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最終章 決着
最終決戦:ティア、ゼラvs桐山和雄 決着【前編】
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「う~ん!」
ティアはスライムの集合体である体を活かし、足をバネに変形させる。
「突撃!」
そして思いっきり縮ませてから、そのパワーを解き放ち、猛スピードで桐山に突撃する!
「……」
桐山は無言でスッと横っ飛びして避ける。
しかし、避けた先にはゼラが待ち構えていた!
「黒炎拳」
ゼラは拳に黒色の呪いの炎を纏わせると、全力で桐山の顔面にパンチする。
「……」
しかし桐山はそれすらも軽々と避けた。
さらに避け様に、合気道や柔道の要領で、ゼラの腕を掴むと、そのまま投げ飛ばした。
「ゲ!」
ゼラはくるくると宙を舞う。
「え”!」
そして、突撃を避けられて、大木に頭をぶつけてしかめっ面をしていたティアの脳天に落ちた。
ゴチン! 痛々しい音が森に響いた。
「ゼラ! なんでティアに攻撃するの!」
ティアは涙目で頭を摩る。
「お前こそどうして私が投げ飛ばされたところに居たんだ!」
ゼラも涙目で言い返す。
「……」
桐山はそれをじっと観察するだけで、一言も口を開かない。
「う~む……全然攻撃が当たらない」
何度か言い合って冷静になると、ティアは難しい顔で桐山に唸る。
「全く。レベル1にならなければ、あんな奴瞬殺できるのに」
ゼラは苛立ちながら、瞳を真っ赤に燃やす!
「……」
桐山は動じた様子無くバックステップする。
すると、直後、桐山が立っていた場所が、黒き爆炎とともに爆発した。
「ち! 簡単に避けられると腹が立つ!」
ゼラは苦々しく舌打ちした。
「う~む……どうしよう?」
ティアはとりあえず、腕を鋭利な触手に変えて、近場の大木を切り崩す。
「とりあえず食らえ!」
そして凄まじい怪力で大木を持ち上げると、思いっきり桐山に投げつけた!
「……」
桐山は息一つ乱さず、横にステップして避けた。
「う~む……強い」
ティアは腕組みして考える。
「う~ん……どうしたら勝てるんだ?」
ゼラも腕組みして考える。
「ティア、よく考えたらこんなに強い奴と戦った経験ないし、そもそもほとんど戦ったこと無い。だからティアは勝ち方よく分からない。だからゼラが考えて」
ティアは納得した様に頷く。
「私だってこんなに強い、というかこんなに弱弱しくなった状態で戦った経験など無い。そもそも真面に拳を交えた経験など無いぞ」
ゼラは難しい顔で答える。
「なぬ? ゼラは朱雀とかからも恐れられる魔王だったんでしょ?」
「昔は鼻糞ほじりながら数万の命を消せたからな。今とは大違いだ」
「つまり……今のゼラは役立たず?」
「それを言うならお前だってそうだろ!」
また言い合いが始まる。
「……」
桐山は何もせず、黙って見守る。
「やいお前!」
ある程度言い合いして疲れたティアは、仕方が無いので桐山に聞くことにする。
「どうやったらお前を倒せるの! 教えて!」
ずるりと隣でゼラがずっこける。
「敵がそんなこと言ってくれるわけないだろ!」
「このまま時間が経てばお前たちが勝つ」
「え? 言ってくれるの?」
ゼラは桐山が口を開いたので目をパチパチさせた。
一方、桐山はマイペース。
「お前たちは俺にダメージを与えることはできない。そして俺もお前たちにダメージを与えることはできない」
「それだと引き分けになるでしょ? どうして私たちの勝ちになるの?」
ティアもマイペースに問いかける。
「俺は三村の支援でレベルを上げている。そして三村の支援は、あいつが眠ったり気絶したりすれば解ける」
「ふむふむ。つまり、このまま時間が経てば、その三村って奴が疲れるから、お前は支援を受けられなくなってレベルが下がると?」
「その通りだ」
「う~む。でもお前のレベルが下がっても、ティアたちのレベルも下がったままだよ? そうなるとやっぱり引き分けじゃない?」
「俺は睡眠が必要だ。疲労もする。しかしお前たち魔王は俺たちと体の作りが違う。数日は寝ないで大丈夫だろ」
「うむ! 寝るのは気持ちいいけど寝なくても辛くない!」
「食事だって、俺は必要だが、お前たち魔王は必要ない」
「うむ! でもご飯は美味しいから食べたい!」
「時間が経てば三村は気絶し、俺も疲労で倒れる」
「なるほど! やっぱりティアは強い!」
二人が話しているところを見てゼラは呟く。
「会話が通じているようで通じていないような?」
マイペースな二人だからこそ阿吽の呼吸で、互いに何が言いたいか分かる。
そういうものだ。
「しかし、そうなると戦う意味がないな」
ゼラは気を取り直して桐山に対して肩をすくめて見せる。
「お前たちはそうだろう。だが俺にはある」
桐山は断言する。
その口調はかなり強く、確固たる意志を感じさせた。
「ほう? どういう訳だ?」
ゼラは桐山の発言に興味を持つ。
(この男、自分が不利だと分かっているのに逃げ出さない)
ゼラはふと、大昔に戦った麗夜の家族たちを思い出す。
(私はあの目をした男たちに、封印されたんだったな)
どこか懐かしく、心地よい気持ちになる。
そんな風にゼラが思い出に浸っている中、桐山は言う。
「俺たちの目的は大山と麗夜を二人きりにさせることだ」
「二人きりに?」
ピクリとゼラとティアの瞼が震える。
「大山は麗夜とタイマンを望んだ。だからお前たちを分断した。大山と麗夜の喧嘩を邪魔させないように」
「なるほど。つまりこれは麗夜と大山の喧嘩が終わるまでの時間稼ぎという訳か」
「そうだ」
桐山は拳を握りしめる。
ゴキゴキと骨が鳴る。
「お前たちがそこでうだうだやっている分には俺は何もしない。しても意味が無いからな。だがもしもお前たちが逃げるのなら、俺はそれを全力で止める。例え無意味であっても」
桐山の気配が変わる。
ティアとゼラは息を飲む。
「う~む。背筋がゾクゾクする」
ティアは腕組みしてゼラに首をかしげる。
「どうしよう? あいつ結構怒ってるかも?」
「怒っているというより、やる気満々だな」
戦闘狂の気質があるゼラはブルブルと体を震わせる。
「だが悪くない気分だ」
ゼラはニンマリとティアに笑いかける。
「ティア。私はあいつと全力で戦うことにする。そしてサッサとぶっ倒して、麗夜を探しに行く」
「おお! 強気な発言!」
「お前はどうする? そこで私とあいつが戦っているところを見物するか?」
「それは嫌!」
ティアはまるでお相撲さんのように、しこを踏む。
「ティアは麗夜の奥さんなの! 奥さんだから敵はやっつけないとダメなの!」
むんと胸を張る。
「でもこのままだとお前は倒せない! だからどうやったら倒せるか教えて!」
それを聞いて再びゼラがずっこける。
「だから敵がそんなことホイホイ教えてくれる訳ないだろ」
「お前がゼラの鎧となれば俺に勝てる可能性がある」
「だからお前はお前で簡単に教えるな!」
ゼラはビシッと桐山に言う。
でも桐山とティアはマイペース。
「ティアがゼラの鎧となる? どういうこと? もっと教えて!」
「お前はスライムだ。だからゼラの体にスライムの鎧となって巻き付くことが可能だ」
「うむ! できる!」
「鎧となればゼラの身体能力を強化できる」
「どういうことだってばよ!」
ティアと桐山は真剣に見つめ合う。
「私としてはお前たちの関係がどういうことだってばよだよ……」
ゼラはため息を吐くしかない。
でもティアと桐山はとことんマイペースだった!
「お前は先ほど足をバネのように変形させた」
「うむした!」
「お前がゼラの鎧となれば、ゼラもお前と全く同じ攻撃が可能となる」
「え~と? ティアがゼラの鎧になって、そして鎧の足部分をバネにすればいいの?」
「そういうことだ」
「ふむふむ……何だか強そう!」
ティアは納得した様に頷く。
「お前たち二人のコンビネーションは未熟だ。だから二人がかりで俺に襲い掛かっても、所詮は付け焼き刃。避けるのは簡単だ」
「う~む。ぐうの音も出ない指摘!」
「しかしお前がゼラの鎧となれば話は変わる」
「どう変わるの!」
「お前は鎧に変形した状態でも拳や触手を繰り出すことができる」
「うむできる!」
「ゼラが拳を繰り出すと同時にお前は触手を繰り出す。すると単純に正面からの攻撃数は二倍になる。それは俺でも避けきれない」
「おお! 何となく分かる!」
「それ以外にも有利になる点は色々あるが、とにかく、今みたいに闇雲に二人がかりで襲い掛かるよりも、ずっと勝算は高くなる」
「納得した!」
ティアはうんうん頷く。
「お前、中々に良い奴! 気に入った! 戦いが終わったらティアがサンドイッチ作ってあげる!」
「腹減ったな」
桐山はお腹を摩った。
「……会話が成立しているのか、それともしていないのか、まるで分からない」
ゼラは頭を抱えた。
「ゼラどうしたの? 頭痛いの?」
「横になって脱力すると頭痛が楽になるぞ」
ティアと桐山はマイペース、どこまでも、永遠に!
「お前ら二人とも実は仲良いのか?」
ゼラはゲッソリと聞く。
「うむ! 敵だけど気に入った! 麗夜の次の次の次の次くらいに好き!」
「こんなに自分がお喋りだとは思わなかった」
二人の発言を聞いてゼラは桐山を見る。
「ティアはまだ会話が通じていると感じられるが……お前は不思議ちゃんって呼ばれないか?」
「何考えてるのか分からないとはよく言われる」
桐山は顔色変えずに言った。
「何だか戦う気力が頭痛で……」
ゼラは頭を押さえるしか無かった。
「ゼラ? 本当に大丈夫?」
「体調が悪いならあの木陰で休め」
二人はゼラの気持ちなど知らずといった感じだ。
「いや……大丈夫だ……」
ゼラは深々とため息。
「麗夜が心配だ。だからサッサとお前をブチ倒して、探しに行くとする」
ゼラは気を取り直して、目を細める。
「……」
桐山は殺気を感じ取ると即座にバックステップして距離を離す。
「ゼラ。ティアが鎧になる!」
ティアは体をスライム状に変形させると、ゼラの体に衣服のように纏わりつく。
そして即座に、硬質な鎧に変化した。
「ふーん。ベタベタしたり、動きづらいと思ったが、意外と快適だな」
ゼラは鎧となったティアを見に付けながら腕を伸ばしたり、屈伸したりして、感触を確かめる。
「ではティア。行くぞ」
「うむ!」
ゼラの脛当てからつま先までがバネに変形する!
そして、ギリギリギリと縮む!
「む!」
初めて、桐山の顔色が変わった。
「は!」
ゼラはバネが伸びると同時に、桐山に襲い掛かった。
「ゼラの筋力とティアの強靭なバネの反動。早い! 避け切れない!」
桐山は腕を交差させた。
ガキンと桐山の腕にゼラの拳がぶつかった。
「く!」
凄まじい衝撃だったため、桐山は防ぎこそしたが、何と数十メートルも吹き飛ばされた!
「おお! ティアたちの攻撃が初めて当たった!」
「想像以上に素晴らしいな」
強敵が吹き飛んだ事実に、二人の目の色が変わる。
「これは負けるな」
桐山はそう言いながら、ファイティングポーズをとった。
ティアはスライムの集合体である体を活かし、足をバネに変形させる。
「突撃!」
そして思いっきり縮ませてから、そのパワーを解き放ち、猛スピードで桐山に突撃する!
「……」
桐山は無言でスッと横っ飛びして避ける。
しかし、避けた先にはゼラが待ち構えていた!
「黒炎拳」
ゼラは拳に黒色の呪いの炎を纏わせると、全力で桐山の顔面にパンチする。
「……」
しかし桐山はそれすらも軽々と避けた。
さらに避け様に、合気道や柔道の要領で、ゼラの腕を掴むと、そのまま投げ飛ばした。
「ゲ!」
ゼラはくるくると宙を舞う。
「え”!」
そして、突撃を避けられて、大木に頭をぶつけてしかめっ面をしていたティアの脳天に落ちた。
ゴチン! 痛々しい音が森に響いた。
「ゼラ! なんでティアに攻撃するの!」
ティアは涙目で頭を摩る。
「お前こそどうして私が投げ飛ばされたところに居たんだ!」
ゼラも涙目で言い返す。
「……」
桐山はそれをじっと観察するだけで、一言も口を開かない。
「う~む……全然攻撃が当たらない」
何度か言い合って冷静になると、ティアは難しい顔で桐山に唸る。
「全く。レベル1にならなければ、あんな奴瞬殺できるのに」
ゼラは苛立ちながら、瞳を真っ赤に燃やす!
「……」
桐山は動じた様子無くバックステップする。
すると、直後、桐山が立っていた場所が、黒き爆炎とともに爆発した。
「ち! 簡単に避けられると腹が立つ!」
ゼラは苦々しく舌打ちした。
「う~む……どうしよう?」
ティアはとりあえず、腕を鋭利な触手に変えて、近場の大木を切り崩す。
「とりあえず食らえ!」
そして凄まじい怪力で大木を持ち上げると、思いっきり桐山に投げつけた!
「……」
桐山は息一つ乱さず、横にステップして避けた。
「う~む……強い」
ティアは腕組みして考える。
「う~ん……どうしたら勝てるんだ?」
ゼラも腕組みして考える。
「ティア、よく考えたらこんなに強い奴と戦った経験ないし、そもそもほとんど戦ったこと無い。だからティアは勝ち方よく分からない。だからゼラが考えて」
ティアは納得した様に頷く。
「私だってこんなに強い、というかこんなに弱弱しくなった状態で戦った経験など無い。そもそも真面に拳を交えた経験など無いぞ」
ゼラは難しい顔で答える。
「なぬ? ゼラは朱雀とかからも恐れられる魔王だったんでしょ?」
「昔は鼻糞ほじりながら数万の命を消せたからな。今とは大違いだ」
「つまり……今のゼラは役立たず?」
「それを言うならお前だってそうだろ!」
また言い合いが始まる。
「……」
桐山は何もせず、黙って見守る。
「やいお前!」
ある程度言い合いして疲れたティアは、仕方が無いので桐山に聞くことにする。
「どうやったらお前を倒せるの! 教えて!」
ずるりと隣でゼラがずっこける。
「敵がそんなこと言ってくれるわけないだろ!」
「このまま時間が経てばお前たちが勝つ」
「え? 言ってくれるの?」
ゼラは桐山が口を開いたので目をパチパチさせた。
一方、桐山はマイペース。
「お前たちは俺にダメージを与えることはできない。そして俺もお前たちにダメージを与えることはできない」
「それだと引き分けになるでしょ? どうして私たちの勝ちになるの?」
ティアもマイペースに問いかける。
「俺は三村の支援でレベルを上げている。そして三村の支援は、あいつが眠ったり気絶したりすれば解ける」
「ふむふむ。つまり、このまま時間が経てば、その三村って奴が疲れるから、お前は支援を受けられなくなってレベルが下がると?」
「その通りだ」
「う~む。でもお前のレベルが下がっても、ティアたちのレベルも下がったままだよ? そうなるとやっぱり引き分けじゃない?」
「俺は睡眠が必要だ。疲労もする。しかしお前たち魔王は俺たちと体の作りが違う。数日は寝ないで大丈夫だろ」
「うむ! 寝るのは気持ちいいけど寝なくても辛くない!」
「食事だって、俺は必要だが、お前たち魔王は必要ない」
「うむ! でもご飯は美味しいから食べたい!」
「時間が経てば三村は気絶し、俺も疲労で倒れる」
「なるほど! やっぱりティアは強い!」
二人が話しているところを見てゼラは呟く。
「会話が通じているようで通じていないような?」
マイペースな二人だからこそ阿吽の呼吸で、互いに何が言いたいか分かる。
そういうものだ。
「しかし、そうなると戦う意味がないな」
ゼラは気を取り直して桐山に対して肩をすくめて見せる。
「お前たちはそうだろう。だが俺にはある」
桐山は断言する。
その口調はかなり強く、確固たる意志を感じさせた。
「ほう? どういう訳だ?」
ゼラは桐山の発言に興味を持つ。
(この男、自分が不利だと分かっているのに逃げ出さない)
ゼラはふと、大昔に戦った麗夜の家族たちを思い出す。
(私はあの目をした男たちに、封印されたんだったな)
どこか懐かしく、心地よい気持ちになる。
そんな風にゼラが思い出に浸っている中、桐山は言う。
「俺たちの目的は大山と麗夜を二人きりにさせることだ」
「二人きりに?」
ピクリとゼラとティアの瞼が震える。
「大山は麗夜とタイマンを望んだ。だからお前たちを分断した。大山と麗夜の喧嘩を邪魔させないように」
「なるほど。つまりこれは麗夜と大山の喧嘩が終わるまでの時間稼ぎという訳か」
「そうだ」
桐山は拳を握りしめる。
ゴキゴキと骨が鳴る。
「お前たちがそこでうだうだやっている分には俺は何もしない。しても意味が無いからな。だがもしもお前たちが逃げるのなら、俺はそれを全力で止める。例え無意味であっても」
桐山の気配が変わる。
ティアとゼラは息を飲む。
「う~む。背筋がゾクゾクする」
ティアは腕組みしてゼラに首をかしげる。
「どうしよう? あいつ結構怒ってるかも?」
「怒っているというより、やる気満々だな」
戦闘狂の気質があるゼラはブルブルと体を震わせる。
「だが悪くない気分だ」
ゼラはニンマリとティアに笑いかける。
「ティア。私はあいつと全力で戦うことにする。そしてサッサとぶっ倒して、麗夜を探しに行く」
「おお! 強気な発言!」
「お前はどうする? そこで私とあいつが戦っているところを見物するか?」
「それは嫌!」
ティアはまるでお相撲さんのように、しこを踏む。
「ティアは麗夜の奥さんなの! 奥さんだから敵はやっつけないとダメなの!」
むんと胸を張る。
「でもこのままだとお前は倒せない! だからどうやったら倒せるか教えて!」
それを聞いて再びゼラがずっこける。
「だから敵がそんなことホイホイ教えてくれる訳ないだろ」
「お前がゼラの鎧となれば俺に勝てる可能性がある」
「だからお前はお前で簡単に教えるな!」
ゼラはビシッと桐山に言う。
でも桐山とティアはマイペース。
「ティアがゼラの鎧となる? どういうこと? もっと教えて!」
「お前はスライムだ。だからゼラの体にスライムの鎧となって巻き付くことが可能だ」
「うむ! できる!」
「鎧となればゼラの身体能力を強化できる」
「どういうことだってばよ!」
ティアと桐山は真剣に見つめ合う。
「私としてはお前たちの関係がどういうことだってばよだよ……」
ゼラはため息を吐くしかない。
でもティアと桐山はとことんマイペースだった!
「お前は先ほど足をバネのように変形させた」
「うむした!」
「お前がゼラの鎧となれば、ゼラもお前と全く同じ攻撃が可能となる」
「え~と? ティアがゼラの鎧になって、そして鎧の足部分をバネにすればいいの?」
「そういうことだ」
「ふむふむ……何だか強そう!」
ティアは納得した様に頷く。
「お前たち二人のコンビネーションは未熟だ。だから二人がかりで俺に襲い掛かっても、所詮は付け焼き刃。避けるのは簡単だ」
「う~む。ぐうの音も出ない指摘!」
「しかしお前がゼラの鎧となれば話は変わる」
「どう変わるの!」
「お前は鎧に変形した状態でも拳や触手を繰り出すことができる」
「うむできる!」
「ゼラが拳を繰り出すと同時にお前は触手を繰り出す。すると単純に正面からの攻撃数は二倍になる。それは俺でも避けきれない」
「おお! 何となく分かる!」
「それ以外にも有利になる点は色々あるが、とにかく、今みたいに闇雲に二人がかりで襲い掛かるよりも、ずっと勝算は高くなる」
「納得した!」
ティアはうんうん頷く。
「お前、中々に良い奴! 気に入った! 戦いが終わったらティアがサンドイッチ作ってあげる!」
「腹減ったな」
桐山はお腹を摩った。
「……会話が成立しているのか、それともしていないのか、まるで分からない」
ゼラは頭を抱えた。
「ゼラどうしたの? 頭痛いの?」
「横になって脱力すると頭痛が楽になるぞ」
ティアと桐山はマイペース、どこまでも、永遠に!
「お前ら二人とも実は仲良いのか?」
ゼラはゲッソリと聞く。
「うむ! 敵だけど気に入った! 麗夜の次の次の次の次くらいに好き!」
「こんなに自分がお喋りだとは思わなかった」
二人の発言を聞いてゼラは桐山を見る。
「ティアはまだ会話が通じていると感じられるが……お前は不思議ちゃんって呼ばれないか?」
「何考えてるのか分からないとはよく言われる」
桐山は顔色変えずに言った。
「何だか戦う気力が頭痛で……」
ゼラは頭を押さえるしか無かった。
「ゼラ? 本当に大丈夫?」
「体調が悪いならあの木陰で休め」
二人はゼラの気持ちなど知らずといった感じだ。
「いや……大丈夫だ……」
ゼラは深々とため息。
「麗夜が心配だ。だからサッサとお前をブチ倒して、探しに行くとする」
ゼラは気を取り直して、目を細める。
「……」
桐山は殺気を感じ取ると即座にバックステップして距離を離す。
「ゼラ。ティアが鎧になる!」
ティアは体をスライム状に変形させると、ゼラの体に衣服のように纏わりつく。
そして即座に、硬質な鎧に変化した。
「ふーん。ベタベタしたり、動きづらいと思ったが、意外と快適だな」
ゼラは鎧となったティアを見に付けながら腕を伸ばしたり、屈伸したりして、感触を確かめる。
「ではティア。行くぞ」
「うむ!」
ゼラの脛当てからつま先までがバネに変形する!
そして、ギリギリギリと縮む!
「む!」
初めて、桐山の顔色が変わった。
「は!」
ゼラはバネが伸びると同時に、桐山に襲い掛かった。
「ゼラの筋力とティアの強靭なバネの反動。早い! 避け切れない!」
桐山は腕を交差させた。
ガキンと桐山の腕にゼラの拳がぶつかった。
「く!」
凄まじい衝撃だったため、桐山は防ぎこそしたが、何と数十メートルも吹き飛ばされた!
「おお! ティアたちの攻撃が初めて当たった!」
「想像以上に素晴らしいな」
強敵が吹き飛んだ事実に、二人の目の色が変わる。
「これは負けるな」
桐山はそう言いながら、ファイティングポーズをとった。
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『高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に戦えばいい』
と
『なら行き当たりばったり』
のやり取りにちょっとニヤリw
感想ありがとうございます!
ニヤリとしてもらえて嬉しいですw
え?これ詰んでね??って思ったそこの君!(自分もそう思う)
ここからの逆転劇絶対ワクワクするやつだぞ!見逃すな!
更新待ちきれん…
感想ありがとうございます!
確かに現状は詰んでます!
しかし実はしっかりと勝ちの目が!
どうやって勝つのか、楽しみにしてください!