん!!」」
パニックに陥るクラスメイトの声にふと冷静になる。
「そうだ、なぜ、結界があるのに声が聞こえた?」
「そう、ですね、結界自体は正常に作動したはずです」
「これだけの騒ぎに大人が来ないのはおかしいよな」
異常事態の中、一人、二人と、冷静さを取り戻して思考を巡らす生徒たち。
皆のヒドイン、ピンク髪の少女がニタリと笑みを浮かべると叫んだ。
「どうして誰も来ないと思う?それはね――私が、貴方たち以外の人間を全員殺したからよ」
……はい? 今なんて言ったこの女。いやいや冷静に、冷静に、自分のペースを取り戻すんだ。
「嘘だろ……そんなことできるわけが……!」
話を信じた場合の声音ってこんな感じであってる?委員長に目線で確認したら頷いてもらえた。OKだそうです。
他の連中はOKサイン出さなくていいから、バレるバレる。
「本当よ、だってここは『わたしためのせかい』なんですもの、それなのに彼らは私の言うことを聞かないどころか、邪魔をしたのよ!」
「……どういうことだ」
「だからぁ、この世界は『ヒロイン』である私のために用意された世界で、私はその主人公なの!悪役令嬢は私のために用意されたライバルキャラ!分かる!?」
うん、わからん。
だってお前、乙女ゲームのヒロインじゃなくて、井戸に引きずり込む系の怨霊にしか見えないぜ?あと俺、婚約者いるんで。
「つまり、貴方たちはここで死ぬの、そして物語を最初から、正しい形で、やり直すのよ!」
きゃはっ☆と笑う姿はとても楽しそうです。
うわぁ、どうしよう、これどうすればいいのかな、討伐は出来ても手順を踏まないと悪霊化するんじゃない?とりあえず浄化魔法かけてみる?
応援ありがとうございます!
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