【完結】結婚しても片想い

白雨 音

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その後、わたしは姉を見舞ってから、王宮に帰った。
だが、わたしの顔を見た瞬間、侍女は悲鳴を上げた。

「シャルリーヌ様!お顔がっ!!」

わたしは父から殴られた事を思い出し、慌てて隠そうとした。
だが、手で触れただけでも、酷い痛みが走り、声も出ない程で、
直ぐに医師が呼ばれ、治療を施された。

「これは…どうなさったのですか?」

「その…ぶつけてしまったんです、ぼんやりしていて…」

父の事を話したくなかったので、誤魔化したのだが、それは悪手だった様だ。

「やっぱり、妹の方も…」
「いつ正気を失うか分からないわね…」
「狂気の一族ね、嫌だ、怖いわ…」

侍女たちがこそこそと小声で囁くのを聞いてしまった。
これが知れたら、父は増々憤るだろう。
わたしは嘆息したが、それ程には気にならなかった。
それよりも、姉が陵辱を受けていた事、
ランメルトの疑惑をどうやって晴らすか…その方が大きな問題だった。


普段の日は、晩餐会等は開かれず、各人の部屋に食事が運ばれる為、
わたしは他の者と顔を合わせる事がなく、安堵していた。
だが、夜になり、寝支度を始めた辺りで、「ランメルトに会う事は避けられない」と気付いた。

流石のランメルトも、これには気付くだろう。
頬には薬が塗られ、布で押さえられ、包帯を巻かれている。
包帯は布を押さえる為だが、見た目は重病人だ。

侍女たちが部屋を出て行くと、わたしは包帯を解き、布を外した。
頬は赤いが、腫れは少し引いた気がする。

寝室はランプの灯りだけで、ランメルトはわたしの顔を見る事も無いので、気付かないだろう。

わたしは横の髪を頬の方に垂らし、深呼吸をすると、いつも通りに寝室の扉を開けた。
期待通りで、窓辺に置かれたランプの灯りだけが、部屋を照らしていた。
寝室のベッドには、ランメルトの姿があり、「着ている物を脱げ」と言った。

わたしはいつも通り、ベッドの側で夜着とショーツを脱いだ。
そして、ベッドに上がり、四つん這いになる。
わたしにとって、この時間は耐え難い。
まるで獣の様な恰好で、恥ずかしい場所を晒し、見せ付ける___
何度体を重ねても、羞恥心に慣れる事は無かった。

ランメルトの手が双丘を掴み、押し開くと、羞恥心は最高潮に達した。
顔が熱い…きっと、真っ赤になっているだろう。
わたしはギュっと目を閉じ、額を枕に押し付けた。

ピチャ、ピチャ…

ランメルトが音を出し、そこを舐め始めると、
恥ずかしいと思うのに、違う感情が湧いてしまう。
丹念に舐めながら、彼の指は敏感な部分を弄り出す。
こうなれば、わたしは自分を抑える事が出来なくなり、淫らに腰を振ってしまうのだった。

「はぁ…あん…くぅ!」

声が漏れてしまい、わたしは自分の指を噛んだ。
指で中を擦られ、わたしは身を震わせ、あっけなく絶頂した。
休む間もなく、彼の固いものが侵入して来る。
圧迫感に息が詰まる。
だけど、どうしようもなく、うれしくなる…

いけないと分かっているのに、わたしは誘う様に腰を振っていた。

もっと、奥を突いて!
わたしを滅茶苦茶にして!
あなたのもので満たして___!!

彼が強く腰を打ち付け、それを奥へと注ぎ込む___

わたし安堵の息を吐き、ベッドに沈んだ。
だが、近付く、ランメルトの荒い息遣いに、ドキドキする。

彼に触れられたい…
その手で触れられたい…

背中から抱き込まれ、体が密着すると、安堵する。
その大きな手がわたしの乳房を包み、項や肩にキスをされると、また奥が疼く。

もっと、触って欲しい…

膨らみの先はピンと固くなり、内腿を愛液が濡らす。
だが、きっと、彼は気付いていない。
いや、気付かないで欲しい。
こんな、はしたない自分は、知られたくない。

ランメルトはきっと、浅ましい女だとわたしを軽蔑するだろう。
「グレースらしくない、グレースは上品なのに」と___

わたしはそれを思い、気持ちが沈んだ。
だけど、お姉様は…
姉に起きた事を思い出し、わたしは身ぶるいした。

「どうした?」

耳元で冷たい声がし、わたしはビクリとした。

「いえ、何でもございません…」

「足りないのであれば、してやる」

わたしは浅ましくも、期待に身を震わせた。
彼はそれを返事だと思ったのだろう、その手がわたしの胸の膨らみを優しく揉み始めた。
いつもならば、本番に及ぶ時、胸への愛撫はない。
ランメルトの好みではないのだろうと思っていたが、今は執拗にそこを攻められた。
優しく乳輪をなぞり、突起を弄る…

「あふぅん!」

自分の嬌声に驚き、わたしは手で口を覆った。
彼の手が足を抉じ開け、内腿を這い、秘部に触れた。

「ん!!!」

強い快感に、わたしの頭は真っ白になった。
先程絶頂したばかりだというのに…
淫らな自分が恥ずかしい…

咎めるかの様に、彼の手がわたしの乳房を強く揉んだ。

「いっ!!」

痛い!!
駄目、もっと、優しくして…!!

だが、彼の手は優しさとは無縁に動いた。
乳房を握り潰し、突起を摘まんで引っ張る…

「ひぃっ!!!」

指は深くまで入り込み、乱暴に抜き差しを始めた。
そして、良い所を擦り、強引に絶頂させられたのだった。

「はぁっ…はぁ…っ」

酷い…

胸がじんじんと痛む。
まるで道具の様に絶頂させられた。
愛情などなくても悦ぶ女だと言われた様で、自分が酷く惨めになった。

だが、泣く訳にはいかない、わたしは唇を噛んだ。

ランメルトはわたしの体を後ろから抱き直すと、眠った様だった。

今のは、《わたし》にした行為だったのだろうか?

いつもは姉を想ってしている行為。
わたしが姉らしくなかったから、怒らせたのだろうか…

ランメルトは姉を愛している。
姉に酷い事はしないだろう。
だけど、怒らせたら…

今の様に酷い事をするかもしれない?

わたしは必死で自分の考えを吹き飛ばした。

違う!!
他の者にならばするかもしれない、だけど、お姉様には絶対にしないわ!!

ランメルト様は、お姉様を愛しているもの___!!


興奮したからか、酷く頬が痛み出し、わたしはそっと、ランメルトの腕を解き、
ベッドから降りた。
ショーツと夜着を拾い、部屋に戻ろうとしたが、「勝手に何処に行く!」と厳しい声で止められた。

「も、申し訳ありません、少し、体が痛むので…」

「それは私に対する嫌味か?
物足りない様だから、満足させてやったというのに、気に入らなかったか?」

「その様な事は…」

わたしはランメルトの怒りを前に、身を縮めた。

「ならば、早く戻れ!」

わたしは何も言えなくなり、夜着とショーツを置き、ベッドに戻った。
だが、ランメルトの目に入った様だ。
急に肩を掴まれ、顔を上げさせられた。

「それは、どうした!」

ランメルトは驚愕の顔をしていた。
濃い菫色の瞳がギラリと光る。

「これは…ぶつけてしまって…」

「ぶつけた?何処で、どうぶつければそんな風になる!」

肩を掴む手に力を込められ、わたしは思わず呻いた。
すると、直ぐに力は抜かれた。
尤も、追及が止む事は無かったが…

「嘘を吐くな、正直に話せ!
今日は実家に帰ったらしいな?その時か?やったのは父親か?」

見抜かれてしまい、わたしは小さく頷いた。

「はい…でも、父は悪くないんです!わたしが父を怒らせてしまったんです!」

「経緯などどうでも良い、これより実家に帰る事は禁ずる」

「そんなっ!それでは、姉の見舞いに行けなくなります!
今日、帰って分かったんです、姉は正気を失っていますが、それでも、
わたしが話し掛けるとうれしそうな顔をするんです…」

もし、ランメルトが姉に会いに行ってくれたら…
姉はどれ程喜ぶだろう?

「ランメルト様…」

わたしが訴える様に見つめると、ランメルトは顔を反らし、吐き捨てた。

「ならば、今後、この様な事にならない様にしろ!
直ぐに部屋に戻り、医師を呼び、治療をさせろ!」

わたしは部屋に戻り、布を当て、包帯を巻いた。
それから痛み止めの薬を飲み、心を落ち着けてから寝室に戻った。

ランメルトはこちらに背を向け、寝ていた。

怒らせてしまった…
だけど、心配もして下さっていたわ…

そうでなければ、実家に帰る事を禁止したりはしないだろう。
それに、医師を呼んで治療をしろとも言わない筈だ。

わたしの胸に、小さな灯りが灯った気がした。

やっぱり、ランメルト様は変わっていない…

きっと、今は、暗い闇に覆われているだけ…

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