【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音

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「シリル様の言う通りですよ!
奥様の手料理を団長より先に、我々が食べたなんて知れたら、怒られますって!」

「そうですぞ、まずは夫でなければ、夫婦の間も上手くいきますまい。
ワシなら三日は拗ねますぞ」

ジャスパーとノーマンも口を揃えて「団長に!」「夫に!」と言うので、わたしは渋々、シリルからサンドイッチの皿を受け取った。
そんな、大した物じゃないんだけどなぁ…

「それじゃ、一応、持って行ってみるわね…」
「はい!」

シリルが笑顔で元気な返事をしたので、わたしは何でも良くなった。
シリルの笑顔には敵わないわ~!


「シャルリーヌです」

書斎の扉を叩くと、直ぐに「どうぞ」と返事があった。
わたしが入ると、カルヴァンは机で書き物をしていた。脇の小さな机ではセザールが書類の整理をしていた。
セザールもいたのね…足りるかしら?そういえば、お茶もいるわよね?
三人に嗾けられた所為か、色々と頭から抜け落ちていた。

「シャルリーヌ、どうかしたか?」
「実は、シリルたちに訓練の後に食べて貰おうと思って、サンドイッチを作ったのですが…」

カルヴァンとセザールは、見て分かる位、『は?』という顔をしている。
わたしは恥ずかしくなり、つい、つんけんしてしまった。

「ノーマン先生とジャスパーが言うには、妻の手料理はまず夫が食べないと夫婦間にヒビが入るそうです。
シリルもお父様に食べて欲しいと言うので、仕方なく持って来ました、要らなければ自分で食べますからお気遣いなく…」

「頂こう、丁度お茶にするつもりだった」

カルヴァンが直ぐに席を立ったので、わたしは少し機嫌を直した。

「それでは、お茶を頼みますね」
「私は届け物をしてきますので、お二人でどうぞ」

セザールが気を利かせてか、書類を持って出て行った。

「気を遣わなくても良いのに…わたしなんて、ただの契約妻なのに」

それをセザールも知っている筈だ。

「もしかして、わたしが作った料理だから逃げたのかしら!?」

セザールめ~~~!!
むううう!!と扉の方を睨んでいると、カルヴァンが咳払いをした。

「それは違うだろう、シャルリーヌ、座ってくれ」

わたしはカルヴァンの向かいのソファに座り、彼の前に皿を置き、被せていた蓋を取った。
メイド達がお茶を運び、出て行くと、カルヴァンは早速サンドイッチに手を伸ばした。

「中身はこちらがジャム、こちらがキュウリよ、シリルが喜ぶと思って…だから、あなたの好みではないかも…」
「美味しい」
「本当に?」
「ああ、普段の物と違うが、好きだ」
「!!そ、そう、良かったわ…」

さり気ない《好き》に、顔が一気に熱くなった。も、もう!無自覚モテ男なんだから!!

「シリルたちに感謝しよう、お陰で夫婦間にヒビを入れずに済んだ様だ」

あわあわとしていた為、軽口も上手く返せなかったが、カルヴァンは気付く事なく、気持ち良くサンドイッチを平らげた。ちょっと憎たらしく思えたが、「今度からは私の分も用意してくれ」と言ってくれたので、それも晴れた。

「三人分も、四人分も同じようなものだから構わないわよ」

いいえ、五人分ね、今度はセザールにも食べさせてあげよう。

「そうだわ!そういえば、シリルが上手にお喋り出来たの!」
「本当か!?」
「ええ、晩餐の時に話し掛けてみて!」
「ああ、楽しみだ」

カルヴァンは直ぐにでもシリルの元へ行きたそうに見えた。
わたしはつい「ふふふ」と笑ってしまい、カルヴァンにじろりと見られた。

「思い出し笑いか?君だけズルイぞ」

羨ましがられるのも良いものだ。

カルヴァンは気付いているかしら?
『愛せない』とか、『義務』だとか言っていたあなたが、いつの間にか、シリルにメロメロになってるって!
それに、シリルを挟めば、わたしたち、普通の夫婦みたいだって___

「そういえば、もう直ぐシリルの七歳の誕生日でしょう?」
「ああ、そうだったな…」
「お祝いはしても良いのかしら?」

シリルの誕生日は、実母メレーヌが亡くなった日でもある。
シリルが覚えているとは思えないが、カルヴァンが嫌がるかもと思ったのだ。
カルヴァンは表情を硬くしたが、「家族だけなら」と許してくれた。

「それなら、わたしに提案があります!」

わたしが勢い良く言うと、カルヴァンは「話を聞こう」と、商談するかの様に前のめりになった。


◇◇


「シリル、最近は自然と声を出せる様になったな、会話も十分に出来ている。
今日、ノーマン先生からおまえの護身術初級の合格を貰った、おまえの頑張りと成長に驚いている、よくやったな」

カルヴァンに褒められ、シリルの顔は赤くなり、目はキラキラと輝いた。誇らしそうだ。
これで続きを聞いたら、シリルはどうなるかしら?わたしはわくわくとその時を待った。

「シリル、おまえとの約束を果たそう。
明日、私とシャルリーヌ、おまえとで街へ行く、用意をしておきなさい」

「!?」

シリルの目がいっぱいに開かれた。

「おまえも明日で七歳になる、誕生日の祝いだ」
「ありがとうございます!お父様!」

シリルはカルヴァンに礼を言うと、わたしを振り返り、胸に飛び込んで来た。
余程うれしかったのだろう、ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。子供の力だが、最近は鍛えているので、それなりに強かった。

「シリル、良かったわね、頑張ったわね!」

わたしが褒めるとシリルは顔を上げ、輝く様な笑顔を見せた。
最近すっかり黒い靄は見なくなっていた、赤い目の奥に小さな黒い点があるだけだ。
シリルの心が落ち着いているからなのか、理由は分からないが、わたしは安堵の想いで抱きしめ返した。


翌日の昼前、わたしたちは馬車に乗り、街へ向かった。
シリルは馬車の窓に張り付いて、景色を楽しんでいた。
街まで然程掛からないのだが、それでもシリルにとっては初体験だ、わたしはシリルの姿を目に焼き付けようと離さなかった。カルヴァンも同じで、微笑を浮かべてシリルの小さな頭を見ていた。
「あまり顔を出すと危ないぞ」と注意も忘れずに。

「私が案内しよう、領地視察は任せてくれ」

馬車を降りて、カルヴァンが申し出てくれたが、まるで仕事の話みたいに聞こえた。
全く、堅いんだから!わたしは呆れたが、シリルは全く気にしておらず、目を輝かせていた。

因みに、今日のわたしたちの格好は、町人スタイルだ。この日の為に用意したのだ。
わたしは赤髪をシニヨンに結い、地味で飾り気のない夫人用のドレス。
シリルはシンプルなシャツと、チェックのズボン、靴も安物だ。オッドアイは問題だったが、眼帯を着ければ余計に目立ってしまう為、敢えて隠さない事にした。
だが、一番の問題はカルヴァンで、彼はガタイが良く、何を着ても目立った。労働者も体格が良いが、カルヴァンには気品があるので、労働者にはどうしたって見えない。
美形で精悍な顔を隠そうとフードを被ると、まるで不審者か暗殺者だ。
領主様とバレる覚悟で、口元にマスクを着けるだけにした。
案の定、道行く人がカルヴァンを見て、ぼうっとなっている。正に、歩く凶器!いえ、媚薬かしら??

カルヴァンの案内で大通りを歩き、店を見て周った。
シリルが興味を示したのは、本屋だった。シリルに本を選ばせている間、わたしたちも本を見た。
あまり興味は無く、タイトルを眺めていたのだが、ふと、それが目に入った。

【古の術書】

魔術?呪術?専門書らしい。

「シャルリーヌ、欲しい本があるのか?」

カルヴァンに声を掛けられ、わたしは咄嗟にくるりと体の向きを変え、背に隠した。

「いいえ、わたしはいいわ、それより、シリルは決まったかしら?」
「ああ、多いから館に運ばせる事にした、次は仕立て屋へ行こう、シリルの服を作ってやりたい」
「いい考えだわ!」

わたしたちはカルヴァン御用達の仕立て屋に行き、シリルの服を頼んだ。
シリルの好みを聞き、デザイン画を見せて貰い、三人で意見を言い合った。
店員から「仲がよろしいですね」とこやかに言われ、わたしとカルヴァンは固まったが、シリルはうれしそうだった。

仕立て屋から出て、シリルがわたしの手を掴んだ。見ると、シリルの反対側の手はカルヴァンの手を握っていた。
カルヴァンが戸惑った様にわたしを見てくるので、わたしは小さく吹き出した。

「仲良し親子は、手を繋ぐものなのよね?」

シリルに言うと、「はい!」と良い返事が返って来た。

「そうか、シリルは物知りだな。
次は広場へ行こう、色々と面白いものが見られるぞ!」

わたしたちは手を繋いだまま、大通りを歩いて行く。
通りをいく人たちが時々振り返り、「あれ、領主様?」「仲良いんだな~」「意外」「可愛い」と囁き合う声が気持ち良かった。

「わーーー!!」
「キャーーー!!」

広場に近付いた時、悲鳴が聞こえてきた。
カルヴァンは即座に「おまえたちはここに居ろ!」と命じ、走って行ってしまった。
わたしも一緒に行きたかったが、今はシリルが一緒だ、シリルの安全を第一に考えなくてはいけない。
わたしはシリルの小さな手をぎゅっと握った。

「お父様は大丈夫よ、ここで待っていましょう」

脇に寄り、わたしはシリルの体に腕を回した。体温を感じていれば、安心出来るものだ。

「魔獣だ!魔獣が出たぞー!」

広場から逃げて来る人たちの叫びに、シリルを抱く力が強まった。
カルヴァンは騎士団長だ、魔獣の対処には慣れているだろう。だけど、もしも、という事だってあるのだ!
カルヴァン!ああ、どうか無事でいて!!

「お母様、お父様は大丈夫!お父様は英雄だよ!」

シリルに励まされ、わたしは恥ずかしくなった。

「そうね、お父様は英雄だもの、大丈夫___」

いつの間にか悲鳴は止み、逃げて来る人たちも居なくなった。
ここで待つべきかもしれないが、気になって仕方がない、カルヴァンの無事な姿を見ない限り安心なんて出来なかった。
「シリル、危ないと思ったら逃げるのよ」
わたしはシリルの手を握り、広場へ向かう事にした。

広場に魔獣が出るなんて…
カルヴァンは、普段魔獣は人里には来ないと言っていた。はぐれてたまたま降りて来てしまったか、或いは魔素で狂暴化しない限り…

広場に入ると直ぐにカルヴァンの姿を見付ける事が出来た。皆、カルヴァンを遠巻きにしていたからだ。
カルヴァンは右手に剣を持ち、警備服の男に何やら指示を出していて、その足元には、大型犬程の大きさの獣が横たわっていた。

「お父様!!」
「待って、シリル!」

シリルがわたしの手を離し、カルヴァンの元に駆けて行き、わたしは慌てて後を追った。

「シリル、シャルリーヌ、すまない、問題を片付けなくてはいけなくなった、二人は館に帰ってくれ」
「こいつが、悪いの?」

シリルの視線は横たわる獣に向かっていた。
その目から黒い靄が立ち込めてくる、最近では無かった事だ。
わたしは後ろからシリルを抱き締め、遠避けた。

「大丈夫だ、もう息絶えている。シリル、シャルリーヌを護ってくれるな?」
「はい!」

答えたシリルの目に、黒い靄は無かった。
わたしはそっと息を吐いた。

「シャルリーヌ、悪いがシリルの誕生日は君だけで祝ってやってくれ」
「はい、旦那様、どうかお気をつけて下さい」
「そう、不安そうな顔をするな、後は面倒なだけで危険は無い」

面倒?どういう事?と聞き返そうとしたが、

「お母様、参りましょう!」

シリルがキリリとした顔でわたしの手を掴んだ。
その頼もしい姿に、場違いだが、わたしとカルヴァンは目を合わせ、そっと笑ったのだった。

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