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ハーレムたちの実力

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 トーナメントから一週間、未だに狂太郎は目覚めない。
「サテラ? あんたいい加減にきょうちゃんを自由にしたら? あんたが監視してたら、きょうちゃんは息苦しいだけよ」
 静流がサテラに文句を言う。
「監視だと? ふざけるな! 私は狂の恋人だ! 恋人はあいつの体調管理も任される! お前は黙っていろ!」
 サテラが去ると、静流は舞に聞く。
「舞、記憶は戻った?」
「全部じゃないけど、狂兄のことなら全部」
 舞がにっこりと笑う。
「そっか。さて、どうしようかしら?」
 静流が珍しく真剣な表情で悩む。
「前みたいにいっぱい殺せば? 私も手伝うよ!」
「そうなんだけど、きょうちゃんが起きてくれないと、殺し損なのよね」
「じゃあ前みたいに女をいっぱい犯させればいいんじゃない!」
「きょうちゃん気絶してるから……」
「お姉ちゃんらしくない!」
 舞が静流の頬を軽く叩く。
「もっと気楽に殺しちゃおうよ! もっと気楽に犯させてあげよう!」
 舞の能天気な笑顔に静流は笑う。
「ちょっと難しく考えちゃったわね。私みたいな知能指数0のおバカさんが考えたって碌なことにならないわ!」
「よーし! じゃあどうしよっか!」
「やっぱ女ね! そろそろ新しいマンコが欲しくなる時期だと思うのよ!」
「良い考え! 適当な女とっ捕まえてこよう!」
「でもきょうちゃんは意外にグルメよ? ブスだと本当に死んじゃうかも?」
「大丈夫大丈夫! ほら、この国って議員があるじゃん。あそこに四五人美人が居たから、そいつらにチンポしゃぶらせればいいんだよ!」
「舞ってあったまいい! さっそく攫ってこよっか!」
 静流と舞は颯爽と城を飛び出す。

「あれあれ? なんか警備厳しくない?」
 議員の一人、アンジェリカの屋敷の前は警護で固められていた。
「きょうちゃんを警戒しているみたいね」
「警戒? だったらさっさと逃げればいいのに?」
「慣れ親しんだ場所を離れるって辛いのよ。私たちだって、きょうちゃんから離れろって言われたら死んじゃうでしょ?」
「そうだね。前もそうだったし」
「じゃあ、行くわよ。アンジェリカは殺しちゃだめだから。それ以外は殺していいから」
「私は大丈夫。私の能力は戦闘向きじゃないから」
 舞は極細の糸鋸を構える。
「狂兄に教えてもらった技術で十分殺せる。だけど、お姉ちゃんは?」
「私はちょっと危ないかも」
 静流が石を掴むと、石がドロドロと溶ける。
「あらゆる毒物を作り出す能力。サリンとか作っちゃうとアンジェリカの容姿が屑以下になっちゃう」
「私だけでやろうか?」
「それじゃあダメ。ちゃんと使いこなせるように、練習しないと」
 静流は舌なめずりをする。
「幸い、練習相手は沢山いるもの」
 静流は舞より先に一歩踏み出す。
「外の連中は私が練習がてらに始末する。室内はお願い」
「オッケー!」

「止まれ!」
 静流が悠然と警備の前に現れる。
「何者だ!」
「何者だ! きょうちゃんの恋人でーす!」
「くっ! 狂太郎の女か! 何の用だ!」
「実はーアンジェリカさんを攫いにきました! イエーイ!」
「ちっ! やはり来たか! すぐに消え去れ! さもなくば撃つ!」
 警備が銃を構える。静流は笑う。
「撃つ以前に、立ってられるの?」
 警備たちの膝が笑う。
「な、なにを……した!」
 警備たちが喉を押さえる。
「空気を青酸カリにしてみたの。ちょっと効果が高すぎ! というか範囲が広すぎ!」
 すでに警備は全滅していた。
「まーい! 生きてる!」
「バッチリ生きてる!」
 後方で舞が手を振る。
「でも加減して! 半径百メートルの警備死んじゃってるから! それだと中のアンジェリカも危ないよ!」
「マジ! ああもう! 練習しないと!」
「もう! 次は街中で、思い通りに人を殺せるか実験してよね!」
「分かってまーす! とにかく! さっさと中へ入って!」
「もう! 解毒剤とマスク持ってきて良かった!」
 舞は用意を済ますと獣以上の速度で正面玄関をけ破り、侵入する。
「誰だお前!」
 中の警備が銃を構える。
「良かった! これでアンジェリカは無事だね!」
 舞は独り言を呟きながら手を動かす。そして警備の体はバラバラになる。
「ちなみに私の名前は舞、って、もう無駄ね。腕は訛ってない! やった!」
 意気揚々と舞はアンジェリカの元へ向かう。
「だ!」
 警備たちはそれを言うのが精いっぱいで、体をバラバラにされる。
「ここかな?」
 舞がそっと扉を開けると、ベッドの上で毛布をかぶり、ガタガタと震えるアンジェリカが居た。
「みーつけた!」
 舞が毛布を奪うと、アンジェリカの泣き顔が露になる。
「あ、あなたは何! お金なら上げるから!」
 舞は笑う。
「私は誰? 狂兄の穴奴隷にして、狂兄を喜ばせるために人を殺しまくった連続殺人鬼。ちなみにお金は要らないから。銀行強盗は私たちも得意だから」
 アンジェリカは気絶した。
「あれ? お姉ちゃん何かした?」
 舞がドアの前で立つ静流に振り向く。
「体内の二酸化炭素の濃度を少し上げてみたの。コツを掴むと、いろいろ役に立つ能力ね」
「ふーん! どうでもいいけど、これは舞の手柄だから!」
「分かってる。先にきょうちゃんに犯させてあげる」
「やったー!」

 この日、百人近い屈強な男が、一夜にして死んだ。
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