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商人と仲良く成ろう!
暴走、そして敵が森へ
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「三百樽! そんな馬鹿な! しかも今日中!」
「そ、それだけ必要なんだ! 頼む!」
バードさんの家に久々に訪れると信じられない依頼を聞く。
以前の五倍以上の素材を要求された!
「いくら何でもおかしいです! あれだけの量の素材が一週間も経たないうちに消えるなんて!」
量が量だけに怒る。もちろん、スラ子の力を借りれば何とかなるだろう。しかしそれとは別だ!
そもそもこの取引は僕の独断だ! スラ子、赤子さん、きな子に負担をかける!
それなのに五倍! いくら何でもおかしい!
「何に使ったら無くなるんですか! 理由を言ってください!」
「皆欲しがっているんだ! 言っただろ!」
バードさんとは思えないほどの動揺した怒鳴り声だった。
あんなに仲良くしていたバードさんの変貌がショックだった。
「……分かりました」
気の毒だったので譲歩する。
「ほんとか!」
「ただし! その後はダメです! もう持ってきません!」
三百樽もあるならもう必要ないはずだ!
「勘弁してくれ!」
しかしバードさんは死にそうだった。
「ダメです!」
これを譲る訳には行かない!
「お、怒ってるのか? 謝る! だから考え直してくれ!」
「嫌です!」
逃げるようにバードさんの家を後にする。
きな子の背中に乗ってぼんやりする。
「喧嘩か?」
「ええ……よく分かったね」
「涙の臭いがする」
きな子の優し気な声色が胸に沁みる。
「殺してしまえばいい」
突然赤子さんが恐ろしいことを言う。
「あの下等生物はゼロを悲しませた。ならば敵だ」
「敵、敵」
スラ子もわなわなと体を動かす。
「殺しちゃダメ!」
「ならばもう近づくのは止めよう」
「ムカつく」
二人の声色は冷たかった。僕がバードさんに怒ったため、怒りが伝染してしまったのか。
「落ち着いて。僕は大丈夫だから」
二人が怒ったおかげで逆に落ち着く。
まずは仕事を完遂しよう。
「でも……そのあとどうしよう?」
頭の血が引くと、いくら何でも言いすぎた気がする。でも許したら、また無茶な要求をされるかもしれない。
それは嫌だ。
「何でこんなことになったんだろ?」
ぼやきながらも仕事を行う。
いつもの手順で三百樽納品する。
納品時はバードさんの玄関に荷物を置いて、バードさんと会わないようにした。報酬も受け取らなかった。
「これで良いのかな?」
胸に引っかかる物を感じながらも、ダンジョンで二人とビー玉遊びをする。
「これで私の勝ちだ!」
赤子さんは最後の一つを弾くと得意げな顔でビー玉を指で転がす。
「負けた」
スラ子は悔し気に、もう一度という感じにビー玉を並べる。
「よし! もう一度! 今度は負けないぞ!」
考えるのは止めよう。
とても疲れた。
ゼロがダンジョンに引きこもっている頃、バードは教会で森の秘薬を求める人々と一緒に混乱していた。
「その冒険者に会わせろ! 私が交渉する!」
「オオカミの森に居ることしか分からないんです!」
ザックたちは森の秘薬が手に入ることを前提に巨額の金を投資した。すでに家財道具を売ってしまい、倉庫などの建設も始めているので後戻りが効かない状況だ。
バード自身、無謀では? と心配していた。それが的中してしまった。
「私たちで取りに行きましょう! 場所は分かってるんだから!」
「無理だ! 万年樹の森は勇者すら立ち入りを禁止されている難易度だ! オオカミの森だって前は立ち入り禁止だった! 俺たちみたいな市民が行っても食われるだけだ!」
「じゃあどうするのよ!」
口論は終わらない。バードもザックもアマンダもカロックもシスターも右往左往するだけだ。
「勇者に取りに行ってもらえばいいんだわ!」
そんな怒鳴り声と涙が木霊する中、アマンダが妙案とばかりに歓喜する。
「勇者? 今は居ないだろ」
「冒険者の反乱を止めるために何人か戻ってきたらしいわ! あいつらに金を渡して持ってこさせればいいの!」
「今回の勇者はヤバいぞ! モンスターよりも怖い!」
「何もしないよりマシでしょ!」
場は騒然としていた。だが皆疲れていた。そして溺れる者は藁をもつかむ。
「分かった。いくら絞られるか分からないが、とりあえず金貨百枚を前金に行ってもらおう」
「金貨百枚! 旦那! そんなに使ったら!」
「黙れ! 未来よりも今だ!」
「私行ってくる!」
アマンダは金貨の入った袋を持って飛び出す。
「バード! こうなったのはお前の責任だ! 早く冒険者に会って材料を取って来させろ!」
場は険悪な空気で解散となった。
「畜生……ゼロ! ゼロ!」
バードは椅子に座ると十字架の前で泣いた。
「これでどう!」
一方アマンダはとある娼館で勇者、つまりゼロのクラスメイトと接触することに成功した。
「金貨百枚じゃ足りねえな」
「なら私の体もつけるわ!」
ゼロのクラスメイト、ミサカズの手下、オオトモと他四人が笑う。
「服を脱げ! 犯してやるよ!」
市民の暴走によって、ついにゼロの敵が森へ侵入する。
「そ、それだけ必要なんだ! 頼む!」
バードさんの家に久々に訪れると信じられない依頼を聞く。
以前の五倍以上の素材を要求された!
「いくら何でもおかしいです! あれだけの量の素材が一週間も経たないうちに消えるなんて!」
量が量だけに怒る。もちろん、スラ子の力を借りれば何とかなるだろう。しかしそれとは別だ!
そもそもこの取引は僕の独断だ! スラ子、赤子さん、きな子に負担をかける!
それなのに五倍! いくら何でもおかしい!
「何に使ったら無くなるんですか! 理由を言ってください!」
「皆欲しがっているんだ! 言っただろ!」
バードさんとは思えないほどの動揺した怒鳴り声だった。
あんなに仲良くしていたバードさんの変貌がショックだった。
「……分かりました」
気の毒だったので譲歩する。
「ほんとか!」
「ただし! その後はダメです! もう持ってきません!」
三百樽もあるならもう必要ないはずだ!
「勘弁してくれ!」
しかしバードさんは死にそうだった。
「ダメです!」
これを譲る訳には行かない!
「お、怒ってるのか? 謝る! だから考え直してくれ!」
「嫌です!」
逃げるようにバードさんの家を後にする。
きな子の背中に乗ってぼんやりする。
「喧嘩か?」
「ええ……よく分かったね」
「涙の臭いがする」
きな子の優し気な声色が胸に沁みる。
「殺してしまえばいい」
突然赤子さんが恐ろしいことを言う。
「あの下等生物はゼロを悲しませた。ならば敵だ」
「敵、敵」
スラ子もわなわなと体を動かす。
「殺しちゃダメ!」
「ならばもう近づくのは止めよう」
「ムカつく」
二人の声色は冷たかった。僕がバードさんに怒ったため、怒りが伝染してしまったのか。
「落ち着いて。僕は大丈夫だから」
二人が怒ったおかげで逆に落ち着く。
まずは仕事を完遂しよう。
「でも……そのあとどうしよう?」
頭の血が引くと、いくら何でも言いすぎた気がする。でも許したら、また無茶な要求をされるかもしれない。
それは嫌だ。
「何でこんなことになったんだろ?」
ぼやきながらも仕事を行う。
いつもの手順で三百樽納品する。
納品時はバードさんの玄関に荷物を置いて、バードさんと会わないようにした。報酬も受け取らなかった。
「これで良いのかな?」
胸に引っかかる物を感じながらも、ダンジョンで二人とビー玉遊びをする。
「これで私の勝ちだ!」
赤子さんは最後の一つを弾くと得意げな顔でビー玉を指で転がす。
「負けた」
スラ子は悔し気に、もう一度という感じにビー玉を並べる。
「よし! もう一度! 今度は負けないぞ!」
考えるのは止めよう。
とても疲れた。
ゼロがダンジョンに引きこもっている頃、バードは教会で森の秘薬を求める人々と一緒に混乱していた。
「その冒険者に会わせろ! 私が交渉する!」
「オオカミの森に居ることしか分からないんです!」
ザックたちは森の秘薬が手に入ることを前提に巨額の金を投資した。すでに家財道具を売ってしまい、倉庫などの建設も始めているので後戻りが効かない状況だ。
バード自身、無謀では? と心配していた。それが的中してしまった。
「私たちで取りに行きましょう! 場所は分かってるんだから!」
「無理だ! 万年樹の森は勇者すら立ち入りを禁止されている難易度だ! オオカミの森だって前は立ち入り禁止だった! 俺たちみたいな市民が行っても食われるだけだ!」
「じゃあどうするのよ!」
口論は終わらない。バードもザックもアマンダもカロックもシスターも右往左往するだけだ。
「勇者に取りに行ってもらえばいいんだわ!」
そんな怒鳴り声と涙が木霊する中、アマンダが妙案とばかりに歓喜する。
「勇者? 今は居ないだろ」
「冒険者の反乱を止めるために何人か戻ってきたらしいわ! あいつらに金を渡して持ってこさせればいいの!」
「今回の勇者はヤバいぞ! モンスターよりも怖い!」
「何もしないよりマシでしょ!」
場は騒然としていた。だが皆疲れていた。そして溺れる者は藁をもつかむ。
「分かった。いくら絞られるか分からないが、とりあえず金貨百枚を前金に行ってもらおう」
「金貨百枚! 旦那! そんなに使ったら!」
「黙れ! 未来よりも今だ!」
「私行ってくる!」
アマンダは金貨の入った袋を持って飛び出す。
「バード! こうなったのはお前の責任だ! 早く冒険者に会って材料を取って来させろ!」
場は険悪な空気で解散となった。
「畜生……ゼロ! ゼロ!」
バードは椅子に座ると十字架の前で泣いた。
「これでどう!」
一方アマンダはとある娼館で勇者、つまりゼロのクラスメイトと接触することに成功した。
「金貨百枚じゃ足りねえな」
「なら私の体もつけるわ!」
ゼロのクラスメイト、ミサカズの手下、オオトモと他四人が笑う。
「服を脱げ! 犯してやるよ!」
市民の暴走によって、ついにゼロの敵が森へ侵入する。
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