【完結】追放の花嫁は溺愛に不慣れです!

白雨 音

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むかしむかし、その昔、王が狩りの途中で、傷を負った竜と遭遇した。
臣下たちは「竜を殺せ!」「いや、生け捕りに!」と王に進言したが、王はそれを退け、
直ちに傷の手当をする様命じ、治るまでこの地に居る事を許した。
竜はこれに大層驚き、そして感謝した。
傷が治ると竜は直ぐに旅立ったが、十年後、竜の娘を名乗る者が王を訪ねて来た。
竜が王子の嫁にと送って来たのだ。
その娘の美しさに、王子は一目惚れをし、二人は結ばれた___

これが、我がオピュロン王国に伝わる、政略結婚の始まりだ。

それから、百年後…
オピュロン王国の王室で、謎の疫病が蔓延した際、またもや、竜の娘と名乗る者が王を訪ねて来た。
『自分と結婚すれば、王家は滅亡を避けられるでしょう___』
王子と竜の娘は結婚し、その後、王室の疫病は止み、王家は危機を脱する事が出来た。

これにより、百年周期で、王太子と竜の娘の結婚が、オピュロン王国の通例となったのだった。

竜の血を引く一族は《竜の谷》に住み、そこから百年に一度、年頃の娘がやって来ていた。
だが、面倒になったのか、オピュロン王国を気に入ったのか…
いつの頃からか、一族の直系が王都に館を構える様になった。

それが、名門アベラール公爵家である。

奇しくも、今、百年の周期が巡り来ていた。
竜の血を引く一族の末裔、直系の長女である、わたし、ヴァレリー=アベラールは、
王太子アンドレの妻となる事を、生まれた時から決められていた。
そして、その様に教育を受けてきた。
厳しい妃教育にも耐えた。
全ては、立派な王太子妃となる為、百年周期の契約を果たす為に___


◇◇


アンドレとの結婚式の日、王都は人で溢れ、祝福に沸いた。

「王太子万歳!」
「王太子妃万歳!」
「オピュロン王国に、この先百年の繁栄を!!」

わたしは純白のドレスに身を包み、白いベールを被り、手には赤い薔薇のブーケを持ち、
付き添いの母と共に、白い馬車に乗っていた。
人々の祝福の中、白い馬車は大通りを進む。
王太子妃に相応しくないので、手を振ったりは出来ないが…
今日ばかりは、わたしの胸にも興奮と喜びが沸き上がっていた。

漸く、この日が来た…!

思えば、ここまで来る事は、容易な事では無かった。
だが、漸く、報われる。
百年周期の責任を果たす事が出来るのね___
これは、その一歩に過ぎないが、それでもわたしの心は晴れやかだった。


馬車は王宮にある礼拝堂へと向かう。
馬車を降り、礼拝堂への石段を上る。
父のモハメドは七年前に亡なっているので、付き添い人は母ベラである。

母は今年四十歳を迎えたが、未だその美貌と生命力は衰えていない。
竜の血、その力は女性に強く出る事から、代々、アベラール公爵家は女傑一族だ。
母のその金色の目は、わたしよりもキラキラとし、頬は赤く興奮している。

「ああ~どうしましょう!私、どきどきして来ましてよ…」
「結婚するのはわたしなのに…お母様、行きますわよ!」
「ええ、参りましょう~、ヴァレリー」

母はぐっと背筋を伸ばした。
竜の血を引く一族、直系は、その特徴から、漆黒の髪と金色の目、
そして、高身長、体格の良さが挙げられる。
母とわたしの身長は、180センチをゆうに超えている。
背を伸ばすとそれは更に高くなるだろう。
そこを全く気にしないのが、母の良い処だ。

わたしなんかは、王宮ではいつも身長や体系を揶揄され、嫌な思いをしているというのに…
しかも、その筆頭は婚約者のアンドレなのだから、救いが無い。
アンドレから「デカい!」「女ならもっと痩せろ!」「おまえは女では無い!」と言われ続け、
かなりのコンプレックスだった。
でも、母と並べば、それ程大きく見えないかもね?
わたしはそれに気を良くした。

扉が開かれ、わたしたちは赤い絨毯の上に立った…が、様子がおかしい。
しんと静まり返った礼拝堂内に、わたしたちの足は自然に止まった。
ベールをそっとズラし、それを見ると、参列者たちは恐ろしい形相でこちらを見ていた。
それに、祭壇の脇には、アンドレと何故か聖女の姿があった。

「これは、どういう事?」

今までの厳しい妃教育の事は忘れ、思わず漏らした時だ、前方から、着飾った小さな娘…
妹のリーズがこれまた凄い形相で駆けて来た。

「大変よ!大変な事が起こったの!とにかく、大変なのよ!!」
「リーズ、その大変な事を早く言って頂戴」

促すと、リーズは神妙な顔つきになり、声を潜めた。

「大変なのよ!さっき、扉が開いて、皆は当然花嫁の入場だと思ったわ、
でも、それは仕方ないわよね?だって、結婚式の礼拝堂に、花嫁以外が
入って来るなんて、誰も思わないもの!」

子供らしく、要領を得ない話にわたしは苛立ちつつも、辛抱した。

「でも、立っていたのは聖女だった!これには皆、ビックリよ!
皆が唖然としてるっていうのに、聖女は全く空気を読めてないのよ、
まぁ、聖職者って世間ズレしてるから、仕方ないけど?
それで、こう…バカみたいに大仰に手を上げてさ、
お姉様に《滅びの星》が見える、結婚してはいけない、結婚式は中止しろって!」

滅びの星??

「正気とは思えないわ、馬鹿げてる」

このあり得ない状況に、わたしも正気ではいられなかったのだろう、
厳しい妃教育の成果も虚しく、つい鼻で笑ってしまった。

「ええ、こんなバカな事って無いわよね!?
もう、半年前から準備してきたのに、全部台無しよ!!
それだけじゃない、王都中…ううん、国中がこの結婚を知ってるのよ!?
こんな事ってある!?お姉様はいい恥さらしじゃない!」

最初は声を潜めていたが、怒りが勝ったのか、リーズの声は大きくなった。
怒ってくれるのはうれしいが、そんな事を大声で言わないで欲しいわ!
誰が恥晒しよ!
いや、恥晒しなど、この際小さな事だ… 
わたしの懸念を決定付ける様に、アンドレの声が轟いた。

「ヴァレリー!聖女に神からお告げがあった、おまえを妻にすれば、この国は亡ぶとな!
残念だが、おまえとの結婚は取り止めだ!
だが、私の結婚は、多くの国民に知れ渡ってしまっている、私が結婚しないとなると、
不安になるだろう。それに、おまえに恥を掻かせる訳にはいかない、そこで、聖女の申す、
国に繁栄を齎す者と結婚する事にした!マルシャン公爵令嬢ロザリーだ!」

アンドレが高らかに告げると同時に、礼拝堂の扉が開いた。
そこには、純白のドレスに身を包んだ女性が父親に付き添われ、立っていた。

「ちょっと、用意周到過ぎじゃなくて?」というわたしの意見が気に入らなかったのか、
アンドレが赤毛を逆立て、太い眉を吊り上げ、ムキになり声を張り上げた。

「黙れ黙れ!おまえたちはさっさと出て行け!おまえたちが居れば、我が国が亡ぶ!
王太子の結婚式を台無しにしたいのか!」

これが寸前まで結婚しようとしていた相手に対する言葉だろうか?
手の平返しもここまで来ると清々しい。
だが、相手がアンドレならば、驚きも無い。
この男は初対面の時から、こんな調子なのだから…と、回顧し呆れている場合ではなかった!
衛兵たちがわたしたちを囲み、追い出しにかかった。

「何れはこうなると思っていたぞ!百年周期の契約など、悪習でしかない!
こんな忌まわしい風習はこれを持って終わりにすると、ここに宣言する!
竜の血を引く一族など、大国である我がオピュロン王国は必要としない!
これは、力による支配からの脱出である!!」

アンドレが更に高く吠え、礼拝堂にアンドレコールと賛同の拍手が轟いた。

「流石、我が国の王太子殿下だ!」
「アンドレ!」
「アンドレ!」
「アンドレ!」
「オピュロン王国万歳!!」

それを最後に、わたしたちは完全に礼拝堂を出され、その扉は閉められた。

「はっ!あり得ないわ…」

結婚式当日に、こんな騒動が起こるなんて…
しかも、こんな、馬鹿げた、訳の分からない理由で…
怒りで手が震え、わたしは拳を握った。

「こんなの、夢に決まってるわ!それも、お粗末で酷い出来の悪夢よ!」
「お姉様!今は現実逃避してる場合じゃないよ!早く逃げなきゃ!あたしたち殺されちゃう!!」
「ふん!あんな連中、返り討ちにして差し上げてよ!」

わたしは腕を振り回したが、母がショックで倒れてしまったので、それは諦めた。
わたしとリーズで母を支える。

「ああ、もう!!誰か馬車をお呼びになって!!」

呼ぶも、皆目を反らし、散って行った。

「女性が倒れているというのに、何よ!人を疫病神みたいに!」
「疫病神みたい、じゃなくて、お姉様は疫病神そのものなのよ!」
「…いいわ、歩いて帰りましょう!竜の血を引く一族の底力を見せつけてやるわ!」

わたしはベールを母に被せ、背負い上げた。

体力には自信があるが、表を歩いて帰る精神力は流石に無かった。
大通りは人で溢れている___
それはリーズも同じだった様で、「裏道を知ってるわ!」と案内してくれた。

「裏道なんて、良く知ってたわね?リーズ」

妃教育で長年王宮に通っていたわたしでも知らなかったわよ?

「こんなの、当然よ!いつ戦になっても良い様に備えてなきゃ!」

この平成の世に、十歳の小娘が何を言ってるんだか…
内心で呆れつつも、助かったので言わずにおいた。


アベラールの館に戻り、母をベッドに寝かせ、主治医に診て貰った。
気落ちし「しくしく」と泣き続ける母を慰め、看病している内に、陽は暮れた。
要領の良いリーズは途中から姿を消していたが、妹の面倒まで見る余裕は無く、
放っておいた。

わたしの方が泣きたい処だって、誰も思わないのかしら?

母が眠ってから、わたしは漸く自分の部屋へ行く事が出来た。
純白のドレスを脱ぎ、それを思い切り、引き千切った。

ビリビリビリー――!!

「あの、糞王太子!!」
「幾ら、わたしが気に入らないからって、結婚式当日に、よくもこんな仕打ちを!!」

マルシャン公爵令嬢ロザリーが純白のドレスを着て父親と控えていた処を見ても、
奴らはこの事を事前に知り、入念に打ち合わせていたのだ!
わたしが結婚式の準備で追われている最中に、あの男は___!!

バリバリバリー―――!!

「あんただけが不満だったとでも思ってるの!?」
「あんな、横暴で傲慢で我儘で軽薄で自分大好きで」
「女好きで、頭空っぽの、お飾り王太子!」
「おまえこそが《滅びの星》だろうが!!」
「あんな男との結婚なんて、百年周期の契約でもなければ、こっちから願い下げよ!!」
「わたしは、竜の血を引く一族の末裔、ヴァレリー=アベラールよ!!」

ボロ布になったそれを、靴の裏で何度も踏みつける。

アンドレを好きでは無かった。
愛してもいなかった。
政略結婚はこんなものだと諦めていた。
あんな男の事は、心底どうでも良かった。
わたしにとって大事だったのは、責任と義務___
だから、どれ程酷い扱いを受けようと、虚仮にされようと、全てに耐えてきた。
ただ、契約の為、一族の為___

だが、それすら、あの男は踏み躙ったのだ!!

わたしの努力を全て!!!


最後には搔き集め、暖炉に投げ込み、火を放った。
オレンジ色の炎が燃え上がるのを、わたしはじっと見つめていた。

燃えて消えてしまえばいい

心に虚しい風が吹く


「疲れたわ…」


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