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万年樹の森のモンスターと仲よくしよう!
万年樹の森、再生の道
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万年樹の森の北西にたどり着く。
「ここに来れば何か分かると思うけど……」
見渡すばかり雑草だらけの草原で、目に付くものは無い。
「どうした?」
バードさんたちが首をかしげる。
「何か変な物とか、気になる物はありますか?」
「ここに?」
全員怪訝な表情で辺りを見渡す。
「特にない」
互いに顔を合わせて頷きあう。
「分かりました。ちょっと場所を変えます」
きな子の頭を撫でて草原近くの丘に移動する。
「もしかしてここ、スライム荒野か?」
場所を移すとバードさんが目を擦りながら言った。
「スライム荒野?」
きな子に伏せてもらい、地面に下りる。
「やっぱりそうだ。ダンジョンの入り口が見える」
バードさんが指さした方向を見る。洞穴のようにぽっかりとダンジョンへ続く階段が、近くにあった。
「荒野というからには荒れ果てていたんですか?」
「草木が一本も無かったはずだ。最も、話を聞いただけだから間違っているかもしれないが」
自信無さげに頬を人差し指で掻く。
「雑草の育ち方が変だ」
隣でザックさんが首を捻る。
「どうしました?」
「万年樹の森付近は雑草が生い茂っているのに、そこから遠ざかると地肌が見えるほど雑草が少なくなっている」
言われてみると、草原と言えるのは万年樹の森の近くだけ。遠ざかるほど荒野に近くなる。
「……スライムはここらへんの地面から万年樹の森の栄養を吸い取っていた。それが居なくなったから、雑草が育ち始めた」
グランドさんが気づかせたかったのはこの事だ!
「ここの草原と荒野を第二の万年樹の森にできる!」
僕はここが初めから草原だと思い込んでいた。だけど違った! 万年樹の森は広がっているんだ! ならば僕たちがその手助けをすればいい!
「バードさん! ザックさん! 相談したいことがあります!」
二人に計画を話す。
「万年樹の森を再生するより、ずっと現実的だろう」
ザックさんは草原を見渡す。
「焼けてしまった万年樹の森の土は肥料になる。それを使えば、万年樹を育てられる」
「ならすぐにやりたいです!」
「落ち着きなさい。万年樹の木を育てる必要がある。それはどれだけ時間がかかるのか分からない」
「そんな調子じゃいつまで経ってもできないでしょ」
ザックさんが唸るとアマンダさんが背中を叩く。
「ごちゃごちゃ考える前にやってみればいいのよ! 失敗したらその時はその時よ! ねぇきな子ちゃん」
アマンダさんは平然ときな子の頬を撫でる。髭がピクピク動くと面白がってさらに撫でる。
「お前、怖いもの知らずだな」
バードさんが若干引いている。
「怖がってたら男と寝てられないわよ」
アマンダさんは豪快に笑う。きな子は気持ちよさそうに目を細める。
他の娼婦の人もアマンダさんに便乗してきな子を撫でる。
「女は強い」
ザックさんやバードさんはきな子が唇を上げるたびにギクッとした。
それから町の人たちと共に動き出す。
まずは焼けた万年樹の森の土を草原に持ってくる。
袋に土を詰めるだけでも重労働だ。
運ぶのはきな子やオオカミたちの背中を借りるが、落ちないようにするには人の支えが必要だ。
「もっともっと必要だ」
十往復はしたか? 終わるころには皆汗だくの土塗れだった。
「今日はもう遅い。草むしりは明日にするぞ」
夜になったので作業を中断する。皆は草原で野宿をする。
「帰らなくていいんですか?」
アマンダさんたちが用意した粥を食べながらバードさんたちに聞く。
「今は町のほうが危険だ」
「怖い勇者が居るしね」
嫌そうに顔をしかめる。
「ダイス当てしない?」
食事が終わって手持ち無沙汰になると、アマンダさんがサイコロを取り出す。
「一回に付き銅貨1枚かけるのはどうだ?」
「カモにしてやるわ」
各々は夜空の中、楽しそうに笑う。
朝起きると草むしりを始める。
「思った以上に土壌の具合がいい。水を引けば作物は豊作だろう」
ザックさんは土を舐めると感心するように頷く。
「良い土ですか?」
「これでも農場を経営しているからな。私の経験からすれば間違いなく良い土地だ」
俄然やる気になって草むしりをする!
皆もザックさんの言葉を聞くと一生懸命草をむしる。
「夜遅くなった。挿し木は明日にしよう」
夜になったところで作業を止める。
「差し入れです」
ダンジョンに蓄えていた紅茶とクッキーを皆に配る。
「ありがとう! 本当に可愛い子!」
アマンダさんに頬をキスされると、頬っぺたがホカホカになる。
「ゼロ、本当に肉を貰って良いのか?」
夕食の準備をするとき、バードさんに聞かれる。
「きな子が頑張っているから食べて欲しいって」
「そうか。じゃあ有難くいただこう」
皆で牛の肉を食べる。
「イーストさんたち、昨日に続いて今日もきな子のご飯、持ってきてくれなかったな」
お肉を手掴みで食べているとため息が出る。
大変なのは分かるけど、約束を破られるとやっぱり悲しい。
「俺たちが頑張るさ。だから安心しろ」
隣に座るバードさんに頭を撫でられると、ホッとした。
朝になると挿し木に必要な枝を万年樹に上って取る。
「お前凄いな」
自分の身長と同じくらいの枝を持って地面に下りると、バードさんたちを呆気に取る。
「凄いでしょ!」
影の中に隠れる赤子さんのおかげだけど、人前に顔を出さないので代わりに威張る。
枝を五十本程度取ったら土を掘る。
そして穴に肥料を巻いてから枝を突き刺す。
「これなら雨が降っても倒れないだろう」
土を被せたらザックさんが倒れないか確認する。
大丈夫なら肥料と水を撒く。
これで終わり。
「どんどんやるぞ」
それを五十回ほど繰り返すと、ようやく全ての作業が完了した。
「ありがとうございます」
作業が終了したので一人一人にお礼を言う。
「お礼なんて良いわよ! 久しぶりに楽しかったわ」
アマンダさんは綺麗な汗を滴らせて笑う。
「お礼を言うのは早い。今度は樹の世話がある」
ザックさんは真剣な眼差しで僕たちが植えた枝を見つめる。
「絶対に上手く行く! 何せ俺の親友が頑張ったんだ!」
バードさんは頭がぐしゃぐしゃになるまで撫でてくれた。
「帰りましょう!」
こうして万年樹の森の再生計画の一歩が終わった。
水を与える必要もあるから、定期的に確認しに行こう。
「絵日記でも書こうかな」
のんびりしたことを思うと、頬が緩んだ。
バードさんたちを町まで送ると、どうしても気になったので北西へ戻る。
「気が早いかな」
笑って誤魔化すけど、湧き上がる期待は収まらない。
そして植えた枝を見るとしょんぼりする。大きく成っていない。
「一日も経ってないから、仕方ないよね」
倒れていないだけ良しとしよう。
そう思っていると、スラ子がクンクンと枝の臭いを嗅ぐ。
「甘い臭い」
ペロリと唇を舐める。きな子もフンフンと鼻を鳴らす。
「さっきよりも樹液の臭いが強くなっている。それに葉の臭いも強くなっている」
きな子につられて鼻で深呼吸する。
「本当だ。まるで森の中に居るみたい」
少しだけ地面を掘り返す。
「根が張ってる!」
たった数時間で枝からたくさんの根が生えていた!
「これなら大丈夫だ!」
まだ課題はある! だけど希望もある!
「きな子! すぐにお腹いっぱいご飯が食べられるよ!」
「ありがとう」
抱き着くと、ペロリと頭を舐めてくれた。
「ここに来れば何か分かると思うけど……」
見渡すばかり雑草だらけの草原で、目に付くものは無い。
「どうした?」
バードさんたちが首をかしげる。
「何か変な物とか、気になる物はありますか?」
「ここに?」
全員怪訝な表情で辺りを見渡す。
「特にない」
互いに顔を合わせて頷きあう。
「分かりました。ちょっと場所を変えます」
きな子の頭を撫でて草原近くの丘に移動する。
「もしかしてここ、スライム荒野か?」
場所を移すとバードさんが目を擦りながら言った。
「スライム荒野?」
きな子に伏せてもらい、地面に下りる。
「やっぱりそうだ。ダンジョンの入り口が見える」
バードさんが指さした方向を見る。洞穴のようにぽっかりとダンジョンへ続く階段が、近くにあった。
「荒野というからには荒れ果てていたんですか?」
「草木が一本も無かったはずだ。最も、話を聞いただけだから間違っているかもしれないが」
自信無さげに頬を人差し指で掻く。
「雑草の育ち方が変だ」
隣でザックさんが首を捻る。
「どうしました?」
「万年樹の森付近は雑草が生い茂っているのに、そこから遠ざかると地肌が見えるほど雑草が少なくなっている」
言われてみると、草原と言えるのは万年樹の森の近くだけ。遠ざかるほど荒野に近くなる。
「……スライムはここらへんの地面から万年樹の森の栄養を吸い取っていた。それが居なくなったから、雑草が育ち始めた」
グランドさんが気づかせたかったのはこの事だ!
「ここの草原と荒野を第二の万年樹の森にできる!」
僕はここが初めから草原だと思い込んでいた。だけど違った! 万年樹の森は広がっているんだ! ならば僕たちがその手助けをすればいい!
「バードさん! ザックさん! 相談したいことがあります!」
二人に計画を話す。
「万年樹の森を再生するより、ずっと現実的だろう」
ザックさんは草原を見渡す。
「焼けてしまった万年樹の森の土は肥料になる。それを使えば、万年樹を育てられる」
「ならすぐにやりたいです!」
「落ち着きなさい。万年樹の木を育てる必要がある。それはどれだけ時間がかかるのか分からない」
「そんな調子じゃいつまで経ってもできないでしょ」
ザックさんが唸るとアマンダさんが背中を叩く。
「ごちゃごちゃ考える前にやってみればいいのよ! 失敗したらその時はその時よ! ねぇきな子ちゃん」
アマンダさんは平然ときな子の頬を撫でる。髭がピクピク動くと面白がってさらに撫でる。
「お前、怖いもの知らずだな」
バードさんが若干引いている。
「怖がってたら男と寝てられないわよ」
アマンダさんは豪快に笑う。きな子は気持ちよさそうに目を細める。
他の娼婦の人もアマンダさんに便乗してきな子を撫でる。
「女は強い」
ザックさんやバードさんはきな子が唇を上げるたびにギクッとした。
それから町の人たちと共に動き出す。
まずは焼けた万年樹の森の土を草原に持ってくる。
袋に土を詰めるだけでも重労働だ。
運ぶのはきな子やオオカミたちの背中を借りるが、落ちないようにするには人の支えが必要だ。
「もっともっと必要だ」
十往復はしたか? 終わるころには皆汗だくの土塗れだった。
「今日はもう遅い。草むしりは明日にするぞ」
夜になったので作業を中断する。皆は草原で野宿をする。
「帰らなくていいんですか?」
アマンダさんたちが用意した粥を食べながらバードさんたちに聞く。
「今は町のほうが危険だ」
「怖い勇者が居るしね」
嫌そうに顔をしかめる。
「ダイス当てしない?」
食事が終わって手持ち無沙汰になると、アマンダさんがサイコロを取り出す。
「一回に付き銅貨1枚かけるのはどうだ?」
「カモにしてやるわ」
各々は夜空の中、楽しそうに笑う。
朝起きると草むしりを始める。
「思った以上に土壌の具合がいい。水を引けば作物は豊作だろう」
ザックさんは土を舐めると感心するように頷く。
「良い土ですか?」
「これでも農場を経営しているからな。私の経験からすれば間違いなく良い土地だ」
俄然やる気になって草むしりをする!
皆もザックさんの言葉を聞くと一生懸命草をむしる。
「夜遅くなった。挿し木は明日にしよう」
夜になったところで作業を止める。
「差し入れです」
ダンジョンに蓄えていた紅茶とクッキーを皆に配る。
「ありがとう! 本当に可愛い子!」
アマンダさんに頬をキスされると、頬っぺたがホカホカになる。
「ゼロ、本当に肉を貰って良いのか?」
夕食の準備をするとき、バードさんに聞かれる。
「きな子が頑張っているから食べて欲しいって」
「そうか。じゃあ有難くいただこう」
皆で牛の肉を食べる。
「イーストさんたち、昨日に続いて今日もきな子のご飯、持ってきてくれなかったな」
お肉を手掴みで食べているとため息が出る。
大変なのは分かるけど、約束を破られるとやっぱり悲しい。
「俺たちが頑張るさ。だから安心しろ」
隣に座るバードさんに頭を撫でられると、ホッとした。
朝になると挿し木に必要な枝を万年樹に上って取る。
「お前凄いな」
自分の身長と同じくらいの枝を持って地面に下りると、バードさんたちを呆気に取る。
「凄いでしょ!」
影の中に隠れる赤子さんのおかげだけど、人前に顔を出さないので代わりに威張る。
枝を五十本程度取ったら土を掘る。
そして穴に肥料を巻いてから枝を突き刺す。
「これなら雨が降っても倒れないだろう」
土を被せたらザックさんが倒れないか確認する。
大丈夫なら肥料と水を撒く。
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「どんどんやるぞ」
それを五十回ほど繰り返すと、ようやく全ての作業が完了した。
「ありがとうございます」
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「お礼なんて良いわよ! 久しぶりに楽しかったわ」
アマンダさんは綺麗な汗を滴らせて笑う。
「お礼を言うのは早い。今度は樹の世話がある」
ザックさんは真剣な眼差しで僕たちが植えた枝を見つめる。
「絶対に上手く行く! 何せ俺の親友が頑張ったんだ!」
バードさんは頭がぐしゃぐしゃになるまで撫でてくれた。
「帰りましょう!」
こうして万年樹の森の再生計画の一歩が終わった。
水を与える必要もあるから、定期的に確認しに行こう。
「絵日記でも書こうかな」
のんびりしたことを思うと、頬が緩んだ。
バードさんたちを町まで送ると、どうしても気になったので北西へ戻る。
「気が早いかな」
笑って誤魔化すけど、湧き上がる期待は収まらない。
そして植えた枝を見るとしょんぼりする。大きく成っていない。
「一日も経ってないから、仕方ないよね」
倒れていないだけ良しとしよう。
そう思っていると、スラ子がクンクンと枝の臭いを嗅ぐ。
「甘い臭い」
ペロリと唇を舐める。きな子もフンフンと鼻を鳴らす。
「さっきよりも樹液の臭いが強くなっている。それに葉の臭いも強くなっている」
きな子につられて鼻で深呼吸する。
「本当だ。まるで森の中に居るみたい」
少しだけ地面を掘り返す。
「根が張ってる!」
たった数時間で枝からたくさんの根が生えていた!
「これなら大丈夫だ!」
まだ課題はある! だけど希望もある!
「きな子! すぐにお腹いっぱいご飯が食べられるよ!」
「ありがとう」
抱き着くと、ペロリと頭を舐めてくれた。
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