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とある生徒の、普通とは少し違った日常。 1-19
しおりを挟む入学してからもうじき一年、僕はギリギリ授業についていけている。
「はーい、今日はここまで」
先生の終了の合図と共に全員がその場にへたり込む。
「死ぬ、マジで死ねる」
「無理、もう動けん」
「水、水をください」
皆息も絶え絶えにその場に倒れこむ。
僕を含む留学生の体力が何とか追いついた頃を見計らい、容赦なく実技レベルが上げられ、クラス全体がこのありさまだ。
ここに来るまでに何人の留学生がクラスから消えただろうか、残った人たちの絆は強くなり、皆で力を合わせてなんとか授業を乗り越えている状況だ。
「大丈夫ですか」
隣で倒れる友人に話しかける。
同じクラスになり仲良くなった友達の一人だ。
僕が声を掛けると弱々しく手が上がった。
「あ、あぁ……なんとかな」
彼は元々Sクラスだったらしいが、授業がハイレベル過ぎてついていくのがやっとだと笑っていた。
国の将来より放課後の買い食いを選び、僕らのクラスに移動してきたんだよね。
「エース君は相変わらず平気そうだね」
視線の先には授業の片付けをするエース君、相変わらず体力が有り余ってるなぁ。羨ましい。
先生の助手という立ち位置のおかげか、彼だけは別メニューを課せられていた。
真面目にそれらをこなした結果、成績も実力もトップクラス、最近はSクラス勧誘だけでなく飛び級のお誘いもかかっているらしい。
あそこまで行くと才能だね。
ちなみに僕は普通、いや、少し下くらいです。頑張ってついていっている感じ。
他の留学生曰く、この国のレベルがおかしいのだとか。
貴族がこのレベルならまぁ理解できなくもない、でも平民まで同レベルなことに理解がいまだ追いつかないみたいだ。
僕の実家のような貧乏人は生きるのに必死だから、貴族の水準と違うのは当たり前。
ここは、この国は、平民も貴族も大体同じ水準で生きているし、同じ学園に通うから価値観もほぼ同じ、ズレがないんだ。
ただその分、他国とのズレが思いっきりあるけどね。
例えば食事、僕の知る平民の食事はパンが硬いとか肉が筋張って食べづらい、シャワーなんてものは存在しない、お風呂なんて貴族の特権、など、他にもいろいろ。
この国の平均は目の前にある食事が語っている。
表面がカリッと焼かれ、中身はふわっとしたパン、具沢山のスープに噛み切れる肉、寮の個室にあるシャワー、さすがに個室にお風呂はないけど大浴場はある。
この国にないものを上げろと言われたら困ってしまうだろう。
それほどの差を感じているんだ。
そのおかげで留学できている身としては文句を言える立場じゃないんだけどね。
一番問題なのは……これを体験した後に国に帰ること。
僕は居座る気満々だけど、貴族の子達は帰国が前提。
元の特権階級の意識に戻るの、大変だろうなぁ。
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