【番外企画】AIと書く異世界転生のススメ

ゆめ

文字の大きさ
81 / 90

とある生徒の、普通とは少し違った日常。 1-19

しおりを挟む

 入学してからもうじき一年、僕はギリギリ授業についていけている。

「はーい、今日はここまで」

 先生の終了の合図と共に全員がその場にへたり込む。

「死ぬ、マジで死ねる」
「無理、もう動けん」
「水、水をください」

 皆息も絶え絶えにその場に倒れこむ。
 僕を含む留学生の体力が何とか追いついた頃を見計らい、容赦なく実技レベルが上げられ、クラス全体がこのありさまだ。
 ここに来るまでに何人の留学生がクラスから消えただろうか、残った人たちの絆は強くなり、皆で力を合わせてなんとか授業を乗り越えている状況だ。

「大丈夫ですか」

 隣で倒れる友人に話しかける。
 同じクラスになり仲良くなった友達の一人だ。
 僕が声を掛けると弱々しく手が上がった。

「あ、あぁ……なんとかな」

 彼は元々Sクラスだったらしいが、授業がハイレベル過ぎてついていくのがやっとだと笑っていた。
 国の将来より放課後の買い食いを選び、僕らのクラスに移動してきたんだよね。

「エース君は相変わらず平気そうだね」

 視線の先には授業の片付けをするエース君、相変わらず体力が有り余ってるなぁ。羨ましい。
 先生の助手という立ち位置のおかげか、彼だけは別メニューを課せられていた。
 真面目にそれらをこなした結果、成績も実力もトップクラス、最近はSクラス勧誘だけでなく飛び級のお誘いもかかっているらしい。
 あそこまで行くと才能だね。

 ちなみに僕は普通、いや、少し下くらいです。頑張ってついていっている感じ。
 他の留学生曰く、この国のレベルがおかしいのだとか。
 貴族がこのレベルならまぁ理解できなくもない、でも平民まで同レベルなことに理解がいまだ追いつかないみたいだ。
 
 僕の実家のような貧乏人は生きるのに必死だから、貴族の水準と違うのは当たり前。
 ここは、この国は、平民も貴族も大体同じ水準で生きているし、同じ学園に通うから価値観もほぼ同じ、ズレがないんだ。
 ただその分、他国とのズレが思いっきりあるけどね。

 例えば食事、僕の知る平民の食事はパンが硬いとか肉が筋張って食べづらい、シャワーなんてものは存在しない、お風呂なんて貴族の特権、など、他にもいろいろ。
 この国の平均は目の前にある食事が語っている。
 表面がカリッと焼かれ、中身はふわっとしたパン、具沢山のスープに噛み切れる肉、寮の個室にあるシャワー、さすがに個室にお風呂はないけど大浴場はある。
 この国にないものを上げろと言われたら困ってしまうだろう。
 それほどの差を感じているんだ。
 そのおかげで留学できている身としては文句を言える立場じゃないんだけどね。

 一番問題なのは……これを体験した後に国に帰ること。
 僕は居座る気満々だけど、貴族の子達は帰国が前提。
 元の特権階級の意識に戻るの、大変だろうなぁ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

妖精の森の、日常のおはなし。

華衣
ファンタジー
 気づいたら、知らない森の中に居た僕。火事に巻き込まれて死んだはずだけど、これってもしかして転生した?  でも、なにかがおかしい。まわりの物が全部大きすぎるのだ! 草も、石も、花も、僕の体より大きい。巨人の国に来てしまったのかと思ったけど、よく見たら、僕の方が縮んでいるらしい。  あれ、身体が軽い。ん!?背中から羽が生えてる!? 「僕、妖精になってるー!?」  これは、妖精になった僕の、ただの日常の物語である。 ・毎日18時投稿、たまに休みます。 ・お気に入り&♡ありがとうございます!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...