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聖女ですわ!! 1-2
しおりを挟む「……大人しくしていろと言った」
突然背後から聞こえた声に振り返れば、そこには長身の男性が一人。
薄茶の髪に緑の瞳、整った顔立ちに白銀の鎧、腰に佩いた剣は見事な細工を施されていて、一目見ただけで高価だとわかりますわ。
「これは聖騎士様、ご機嫌麗しゅうございます」
立ち上がり、ドレスの裾をつまんで頭を下げる。
所謂カーテシーというあれですわ、ふふん美しいでしょう!
おーほっほほほほほ!!
「……」
「なぜ無言でこちらを見るんですの!? 」
何やら気まずい雰囲気に助けを求めるように周囲に視線を向けると、皆さん目を逸らしましたわ!
「大人しくしておりましたわ!」
「本当に大人しくしている奴は高笑いなどしない」
「うわぁ正論」
聞こえた小声にそちらを見ましたが誰も視線を合わせません。
「こいつらは知り合いか?」
「えぇ! ギルドの方々ですわ!」
「知り合いではないっす」
「飲んでたら相席ですわ!っていきなり座ってきました」
「お腹空かせてたんで、サラダと串焼きとエール奢りました」
彼らの返答に納得したのか、男性は一つため息を吐いて私のこめかみに手を当てました。
「あいたたたた!!」
レディのこめかみにドリルを食らわすなんてなんて男!
頭にヒビが入ったらどうしてくれますの!
「お前はただでさえ目立つんだから、せめて隅っこで気配を消しているのが普通だろう!!」
「この私が目立ってしまうのは神が私に与えた特権ですわ!」
「うわぁ」
「まぁ存在自体が派手だよな」
「むしろ隠すことが不可能だろ」
この方たち、分かっておりますわね!
無事に国に帰れたらお礼を送らねばなりませんわ!
ああ忙しい!
「とにかく、これに着替えろ」
「なぜですの!?」
「お前のその格好、どこからどう見ても貴族令嬢だ」
「そうですわね」
それが何か?
「そんな奴を連れて歩けるか!!」
「大丈夫ですわ! 私、この通り完璧な淑女ですもの!」
「それを隠せと言っているんだ馬鹿者!」
「変装した所で私の高貴な存在感は隠せないと思うのですが……」
仕方ないですわねぇ、そこまで言うなら着替えてあげましょう。
「何をしている」
「何って、着替えるのでしょう?」
「ここで!着替えるな!!」
脳天ドリルは本当に頭が割れるかと思いましたわ。
「おーほほほほ! どうです、似合っていますでしょう?」
「本当に隠せてねぇ」
「縦ロールの主張がすげぇな」
「そうでしょうそうでしょう! この私の魅力が存分に発揮されておりますでしょう?」
「そうだな」
「おーほほほほほ!」
隣では聖騎士の方が冒険者に慰められています、精神が柔なお方ですわね!!
応援ありがとうございます!
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