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「お早うございます___」
ランメルトが起き上がり、ベッドから出た所で、わたしは声を掛けた。
彼はわたしが寝ていると思っていたらしく、ビクリとし足を止めた。
顔だけで振り返り、「おはよう」小さく返すと寝室を出て行った。
初めて、挨拶を交わしたわ!
わたしは自分の目論見が成功した事に驚き、そして、飛び上がる程に歓喜した。
実の所、わたしは眠れない夜を過ごす中で、一つの結論に至っていた。
ランメルトは姉を愛しているが、彼の想いが叶う事は、永遠に無い。
その事にランメルトも気付いている。
それならば、わたしが遠慮する必要は無い___
ランメルトを愛そう。
奇しくも、わたしはそれが許される立場にある。
ランメルトにとっては迷惑かもしれないが、彼が少しでもわたしを好きになってくれたら、
傷付いた心も少しは癒されるのではないか?
これまで、ランメルトと顔を合わせるのは、夜、就寝の時だけだった。
もっと、二人の時間を持とう___
◇◇
姉の事がある前、わたしが姉に会いに王宮に上がった際には、
ランメルトはいつも顔を見せてくれたし、一緒にお茶をする事も多かった、
呼ばなかった時には後々文句を言う程だった。
それを考えれば、一緒にお茶をする時間位はある筈だ。
わたしはお茶の時間に、ランメルトが公務を行っている部屋を訪ねた。
「ランメルト様、一緒に、お茶を頂いてもよろしいでしょうか?」
こんな事は初めてだったので、部屋を護っている衛兵、部屋にいた側近たちも、
声には出さないが驚いた顔をした。
尤も、ランメルト自身は、冷ややかにわたしを見て、「いいだろう」と頷いただけだった。
お茶と菓子が運ばれて来ると、側近たちは気を利かせ、部屋を出て行った。
二人きりになると、わたしは急に緊張してきた。
結婚して以来、こんな風に会うのは初めての事で、
意識する程に顔は熱くなり、胸の鼓動は煩い程高鳴った。
ランメルトはあまりわたしの方は見ず、紅茶のカップを手に取ると、
「何かあったのか?」と素っ気なく聞いた。
「いえ、ただ、独りは寂しいので、お茶だけでもご一緒にしたいと思い…」
口実は考えておらず、わたしは浮かんだ事を言った。
「同情しているなら、そんな必要はない」
自尊心を傷つけてしまっただろうか?
「同情ではありません、ただ、わたしたちは夫婦なのですから…
せめて、友の様になれないでしょうか?」
あの頃の様に、兄妹の様に___
「もし、ランメルト様がお嫌でなければ…」
嫌だと言われたら、酷く落ち込むだろう。
余計な一言を付け加えてしまったと後悔していた所、意外な言葉が返ってきた。
「嫌なのは君の方だろう」
「わたしが?どうしてですか?」
思わず目を丸くしていた。
ずっと、恋していた人とこんな形ではあるが、結婚出来た。
一緒に過ごせるなら、それを望みこそすれ、嫌う筈がない。
「私は君から愛おしい人を奪った、嫌われて当然だ」
《愛おしい人》、わたしの頭に浮かんだのは《姉》だった。
奪ったなんて…
どうしてそんな事を?
まさか、お姉様を陵辱したのは、ランメルト様なの___!?
わたしは愕然とし、ランメルトを見つめた。
ランメルトは「ふっ」と笑った。
「無理にこんな事をしなくてもいい、私も分かっている。
君は私に優しくする必要はない、私も君を愛さない、それが、私なりの贖罪だと思っている。
だが、これまでの態度は改めよう、君に対し、あまりに酷い態度だった。
君を避ける為には仕方がなかったんだ…すまない、シャルリーヌ」
わたしは理解が追い付かなかった。
ランメルトは《姉》への贖罪の為に、わたしと距離を置こうとしていた?
どうして、それが贖罪になるのだろう?
姉を陵辱した者は憎いし、許せない。
だけど、ランメルトならば…
「わたしは嫌いになんてなりません!あなたの気持ちは痛い程に分かります!
愛する者を奪われ、裏切られたと知れば、我を忘れる事もあります…
そんなに、ご自分を責めないで下さい…
ランメルト様が本当に後悔しているなら、お姉様も許して下さいますわ!
もし、許されなくても、一生掛かっても、わたしはランメルト様と一緒に、
お姉様に謝罪します___」
ランメルトはわたしを見たが、何処か茫然としている様に見えた。
「私と一緒に謝る?」
「す、すみません!差し出がましい事を申しました!」
わたしは我に返り、深く頭を下げた。
「いや…だが、グレースとクレモンの事は、君には関係無い事だ、君が謝る事は何もない」
「わ、分かっています!ですが、わたしはランメルト様の妃です、罪は共に償うべきかと…」
「君と結婚する前の事だ、それに、謝った所で今となっては…」
「無駄ではありません、姉は正気を失ってはいますが、時々、反応する事があります。
心からの言葉であれば、お姉様にも届くと思います。
ただ、興奮させてはいけませんけど…」
「知らなかった、そんな報告は受けていない」
「クレモンは知りません、部屋に入れて貰えませんし…」
「ならば、クレモンをグレースに会わせてやって欲しい!
グレースを救えるのはクレモンだけだ!」
ランメルトの菫色の目が強い光を見せる。
それは、以前のランメルトを思い起こさせた。
「そうしたいのですが…姉がどんな態度を取るか分からなくて…
クレモンの名を出すと、あの事を思い出し、酷く興奮して…
自傷してしまうのではないかと、怖いんです…」
「あの事?何の事だ?」
ランメルトに聞かれ、わたしは「え?」と彼を見た。
「それは、ランメルト様がお姉様になさった事です…お分かりでしょう?」
「私がグレースにした事は、クレモンと想い合っている事を知っていて、無視した事だ。
婚約を解消し、グレースを自由にする事も出来たのに、私は自分の欲を優先した…
グレースが事故に遭うと分かっていれば…」
ランメルトの顔には苦悶が浮かぶが…
「それだけですか?」
わたしは思わず聞いていた。
「君が考えていた事と違うみたいだが、《あの事》というのは何だ?
物騒な事を言っていたな、それでは、グレースは自害しかけたというのか?」
怖い顔で詰め寄られ、わたしは顔色を失っていた。
余計な事を言ってしまった!
「すみません、わたしの勘違いです!
長くなりましたので、わたしはこれで___」
わたしは慌てて部屋を出ていた。
後で追及を受けるのではないかと、色々と言い訳を考えていたが、
結局、ランメルトから追及される事は無かった。
その夜、ランメルトはわたしを抱く事はなく、ただ…
「手を繋いでもいいか?」
わたしの指に自分の指を絡め、眠りについていた。
彼の纏う空気が柔らかい気がし、わたしは少し安堵したのだった。
◇◇
ランメルトと話し、わたしの中の彼への疑いは完全に晴れた。
姉と会った後、彼が怒っていたという証言の真意は分からなかったが、然程重要でもない気がした。
姉を陵辱した者は誰なのか___
糸口は掴めず、わたしはもう一度、大司教に話を聞いてみる事にした。
丁度、月に一度、王宮で開かれる晩餐会が間近に迫っている。
大司教は毎回招かれていて、晩餐の前に宮殿を周り、皆に声を掛け、悩みを聞くという。
わたしはその時を狙い、大司教に会う事にした。
その日、わたしは大司教に会う為、一階の回廊に潜み、
王宮に入って来る招待客たちを見張っていた。
大司教は二人の修道女を連れ、宮殿に入って来た。
わたしはその場を離れ、大司教の後を追った。
大司教は臣下や使用人たちから挨拶をされ、それに丁寧に応えている。
その姿は正に、聖人に見えた。
大司教様ならば、きっと、助けになって下さるわ___!
そんな気がし、わたしは意を決し、声を掛けていた。
「大司教様___」
わたしの声に、大司教と修道女たちが足を止め、振り返った。
ふと、修道女の一人が、大神殿を訪ねた際に目が合った、若い修道女だという事に気付いた。
彼女の顔に表情はなく、何処か暗く見えた。
わたしは微笑み掛けたが、彼女は直ぐに視線を下げた。
「これはこれは、王子妃様」
「大司教様にご相談したい事があります、わたしにお時間を頂けないでしょうか?」
「構いませんよ、あちらにしましょう…」
大司教は慣れているのか、空いている部屋を知っていた。
わたしは通りすがりのメイドを呼び止め、お茶を運ぶ様に頼んだ。
ランメルトが起き上がり、ベッドから出た所で、わたしは声を掛けた。
彼はわたしが寝ていると思っていたらしく、ビクリとし足を止めた。
顔だけで振り返り、「おはよう」小さく返すと寝室を出て行った。
初めて、挨拶を交わしたわ!
わたしは自分の目論見が成功した事に驚き、そして、飛び上がる程に歓喜した。
実の所、わたしは眠れない夜を過ごす中で、一つの結論に至っていた。
ランメルトは姉を愛しているが、彼の想いが叶う事は、永遠に無い。
その事にランメルトも気付いている。
それならば、わたしが遠慮する必要は無い___
ランメルトを愛そう。
奇しくも、わたしはそれが許される立場にある。
ランメルトにとっては迷惑かもしれないが、彼が少しでもわたしを好きになってくれたら、
傷付いた心も少しは癒されるのではないか?
これまで、ランメルトと顔を合わせるのは、夜、就寝の時だけだった。
もっと、二人の時間を持とう___
◇◇
姉の事がある前、わたしが姉に会いに王宮に上がった際には、
ランメルトはいつも顔を見せてくれたし、一緒にお茶をする事も多かった、
呼ばなかった時には後々文句を言う程だった。
それを考えれば、一緒にお茶をする時間位はある筈だ。
わたしはお茶の時間に、ランメルトが公務を行っている部屋を訪ねた。
「ランメルト様、一緒に、お茶を頂いてもよろしいでしょうか?」
こんな事は初めてだったので、部屋を護っている衛兵、部屋にいた側近たちも、
声には出さないが驚いた顔をした。
尤も、ランメルト自身は、冷ややかにわたしを見て、「いいだろう」と頷いただけだった。
お茶と菓子が運ばれて来ると、側近たちは気を利かせ、部屋を出て行った。
二人きりになると、わたしは急に緊張してきた。
結婚して以来、こんな風に会うのは初めての事で、
意識する程に顔は熱くなり、胸の鼓動は煩い程高鳴った。
ランメルトはあまりわたしの方は見ず、紅茶のカップを手に取ると、
「何かあったのか?」と素っ気なく聞いた。
「いえ、ただ、独りは寂しいので、お茶だけでもご一緒にしたいと思い…」
口実は考えておらず、わたしは浮かんだ事を言った。
「同情しているなら、そんな必要はない」
自尊心を傷つけてしまっただろうか?
「同情ではありません、ただ、わたしたちは夫婦なのですから…
せめて、友の様になれないでしょうか?」
あの頃の様に、兄妹の様に___
「もし、ランメルト様がお嫌でなければ…」
嫌だと言われたら、酷く落ち込むだろう。
余計な一言を付け加えてしまったと後悔していた所、意外な言葉が返ってきた。
「嫌なのは君の方だろう」
「わたしが?どうしてですか?」
思わず目を丸くしていた。
ずっと、恋していた人とこんな形ではあるが、結婚出来た。
一緒に過ごせるなら、それを望みこそすれ、嫌う筈がない。
「私は君から愛おしい人を奪った、嫌われて当然だ」
《愛おしい人》、わたしの頭に浮かんだのは《姉》だった。
奪ったなんて…
どうしてそんな事を?
まさか、お姉様を陵辱したのは、ランメルト様なの___!?
わたしは愕然とし、ランメルトを見つめた。
ランメルトは「ふっ」と笑った。
「無理にこんな事をしなくてもいい、私も分かっている。
君は私に優しくする必要はない、私も君を愛さない、それが、私なりの贖罪だと思っている。
だが、これまでの態度は改めよう、君に対し、あまりに酷い態度だった。
君を避ける為には仕方がなかったんだ…すまない、シャルリーヌ」
わたしは理解が追い付かなかった。
ランメルトは《姉》への贖罪の為に、わたしと距離を置こうとしていた?
どうして、それが贖罪になるのだろう?
姉を陵辱した者は憎いし、許せない。
だけど、ランメルトならば…
「わたしは嫌いになんてなりません!あなたの気持ちは痛い程に分かります!
愛する者を奪われ、裏切られたと知れば、我を忘れる事もあります…
そんなに、ご自分を責めないで下さい…
ランメルト様が本当に後悔しているなら、お姉様も許して下さいますわ!
もし、許されなくても、一生掛かっても、わたしはランメルト様と一緒に、
お姉様に謝罪します___」
ランメルトはわたしを見たが、何処か茫然としている様に見えた。
「私と一緒に謝る?」
「す、すみません!差し出がましい事を申しました!」
わたしは我に返り、深く頭を下げた。
「いや…だが、グレースとクレモンの事は、君には関係無い事だ、君が謝る事は何もない」
「わ、分かっています!ですが、わたしはランメルト様の妃です、罪は共に償うべきかと…」
「君と結婚する前の事だ、それに、謝った所で今となっては…」
「無駄ではありません、姉は正気を失ってはいますが、時々、反応する事があります。
心からの言葉であれば、お姉様にも届くと思います。
ただ、興奮させてはいけませんけど…」
「知らなかった、そんな報告は受けていない」
「クレモンは知りません、部屋に入れて貰えませんし…」
「ならば、クレモンをグレースに会わせてやって欲しい!
グレースを救えるのはクレモンだけだ!」
ランメルトの菫色の目が強い光を見せる。
それは、以前のランメルトを思い起こさせた。
「そうしたいのですが…姉がどんな態度を取るか分からなくて…
クレモンの名を出すと、あの事を思い出し、酷く興奮して…
自傷してしまうのではないかと、怖いんです…」
「あの事?何の事だ?」
ランメルトに聞かれ、わたしは「え?」と彼を見た。
「それは、ランメルト様がお姉様になさった事です…お分かりでしょう?」
「私がグレースにした事は、クレモンと想い合っている事を知っていて、無視した事だ。
婚約を解消し、グレースを自由にする事も出来たのに、私は自分の欲を優先した…
グレースが事故に遭うと分かっていれば…」
ランメルトの顔には苦悶が浮かぶが…
「それだけですか?」
わたしは思わず聞いていた。
「君が考えていた事と違うみたいだが、《あの事》というのは何だ?
物騒な事を言っていたな、それでは、グレースは自害しかけたというのか?」
怖い顔で詰め寄られ、わたしは顔色を失っていた。
余計な事を言ってしまった!
「すみません、わたしの勘違いです!
長くなりましたので、わたしはこれで___」
わたしは慌てて部屋を出ていた。
後で追及を受けるのではないかと、色々と言い訳を考えていたが、
結局、ランメルトから追及される事は無かった。
その夜、ランメルトはわたしを抱く事はなく、ただ…
「手を繋いでもいいか?」
わたしの指に自分の指を絡め、眠りについていた。
彼の纏う空気が柔らかい気がし、わたしは少し安堵したのだった。
◇◇
ランメルトと話し、わたしの中の彼への疑いは完全に晴れた。
姉と会った後、彼が怒っていたという証言の真意は分からなかったが、然程重要でもない気がした。
姉を陵辱した者は誰なのか___
糸口は掴めず、わたしはもう一度、大司教に話を聞いてみる事にした。
丁度、月に一度、王宮で開かれる晩餐会が間近に迫っている。
大司教は毎回招かれていて、晩餐の前に宮殿を周り、皆に声を掛け、悩みを聞くという。
わたしはその時を狙い、大司教に会う事にした。
その日、わたしは大司教に会う為、一階の回廊に潜み、
王宮に入って来る招待客たちを見張っていた。
大司教は二人の修道女を連れ、宮殿に入って来た。
わたしはその場を離れ、大司教の後を追った。
大司教は臣下や使用人たちから挨拶をされ、それに丁寧に応えている。
その姿は正に、聖人に見えた。
大司教様ならば、きっと、助けになって下さるわ___!
そんな気がし、わたしは意を決し、声を掛けていた。
「大司教様___」
わたしの声に、大司教と修道女たちが足を止め、振り返った。
ふと、修道女の一人が、大神殿を訪ねた際に目が合った、若い修道女だという事に気付いた。
彼女の顔に表情はなく、何処か暗く見えた。
わたしは微笑み掛けたが、彼女は直ぐに視線を下げた。
「これはこれは、王子妃様」
「大司教様にご相談したい事があります、わたしにお時間を頂けないでしょうか?」
「構いませんよ、あちらにしましょう…」
大司教は慣れているのか、空いている部屋を知っていた。
わたしは通りすがりのメイドを呼び止め、お茶を運ぶ様に頼んだ。
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